霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!   作:みけさんわーきゃっと

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こういう全く何も進んでない話、好きです。
移植


たまにはこんな日

「うーん……」

 

「何唸ってんのよ?」

 

「いや、幻想郷って運搬がしんどいだろ?どうしたもんかなあって」

 

収穫した野菜の山を前に唸っていると、霊夢ちゃんが訝しんできた。

近頃畑も絶好調なので博麗神社で消費しきれなくなってきているんだ。

もちろん多少なりとも売ったり物々交換したりはするけどこんどは運搬に手間取るんだよなあ。

 

そもそもメインの畑が博麗神社と幽香さんのところという時点で終わってる感がある。

幽香さんところからこっちに持ってくるだけでも割と面倒なのにさらに人里とかはきついし、飛んだりするとさらに運搬能力は低下する。

 

「よし、ちょっと試してみるか」

 

「またぞろ妙なことを始めるつもりじゃないでしょうね?」

 

霊夢ちゃんが半眼で突っ込んでくるが、大丈夫だ、妙なもんじゃない(俺の認識)

最初は自動車でも河童に作ってもらおうと思ったんだが(なお無免)燃料の問題があって構想のまま終わってしまった。

そのあと車輪を人形に見立ててアリスちゃんの能力借りて自走するリアカー(もはやリアじゃねえ)を制作、ある程度はうまく行ったんだが制御がめちゃくちゃ難しく最後は山肌から転落して西瓜ごとお亡くなりになられてしまった……西瓜の汁のせいでなんか凄惨な事故現場みたいになってたぜ……

 

速度があまりでないのと謎の粘液まみれになるのを我慢すれば妖魔本から召喚術でエロゲニールスライムを召喚すればかなりの量は運べる。

ただしみんなから不評で使うことはほぼない。魔理沙や文をお仕置きするときに使う程度だ。

 

「まあ、やってみんとわからんけどな、ちょっと紅魔館行ってくる」

 

「帰りは?」

 

「わからんけど泊まっては来ないよ」

 

「わかったわ、夕飯は適当に作っておくわよ?」

 

「おう、頼むわ」

 

霊夢ちゃんに夕飯を任せて俺は紅魔館へ向かった。

おっとお土産持って行かないとな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで、ちょっくらこの図書館がどうなってるのか教えてくれなさい」

 

「……説明するために説明が欲しいのだけど?」

 

「ん?空間拡張されてるだろ?ここ?いや歪んでるのか?まあ、そういった方法知りたいんだわ」

 

ちなみに現在の俺の体勢は膝枕(足伸ばしバージョン)である。

パチュリーちゃんが座椅子に座って足を伸ばして本を読んでいたので、太ももに頭をのせる形で寝転がったのである。

まあ、いつものことながら反応がなかったので、わき腹を突っついたら「ぴゃあっ!?」と奇声を上げて気が付いてくれたんだ(なお体勢はそのまま)

……ちかごろ油断していたのかいつもよりも駄肉が……、ま、まあ太ってるわけじゃないしね(愛のごまかし)

そもそもパチュリーちゃんを枕にすることが多いからな俺。すこし肉がついている方がいいと思う(個人的な感想)

腹、ふともも、尻、ふくらはぎ、背中とどこもそれぞれちがってとても素晴らしいのだ。あとはおっぱいだけだが、本を読むのに邪魔になるらしく乳枕だけはさせてくれない。

ただ寝転がってる俺に乗っかるように寝転がることはあるので乳布団は経験済みだ。

 

「そうね、ここの拡張は咲夜の能力なので詳しくはわからないわ、一応理論はあるのだけど……時空連続体について書かれた本がどこかにあったはずだから小悪魔にでも聞けば出てくるはずよ」

 

「マジか、パチュリーちゃんが魔法で何かやってるんだと思ったわ」

 

「できないことも無いけど維持コストが膨大になってしまうわ、無駄は嫌いなのよ、私」

 

「なるほどなー。じゃあ咲夜ちゃんに聞いたほうが早いかな?」

 

「そもそもいったい何がしたいのかしら?」

 

「ああ、なんて言ったらいいかな。ものを大量に運びたいんだわ」

 

「うーん、インベントリって魔法があるけど、維持コストはそれなりにかかるわよ?あとは、がらんどうなゴーレム作って中に物入れたり?アリスに聞いてみなさいよ」

 

「あーその手があったか」

 

……なんで俺は車輪を人形にしようと思ったのだろうか……?

ま、まあ発想は良かったと思うな!

 

「んじゃあとりあえず」

 

「咲夜のところに行くの?」

 

「あとでな、まずはパチュリーちゃんとお茶してからにしよう。飲むだろ?」

 

「ええ。よかったわ、都合のいい女扱いされなくて」

 

まあ、よっぽど急いでいたら別だが、期日あるわけでないしな。聞くだけ聞いてはいさよならって味気ないだろう?

お茶の葉はいつも持ってるしな。

 

「パチュリーちゃん能力貸して」

 

「いいわよ、どうぞ」

 

パチュリーちゃんから借りた能力でお茶を入れていく。カップは入れ子式の竹のやつだけど、まあいいだろ。

紅茶だと竹の臭いが鼻につくかもだが、緑茶だといい具合に相乗効果が起きる。

 

茶を入れた後、冷気の間を糸状にして通して急冷する。

 

「また器用な魔法の使い方するわね……」

 

「制御だけならかなりのもんだぜ?」

 

っと、冷たいお茶の出来上がりだ。竹の香りと相まって清涼感が強いぜ。

茶菓子はあえての洋菓子……フィナンシェだ。

容器に詰めやすいように一口サイズで作ってあるので食っても粉がこぼれることも無く(本に……ね?)焼き菓子の欠点である口内の水分を奪うというのも冷たいお茶なのでごくごく飲めるため問題にならない。

うむ完璧だな。

 

「はくっ……ん、美味しいわね。お菓子に関しては咲夜を越えてる気がするわ」

 

「素材がいいし、魔法だろうがなんだろうが使えるもん使って作ってるからな」

 

お菓子作りにはパチュリーちゃんのいろいろできる魔法も便利だが、素材をどうこうするという点では妖精たちの活躍が大きい。蜂蜜や果実などもそうだしチルノの冷気でバターなども作れる。わりと洋菓子にはかかせないな。

 

パチュリーちゃんとお茶を楽しんだ後咲夜ちゃんの元へ向かう。

といっても適当なところで「さくやちゃーん」と何度か呼びかけるだけだが。

 

 

 

 

 

 

「お呼びでしょうか?お客様」

 

「お、忙しいのに悪いな、これお土産」

 

あらわれた咲夜ちゃんにジャムクッキーを渡す。咲夜ちゃんに渡しておけばレミリアさんとかにもいきわたるからな……妖精メイドは、あれだ……我慢してもらおう。普段から俺のとこに直接取りに来てるんだからこういう時ぐらいはな。

 

「ありがとうございます、後でみんなでいただきますね」

 

「おう、それでちょっと聞きたいことがあるんだが……」

 

「本日はリボンのワンポイントが付いた白ショーツとナイフベルトです。内勤なのでタイツ類は見ての通り履いておりません、お客様の好きなガーターベルトはございませんのであしからず」

 

「聞いてないからね!?」

 

「ですがお客様の聞きたいことがほかに思いつかないのですけど……?」

 

「いやいやいやいや、普段料理の話とかしてるよね!?なんで俺がパンツの話しかしてないみたいなこと言うの!?」

 

そう激しく突っ込みを入れると咲夜ちゃんはくすくすと笑って――可愛いな!「冗談です」とほほ笑んだ。

 

「まったく、可愛いから許すけど」

 

「いえ、その……可愛くないですよ」

 

「まあどちらかと言えば美人だけど、大丈夫、美人で可愛いから!「ふえっ!?」さて、ところで咲夜ちゃんの能力で空間もいじれるの?」

 

「あ、はい弄れますけど」

 

「そのやりかたって教えれる?」

 

「えっとかなり抽象的な感じですが……」

 

抽象的か……魔理沙みたいに「こうぐっとやってぐいっといってずどーんだぜ!」みたいな表現じゃなければ――

 

「時間をこうギュって束ねてぐーってひきのばしてそこにぽいっって入れる感じです」

 

「まさかの魔理沙レベル!?」

 

「申し訳ございません、本当に説明しづらいのです」

 

すまなさそうな顔で言う咲夜ちゃん。

 

「ああ、悪い。感覚的にやることは説明しづらいよな」

 

俺だってカウンター入れる動作説明しろって言ったら「相手がこう来たら、ぐっとためて、すっと入ってゴン!」って感じになるもんな……

 

「いったい何をしたいのですか?」

 

「あ、いやものを大量に持ち運びたいんだよ」

 

「それでしたら私の方法は場所が固定されるので不向きですね、倉庫には適しているのですけど」

 

「あー、移動不可なのかー……」

 

「はい」

 

「おう、わかった。仕事の邪魔して悪かったな」

 

「いえ、いつでもお気軽にどうぞ」

 

流石に仕事の邪魔をするわけにはいかないのでお茶は誘えねえな。

こんど街に出てきた時とかに甘味でも一緒にするか。

 

咲夜ちゃんに礼を言って紅魔館を辞する。

フランやレミリアさんに会っていきたいところだが、夜までに帰るって霊夢ちゃんにいっちまったからな

美鈴ちゃん?寝てるよ。

 

スキマ借りれれば持ち運びとは違うが、二点間つなげて運搬楽なんだが、貸してもらえねえからな……覗きに使わないって言ってるのにな。

 

その他色々回ってみたが道士の術にそこそこいいものがあったが重量制限が激しく(せいぜい二キロ)使い物にならなかったり。

にとりに青くて寸胴で「ふぅふぅふぅ」と笑う猫型ロボットのポケット的なものを作れないか聞いてみたりもしたが「理論上は可能、制作は現状無理」と返ってきた……理論上可能なんだ……?

まあ現状は無理だということならないのと一緒だな。

 

 

 

 

そんなこんなでくたびれ果てて博麗神社に帰ってきたわけだ。

 

「ただいまー」

 

「おかえり、いいタイミングね。ちょうど夕食の準備が終わったところよ」

 

「お、ありがとう霊夢ちゃん。大好き!」

 

「はいはい、もう食べちゃう?」

 

「そうだな」

 

霊夢ちゃんがせっかく作ってくれたんだし冷める前に食うか。

 

「お、豪勢だな」

 

とはいっても一汁五菜程度のもんだが、幻想郷ではかなりの贅沢に入る。

 

「こまごましたもの残ってたからやっつけてみたわ、味噌漬けの魚も傷みそうだったしね」

 

茄子と里芋の味噌汁。マスの西京焼き。大根の葉のお浸し。だし巻き大根おろし添え。ネギ味噌。山芋の梅和え。である。

現代人からすると肉と油が足りないだろうけどもう慣れた。

なによりも霊夢ちゃんが作ってくれた飯に文句などでようはずがない。

 

「うまいうまい、いやあ霊夢ちゃんはいつでも俺の嫁になれるなあ」

 

「……そこはいいお嫁さんになれるじゃないの?」

 

「霊夢ちゃんをどこの馬の骨ともしらん男になんかやらん!」

 

「そもそも私博麗の巫女だからね?アンタのモノにもならないわよ?」

 

「ちぇー」

 

二人きりの飯の時は霊夢ちゃんは割としゃべってくれる。皆がいると静かに食うんだよな。

こういうところがちょっと俺は嬉しい。

 

「そういえばアンタ結局何してたの?……おかわりは?」

 

「おう、大盛りでくれ、美味しくて箸が止まらん。いやものを大量に運びたくてなんかいい方法がないかって探してたんだよなあ」

 

「はいどーぞ。新しい大八車……リヤカーだっけ?じゃだめなの?」

 

「おう、ありがとう。道がまともじゃないだろ?博麗神社にくるのも参道か石段だし」

 

結局は高低差と悪路がすべての問題なんだよなあ……

 

「アンタにしてはちょっとマヌケね」

 

と、霊夢ちゃんが呆れたように俺を見る。

 

「お?どういうことだ?」

 

「例えば諏訪子の力で整地しながら移動したり、パチュリーなら全体浮かせるぐらいできるでしょ。引っ張るのだけ手動で。ちょっと引っ張るのにこつがいるかもだけどチルノの氷で舗装してもいいし」

 

「あっ」

 

新しく開発することばっかり目が行ってたわ……

 

「たぶんここまで言えばアンタならいろんな方法思いつくんじゃない?」

 

「そうだな」

 

ざっと10通りぐらい思いついたわ……

 

「アンタはなんというか思い込んだら他が見えなくなるからねえ……」

 

「まあ、そうだな」

 

「ちなみに私も結界で包んでこう……」

 

そう言うと霊夢ちゃんはテーブルごと浮かせて左右にすいすいと動かした後、元の位置に戻した。

リアカーで同じことすれば結構運べるよな……

 

「最初から霊夢ちゃんにきけばよかったわ……」

 

「アンタ時々抜けてるわよね。ま、アンタらしくていいけど」

 

「言うな……」

 

がっくりとして落ち込む。それでも飯はしっかり食うけどな!

 

「ごちそうさま、美味しかったよ、霊夢ちゃん」

 

「お粗末様、お風呂入る?」

 

「一緒にか?」

 

「アンタねえ……まあ、いまさらのきもするけどさすがに内風呂ではね」

 

「たしかにな、俺の理性が飛びかねん」

 

温泉では割と普通に混浴したりする。霊夢ちゃんは湯帷子来て入るけどな。

……結構透けててやばいんだがな、理性。

 

「先にいいのか?」

 

「アンタ後にしたら洗濯物漁るでしょうが!」

 

「しっけいな!いつもじゃないぞ!」

 

「一回でも漁った時点でアンタが文句言う資格無いわよ!さっさと入ってきなさい!」

 

「へーい」

 

「まったく……」

 

霊夢ちゃんのボヤキを聞きながら風呂に向かう。

今日は徒労と言えば徒労だったけども。ま、たまにはこんな日もいいだろうさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




リル=アーゴットの喧嘩の売りっぷりが好きです。

ねくすと(次は呪いとか祟りとかなんとかしてみた話)

  • 魔理沙とデートした話
  • 決戦!星海恐怖異変
  • 因幡の白兎した話
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  • 人里で遊んだ話
  • 新聞記者に振り回された話
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