霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して! 作:みけさんわーきゃっと
次話の「霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!」第八話が阿求のお話なのでこれを入れておきたかったので連続移植ですがお許しください。
八話は何事も(みけさんの発作的書き直し)無ければ遅くても月曜日には。
パンチラ登録者で一度読んだ方もサブタイトルを見てから読むとさらに重くなります。
使った茶道具を片付け、彼が帰って途端に殺風景に感じるようになった奥の間に佇む。
今日は少しばかり馬鹿を晒した。
本当の私を知ったら彼はどう思うだろうか。
もしかしたら、いつものように、ほんの少し困った顔をしてから「ま、問題ねえな」と、笑い飛ばすだろうか。
きっとそうだろう、でも、そうじゃなかったら……それが私にはたまらなく怖い。
思えば彼は風のようだ。
隙間からふっと入ってきて、心を撫でて、またどこかへ行ってしまう。
さびしくもあり、また吹く風のように、また会えると暖かくもあり。
どうにもとらえどころがない。
昔話を語ったせいだろうか、今日はたまらなく苦しい。
「箱入り娘の私とて、そこまで愚かではありません……!」
名家というがただ蓄財しただけの家。
いまでこそ、人里でそれなりの理解と、少しの恐怖ですんでいますが、昔は阿礼の子など気味の悪い化け物でしかなかった!
「だから、責任を取らせるという名目で夫を得るしかなかった」
……さらに時代は下る。稗田家は有名になり、だからこそ阿礼の子は気味悪がられる。
「婿など来るよしもなし、かといって血を絶やすわけにもいかず……」
好きでもない男に媚を売り子種を恵んでもらうという屈辱さえもお役目!
男の阿礼の子の時は、それこそ女を買えばよかった、だけど、女のみではそれはできない。
「あげく逃げる始末……」
我が子を愛せなくなったのはいつからだろう。
ここしばらくはずっと乳母に任せている気がする。
「拝み屋ならば気にしないかと思いましたが、やはり同じ。阿礼の子は人ではなく化け物なのでしょうね」
人外を憎むようになったのはいつからか……妖とは違うとどれほど叫んでも、人間は私をあれらと同類とみる。
「だから私はあなたが欲しいのです」
あの人は人であろうと妖であろうと一切気にしない。
不思議な事だ。あれほど人外と同じに見られたくはなかったはずなのに、彼に人外と同じように見られても不快ではない。
だからこそ――
「人外が憎い……!あなた達は力強く、寿命も長く、自由ではないですか!この私の儚い命の一滴がこぼれる刻の間ぐらい……私だけのものにしてもよいではないですか!!」
夢にまで見る。
本当に愛してくれる男性と結ばれて、望まれて生まれてきた我が子を、夫とともに育てる。
どこにでもあるはずの――でも私が今まで手に入れられなかったもの。
それが手の届きそうなところにあるのだ!
それを欲しがって何が悪いというのだろうか!?
「花の命は短い」
彼は知っているのだろうか?しらないのだろうな、彼ならば、きっとすぐ顔に出る。
私の命も、花のようにあっさりと散る時が近い。
いつも通りならもう10年あるかないかだろう、子をなしても成人は見られないだろう。
いつもは乳母に任せっぱなしで放置していたはずなのに、そう思うとたまらなく悲しくなってきた。
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛」
座布団を顔に当て、声を殺して泣き叫ぶ。
死ぬのなど怖くはない、どうせ転生できるのだから。
でも……
次に生まれたときには彼はもういない。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
怖い 怖い 怖い こワい コワイこワい コわイ こわい 怖ヒ こワイ!
また、だれも私を私としてみてくれない人生が始まる。
それがたまらなく怖い。
私は阿礼の子、阿礼でもあり阿求でもある。
何代まで、いつの時代まで、これが続くかはわからない。
でも、私は止まれない。
いつか止まるまでは。
それが阿礼の子の宿命だからだ。
でも、今は。
今だけはあなたの事を思いながら、泣かせてください。
疲れて眠るまで。
では第八話で会いましょう
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