霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!   作:みけさんわーきゃっと

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なさちら様、kinoppi様
感想ありがとうございます、とくにこう、二回目の感想は「継続して読んでくれてる」って感じで嬉しくなりますね。





~おわび~
紅魔館にまだつきません。
おっさん成分があります。
賢者モード&人目を気にしているため暴走はしません。
そのせいか今回鈍感系主人公のようになってしまいました。
紅魔館付近まで行けば人目がないのでそれなりに暴走するはずです。


「霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!」第三話

博麗神社を出てまずは人里を目指す。

迷いの竹林の入り口をちらと見たが住居の外には人影は見えない。

そう、住居である。

 

最初に見たとき、妹紅さんは東屋(屋根しかない建物)もかくやという家に、寝具もなく座り込んで寝ていたので俺はキレた。

暴漢に襲われても返り討ちにできる位の力があるとはいえ、女の子が住むには不用心すぎると。

ましてや綺麗なんだから自覚しろと。

 

そう言ったら妹紅さんは「お前には関係ないだろう、親切なふりをして何を――なんだ?したいのか?いいぞ、別に、死ねば綺麗になるし、孕みもしないからな」と。

 

そこでまたブチ切れですよ。

半月……いや、三週間ぐらい持ったかな?殴ったり説教したりするわけでなく、生物としておかしいと証明するために妹紅さんと一緒に同じ生活して暮らした。

 

自分の体を人質にしたテロだな今思うと。

 

もちろん一般人がそんなことを長く続けれるはずがない、最後は気が付いたら永遠亭で目覚めたからぶっ倒れたか何かしたんだろうな。

 

というか映姫ちゃんが、「私の一存ですが、あなたと親しいようなのでお迎え担当を特別に小町にしておいたのですが……急ぐように言っておいたのですがいつものようにどこかで油を売っていたようですね……本来ならあの世に行くのですが、蘇生が間に合ってしまったようです」

とか言ってたから普通にやばかったのかもしれん。

映姫ちゃんのできる精一杯の厚意だろうな。

 

でも映姫ちゃん。小町ちゃんはそういう時面白がってガチで全速力で来る可能性もあるからね?

いや、それが正しい仕事のありかたなんだろうけども。

 

霊夢ちゃんには圧が消えた状態で折檻された。

反論しようと口を開いた瞬間にビンタされることを繰り返して、最後は霊夢ちゃんが許すまでずっと見つめあってたよ。

 

それから妹紅さんは人間として最低限の生活をするようになった。

天子と飯食いに行っている(なぜか天子と相性がいい)のもたまに見かけるし、慧音ちゃんと街をぶらついていたりもする。輝夜ちゃんとも少し歩み寄ったみたいだった。

 

後はなぜか焼鳥屋を始めた。

霊夢ちゃんによると昔から自称はしていたらしいんだけど実際にはやっていなかったみたいだが、本人曰く「元手がほとんどいらない」ので始めることにしたそうだ。

 

おかげでミスティアちゃんとは仲が悪い。

ちなみに俺も割と警戒される、幽々子ちゃんも結構警戒されている。

 

よし、こんど三人で屋台に行くか(非道)

 

 

 

 

さておき、外にいないのなら(暇なときは竹炭作ってたり、鳥をさばいていたりする)寝ているか案内しているか、鳥を狩りにいったかだろう、また今度寄ることにして進路を人里に向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人里について(一応少し手前で降りて道から行くことにしている)しばらく悩む。

お土産はあした買うとして、慧音ちゃんのところに行くか……でもこの時間授業中だからな。

 

授業終わるまでぶらついて、それまでだれにも会わなかったら慧音ちゃんところに行こう。

そう決めて大通りを歩いていると白い髪の女の子を発見した。

 

 

 

「よう、妖夢ちゃん、何してるの?」

 

「あ、便利屋さん……今日はお仕事ですか?」

 

「夕方からな、今は暇してるな」

 

「そうですか……あ、今日は運搬に使える能力お持ちですか?」

 

「いや、今日はないな……あれ?買い出しか?」

 

「ええ、こればっかりは幽霊にさせられませんから」

 

お気づきになられただろうか。

妖夢ちゃん、めっちゃ心の距離遠いんです。

 

ドロワーズだからそんなにセクハラじみたことはしてないし、剣の修行とか買い出しとか手伝うぐらいだし、たまには甘味を食べに行ったりもするんだけど、どうにも心に壁がある感じがするんだよなあ……

可愛いとか偉いとかは言うけど……

 

「相変わらず大変だな、でもいつも来てる日と違わないか?」

 

本来週に二回同じ日に妖夢ちゃんは買い出しにくる、結構運搬ギリっぽい量を持って帰るため、俺が暇なときで、ちょうどいい能力があるときは手伝ったりもする。

無くても完全に暇なら手伝ったりもする。

 

幽々子ちゃんは三人前ぐらいは普通に食べる、といっても暴飲暴食するわけではないし、エネルギー効率が悪いのだろうと思ってるんだよな、俺は。

だからそんなに頻繁に買い出しはいらないと思うんだけどな。

 

「天人様がいらしているので……」

 

天子(てんこ)か、叩き出していいぞ、百害あって一利なしだ」

 

地震で俺の畑を壊滅させたことがあって以来天子は俺からは厄介な人物として認識されている。

しかも悪びれもせずに上から目線でまた作れば?って言ってきやがったからな。

可愛くても許せる範囲に限度があるわ。

 

ちなみに読みは正しくはてんしである。天使みたいな綺麗なイメージと被らせるのが嫌なため、俺はてんこと呼んでいる。天使みたいなのは綺麗な霊夢ちゃん(ときどきある超優しいモード)に使う呼び方だろ。

 

「いちおう幽々子様のお客様ですので……」

 

「大変だなあ、妖夢ちゃんは」

 

「いえ、料理担当の幽霊のほうがもっと大変かと……お二方とも美食家ですので」

 

幽々子ちゃんはともかく天子なんか桃でも食わせときゃいいんだよ(暴言)

それにしても妖夢ちゃん、もっと霊夢と話してる時みたいなんでいいんだけどな。

男が苦手なのかな……、俺が嫌われてたらどうしよう。

 

と、苦悩していると半霊が俺にすり寄ってきた。

 

「おお、しらたまーっ!相変わらずかわいいなお前はーっ」

 

妖夢ちゃんの半霊、俺は白玉楼にかけてしらたまと呼んでいるが、こいつはなぜか妖夢ちゃんと違って非常にフレンドリーで、いつも懐いた犬のようにすり寄ってくる。

 

「す、すいません。なぜかいつも無意識に勝手にっ!」

 

「いやいや、いいっていいって、俺、しらたま大好きだし。ちょっと温くて柔くてぷにぷにですべすべで、これ触ってるとすっげー癒されるんだよ」

 

と、ぷにぷにぐにぐに触り心地を確かめながら存分に愛でる。

いや、これ売ってたら10万までなら出していいわ、人をダメにするシリーズを凌駕すると俺は思うね!

 

「あのっ、いや、それは嬉しいのですがっ、あんっ」

 

「あー、しらたまは可愛いなー」

 

しらたまは愛でるといろいろ変化する、長細くなって腕に巻き付いてきたり、腕に巻き付いたままほっぺたにすりすりしてきたり、丸くなって膝や肩に乗ってきたりと、なかなかに懐いている。

 

「ですから、あのっ、それはちょっと、くうっ、ですね」

 

「んーかわいいなー、お、ほっぺたすりすりしてきて、なんだ、ちゅーしてやろうか、ん?」

 

「いや、そのちゅーとかは、ほら、き、きたないですよ」

 

「しらたまは綺麗だよねー、はいちゅーっ」

 

「ひあっ!?」

 

子猫とか相手にすると精神年齢下がる人間居るだろ?

 

 

 

 

 

俺がそうだ(威風堂々)

 

 

 

 

 

ちかごろそれなりに精神的につかれてたのかもしれないな、しらたまにすごい癒されるわー。

抱きしめてたり撫でまわしたりして全力で愛でていると妖夢ちゃんがいきなり膝から崩れ落ちた。

 

「えっ!?妖夢ちゃん?妖夢ちゃん!?」

 

「あうー……みょんなとこ触らないでください……」

 

顔が真っ赤だ、今日は熱中症になるほど暑くはないはずなんだが!?

抱き起こそうとしたが、先に拒否されたので手を止める、手持ち無沙汰になった俺はなんとなくしらたまをにぎにぎしてしまう。

 

「うあっ!?そこはっ!?」

 

びくんと妖夢ちゃんが痙攣する。

 

「えっ!?いや本当に大丈夫妖夢ちゃん!?」

 

「大丈夫です、大丈夫ですから触らないでください!」

 

「触ってないけど、本当に大丈夫なのか?」

 

「これ以上されると私……う……うわあああああああん!」

 

「妖夢ちゃん!?」

 

最後の力を振り絞るように俺からしらたまを分捕ると、全力疾走で離れていく。

絶叫というか半泣きというか……とにかく注目を引き付けてしまった。

街の人たちの視線が……あれ、みんななんで一瞥して、またこいつかみたいな感じで興味なくすんですかね?

 

俺、今回に限ってはセクハラ行為とか一切してないんだけど!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そそくさと逃げるように場所を変え造り酒屋のおっちゃんのところに行く。

霖之助と並んで俺がよく話をするおっちゃんだ。

 

このおっちゃんは打てば響くとばかりにツッコミ入れてくれるので、とっても話しやすい。

しかもハゲてガチムチの癖にめっちゃきれいな奥さんと可愛い子供までいる。

が、なぜか俺にはあまり会わせてくれない。

 

「で、俺は言ってやったのよ「女好きが強さの条件なら俺は世界一だ」ってな」

 

買う酒を物色しながらおっさんと馬鹿話をする。

こういうのもいいもんだ、全く気を遣わないからな。

 

「またぞろいろんなとこを敵に回すようなこと言ったもんだな坊主」

 

「なんでかしらないけど終わった後映姫ちゃんが来て説教された」

 

「閻魔様をちゃん付で呼ぶこと自体信じられないことしてっからな!?」

 

「この間ついに「あなたはエロすぎる」と言わせたぜ、ちょっと滾った」

 

「坊主不敬すぎるだろ!?」

 

好色にすぎるからはじまり、女好き、女性への執着等々結構な数の言い回しをへて、ついに使う言葉がなくなったのか映姫ちゃんの口からエロと言わせたときはある意味やり切った感があったな。

 

そのあとの「とりあえず正座しましょう、軽く半日ほど」にはさすがに参ったが。

何故半日かというと映姫ちゃんの仕事の交代時間があるからでつまり休憩時間全部映姫ちゃん独り占めしてたわけだ、やったぜ!!(ポジティブ)

 

そも映姫ちゃんの説教(というか宗教系全部)は理想しか言わない。

もちろん理想に近づけるのは大切なことだけども全員がそうなってしまえば、極端だがきっと世界は滅ぶ。

緩やかに、しかし確実に衰退していってしまう、俺はそう思っている。

映姫ちゃんの能力じゃないけど、白黒はっきりつけるのは死んでからでいいんだ。

そのためのあの世だろうと俺は思っている。

 

ま、馬鹿も乱暴者も必要だってことさ。

 

「役職はどうあれ可愛い女の子なんだからそこは認めるべきだろ?」

 

「まず、その認識がおかしいんだよ、どうみたって怖い人だろ、地獄に落とされたらどうするんだよ」

 

「地獄も結構悪いところじゃないし」

 

「そう言い切れる坊主は割とおかしいってきづけよ!?」

 

地獄が嫌なら幽々子ちゃんとこに就職(?)する手もあるしな。

そうしたらしらたまも弄り放題か、ちょっと興味があるな。

 

「こいつとこいつとこいつを、竹林まで頼めるか」

 

ピンときた酒を妹紅さんのところまで運んでもらう、そこから先は俺か、萃香さんなり霊夢ちゃんなり酒好きで手の空いている人間が運ぶ

 

「かーっ!まいったね、いい奴から順に選んでいきやがる、相変わらず鼻が利くな」

 

「鼻っていうか、俺はあんまり強くないからな、それでもこいつは飲みたいなって思う奴を選んでるだけだ」

 

飲まない利き酒という結構謎の特技を持ってたりもする。

鬼に言わせると「弱いが悪くない」というような酒だが、酒にうるさい鬼からも強さ以外に悪い評価を受けたことがないのが自慢だ。

 

ちなみに軽く三つほど選んだが、どれも一斗樽である。博麗神社の酒消費量は異常なのだ。

手付の金粒(鬼たちの仕事の時はたいていこれがもらえる、額面ではないので使いづらいが、ここでは引き受けてくれるので、それもここをひいきにしてる理由でもある)をいくつか渡して、妹紅さんのところまで運んでもらう。

 

妹紅さんは預かり賃として一升ずつ分け前をもらうことになっている。

まあ、そういう建前で渡してるのは妹紅さんもわかってるんだろうけど「この借りは身体で払おう」とか真顔で言うのは本当にやめてほしい。

こう、なにかな、なんか違うんだよな。

妹紅さんの価値はもっと高いはずなんだよな、嬉しいんだけど、ちょっとそういうのでは手を出したりはしづらいんだよ。

 

 

「おう、白い姉ちゃんのところだな?あの姉ちゃんも見かけは変わらないのに近頃は、こう、なんだ匂い立つような美しさが出たよなあ」

 

「おつうさーん!おっちゃんが浮気してるよーっ!!」

 

なお、おっちゃんの奥さんの名前だ、機織りが上手で肉付きは良いのにはかなげな雰囲気を持っていて、それでいて喋るとはすっぱという一粒で何度もおいしい美人である。

なんかちょっと、いやかなり嫉妬深いという些細な(俺に向けられないなら些細である)欠点はあるがそれ以外は非の打ち所がない人だ。

裁縫で使うようなでっかい裁ちばさみもって問い詰められているおっちゃんを見たこともある。

人の痴話げんかは見ていて楽しいな!(外道)

 

「馬鹿おめえ坊主!?なんてこと言ってやがんだ!?カカアに聞こえたら俺明日の朝日が拝めねえぞ!?」

 

「大丈夫大丈夫、映姫ちゃんに生前は良い人でしたって伝えておくから」

 

「洒落になってねえぞ坊主ぅ!?ひっ!?」

 

奥の間でいつも機織りしているのだが(なお、織ってる最中覗くと怒られるらしいので見たことはない、完成品は見事の一言である)そこのふすまが一寸ほど開いて、目がおっさんを見ている。

 

うん、ちょっと怖い、悪いおっちゃんやりすぎたわー(棒)

 

「おい、坊主取りなしてけ、な!」

 

「ごめん無理!小町ちゃんによろしく!」

 

「坊主この場面で女の名前とか、あ、いや、つう、違うんだあの助兵衛の坊主の戯言なんだってば!」

 

「あーばよーとっつぁーん」

 

「お前今度来たら……いや、つう、落ち着けって、な!なんで奥に引っ張りうわああああっ!?」

 

 

すまんおっちゃん。

 

 

まあ、過去にもやらかしたことはあったので心配していない。

おつうさんは嫉妬すると「絞ってくるタイプ」だ。

あしたはおっさん足腰立たないかもしれないけども夫婦仲良くて結構なことじゃないかね。

 

 

 

 

 

丁度いい時間になったので餅屋で餅を大人買いして寺子屋に向かう。

あんこの入った餅じゃなければ現代社会よりはるかに安い。

寺子屋につくと丁度授業が終わった直後なんだろう、子供たちがわちゃわちゃとしていた。

 

「ようし、ジャリガキども餅があるから持っていくがいい」

「おやつの兄ちゃんだ!みんなーおやつの兄ちゃんが来てるぞー!!」

 

突入一番餅を配り始める、現代でやったら即通報からの署まで連行のコンビネーションを食らうが、幻想郷だと「奇特な人間だ」程度の認識でしかない。

むしろ子供たちにとっては待ち望んだ人物であろう。

 

「いっぱいあるからなー、今日先生に怒られなかった奴は二個持って行っていいぞー」

 

地味な作業だが、こういうことを繰り返すとみんな怒られないように注意するようになる。

動物の躾のよう。とか公平じゃないとか、おもうかもしれんが、よく考えてみろ。報酬がもらえるなら我慢するってのは大人も変わらない。

あるいみ公平な不公平であり、社会勉強だ。

 

ちなみにズルをしたやつはもれなく頭突きを食らう。

罪には罰があるのも当然だ。

 

「騒がしいと思ったら君か、いつもすまないな」

 

「慧音ちゃんこそいつもお疲れ様、特別にあんこ餅ですよ」

 

騒がしくしていると慧音ちゃんが現れて俺に話しかけてきた。

慧音ちゃん用に別にしていたあんこ入りの餅を渡す。

 

「また君はこんな年増の事をちゃんなどと……餅はありがたくいただこう」

 

「慧音ちゃんが年増なら紫さんとかおばあちゃんじゃないか、見た目若々しくてかわいいんだから気にしなくてもいいとおもうんだけどな」

 

「あ、先生だけずりーぞ!兄ちゃん俺にもあんこくれよ!」

 

「こら!あのお兄さんは先生の彼氏なんだから特別に渡してるのよ!」

 

「えー、でもあの兄ちゃん巫女さんとよく一緒にいるぞ」

 

「どっちの巫女さん?」

 

「えっとー、両方!」

 

「俺、人形劇の姉ちゃんと団子屋にいたの見たぞ、なんか食べさせあってた」

 

「俺なんか夜中に白い髪の先生の友達と一緒にぴったりくっついて歩いてるの見たもんねー」

 

「おい、ジャリども、黙れ(威圧)」

 

「こらこら、君がそういう人間だってことはよく知っているから取り繕う必要などないさ」

 

「ですよねー」

 

否定できない事実だからな、妖怪の事情も知っている慧音ちゃんだとさらに妖怪サイドのうわさもいろいろ入るだろうし。

 

「ただし君が妹紅と夜中に出歩いて寄り添って何をしていたのかだけは詳しく聞きたいところだが(獣の眼光)」

 

息継ぎなしで一気にいいきったよ!?

妹紅さんに対して愛情深すぎじゃないですかねえ!?

でも百合もいいよね!

 

「みて、あれが修羅場よ」

 

「女の人ってこえー」

 

「おやつの兄ちゃんってスゲーな!」

 

 

「こほん、君たちも早く帰って父母の手伝いをするといい。親孝行はできるときにしておくものだ」

 

子供たちに興味津々で見られていることに気付いた慧音ちゃんはとりつくろうと、子供たちに帰るように指示をする。

 

「先生さよーなら―」

 

「おやつの兄ちゃんもありがとー」

 

「先生と仲良くねー」

 

「こら!……もう、まったく、どこで覚えてくるのやら」

 

「子供ってそういうもんですよ」

 

「私から見れば君も十分子供なのだけどな、と、時間があるなら一服どうかね、茶菓子もあることだし」

 

「じゃあ、お邪魔します」

 

慧音ちゃんに続いて寺子屋に上がり込む、こういうところで学んだことはないはずだが、いつもどこか懐かしさを感じるのはなぜだろうな。

 

「さて、まずは一服」

 

慧音ちゃんがお茶をたててくれる。現代だと急須で入れるのが一般的だけど幻想郷だと結構この手のお茶も多い。

茶道みたいな格式ばったものではなく、手っ取り早いからという庶民の入れ方ではあるが。

慧音ちゃんの入れ方はまだ丁寧な部類に入るぐらいだ。

魔理沙とかはどんぶりでわしゃわしゃと適当に立てたお茶にさらにぬるま湯ぶっこんで飲んでたりする。

相変わらず女子力壊滅してるよな……

 

苦いイメージがあるが、お湯の量の加減でどうとでも調整できるし、むしろ薄めに立てると、泡のせいかクリーミィで飲みやすいぐらいだ。

 

「あー、うまい」

 

俺はやっぱり日本人だと実感する、茶がうまい。

 

「ははは、褒めても何も出ないぞ?それはそれとして……」

 

少し気恥ずかしそうに慧音ちゃんがほほ笑む、いや十分美味しいと思う、ガチで立てたお茶にはかなわないと思うけども、そんなお茶は日常で飲むもんじゃないしな。

 

「妹紅と夜中に出かけていた話を聞かせてもらおうか」

 

しまった!罠だ!?

とくにやましいこともやらしいこともしていないのだが(妹紅ちゃんは服装柄ガードが堅い)緊張に身をこわばらせる。

いや、そりゃ肩組んでたから体に触れたりはしますよ、でもそれは偶然だったりしてですね……

 

「いや、その、ちょっと飲みに出ていて」

 

あれ?そういやなんで肩組んでたんだっけ?

 

「ほう、あの目撃した少年の家の近くにはいかがわしい目的に使う宿ぐらいしかないのだが」

 

「それは偶然です」

 

圧の強さに思わず敬語になる。

そもそういうことするなら妹紅さんの家でもできるじゃないか!

 

たしかあの日は……?…………!?

 

「いたよ!慧音ちゃんもいたよ!?」

 

「うむ?」

 

「ほら、輝夜ちゃんと妹紅さんがちょっと派手に喧嘩して竹林ちょっと焼けた日!」

 

「うん……?」

 

「慧音ちゃんが俺に頭突きしようとして、俺が後ろに倒れ込んで事故ちゅーした日だよ!」

 

「……!……さ、さあな、どうやらその歴史は消え去ってしまったみたいだな」

 

そう言っている慧音ちゃんの目は世界新記録並みのスピードで泳いでいる。

半分ぐらいは無意識に能力でも使っていたのかな?そこまでして忘れたかったのかもしれないが思い出したようだ。

 

慧音ちゃんは意外にちっこい(霊夢ちゃんより小さい)ので立った状態の俺に頭突きをするには飛びつく必要がある。

あの日は三人で飲んでたので弱い俺は足元がおぼつかず押し倒される形になってしまったのだ。

 

手で押しとどめたのだが、胸をわしづかみにした(結構大きい)結果に終わり、しかも衝撃はちゃんと殺したため、神のいたずらか、わりかししっかりと唇を合わせる結果になってしまったのだ。

 

さらにてんぱった慧音ちゃんがそのままわたわたと這いずるように前進して俺から離れようとしたため、顔をまたぐ感じになりレースの紐パン(黒!)を御開帳してくれたおまけつきである。

熱気すら感じる位の近距離で、闇を操る能力のおかげでばっちり見えたのであとでルーミアにお菓子をあげたのを思い出した(ルーミアはこんなかんじでいつも唐突にお菓子をもらえる)。

 

 

「そ、そういえばそうだったな……君も忘れておいてほしかった……」

 

「いや、思い出させたの慧音ちゃんだし、俺は酔ってたのとあの後パンツ見られてパニックになった慧音ちゃんに膝落とされた衝撃でほとんど忘れてたからな?」

 

そうだよ、それで妹紅さんに担がれてたんだよ……

 

「下着のことは忘れてくれっ!……そも、暗がりで見えてなかったろう?」

 

ここでごまかすことは可能だろうが、だが俺はあえて言及する。

 

「黒いレースの紐パンだよな?慧音ちゃんってレースとかフリル好きみたいで、そこも可愛いな!」

 

「なんで見えてるんだ!?かなり暗かった……ああ、ルーミアの能力か」

 

さすが慧音ちゃん、頭の回転は速いな。

顔は真っ赤だけど。

 

「さすが、歴史を作る程度の能力!俺のパンツ史にあらたな一枚を刻んだな!」

 

「そんな能力は持ってない!いや、能力があるがそんな歴史は作らない!」

 

「ところでそもそもなんで俺に頭突きしようとしたんだっけ?」

 

「はて……?そういえばそうだな、わざわざ立っている人間に飛びついてまでするのはよほどのことのはずだが……」

 

二人で考え込む。

丁度いいのでお茶とあんこ餅で小休止する。

 

「たしか竹林と慧音ちゃんの家とちょうど反対方向で、どっち先に送るかもめてなかったっけ?」

 

「なんとなく覚えがあるな、たしか私は近いから平気だと言って、妹紅が死なないから平気だと言ってたはずだな」

 

「おう、思い出した。妹紅さんは後で説教だな」

 

「長年の癖はそう簡単に抜けまい、そう目くじら立ててやるな」

 

不死身という特性を利用するのはこの幻想郷ではありだとは思う、だけども死を容認するのはいただけない。

 

「誰かが言わなきゃ治らないだろうよ、んでそれからどうしたっけ……?」

 

「たしか……そうだ、妹紅が!」

 

「あ、俺も思い出したわ」

 

泊まれる場所の心当たりがあると案内された先が……

 

「連れ込み宿だったな……」

 

「ああ、まったく妹紅と来たら」

 

苦虫を噛み潰したような顔の慧音ちゃん。

それでも可愛さが残るのはすごいね。

 

「でもそれだと妹紅さんに頭突きしないか?なんで俺に?」

 

「えっと……たしか……?」

 

考え込んで急に発熱でもしたように顔が真っ赤になる慧音ちゃん。

 

「よし、この話はここで終わりだ」

 

「えー、めっちゃ気になるんだが」

 

「た、大したことではないのだ、うん」

 

流石にこのままだったら気になって夜も寝れんわ!

たしか……と記憶を想起させる……

 

なんか妹紅ちゃんが言ってた気が……「慧音はこの年で男を知らない、私は再生するたびに綺麗な体になる、初物を二人分だ、悪い話ではないだろう?」あーっ!?おもいだした!

 

「そうだ、慧音ちゃんがしょ――」

 

「ふん!」

 

 

 

ごすっ!!

 

 

 

俺が意識を失う瞬間に見たのは柳眉を吊り上げ顔を真っ赤にした慧音ちゃんの姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……たまえ、おきたまえ」

 

「ん……んう……」

 

揺り動かされて目覚める、ん、後頭部がぬくやわこい……そして額が痛い。

 

目を開けると、覗き込んでいる慧音ちゃんの姿があった。

 

「気が付いたか、大事ないか?」

 

「ん、なんかちょっと額が痛いけど、特には……あれ?なんでこんなことになっているんだ?」

 

餅を配ったところまでは覚えているのだが、そのあとの記憶が定かではない。

 

「ふむ、頭を打ったことによる記憶の混濁か?まあ、いつもの事だが君が卑猥なことを言ったので、少々仕置きを……な」

 

どうやら俺は頭突きを食らって昏倒していたようだ。

だがこのぬくやわこい感触は……膝枕!?

 

「目覚めたのなら、起きるといい。さすがに足がくたびれたよ」

 

「だが断る(即答)」

 

「……もう一発いっておいた方がいいか?」

 

「すぐ起きます!」

 

さすがにもう一度気絶したら紅魔館にまにあわ……やっべ。

 

「慧音ちゃん、どのぐらい俺寝てた?」

 

「四半刻ぐらいだろうかな?やわやわ夕暮れだ、用事でもあるのか?」

 

「ええ、ちょっと紅魔館に」

 

「……君は少し妖怪と近すぎる、いっても君はやめないのだろうけど」

 

「それが俺だからな、じゃあまた餅でももって様子見にくるよ」

 

「手ぶらでも構わないよ、あまり気にする必要はない」

 

「まあ、覚えてたら。それじゃまた」

 

「ああ、気をつけるようにな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまないな、私の名誉のために少しだけ……隠させてもらったよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




うちの幽々子様は大食いですが人外レベルというほどではありません。

読んでいただきありがとうございます。
アンケートを実施していますのでよろしければご記入ください。


ここすき機能の半分以上ぐらいパンツ描写なんですが……

感想、評価などお待ちしております。
評価が赤くなっているは場合は通常の三倍のスピードが出ます

ねくすと(次は呪いとか祟りとかなんとかしてみた話)

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