霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!   作:みけさんわーきゃっと

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ありがとうございます。

評価感想で同人誌かきたいというのを昨日いただきましたし、三次創作したいとかたまにあります。
書きたいときに書くのが創作です。誰かに迷惑かけない限り自由でいいと思います。
ご自由にどうぞ

誤字脱字報告者のスタッド様、タヌキ宇丼様、ティアール様、トリアーエズBRT2様、紅 零様、コースイ様、ゆゆっき様、りんごおおおおおおおおおおおおん様、鳴風うづき様、Muro.y様、提督様、クオーレっと様、孝也様、Sasakyama様、すかたず様、ちりめん山椒様、64b様。
いつもいつもたくさんの修正ありがとうございます……って大すぎぃ!?
ここに名前があるのに修正されていない場合、その文章はそれで正しいのでご了承ください。

霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!のチラ見せ
というネタバレ、小ネタ用の投稿もしております。
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「霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!」第八話

「ごめんくださーい」

 

稗田家の門前で声を張り上げる。

紅魔館だとなんだかんだいって美鈴ちゃんが常にいるし(たまに……結構……ほぼいつも寝てるが)、最悪勝手に上がっても問題はないのだが、さすがに稗田家では憚られる。

 

まともな一般人多いからなあ……ツッコミ代わりに張り倒されることとかないし……

まあ女中頭のおキヌさんだけは、こっち側の人間(?)なので怒らせてはいけないが……あまりにもチョロい阿求ちゃんが心配になって(妖怪に襲われていたところを助けたこともあった)閻魔庁からスカウト(阿礼?さんの職場でもあるようなので話は早かった)してきたのだ。

映姫ちゃんの推薦もあってあまり人外が好きでないような阿求ちゃんとも仲良くやっている。

ちなみに絹ではない。鬼が怒ると書いて鬼怒である。鬼怒川の鬼怒だな。

 

勇儀ちゃんや華扇ちゃんみたいに戦い慣れはしていないが普通に鬼なので強い。

というかヤバイ。戦う必要もないけども、ある意味幽香さんより戦いたくない。

さすが元獄卒だけあって容赦がないのだ。トゲこそついていないが金棒を警策か何かのように軽々と振り回すし普通にどつかれる、正直地獄は怖くないがおキヌさんが責め苦担当なら地獄に行きたくなくなる程度には苦手だ。

 

そして貫禄が出ないからとバ……老齢のご婦人の姿を取っているため俺が純粋にさん付けしている唯一の人間(鬼だが)かもしれない相手だ。

ちなみに性格だけなら俺と相性はいいかもしれない。

 

そんなことを考えていると……おキヌさんが現れた。

……あれだ「曹操の話をすると曹操が現れる」という奴だな。

 

「おや、坊ちゃん、いらっしゃい。訪問ですか?届け物ですか?」

 

そして坊ちゃん呼びである。最初期は(ぼん)と呼ばれてたので、まだましになった感じではあるな。

とりあえず持参した手土産を渡して阿求ちゃんに用事だと告げる。

 

「阿求ちゃんに用事だけど、羊羹も持ってきたから食べてくれ」

 

「お、偉いね坊ちゃん。お礼に阿求お嬢様を手籠めにしていいですよ」

 

「だからなんでおキヌさんは阿求ちゃんをすぐ売るの!?」

 

おキヌさんはお礼とか、褒めるレベルで阿求ちゃんを売る。この間なんか「いつも元気ですねえ」への返答がこれだったこともある。

阿求ちゃんも全く咎めないのでもう何度聞いたかわかんねえ……

 

「若いのだから細かいこと考えずに納屋でズブリとヤってくればいいのです。まったくこれだからこじらせた童貞は……」

 

「どっどっどっどっ、童貞ちゃうわ!……なあ、前から思ってたんだがなんでおキヌさんは納屋推しなの?」

 

そう、床の準備をしようとする阿求ちゃんもちょっとあれだけどおキヌさんは納屋でズブリが合言葉だ。

稗田家は奥の間もあるし、布団部屋も、倉もあるのになぜか熱い納屋推しなのだ。

 

「ああ、私は獄卒時代は衆合地獄にいましたからね……納屋で男を誘って、ノコノコと肉棒でズブリとしようとやってきたところをこう金棒でズブリと……」

 

と、何かを突き入れる動作をするおキヌさん。

 

「そっちのズブリか!?というかわざわざ韻踏んで言うことでもないだろ!?」

 

「ま、そういうわけで私のおすすめは納屋でズブリですね。まあ嫌ならいい雰囲気になったら空気読んで、お嬢様のお部屋にでも床の準備しておきますので合図でもだしてくださいね。すぐに準備しますからね?」

 

「いらん世話だわっ!?」

 

相変わらずなんというか……鬼だなあ(華扇ちゃんたち巻き込ま――いや鬼は普通にエロかったな)

欲望に忠実……いや、おキヌさん自体の欲望ではないんだろうが、まあ忠実である。

 

「大体において据え膳を食わない男ってのはヘタレなんですよ。しかも据え膳どころか湯気の立つ汁と飯迄盛られているってのに……」

 

「いや……その……」

 

責任という名の毒が盛られているお膳はさすがの俺も怖いぞ?

 

「そんなもん開き直ってヤリ捨ててもいいんですよ……女が望んでいるならね」

 

「言い方ぁ!?大体そんなのわかんねえだろ、間違ってたらどうすんだよ!あとさりげなく心読んでないか!?」

 

「そりゃあ、死後に衆合地獄にご案内ですよ。あとね、人生経験が違いますよ、坊ちゃん」

 

「リスクでけえなぁ!?」

 

いや別に地獄はそこまで怖くないが衆合地獄はあるいみ究極の生殺し(死んでるが)だからなあ……

 

「さて、時間も稼げましたしお嬢様のところに案内しますね」

 

「時間稼ぐ必要あった!?」

 

「そりゃあありますよ、お嬢様もお年頃。多少なりとも身づくろいの時間ぐらいは欲しいでしょうし、坊ちゃんが来た時に先ぶれは出しておいたのですよ」

 

「……俺が届け物だけで帰っ――「帰しません」

 

……毅然と無茶を言われた気がする。

 

「お嬢様の待ち人をただ帰すなんて私の目の黒いうちはあり得ませんよ。必要ならば金棒で説得して簀巻きにしてでも中に案内いたしますよ」

 

「それただの捕縛ですよねおキヌさん!?」

 

「いえいえ、心を込めたお話ですよ。きっとわかっていただけるかと思います。この金棒にかけて」

 

説得(物理)じゃねえかよ!?

しかもどっかの探偵の孫みたいなこと言ってるし!

 

「用事があってきたから上がっていくけどさぁ……」

 

「自発的に来ていただけて何よりですよ。あまり放置されているとこの婆、街中で捕縛に走るかもしれません。ささ、坊ちゃんどうぞあがってください」

 

「いや、もう、何と言ったらいいんだ俺は……?」

 

幽香さんの襲撃がなくなって安心できるようになったのに今度はおキヌさんかよ。

しかも幽香さんと違ってどこに出没するかわからない、ワンダリングモンスターって厄介だぞ?

人里メインだろうけど、普通に地底や地獄でも見るからな、おキヌさん。

 

「長い人生流されてみるのもありじゃないですかね……さ、そこに腰掛けてください。婆でよろしければおみ足を洗いますよ?」

 

と、水桶を指し示す。

流石におキヌさんにそんなことはさせられないので自分で洗うからと断ろうと――

 

「この姿でしたら、坊ちゃんの足を洗っていると乳の谷間がとてもとてもよく見えますよ?」

 

と、片目を長髪で隠したような色っぽい女性の姿で誘ってくる。そういえばおキヌさんの本当の姿(角付き状態)見たことねえな……?

しかし、毎回思うんだが一瞬で変わるのどうやってんの!?

 

「……いや、いいよ。どうせその髪の毛の下、骸骨とかむき出しなんだろ?」

 

「ちょっと悩んだのがわかるようじゃ坊ちゃんもまだまだですね。あと髪の毛の下はこうなってますよ」

 

「うわっ!キモッ!?」

 

「女性に向かってその言い方はないでしょうよ」

 

「わかった!謝る!ごめんなさい!だから近づけないでください!」

 

おキヌさんは顔と顔が触れ合いそうなほどの近距離まで近づいてくる。

片側は美女と言っても全く差し支えない風貌だが、髪で隠れていた側は目はなく眼窩が空洞になっていて、目の周囲には腐肉みたいなものが張り付いている、そしてそこから蛆が這いだしてきてうごめいているのが見える。

至近距離はマジ止めて!!

 

「まったく、肝っ玉が小さくないですか?」

 

と、目をそらした瞬間に再びいつものおキヌさんの姿に戻る。

 

「おキヌさんのその変化がクオリティ高すぎてマジでキッツいんだけど……?」

 

「こんなの衆合地獄だと基本ですよ、基本。美女だと思ったら化け物ってのがね」

 

「地獄は最初はきつそうだな……」

 

「最初はって坊ちゃん……」

 

「まあ、ホネ子ちゃん(骨女正体暴露後、現在成仏)とも仲良くできたし、芳香ちゃんもよく見ると結構怖いけど仲良くなれたし、多分慣れたら平気」

 

芳香ちゃんよく見ると結構怖い。たまに血が出てたりするし。

餌付けしたらすごくなつかれて困った。関節は固いみたいだけど完全に動かないみたいじゃなくて、よたよたと追いかけてくるのは少し怖い。

 

「筋金入りですね…‥さて、婆がいやなら自分で足を洗ってくださいね。足ふきはこちらにある布で拭ってください」

 

「ああ、悪いな」

 

「……そういえば悪事で「手を汚す」のに、なんで悪事止めるときは「足を洗う」っていうんだろうな?汚れた手は綺麗になってないぞ?」

 

と、足を洗いながら益体もないことを問うてみる。

まあ、れっきとした答えなぞ返ってこないだろうけども。

 

「一度汚した手は何をやってももう綺麗にならないということではないでしょうかね」

 

「……思ってたよりまともなの返ってきたな」

 

意外に深い答えかもしれん。

 

「なに、年の功ですよ、さ、どうぞお嬢様のお部屋へ、婆はこれで退散いたしますよ。あとはお若いお二人で……しっぽりと」

 

「言い方ァ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「阿求ちゃーん、入っていいかー?」

 

いつ頃からか阿求ちゃんの部屋に通されるようになった。

阿求ちゃん曰く、「お茶もお菓子もありますので」とのことだけども、まああわよくばという作為を感じなくもない。

 

おキヌさんも言っていたが据え膳という奴なんだろうなあ。

今日は博麗の巫女についての話をしに来たのは確かだが、レミリアさんの一件もある。

こんな俺に寄せてくれる好意に対してちゃんと一度話をしないとな。

 

ちなみに声をかけるのは一度着替え中の阿求ちゃんと見事に鉢合わせしたからだ。

阿求ちゃんが狙ったのではなく、どちらかと言うとおキヌさんが謀った感じである。

 

深窓の令嬢という感じで白くキメの細かいまさに輝くような白い肌が、一気に紅潮してピンク色に染まったのが艶めかしかった。

幸い腰巻は身に着けていたので上半身のみだったが、薄いとはいえ思っていたより(阿求ちゃんみたいなかっちりした和装は体の線が出ないのだ)女性的なフォルムに、血が沸くのを感じた。

 

さすがの阿求ちゃんも混乱したのかわたわたとしていたが、何を思ったか「ど、どうぞっ!」とか言って腕を広げた体勢になったときは俺も一歩踏み出してしまうぐらいの破壊力があったぜ。

 

それ以来、一応声がけするんだが、今度は狙って似たようなことをするので困りものである。

……今となってはその気持ちも痛いほどわかるのだが。

 

「どうぞ、入ってくださいませ、あなた様」

 

答えにちょっと身構えながら襖を開けて中を見やる……うん、今回は大丈夫なようだな。

いつものかっちりとした服装の阿求ちゃんだ。

……ちなみに呼び方はもう突っ込まない。私室に通されるぐらいからこういう呼び方に変わった、完全に外堀を埋めに来ている感じだ。

 

「おう、阿求ちゃん今日も可愛いな」

 

「床を敷きましょうか?」

 

ここまでいつものやり取りである。

お嬢様はどこへ消えたんだろうな?

まあいうほどお嬢様ではないんだけどな。新しい妖怪がでたりすると会いに行こうと(なんか手記を編纂してるらしい)結構ふらふらと出歩く(なのでおキヌさんには地味に感謝している。護衛もしてくれるので)ので研究者に近い感じだろうか。

 

だがここからいつもとちょっと違う。

 

「まだ子作りはできないけど、添い寝してお話するぐらいならいいぞ」

 

「ふふ、ではお茶でも――ええええええええええっ!?」

 

いつもの「また今度な」という返しに合わせた答えを阿求ちゃんが言おうとして、何を言われたか気づいて狼狽した。うん、こういう阿求ちゃんは新鮮でかわいいな!

 

「ど、どうしたのですかあなた様っ!?……さては狐狸妖怪の類が化けて……!」

 

と、しぺしぺと眉に唾を付ける阿求ちゃん(幻術を解除する一般人にでもできる方法)

 

「いやいやいやいや、そんなのおキヌさんが通すわけないでしょ!?本物だよ本物!」

 

なんか今まで焦らしすぎたのか阿求ちゃんが拗らせてる……!

 

「ですがあなた様はそういうことを言うような人では……」

 

「いや、結構言うけどな?ただ阿求ちゃんはガチだったからそのままずるずるとやっちまいそうでちょっと言わなかったんだわ」

 

子供枠だと普通にフランとかルーミアには言うし、夏場はチルノにお願いすることがある。調子に乗るチルノをわからせるのも(性的ではない)また楽しい。大人枠だと、優曇華ちゃんや慧音ちゃんやパルスィちゃんとかにもいうな。ギリOKかNGな境界線の人(?)に言うことが多いかな、リアクション楽しいし。(外道)

 

「それはそれでなにかもやっとします……」

 

「ああ、ごめんな、阿求ちゃん」

 

と、ぽんぽんしてから撫で始める。

阿求ちゃんは頭頂部よりも側頭部や後頭部の髪を梳る(くしけずる)ように撫でられるのが好きなんだ。

ジゴロがやるみたいな撫で方だけど、阿求ちゃんのお気に入りなんだから仕方がない。俺は撫でには妥協しないのだ。

 

「ふあっ……この撫で方は間違いなくあなた様……」

 

と脱力して身をゆだねる阿求ちゃん。

ちょろいな!?相変わらずのチョロQっぷりに少し心配になるぞ!?

 

横や後ろを撫でる関係上、阿求ちゃんは俺に寄り掛かる体勢になるんだが、ここでも俺の胸板に手を当てて、なんというか本当にお嬢様って動きをする。

しぐさだけ見れば間違いなく清楚なんだよな。

 

「まあ、わかってもらえて何よりだ。で、どうする?添い寝する?」

 

「……名残惜しいですが私が我慢できそうにありませんので、いつものようにしていただけると……」

 

うん、まあしぐさだけはお嬢様なんだがなあ……発言が結構残念なんだよな。

 

 

 

 

 

 

仕切り直していつもの状態。差し向かいでお茶を啜る。

阿求ちゃんはどうも紅茶の方が好きみたいなので、茶菓子はショートブレッドとヴィクトリアサンドイッチケーキだ。

道士の術で数キロほど(熟練で変わるが10を超えることはないと聞く、俺は今3キロちょいぐらいか?)の物体を容積を無視して運ぶ術があるんだが(道士の袖から際限なく呪符が出てくるのはたいていこれだ)時間が停止していることから俺はこれを平時は料理の運搬に使っている。さすがに異変の時は武器運んだりするがな。

なので焼き立て作り立てだぜ。

 

「さすがにもう人間って言い張るのは無理がありませんか?幻想郷縁起に編纂しても?」

 

「なんて書くつもりだよ……、一応まだ肉体的には人間のはず」

 

もっともふつうの人間ではなくて超人クラスだとはさすがに俺も思うが。多分戦国時代に行ったら無双できる位の自信はあるな。

 

「えっと、そうですね「性格は善だが女誑(めたらし)であり稗田の阿求の夫である」あたりでしょうか?」

 

「歴史に残る捏造!?あ、いや……うん、言わないとな」

 

捏造じゃなくなるかもしれないんだよな。

俺は居住まいを正して、まじめな顔で阿求ちゃんに向き直った。

 

俺の真剣な顔を見て阿求ちゃんの顔がゆがむ。あれ?怖い顔になってんのかな?

 

「なあ、阿求ちゃ「止めてください!!」ん……?」

 

阿求ちゃんの切羽詰まった、悲鳴のような声に俺の言葉がさえぎられる。

どうした急に!?

 

「いや阿求「言わないでください!もう少し……!もう少しだけ!私に夢を見させてください!」…………」

 

……なるほど。

まあ、これは全面的に俺が悪いな。

そしてレミリアさんに感謝だ。

 

「阿「嫌です、お願いです!お願いですからぁ……その先は……その先はぁ……」はあ……」

 

整った顔をゆがめてボロボロと大粒の涙を流しながら俺の言葉を遮り、いやいやとかぶりを振る阿求ちゃん。

うっ……くっ。自分のやらかしたことを自覚すると罪悪感が半端ないな。

 

「止めてください……私を哀れと思うなら・……」

 

 

 

 

「阿求ちゃん!」

 

 

 

 

「ひっ!?えっ?」

 

俺の大声にビクッ!と身を縮こまらせる阿求ちゃん。俺は身体を前に乗り出して――

 

「な、なに……を……?きゃっ!?」

 

阿求ちゃんを引っ張って俺に覆いかぶさるような体勢にして受け止めた後、そのまま寝転がった。

阿求ちゃんを抱きしめたままだ。

ふたり、横になって、顔と顔を突き合わせて話をする。

 

「ちょっと、おちつこうか?な?」

 

「で、でも……私は……」

 

「まず、大前提だ。俺は阿求ちゃんを嫌いじゃない。むしろ好きだ」

 

「えっ、あっ、その……ありがとうございます」

 

うん、少しは聞く感じになったかな?涙も止まったようだ。潤んでいて阿求ちゃんの美少女度がいや増した気がするな。

 

「でだ、阿求ちゃんがなんで結婚を焦ってるか、それも知った」

 

「え……」

 

まあ、さすがに俺も幻想郷にどっぷり馴染んだからな。文や映姫ちゃんがそれとなく言ってくれたしな。

さもなければ阿礼?さんの職場をしらないし、おキヌさんも連れてこねえよ。

 

「無責任かもしれないけど、その……子種をあげることも考えている」

 

「……同情ですか?」

 

阿求ちゃんの瞳が不安に揺れ動く。

うーん、どうなんだろうなあ……?俺にもよくわからないけど、一つだけ確実に言えることはある。

 

「そんなんで女抱くならとっくに童貞捨ててるっての、ホネ子ちゃんとか最後は普通に抱いてって言ってたし、幽香さんやレミリアさん、輝夜ちゃんに妹紅さんあたりも普通に据え膳だろうしな、だから同情はないとは言えないけどそれが阿求ちゃんを抱く理由にはならないってのは理解してくれ」

 

「それは嬉しいですが……そんなにたくさん候補がいるなんて……あなた様は筋金入りですね」

 

まあそれは認める。(あと不本意ながら多分童貞だというのも認める)

結局お金出来てからも河童の風俗もいけなかったんだよなあ……なんかの罰(下剋上?)でにとりが一月だけお店に出てた時に、さすがに哀れに思ってにとり買いきったけどイチャイチャするぐらいしかしなかったし(にとりに性的欲求はほとんど感じないが美少女であることは間違いないのでそれはそれで楽しい)なあ。

 

「まあ、な。だけど、薄々感じてると思うけど俺は霊夢ちゃんを家族だと思っている」

 

「はい……家族?」

 

頷いた後疑問を浮かべた顔をする阿求ちゃん。

うん、恋人とかそういうんじゃないんだよな、現状も、今の俺の感覚も。

 

「これが、まあ、その、なんというか……よくわからねえんだ。もちろん霊夢ちゃんは好きだよ。でも阿求ちゃんとか、他の子の好きとはなんか違うんだよ。なんというかもどかしい感じの好きなんだよ。多分だけど、霊夢ちゃんの方も似たような感じだと思う。でもどんな好きで、どこまでできる好きなのか。それを確かめようにも、博麗の巫女という存在が邪魔をするし、俺は俺で自分の正体が全く不明なのが実は少し……少しだけな?不安なんだよ。博麗の巫女がどっち寄りの存在なのか、俺がそれと絡むとどうなるのか、今はそれを調べているところだ。今日の本来の用事もそれだな。でも阿求ちゃんのことが優先だな。悪かったな、俺が色恋沙汰ではぬらりくらりしていて」

 

……妖怪いっぱいいるし、もしかして俺ぬらりひょんだったらどうしよう……?まあ現在は妖怪しどろもどろなわけだが。

どうしようもないから別にいいか(超速の切り替え)

 

「はい、なんとなくはわかりました。しかし、色恋沙汰の清算……すこし大変そうですね、私もその中に入っているのですけれども」

 

「そのあたりも含めて、今ちょっといろいろ考えてるんだ。……なあ阿求ちゃん」

 

「はい」

 

「あと何年残ってる?」

 

俺がそう問うと阿求ちゃんは目を見開き、身をこわばらせた。

しばしの沈黙の後

 

「たぶん8年ぐらいです、もっと短いかもしれません」

 

「そうか……物心つくぐらいまでは、子供育てられそうだな」

 

「……はい、ですが母を亡くした子は哀れです……今までそう思うことなどなかったのですけど……」

 

そう言って阿求ちゃんは目を伏せる。

家を存続させるために……か。

伝え聞いた話だけど、愛情がない結婚もあったというし。

あ、いやおかしいな。名家だとそういうもんだと思うけど。でも、阿求ちゃんは阿求ちゃんでたぶん、もっと別の何かを抱えてたのかもしれないな。

 

そして、そんなお役目を俺を手に入れたいという我儘で時間を浪費した。

それはきっと思ったよりも阿求ちゃんは――

 

「さっきも言ったけど、霊夢ちゃんとどうなるかはわからないけど。無責任かもしれないけど。子種、あげることはできるよ。阿求ちゃんは人間だし、問題はない。ただ――」

 

「わかっています。父はいないものとして稗田家で育て――きゃっ!?」

 

なんか一人で合点して勝手なことを言っている阿求ちゃんに軽い頭突きをして黙らせると、そのまま、おでこをくっつけたまましっかり目を合わせたままで阿求ちゃんに話す。

 

「そうじゃねえよ、まあ、そちらの大事な後継ぎなんだろうから稗田家で引き取るのはしょうがないだろうけど、俺にもかわいがらせろよ。その……二人の子供をさ」

 

「えっ、あっ……あ……うああああああああっ……!」

 

「ど、どうした阿求ちゃん!?さっきにもましてまた号泣して!?」

 

俺の言葉を聞いた阿求ちゃんが突然俺の肩口に縋りつくように号泣しだした。

 

「いえ……なんでも……なんでもないのです……ただ、ただ涙が……すいません、その……やはり嬉しいのと、そしてその子を残して死ぬのが少し……不憫で……」

 

ああ、そっか。

でも阿求ちゃんは少し俺を見くびっているようだな。

 

「阿求ちゃん阿求ちゃん」

 

「はい……?」

 

「死後の阿求ちゃんっていうか阿礼?さんの職場は地獄だよね?」

 

「はい」

 

「俺普通に地獄に行けるから、子供だって連れていけるぞ?」

 

「え……?あっ!?……本当にあなた様は規格外のお方ですね……」

 

「記憶がどうなるのかまではしらないし、阿求ちゃんの姿が変わるのかわからないけど、記憶なくなっても案外何とかなるもんだぜ?俺がそうだからな。仮にそうだとしても二人……いや三人で新しく思い出作ればいいしな」

 

「そうですね、その辺りは私もわかりませんけども、あなた様が言うなら何とかなりそうに聞こえるのがすごいですね」

 

「現に俺、何とかなってるしな」

 

「ふふ」

 

うん、阿求ちゃんはやっぱり笑ってるほうが可愛いな。

 

「もう少しだけ待てるか?結果がどうあれ……仮に霊夢ちゃんと夫婦になるにしても、土下座してでも許可貰って、阿求ちゃんには俺の子供を産んでもらう。ま、阿求ちゃんがこんなふざけた提案でもいいっていうなら……いや、悪い。阿求ちゃんが嫌だと言わないの知っててこれは卑怯だな。……無責任な事を言う男だが責任は取る。だからその待っている間、もう一度よく考えてほしい」

 

「……わかりました。確かに私も浮かれていたのは否めません。ですが、そういうところですよ?」

 

「だからどういうところだよ?」

 

レミリアさんにもこの前言われた気がするな。

 

「あら、その物言い……どちら様に言われましたのです、あなた様は?」

 

なんか温度が二度ほど下がった気がする。

阿求ちゃんもこんな空気だすんだな……いつものすましてた状態よりは俺は好きだな。

ちょっと怖いけどな!

 

 

 

 

そのあと二人で寝転がったままいろいろ話をした。

いままでのことや、これからの事、俺の認識していない俺を好いている女性もまだいるそうで、それについてチクチクと言われたり「頑張れば4人ぐらい産めそうな気がします!」と鼻息荒く宣言されたり(いつもは一人っ子らしい、よくお家断絶しなかったな!?)

子供の名前を考えたり(次は10なので俺の名前……仮名だが。からとって阿十(あと)にしましょうかといわれたので俺が全力で「それ劉禅!あとすぐ転生しないよね!?」と突っ込んだり(字は違う))と、本当にとりとめなく話をした。

 

勿論博麗の巫女についても話をした。

完全記憶能力ってすげえなと思った。説明を一通り受けて一応文献も後で出しますと言われたが、まあいらねえだろってレベルで詳しく、かみ砕いて説明してくれた。

 

ただやはり確証はなく(でも象徴みたいなのと、ある意味幻想郷の主であるというのはわかった)、先代については全くの手掛かりなしってところだった。

阿求ちゃん曰く、妖怪の山のまとめ役である天魔(見たことない)か幽々子ちゃんあたりなら先代を知っているのではないかということ(なお紫さんも出たが二人の意見は「きっと語らない」だった)と、白玉楼、永遠亭、地霊殿、神霊廟、命蓮寺等の書庫は阿求ちゃんも見たことがないのでその辺りも探してはどうか(外から来たので守矢神社は対象外)と。

……一気に行く場所増えたなあ……でもまあ、未来をつかむために労は惜しんでられねえな。

 

 

 

 

 

 

「じゃ、またな阿求ちゃん……とおキヌさん」

 

門前で阿求ちゃんと別れを惜しんでいると(俺も単純なせいか今の阿求ちゃんと離れるの少し寂しい)いつの間にかおキヌさんもいた。

俺を見て、阿求ちゃんを見て、また俺を見た後卑猥なハンドサインを送ってきやがった!(阿求ちゃんからは見えない位置というのがまた……)

 

「残念ながら添い寝までだぞ「ちょっとあなた様!?往来で……」」

 

「緊張して勃たなかったの「ちゃうわ!」ではヘタレたのですか?」

 

「とりあえずおキヌさんは混ぜっ返さないでくれ。じゃあ阿求ちゃん今度一緒に甘味食いに行こうぜ?」

 

「えっ?あっ、は、はい!よろこんで!」

 

阿求ちゃんとは家の中ばっかりだったからな。

唐突すぎてちょっと戸惑ったかな?……おキヌさんだからハンドサイン止めろ。

 

今度こそ稗田家を後にする。阿求ちゃんおキヌさんに余計なこと言わないだろうな。いや、今更撤回するとかはしないけどおキヌさんは鬼だからな。ぜったいになんか派手になると思うんだよな。

 

 

一抹の不安を胸にしながら俺は……ハンドサインしつこいわっ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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