祝福の歌声~コナン世界でライスは頑張って生きてみるよお姉さま!~ 作:クレナイハルハ
本来ならこの世界で死ぬはずであった者達は一人の少女によって救われた。
偶然か、必然か。
でもそれは事実と残り少女の姿は彼らの心に残り続けた。
故に、彼女が開いた大きなライブを見付けそれぞれが様々な行動を起こして彼女のライブを見るため会場へと向かう。
だが、そのライブは終わりのライブ。
彼女がこの世界から消える、最後の日。
様々な人物の中には彼女を調べようとした者達が数多く存在するが、だれも彼女の存在の真実へとたどり着かない。
たどり着くはずがない。
そんな彼女はお世話になった一人の人物へと手紙を書いていた。その人だけに真実を告げる、これは本人が望んだこと。
彼女に憑いた天使は止めず手紙を書く彼女を見守る。
カノンside
LIVE当日、計画通りにセッティングした舞台。
会場から聞こえる沢山の人達の声に私とライスは覚悟を決めていた。そしてライスは青い鳥のアプリにツイートを行い、アカウントから抜け携帯の自分のデータを曲を残して全てを削除する。
これで準備は整った。
歌おうライス、最後のLIVEを。
(うん。天使様)
ライスの返事を聞き、私は全てを持って会場へと向かう。
「さぁ、最後のLIVEだ……楽しもう」
私達が会場へと歩き、登場したとき今までとは考えられないほど沢山の声が聞こえた。それはそうだ、この会場はこの世界の売れてるミュージシャンが借りてLIVEをするような施設だ。
こんな場所でLIVEするため、お兄様……ジンや沢山の人から貰ったお布施でこうして借りてイベントを開くことが出来た。
この場所で投稿した文を確認出来た者は恐らくは少数だろう。
セットされたのは天界のようなステージ、中央には大きな扉が設置され足元にはスモークが焚かれている。持っているのはいつものギター、着ているのはいつもの勝負服。
スタンドマイクのある中央についた私は会場へと向けてマイクに向けて言葉を紡ぐ。
「皆さんこんにちは、今日はライスのLIVEに来てくれてありがとう。こんな場所でLIVE出来るなんて、まるで夢みたい」
そう言って笑うと会場の人の一部がペンライトを用意しているのが見えた。
「最初は、そんな思いを胸に。皆で楽しくなるような歌を歌います、聞いてください。」
そう言って私達はギターを構え、マイクへと視線を向けギターを鳴らし歌い始めた。
初めてストリートLIVEを行ったあの日の歌を。
灰原哀side
今日、私は江戸川くんや他の皆と共に彼女のLIVEへと来ていた。到着し会場へと入り、彼女のLIVEを楽しんだ。ストリートLIVEをしていた時と変わらない歌い方、そしてそんな彼女が歌ってきた数々の歌をこの会場で披露していた。
ストリートミュージシャンであった彼女がこんなに大きな会場を借りてLIVEを開くまでに成長したとき考えるだけで感動した。
そんな彼女のLIVEの前半が終わり、休憩となった。私は江戸川くん達はトイレへと向かっていくなかで、私と博士はその場で待つことにした。
マナーモードにしていたスマホを取り出し、彼女のLIVEの後半までは時間を潰そう、そう思いふと青い鳥のアプリに通知が付いている事に気付いた。
そこには、LIVEの始まる直前と思われる時刻に投稿された彼女のメッセージがあった。さっそくアプリを開き、彼女のアカウントを見た。
ライスシャワー@BlueRose,Riseshower
#お知らせ
皆さん、今日はライスのライブに来てくれてありがとうございます。
ライスは今回のLIVEを最後に、引退します。
今まで応援してくれて、本当にありがとうございました。
「いん、たい?」
そんな彼女のメッセージに思わずそう呟いた。ふと、周囲を見渡せば私と同じように彼女のメッセージを見て驚きの声を挙げている人がいた。
一体どういうこと?こんな、まさか……誰かに脅迫されているとか?
それとも本心?本当に止める?
何故?どうして?
そう考える私や会場の人を無視するように、後半の始まりを告げるブザーが鳴り響いた。
警察組side
松田と萩原の二人は自信を助けてくれた少女だと思われる彼女の開いた大きなLIVEへと来ていた。
「いやぁ、初めて来たけどめっちゃいいな!歌もいいし、あの娘も元気そうだったし」
「そうだな。今のうちにトイレにいくか」
「だーね」
そう言って二人がトイレに向かう中で、他にも来ていた警察関係の人物がいた。
「いやぁ、良かったぁ……後半が楽しみだなゼロ」
「ヒロ、僕らは彼女を組織から守るためにこうしてイベントに来てるんだぞ?もっと緊張感を……」
降谷零と諸伏景光である。彼らは降谷零の考えた組織の産み出した研究の被害者である彼女を組織から守るため、そしてこうして大きなイベントで彼女の耳や尻尾といった人外のサンプル、言わばデータを得るために現れるのであろう人物を警戒し捕らえるために来ていた。
そんな彼らもトイレに向かう中で、ふと降谷零が携帯に連絡が来ていないか確認し、目を見開いた。それを変に思い、諸伏景光が携帯を覗き込む。
そこには、彼女の引退を示すメッセージが投稿されている画面だった。
「なっ!?どうして急に!?せっかくこんなに立派にLIVEを開けるまで成長したのに!?」
そんな彼女のメッセージで降谷零が考えたのは、自分は彼女が研究所や組織から逃げ切れたと言う
と言う物だった。
彼女は今、誰かに狙われている。黒の組織か、はたまた他の組織か。人とは異なる獣の要素を持った獣人である彼女は、せめて研究所に連れていかれる前にとこうしてLIVEを開いたのではないか?
このLIVEを終えれば、彼女はまた実験される日々をくりかえすことになるのだろう。
何者かに拉致される事によって、引退を宣言していれば警察は動かず、誰も彼女が消えたことに何の疑問を浮かべない。
そこまで考えて、降谷零は自身の持つ携帯を握りしめた。
急いで彼は携帯で自身の部下へとメッセージを送り、会場の周辺を警戒するよう指示を飛ばした。
そして次の瞬間に、次のLIVEの始まりを告げるブザーが鳴り響いた。
カノンside
後半、ステージへと立つ私を迎えたのは心配そうな表情を浮かべる人達。恐らくはあの投稿したメッセージをこの会場にいる人達の殆どが確認したのだろう。
だから私達は、引退を宣言するため口を開いた。
「みんな、私のメッセージを見てくれたかな。」
まず、そう話すとか会場から多くの声や頷く人達が見えてとれた。
「ライスは今日のこのLIVEにでストリートミュージシャンを引退します。」
そうはっきりと宣言すれば、会場がシーンと静まりかえる。
「ライスはウマ娘で、みんなの住むこの世界じゃない、別の世界で生きていたの。ある事故で、この世界に来てしまった。そして、帰らないといけない」
引退が悲しいからか、会場の所々では涙を流す人が見えた。
「もう少しで、迎えが……元の世界へ通じる扉が開く」
そう言って背に設置された置物の扉を指差す。
「ライスが今まで生きてこれたのは、みんながライスの事を応援してお布施をくれたおかげです。だから、最後はそんなみんなに、沢山の祝福を届けたい。みんなの悲しむ顔じゃなくて笑顔が見たい、だから……最後まで楽しく、一緒に歌って笑って下さい」
目から流れた涙を拭き取りながら、そう告げて最後の歌を歌う為にギターを構える。
そこからはひたすらに笑いながら歌った、泣かないように。悲しませないように。
ライスと共に歌い続けた。
そうして向かえた最後の歌、アンコールの声に答えて私は口を開いた。
「これで最後の歌になります。聞いてください、Blessing」
そう言って歌い出すのは祝福の意味を持つ歌。
この世界で私やライスを助けてくれた人やお世話になった人、そして沢山の人。そしてライスへも向けた祝福の歌。
「Blessings for your birthday.Blessings for your everyday最後の一秒まで前を向け」
私が、人間界の歌で一番好きな歌。
天使としての生活の中で歌に触れて初めて自分で見つけて、好きになった歌。祝福の歌だ。
歌うなかで、沢山の人がライス色のペンライトを振る。
「よく食べて、よく眠って、よく遊んで、よく学んで、よく喋って、よく喧嘩して、歌えなくても、何がなくても、愛せなくても、愛されなくても、ごく普通な毎日を。」
「泣けなくても、笑えなくても、歌えなくても何もなくてもそれでも生きて欲しい!
Blessings for your birthday Blessings for your everyday.たとえ明日世界が滅んでも」
ライス、例えレースに負けたって、悪く言われたって思い詰めないで?私がいなくても
「Blessings for your birthday Blessings for your everyday.最後の一秒まで前を向け」
最後まで前を向いて、走っていってね。
「Hip hip HOORAY これから先も
Hip hip HOORAY 君に幸あれ
Hip hip HOORAY これから先も
Hip hip HOORAY 君に幸あれ
Hip hip HOORAY」
歌い終えた時、会場からは沢山の笑顔と歓声が鳴り響く。
「みんな、本当にライスを助けて、笑顔をくれてありがとう!」
そう言って手を振りながら、私達はゆっくりと背後に設置されたステージの扉へと向かう。
「さようなら、沢山の人に青薔薇の奇跡と祝福を」
そう言って持っていたマイクの電源を切って足元に置きドアを開く。そして開いたドアの向こうから差し込んでくる光に目を細める。
このドアを天界への入り口と繋いだ。この扉の向こうでカノンとライスを別ける。
最後に振り返り観客のみんなに手を振りながら笑い、ドアの向こうに入り扉を閉めた。
side out
彼女、ライスシャワーが扉の向こうへ消えた瞬間に彼らは動き出した。
降谷零は彼女が居ると思われる待機部屋へ、諸伏景光はステージのドアが繋がっていると思われる会場の裏へ、だが全く見つからず降谷零が、向かった先には、誰もいなかった。
そんな現実が2人に無力感を感じさせた。
一方、彼女が初めてストリートミュージシャンとして歌った公園には、全身黒の服装に黒い帽子を被った長い銀髪の男性が立っていた。
そしてそんな彼の目の前にあるベンチには、彼をお兄様と慕っていた彼女に渡した携帯と、携帯に押さえられていた封筒が置いてあった。
彼はその封筒を開き、中の手紙を取り出す。そこには彼女の書いたものと思われる文書があった。
お兄様へ
この手紙を読んでると言う事は、ライスはもうこの世界にはいないと思います。
突然こんな話をして困惑すると思うけど、ライスはウマ娘。こことは別の世界に存在する種族で、ライスはそんな世界からこの世界に事故で迷い込んでしまいました。
お兄様は路頭に迷っていたライスを助けてくれました。お兄様がお布施してくれなかったらライスはきっと………危険な目に遭っていたかもしれません。
あの後、ストリートミュージシャンをしてたら天使様がいたの。ライスを元の世界に連れて帰ってくれるって、それでライスは元の世界に帰ることになって、今日はみんなにさようならって言う為にLIVEをしたの。
お兄様、お兄様がライスを助けて携帯までくれたからライスはこの世界で生きられました。
なので、ライスの歌の動画以外のライスに関するアカウントやメールアドレスを全て消して、この携帯をこの公園に置いておきます。
さようなら、お兄様。
ライスシャワーより
「じゃあな、俺の
そんな手紙と携帯を男はフッと笑い胸ポケットにしまい込み、その場を後にした。
その後、ライスシャワーの事は新聞に載るほどのニュースとなった。
『祝福の青薔薇、扉へと消える』
海外にもいた彼女のファンが、そして日本のファンが大きく悲しむと共に自身へと祝福と笑顔をくれた彼女に沢山の人が感謝をネットに投稿した。
残されたネットでの動画は切り抜きのみしか存在しておらず、彼女自身の動画とアカウントは全て削除されており、彼女のその後を知るものは誰いない。
ただ一人、彼女の残した動画を持つ彼のみを残して。
全てが真っ白な世界に瓜二つな少女が並んでいた。
瓜二つな彼女達の違いは服だろう、片方は真っ白な服に金の装飾の施された神々しさを感じさせ、もう片方の少女は真っ黒なドレスに青い薔薇の装飾のついた帽子。そして短剣を腰のベルトから吊るしており、馬の耳と尻尾が生えている。
「天使様………」
心の奥底、そこで出会った天使であるカノンに改めて向き合うライスシャワー。
「ライス、今から貴方を元の世界に帰す。でもその前に」
そう言って白い服の少女カノンは手を胸に当てて瞳を閉じる。
「我が祝福、生涯永劫……貴女だけに。」
そう唱えるカノンの手の中に、彼女の胸……心臓と思われる場所からゆっくりと光が集まり、収束し1つの形を作っていく。
光はゆっくりと収まり、現れたのは宝石の埋め込まれた1つの指輪。そんな指輪に埋め込まれたのは、光り輝くダイヤモンド。
「
それは天使が一生に1度、自身の認めた一人の相手のみに送ることを許される祝福を形にしたアイテム。
そう言ってカノンはライスシャワーの手を取り、掌の上に指輪を落とすとしっかり握らせる。
「大切にするね。天使様」
「ん、こっち」
頷いて、カノンはライスシャワーの手を取って1つの扉へと導く。赤い木の扉に金の装飾がされた高級感のあるドア、この先がライスシャワーの住むウマ娘の世界に通じている。
ライスシャワーはゆっくりとそのドアノブを握しめると、何故か懐かしいと言う感情を感じた。
「じゃあね、ライス。頑張って」
「うん、ありがとう。ライスがんばるね、天使様!」
そう言ってライスシャワーはカノンに見送られ、扉の向こうへ消えた。扉に入ったライスシャワーはカノンとの別れに悲しみながらも、カノンに言った頑張ると言う約束のため走り、いつの間にか気を失った。
日本ウマ娘トレーニングセンター学園
通称、トレセン学園。
その廊下を幼い容姿の少女が歩いていた。
彼女の名は秋川 やよい。
トレセン学園の理事長を努める女性である。
頭に白い帽子を被った幼い見た目の彼女は、何処か疲れた様子でトボトボと理事長室へと歩いていた。
それも、1ヶ月前に起こった事件で失踪したウマ娘を探す為に尽力していたからである。
ライスシャワー、その名は良くも悪くも有名である。彼女を守りきれなかった、その事実にトレーナーである彼女と私は失踪した彼女に対して、酷く無力感を感じていた。
たった一人のウマ娘を守れず、何が理事長か。
そんな呟きを何度吐いたかわからない。
失踪した彼女は全く情報は少なかった。
彼女の唯一の情報とすれば、彼女が最後に見られたのは山道で、車にぶつかり谷へ落ちていったと言う情報。
即座に捜索を出したものの、彼女に関する物は何も見つからなかった。そのようにウマ娘を探すことに尽力していた為に、学園での書類が溜まってしまった。
早く終わらせて、彼女の捜索を続けなければ。
そう思いながら彼女は自室への扉を開き中に入り、ふと自身の椅子に体を預けるようにして眠っている誰かが見えた。
「?」
不審者、侵入者等の考えが頭を過るなか部屋に響く目の前の人物の規則正しい寝息。恐らくは眠っているのだろう、せめて誰かだけでも確かめよう。学園の生徒なら問題ない、起こして教室へと向かわせれば良いのだから。
そう思い音を立てぬようゆっくりと、机に隠れて見えない侵入者を机の横から見た。
「きょ、驚愕!?何故彼女がここに!?」
そこには1ヶ月前に失踪したはずのウマ娘、ライスシャワーがいた。何故か眠っている彼女の肩にはギターケースがかけられており、なんとも不思議な光景が広がっていた。
少女は走って学園の廊下へと出ると大声で叫んだ
「たづな!たづなーーー!!」
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→ N E X T
ご愛読、ありがとうございました。
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ウマ娘世界にて
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