霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!   作:みけさんわーきゃっと

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誤字脱字報告者のすかたず様、SERIO様、monkey様。
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霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
パンチラが見たいとご連絡ください(羞恥プレイ)
今回のお話はかなり初期の人気投票(?)の結果のお話です。
一旦10/13に書き上げましたが、だいぶ投稿本数が増えたことにより、大幅に加筆修正しました。
そのため初期バージョンの甘さはうすれてしまったかもしれません。
が、面白くなったとは思いますし、本編での女性陣の立ち位置がわかるような感じになったと思います。
ではお楽しみください。



冬桜 月光だけが 色を知る

「あれ?アンタまたでかけるの?」

 

「ん、ああ、ちょっとな」

 

近頃アイツはふらふらとどこかへ出かけていく。

いや、ふらふらしているのはいつもの事なのだけども、どこで何をしているか言わないうえに頻度が多い。

 

必要もないのに「今日はどこそこで何何してきた」と無駄話が多いアイツにしては一切そういう話もない。

――またぞろ妙な事(ここしばらくで最大の妙なことは山姥に小料理屋を始めさせたことである、幻想郷にいままでなかった、定食屋のように決まったものが出るのではなくいろんな料理が出るお店で、結構にぎわっている)を始めたのかと思ったのだが……そのような気配もないのよね。

赤蛮奇に預り所とか言う謎の施設なんかもさせていたわね。

 

だいたい、いつもいつもアイツは突拍子のないことをしすぎなのよ。私ですらめったに行かないようなところへ(白玉楼や地獄迄普通に行動範囲だ!)も行ってるみたいだし、旧都では実質さとり、勇儀に次ぐNo.3みたいな扱い(聞いた時には開いた口がふさがらなかった、どこの世界に生身で鬼に殴り勝つ人間がいるというのだ)になっているし……

境界守のパルスィがやたらとご執心で私を見るといつも「妬ましい」と情念を込めて吐き捨てる。

妬まれても困るのだけど……

 

紅魔館でもVIP待遇(そもそもレミリアが個人の人間を認識すること自体珍しい)のようだし、何を考えているかわかりづらい神霊廟の面子とも普通に付き合いがあるのよね。

特に屠自古はアイツのお気に入りで、打てば響くような反応をするため、いつもからかわれている。

 

そもそもあの真面目で融通の利かない小うるさい映姫が、恣意的な行動をしてまであの世行きを阻止するなどありえないし、あってはならないことだわ。

だが、実際お迎え担当を本来の担当ではなくサボリ癖のある小町を任命し、結果お迎えより先に蘇生が間に合っている。嘘みたいな話よね。

 

命蓮寺の坊主たちとも相性がいい。というよりも全幅の信頼を置かれていると言ってもいい。

あいつは本気で妖怪も人間も全く同じように扱うし、自分が人間の側だと理解したうえで理があれば殺人も食人も容認するすこしおかしいところがある。

妖怪の側に立っているかと言うとそうではなく、もちろん逆に悪さをした妖怪は倒されても仕方ないと思っているようね。

そんな考えだから命蓮寺の人間と妖怪の融和という目的と合致しているゆえに(そして本気で行動できるため)外部相談役と言うべきか、普通に歓迎されているわ。

また、そういう考えができるからこそ鬼たちとの相性もいい。

強いものが支配するという元始からの理をごまかさない。口で不平不満を言って、自分に有利な平等や博愛でごまかさない。そのうえで受け入れられないものには全力で抗う。が、否定はしないわ。

そこに一切の虚飾も嘘もない……鬼が気に入らないほうが嘘だと思う。

 

華扇に至っては「彼は私が育てました」などといい師匠を名乗る始末。

ほかにも「自称師匠」は数名いるがどれもこれも一癖も二癖もある輩ばかりだわ。

 

守矢の神奈子などいい例だろうか。

神奈子の恐ろしいところは徹底的に基礎を叩き込むところである。

格好のいい技や見栄えのいい動きなどは無視してひたすらにどんな状況でも戦える戦士へと改造していく。

もちろん、そんな修行など不人気でついてくる人間はほぼいないだろうが、あいつは普通についていく。

結構な頻度で「やりすぎたので今日は守矢に泊める」という連絡があるのだがむこうでのほほんとしているとおもうとなにか、こう、ムカつくものがあるわね。

早苗も早苗である。「霊夢さんがいらないなら私貰っちゃいますよー?」などと言ってくる。

そもそもアイツは私の物では……

 

そういえば阿求も「婿に欲しい、稗田家で引き取りたい」などと打診してきていた。どうして私に言うのだろうか。

あいつが自由意思で博麗神社にとどまっている以上私に言われても……困るわ。

 

婿つながりでいえばあの輝夜も婿に欲しいと言っていたわね。

どうやってあの女を落としたのかまではわからないけども、引きこもりのはずの本人が博麗神社まで出向いて、まじめに誠意ある態度で永遠亭に住まわせたいと言ってきた時は、いったい何事かと、少々動揺したのを覚えているわ。

……なぜ私に言うのかはわからなかったけれども。

 

なぜか妹紅もアイツに懐いているわね。蓬莱人になにか思わせるところでもあるのかしら?

慧音も一緒によく夜の町に繰り出したりしているみたい、アイツお酒弱いのに付き合いは良いからね。

他の蓬莱人の永琳も何かと頼っている(そう、頼っているのだ、あの永琳が)みたいだし。

 

頼っていると言えば幽香よね。

最初アイツが足しげく通って頼みごとをしていた(おかげで食生活は向上した)のだけど、いつの間にか完全に幽香を下につけていた。あいつは何事もなかったように「勝ったら懐いちゃった」とか嘯いていたけども、生半可な勝ち方では幽香は下になどつかないはずよ。

そもそも幽香に弾幕ごっこ以外で勝つということ自体、これまた頭のおかしい話なのだ。

幻想郷最強とは言わないまでも、一地方で最強なのは間違いない。

その幽香が甘える猫のように懐いているということ自体、頭がおかしくなりそうだったわ……

それにそれ以降幽香が私を見る目には殺意がこもっている気がするのよ……なんで私にぶつけるかはわからないけども。

 

懐いた猫と言えば橙……もそうだけど、獣系の妖怪たちもやたら懐いているわね。

てゐだけはひどい目にあってから逃げ回っているみたいだけども。

撫では私もされたことはあるけど(結構頻繁だ……別に私から求めているわけではない、撫でてくるから仕方なくだ)、アイツの撫で方はちょっと危険だ。

撫でられていると脳みそがとろけそうになって気持ちよくなる。

おもわずよだれや甘い声が出てしまうのだ。

 

人間の私ですらこうなのだから獣の特性を持っている妖怪たちはひとたまりもなかったと思うわ。

漏らすだけならまだ良いほうで、明らかに発情した様相を見せるものもいたからね。影狼とか椛とか……

私がいるときはなぜかこちらを見てから、耳と尻尾をうなだれさせてどこかへ行くのだけど。

 

椛と言えば天狗もわりと交流があるみたいよね。

主に今の椛と……文とはたてをよく見かけるわね。

不思議と文とは相性が悪いみたいで結構邪険に扱ってることが多い、でも嫌ってはないみたいね。

はたては……なんだろう、えらいご執心でいつの間にかアイツを「だーりん」などと呼んでいた。

ナニかシでかしたのかと思ってアイツを問い詰めたがそういうことはしていないと否定したのでいちおう信じる。

はたては私より大きいので、それを誇示するかのようにおしあてたりして、それから私をチラ見してくるのでいつか異変が絡んだら全力でしばこうと心に強く刻んでいるわ。初手から全力ね。

 

全力と言えば、あいつは全力で馬鹿なことをするのよね、なもんで、妖精たちと相性がいい……というか同じレベルで遊べる人物でもあり、お兄さんのようでもあるから妖精たちはえらく懐いている。

少女趣味かと危惧するレベルで可愛がっているが、今のところ直接的な手出しはしていないみたいなのでその疑惑は横に置いておこうと思う。

 

馬鹿な事と言えばアリスのところの人形を何を思ったか「育成する」などと言って色々やっていたことがあった。

月の民と何やらしていたと思えば「上海アサルトバスター」なる体中にごてごてと武装を付けた状態に改造してアリスに大目玉を食らっていたわね。

ただ、本人(?)は意外に気に入ったらしく弾幕ごっこの時呼び出されるとその状態で出てきて暴れまわる。

あまりの高火力に腹いせにアイツをしばいたのはよく覚えているわ。

 

厄神コンビもいつの間にか人並みの(貧しくはあるが)生活ができるような環境にしてしまっていたのは驚いた。流し雛や結界、風水と組み合わせたらしいが、いまだに理屈がわからない。

あいつは一度に出せる出力は(能力を借りていないときは)駆け出しレベルの強さしかないのだが、ありえないほど手札が多い。

能力と組み合わせて使われるとどうにかしたら、紫ですら撤退を余儀なくされる。

とにかくこちらにペースをつかませないのだ。

 

――夢……霊夢!おーい!!」

 

「うわっ!?……なによ魔理沙、驚くじゃないの」

 

沈思黙考していた私を引き戻したのは最も付き合いが深い魔法使いの魔理沙だった。

……まあ、いまとなってはアイツの方が付き合いが深い気がするのだけどね。

 

そういえば魔理沙は不思議とアイツとは相性が悪い、いや、悪くはないんだけどもアイツの中ではチルノ以下みたいな感じの「手のかかる妹」みたいなポジションになっている。

たまにえっちなことを要求したりもするみたいだけど、どちらかと言うと悪戯や懲らしめ寄りの行動で、興奮とかはしていないみたいなのよね。

あのスケベにすら女扱いされないなんてある意味魔理沙は哀れだわ……

 

「なんかすごい嫌な目で私を見てないか?こう、まな板の上の鯉を見る目みたいな?」

 

「気のせいよ、で、いったいどうしたのよ」

 

正解だけどあえて言う必要もないわね、意外にしつこいのよね、魔理沙は。

 

「いやー、いい話があったんだけどなー霊夢がそんな態度じゃなー」

 

「そう、じゃあ帰って」

 

ウザイモードの魔理沙を相手にする元気はない。

だいたい勿体つけたところで大した――

 

「いいのかー?あいつが人里(まち)で浮気してたんだぜー?」

 

「は?」

 

「ひっ!?」

 

へらへらとからかうようにこちらを煽ってきた魔理沙に殺意の波動を込めて答えを返すと、魔理沙は怯えたように一歩あとずさった。

 

まず、浮気という表現がおかしい。

別にアイツは誰とも付き合っていない。

 

なのでその場合は恋人ができたと呼ぶべきよ。

 

「どういう噂を拾ってきたか知らないけど、アイツは誰とも付き合っていないんだし、浮気っていう表現は――」

 

「いや、相手人妻っぽいんだぜ?」

 

「は?」

 

「ひっ!?なんで私に圧掛けるんだよっ!?」

 

「ああ、ついね。で?」

 

詳しく話せと目で先を促すと魔理沙は続ける。

 

人里(まち)で採集してたんだけど」

 

「魔理沙、また盗み?いい加減にしないと、また捕縛依頼出されるわよ?」

 

「しょ……触手はもう嫌なんだぜ……」

 

「そう?ずいぶんと――」

 

「気持ちよくなんかなってないんだよ!」

 

「まあ、そういうことにしておいてあげるわ」

 

相性のいい妖魔本から魔物を呼び出して使役するとかいう、かなり高度な技もアイツはできてしまう。まあ、なんというか……女性を辱める系統の魔物ばっかりのような気がするけども……手足のように操るのは実はかなりの高難易度技術なのよね。

 

「っと、話を戻すぜ。で人里で採集活動していたらあいつがとある家に入っていったんだ。「お?」と思って様子をうかがってたら」

 

「伺ってたら?」

 

「中で話しているようだったから聞き耳立てたんだぜ、そうしたら女の声で「ほら、もっといっぱい出しなさい」とか「夫が帰ってくる前に」とか「まだまだ出せるでしょう?」とかあいつもあいつで「ああ、出すぞっ」とか「――作ってくれ」とか言ってたんだぜ」

 

「……へえ」

 

「ひっ!れ、霊夢!?なんで右手に霊力がスパークしてるんだよ!?」

 

「ああ、うん。なんでもないわ、ただの準備運動よ」

 

まあ、別に私は関係ないのだけど、人妻はだめよね、人妻は。

だからこれは社会的に、倫理的に咎めるだけで、私の感情はそこには入っていないわ。

 

「他には?何か言ってなかった?キリキリ吐かないと魔理沙が盗みに入った若い男の家にひん剥いて縛って放置するわよ」

 

「具体的なのが怖いよっ!?あとそれ私の純潔散るよねっ!?何を考えてるんだぜ!?」

 

「全部吐けば何もしないわよ、あとあなたのやってることはそれぐらいされてもおかしくないことだって自覚しなさいよね」

 

アリスやパチュリーの魔法材料や魔術書を盗むのと違って、一般人の、それも貯蓄もないような一人身の男性の生活費を盗むのはやりすぎだ。腹いせもかねて間違いなく体での支払いを求められるだろう。

 

で、簡単に身体での支払いというが河童のやっている風俗店(あるのだ、アイツが吹き込んだのではなく元々)だと一万前後が多いだろうか、私には高いのか安いのか判断がつかないけど。

アイツが「やっす!?毎日でも通っ――ぎゃあああああっ!?」とか言っていたからお値打ちなのだろう。

 

魔理沙の場合定価と言うことはないだろうし、腹いせという面もあるだろうから一週間ぐらい監禁されるんじゃないかしら……もしかしたらずっと監禁される可能性もあるわね。

 

「だからその目ぇ!?今から捌かれる動物見てるような目は怖いから止めろなんだぜ!」

 

「いいから吐きなさい」

 

「わ、わかったわよ。えっと、あとは――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜も更けてきたころ、お目当ての相手が現れた。

 

「来たわね!」

 

「えっ!?れ、霊夢ちゃん!?なんでここにっ!?」

 

ノコノコと逢引き場所に現れたアイツに指を突き付けて宣言する。

 

「魔理沙が言っていたのよ!今夜八時になればアンタが人里(まち)にやってくるってね!だから待ち伏せしたのよ!」

 

「そんなことするんだ!?……恋人が……さん…‥くろう……す……な?

 

何?「そんなことする女は恋人が散々苦労するな」ですってぇ!?

そりゃそういうことする女は重いだろうけどアンタみたいにあっちにふわふわこっちにふわふわしてる紙風船みたいに軽い男よりはいくらかましでしょうよ!

 

そもそもアンタは私の恋人じゃないんだからね!

いや、私がアンタの恋人じゃないというべきか。

 

「なににせよアンタ!人妻と懇ろになってるってどういう了見よ!」

 

「いいっ!?なんでそんなこと――」

 

「なんでそんなこと知ってるのかって?魔理沙が全部聞いてたのよ!」

 

「あいつそろそろ本気でどうにかしないとだめだな……捕まえて被害者連盟に売るか……っとじゃない!おれはそんなことしてねえぞ!?また魔理沙がなんか勘違いしていたんだろ!」

 

この期に及んでシラを切るのね!

 

「魔理沙がちゃんと聞いてたのよ!「いっぱい出しなさい」とか「まだまだ出せるでしょう」とかアンタも「ああ、出すぞ」とか言ってたみたいじゃないの!一体どんだけやってたのよ厭らしい!」

 

「ん……?そのセリフは――!あ!ちがう誤解だ!誤解なんだ!」

 

「五回もヤってたのアンタは!?」

 

「ちがうううううううっ!?誤解なんだってば!」

 

「五回五回とうるさいわねっ!私のパンツじゃ精々三回ぐらいが限度でしょうよ!」

 

「いいっ!?なんで知って……いや、そのあとさらに追加で――」

 

「追加!?五回以上もヤってたのアンタ!?何考えてるのよ!」

 

「違うううううう!誤解だってば!霊夢ちゃんのは五回以上できるけど!」

 

「私の誤解?異常ですってぇ!」

 

私に現場に踏み込まれて相当焦っているのかアイツの言うことが支離滅裂で少しわかりにくいけど、どうあっても認めないらしい。

二人でギャーギャー言い合っていると家屋から一人の女性が出てきた。

 

真っ白い(まっちろい)肌に少し疲れたようなおくれ毛、潤んだ細い垂れ目に泣き黒子、そして肩まではだけた着物に、ぎりぎり収まっているいまにもまろび出そうな双乳。

 

女の私すら見惚れるような妖艶さを持つ女だ。

 

「うるっさいわね、疲れてんのよアタシは」

 

外見とは違いはすっぱなしゃべり方だが、それでも、いやそれだからか?色気がにじみ出る。

 

「うわあああっ!?おつうさん!出てきちゃダメだってば!霊夢ちゃんにバレる!」

 

「バレるも何も、私がここに来てる時点でアンタのおいたは――!?この気配は……!」

 

なるほど、と納得した。

目の前の女からは色気と……妖気を感じるわ。

コイツ、あれほど言ったのに……!

 

「妖怪に手を出すなって言ったでしょう!」

 

「うわバレた!でも手は出してないよ!」

 

こいつはどっちだ?スペルカードルールに賛成の妖怪なの?それとも……

もし実力主義の妖怪ならまずいことになる。玉串は置いてきたし、お札も懐にある数枚だけ。

それにアイツと情を交わしたのなら、最低でも中妖、下手をすると大妖まで成長しているかもしれない。

さきほどから圧が半端ではない。大妖か……?

 

「手を出してないって?何回もしたって言ってたでしょう!?」

 

「だから誤解だ――むぎゅ!?」

 

「坊やは黙ってなさい、ややこしくなるわ」

 

「お、おう」

 

アイツの頬を挟み込んで黙らせる女……おつうとか言ったかしら?

ずいぶん気安くアイツに命令する。

すこし、ほんのすこぅしばかりイラッとするわね。

 

「で、博麗の巫女」

 

「何よ」

 

圧がすごい。幽香と同じぐらいの力があるんじゃないかしら。こんな妖怪は聞いたことがないから、やっぱりアイツと情を交わした結果なのだろう。

 

「あんたに話があるわ、坊や。もういいだろう?」

 

「えっ……でも秘密に」

 

と、この期に及んで秘密だとか言うアイツ。

こんなに往生際の悪い奴だっけ?すこし……幻滅した。

 

「もうできちゃってるわよ。だから秘密にする必要なんかないさね」

 

もうできてる!?

何が!?

まさか……

 

 

そうおもいおつうのおなかを見る……微妙に膨らんでる気もするけど……アイツの……?

 

「う゛う゛う゛う゛う゛う゛~っ」

 

「れ、霊夢ちゃん!?」

 

何故だろうか、自分でもよくわからない。

だけど、私の口から出るのはうなり声で……

 

 

私の目からあふれ出ているのは涙だ。

 

 

 

「なんだ、博麗の巫女も女じゃない。ちょっと坊や!あんたはそこで待ってな!ほら、こっちおいで博麗の巫女、中で話そう」

 

「めっちゃ寒いんだけど!?」

 

「女を泣かせた坊やが悪い、そこで待ってな、覗いたら刺すよ」

 

「わかった」

 

私は手を引かれるままに家の中に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして、落ち着いてきた。

目の前の女は呆れたようにこちらを見ているが、最初のような圧はない。

勝者の余裕だろうか……いや、別に私は負けてなんかいないのだけれど。

 

「落ち着いたかい?」

 

「まあね、で、あんたは何者?」

 

強がる。今はこうでもしないと、自分が保てそうにない。

 

「しがない作り酒屋の嫁さね」

 

「嘘!」

 

「あとは……ま、それは追々ね」

 

余裕のある態度が腹立たしい。

確かに男好きのする身体だろうけど、こういう手玉に取ってくるような相手はアイツの苦手なタイプだったはずだけど……?

 

「で博麗の巫女」

 

「霊夢よ」

 

「あたしはつうさね、やあ霊夢、なんでお前あいつの話を聞いてやらない?」

 

「聞いて……聞いてどうしろっていうのよ!」

 

妖怪を孕ませたんで夫婦になりますとか、どういう顔で聞いたらいいのよ。

私にはそりゃ関係ないだろうけど、曲がりなりにもここ数年家族だと思っていたのに。

 

「そりゃあかんたんさね。聞かなきゃ始まらないからだよ。私もね、旦那様の言うことを聞いてやらないことはある、でもそれはじゃれてるんだ。わかったうえで聞いてやらないんだよ」

 

「旦那さまって……アイツと夫婦になるのね、痛っ!?」

 

そういうとさっきつうがアイツにやったみたいに両手で頬を押され……いやこの勢いだとぴしゃりと挟まれたと言っていい。

 

ひゃにほひゅるのよ!(何をするのよ!)

 

「ちゃんと聞かないからとうぜんさね。それに腹もたったしねぇ。あたしの旦那様は今も、これから先も与ひょうだけさ」

 

「じゃあなんで浮気なんか!!」

 

「霊夢。それ以上言うと怒るぞ?あたしは浮気なんぞしてないよ」

 

「でも魔理沙が「いっぱいだして」とかあんたが言ってるのを聞いたって!」

 

「あー、それは妖力を分けてもらってたんだ」

 

「妖力?たしかにアイツは少しなら出せるけど……なぜ?」

 

「もしかしてあたしの事を知らないのかい?霊夢」

 

「ええ、知らないわ」

 

そもそもこれほどの気配を出す妖怪が人里にいたこと自体が完全に理解の埒外だ。さぞかし名を知られている妖怪なのだろうと思うが、私は知らないわ。

 

「千羽織のつうも今は昔か……幻想郷に流れるわけだねえ。ま、向こうでは昔は知らないものがいなかったぐらいの鳥妖さね」

 

「……ごめん、わからないわ」

 

でもそれと妖力を分けてもらうことに何の関係が?

 

「「でもそれと妖力を分けてもらうことに何の関係が?」って顔してるねえ」

 

「ぐっ」

 

「あたしはね、幻想郷風に言うなら「身を削って布を作る程度の能力」さね、だけど削りすぎるとやせ細って死ぬからね、その分を補給してもらってたのさ」

 

「……なら、そういえばいいじゃない」

 

「聞かなかったのは誰だい?」

 

「ぐっ……で、でも」

 

「で、坊やが内緒にしていた理由は……」

 

そういってつうは奥の間から何かを転がして……衛門掛け?

 

「坊やの作ったこの「きゃすたー」っていう奴は便利だね?動かすのが楽でいいや」

 

衛門掛けにかかっていたのは綺麗な桜柄の小袖だった。

 

「綺麗……」

 

思わず口から零れ落ちる、色柄もさることながら風合いがすごく柔らかく、それでいてぼやけることなく存在感を放っている。

 

「これが鶴の千羽織。――数百両の値段が付いたこともある布で作った小袖さね」

 

「依頼なら、そう言えばいいじゃない。内緒にするからおかしいことになるのよ」

 

少しだけ反省する。でもアイツも悪い。

魔理沙はもっと悪いわね。

 

「そりゃあ内緒にするさね?」

 

「なんでよ」

 

「だって、こいつは霊夢の小袖だからね、贈り物だよ?男なら秘密にしておきたいじゃないのさ」

 

――!?

えっっと……理解が全く追いつかない。

 

「いま……なん……て?」

 

「だから、この桜の小袖は霊夢、あんたのもんよ」

 

「えっ…‥なんっ!?……これっ!?ええっ!?」

 

訳が分からない。

 

「なんで!?これ、高い!ええっ!?」

 

混乱しかない。そも数百両と言っていたが、それは布でだろう。こうやって着物に仕立ててあればその値段は計り知れない。

いったいいくらしたのか……

 

「お、お金は!?」

 

「仕立ての手間賃はもらったけど――坊ややばいな、霊夢の体型完璧に再現してたぞ、多分これ着ても全く違和感ないはずさね。と、手間賃はもらったけど、布の分は仕事してもらったからね」

 

「どんな仕事よ!この布に釣り合う仕事なんて!?」

 

「地獄で全亡者確認?いやただしくは惣どと運ず探してもらったんだけど、結構時間がかかったねえ」

 

「確認っていったい何人いると思ってるの!?」

 

落ちる地獄の先もバラバラだろうし、砂場で砂金一粒探すようなものじゃないのだろうか?

 

「それぐらいの価値はあるし、坊やもそれでいいと思って引き受けたし、そして、やり遂げたからここに小袖がある。それだけのことさね」

 

「さ、探し出してどうしたの……?」

 

わざわざ探し出すとかよほどのことが――

 

「いや別に?生まれ変わった与ひょうはお金に目もくらむことも無く、あたしと幸せに暮らしてるからね。だから、まあ地獄にまだいるって安心したかっただけなのかもな」

 

「よくわからないわ」

 

「年を取ればわかるさね、さて」

 

「どうしたの?」

 

「せっかくだから着て帰りな、そうすりゃ坊やも「許された」とか思って安心するだろうよ」

 

「いいのかしら……こんな高価なもの勝手に」

 

「霊夢の寸法から一寸たりとも狂いがないんだからあんたの他に誰が着るってんだい?小袖だから一人で着替えられるだろ?」

 

「そりゃあ、着れるけど」

 

「じゃあとっとと着て帰りな、おつうさんは疲れてんだ。ゆっくりねむりたいんさね」

 

促され、着替えを始める……手触りがすごく柔らかい。それでいて丈夫さも兼ね備えているようだ。

着替えているとつうから話しかけられる。

 

「しかし、博麗の巫女も、女なんだね」

 

「さあ、なんのこと?」

 

「あれだけ泣いておいて、このおつうさんをごまかせると?ふふっ、でもまあいいじゃないか」

 

「何がよ?」

 

「心を奪われて、落ちるのが恋さね」

 

「べ、べつに私はアイツの事なんか好きじゃないんだからね!」

 

「いいじゃないか、惑い、悩めば。恋なんてものは所詮幻さね」

 

「え?」

 

「奪ったり、落ちたり、そういう陰の言葉で済んでいるうちはまだいいんだ。与えるとか注ぐとかそういう陽の言葉。それが一番怖いんさね。あたしは身を削って布を織った。それこそ衰弱死する寸前まで。しりあいは泡になって消えたのもいたし、水になって解けたのもいたさね。だから恋で済んでるうちはいい、愛に変わったら気をつけなさい。先達からの言葉さね」

 

「愛とかぜったいならないけど、覚えてはおくわ、一応」

 

着替え終わり、つうの前に姿を現す。

あつらえたようにぴったり(あつらえたのだが、私は採寸されていない!)だ。

 

「ん、坊やが少し恐ろしいね、引き連れどころか皺一つ起きないぐらいにピッタリじゃないか!?」

 

それには激しく同意する。

いったいどれだけ私の体型を熟知しているのだ、アイツは。

 

「さ、いってきな、謝るもよし、謝らないも良し」

 

「……ありがと、つう」

 

「今度は客としてきなよ、千羽織じゃなければ財布とか巾着なら安いよ」

 

「考えておくわ」

 

少しの感謝を持って家を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

アイツは……いた!こちらに背を向ける形で身を縮こませるようにして立っている。

……つうの話を聞いたせいか、後ろから抱き着きたいという良からぬ思いが頭をよぎる。

 

それを心の奥底に押し込めて――

 

 

 

 

 

 

「アンタ冷え切ってるんじゃないの?馬鹿ね、動いていればいいのに」

 

何気ない風に声をかける。

 

「あっ!霊夢ちゃ――綺麗だ……」

 

「なっ、何を言うのよいきなり!莫迦じゃないの!」

 

一気に顔に熱が入る、赤くはなっていないだろうか。

仮になっていても、寒さのせいにしてしまえばいいか。

 

「だって本当に綺麗だもの、桜の精みたいだ……がんばったかいがあったなあ」

 

とアイツはしみじみという。思わず本音が漏れているところを見ると、そうとう依頼がきつかったのかもしれない。

 

「聞いたわよ、これ、高いんでしょう?無理させたみたいね」

 

「うん、まあ、わりと。でも霊夢ちゃん見たら疲れが一気に吹っ飛んだ!」

 

そういってニカッとわらう。

本当に全力で元気になったようにふるまう。

まあ、でも疲れていたっていうぐらいだ……いたわってあげる位はしてもいいのかもしれない。

 

そう、これはねぎらい。頑張ったコイツをねぎらってあげるだけなのだ。

 

「ほっぺた、冷たいわよ」

 

アイツの頬を両手で包み込む。

 

「うん、でも冷たいぶん霊夢ちゃんの手がぬくやわこくて気持ちい――うわっ!?」

 

そう言っている、アイツの顔を両手で引き寄せて――

 

 

 

 

 

 

 

――その先は月だけが知っている

 

 

 

 

 

 




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