霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して! 作:みけさんわーきゃっと
移植
博麗神社にて――
「おっにいっさまーっ!」
と、満面の笑みでさわがしく駆け込んできて、そう叫んだのはフランドールである。
だが、出迎えたのは、この博麗神社の主、霊夢であった。
「アイツならでかけたわよ?」
その言葉を聞くと「すとん」と憑き物が落ちたように真顔になってフランドールは返す。
「なんだ、霊夢しかいないの?つまんない」
「なんだとはまた言いぐさね……」
「だって霊夢だし」
にべもない。
「あんたねえ……ちょっとアイツいないとき変わりすぎじゃない?」
「しょうがないじゃない「人間にそう望まれて」るんだから……私だって人外だよ?」
「一応私だって人間なんですけどね」
妖は人間の思いによって形作られている、だからこそ「それ」が供給されなくなった妖は忘れられ、幻想郷に来るのだ。
「霊夢はどっちかというと「こっち側」じゃない。まあ人間は人間だけど……お兄様は「向こう側」のまま人の理を踏み越えつつある稀有な存在だよ?霊夢にだってそれはわかるでしょ?」
「正直私からするとまだ人間やってることのほうが驚きなのよね、アイツ……」
酷い言われようだが本人は目をそらしているのか天然なのか、はたまた比較対象が悪いのか「この程度ならまだ人間」と思っている節がある。
――人間は「治せるから腕もげても大丈夫」とかは思ったりしないし(そもそももげた時点でショック死すらある)貧乏神、疫病神の厄を一身に受けて「運が悪い」程度では済まない(大抵致命的な事故などで命を落とす)
明らかにおかしいが――
「でもお兄様は紛れもなく人間だよ?」
人外たちからすれば確実に人間なのである。
とくにフランドールや華扇などは「人を食べる」性質上それが人間かどうかは本能レベルで分かるので……
「映姫も人間なのは間違いないって言ってたし、そこはわかるんだけど、納得はできないのよね……」
むしろ常識人に(時々常識が行方不明になるが)近い霊夢のほうが困惑してしまうのである。
「例えば私、今身体的には人間だけど、それでも「人間じゃない」んだよ。でも、お兄様は借りててもちゃんと人間なんだよね」
フランドールは吸血鬼の特性を彼に「全部貸す」ことによって人間のように生活できる。
ちなみにこの前「心の帳面の文字をダブルタップでオンオフ切り替えれることが判明した」とか言っていたが、理解してくれたのは東風谷早苗だけである。
「どこから人でどこから人でないかってのは……正直私にもわからないわね。私は人間だけどくくりで言えばそっち側にされることも多いしね」
「この状態の私とお兄様が子供作ったら人間になるのかなー?」
「ちょっ!?フランあんた!?」
「霊夢?人間の時間なんてあっという間なんだから、ほんの十年もこのままにしてたら子供ぐらい、私も産めるようになるよ?」
「だから何よ」
「わかってる癖に聞くのはみっともないよ、霊夢」
そう言ってフランドールは帰って行った。
不機嫌な顔の霊夢を残したまま。
「むぐむぐ」
「ん?何をくろうておるのじゃ?」
屠自古が自室で食事をとっていると布戸がひょっこりと顔をのぞかせて屠自古に問うた。
「むぐ……!人の部屋に勝手に入るな!それにお前は昨日食べただろう!」
「昨日?」
「宴会の残り物だそうだ、先ほど奴が持ってきたので食べてるんだよ」
昨日の宴会は、神子と布戸は出席したものの屠自古は留守番として道場に残っていたのだ……布戸が留守番を押し付けたともいうが。
「あー、そうか……ん?」
食べてるところを見て訝しむ布戸。
「なんだ?まだ何かあるのか?」
そう言いながら、おにぎりを口にし、おかずとしてわかさぎの南蛮漬けを口にする屠自古。
「我それ食べてない!というかそんなもの宴会に出てないぞ!?それに握り飯じゃなくておにぎりじゃと!?」
幻想郷では握り飯とおにぎりは別物扱いである。
といっても「海苔を撒いてあるかどうか」という違いだけだが、海のない幻想郷では贅沢さの度合いがものすごく変わってくるのだ。
「ん?ああわかさぎの天ぷらが余ったから痛まないように酢につけたといっていたな、握り飯もそのままだとかたくなるから海苔をまいたとか」
そう言いながら今度はタルタルソースのかかった甘酢から揚げを口にする屠自古。
「それもなかった!」
「まあ、同じ理由だと思うぞ?酢で傷みにくくしてあるのだろう」
そしておにぎりを一口「うむ、うまいな」といいながら箸休めの昆布とシイタケの佃煮を口にする。
「昆布にシイタケじゃと!?そんな高級品昨日は影も形もなかったぞ!?」
「シイタケ栽培は私も手伝っているからな……あと、布戸よ、いい加減煩い。私は食事はゆっくりとしたいのだ、わかるな?」
軽く髪をスパークさせながら屠自古が凄む。
が、その程度でおとなしくなる布戸であるわけもなく――
「屠自古ばかりずるくないかの!?そもそもあやつ、異常に屠自古に甘い気がするんじゃがの!」
正確には屠自古に甘いのではなく布戸に厳しいだけである。
ただ屠自古にもやや思い当たる節があるのか布戸に答える。
「奴はアホみたいな行動こそするが、基本的には真面目で相手にもそれを求める男だと私は思っている。つまり私に優しいのではなく、私が基本的には真面目だから、それに対して気を使うというか誠実に返してきているだけだと思うぞ」
セクハラはともかくな――屠自古はその一点はあえて語らないことにした。
「んん?つまりどういうことじゃ?」
「貴様が不真面目だから適当に扱われているということだ、猛省しろ」
と、にべもない。
「酷くないかの!?」
「お前の所業のほうが酷いから私からは何とも」
ちなみに屠自古の肉体がなくなったのは布戸のせいである。
そう考えると屠自古の布戸に対する態度は、これでも仏もかくやの心の広さなのである。
「な、なあ屠自古や、我に「やらんぞ」食い気味にっ!?」
「先ほども言ったが昨日たらふく食べただろ?確かにここにあるものは食べてないようだがそれは結果論だろうが」
そう言って食事を続ける屠自古であったが――
「さてと」
食事を終え別の包みを開ける屠自古――
「ほう……すふれちーずけーきとは斯様なものであるか」
「あーっ!?それ!それなんじゃ!?見たことすらないぞっ!?我もー我にも食わせてたもれー!」
「クソやかましい!!」
「あんぎゃー!?」
ついに我慢の限界に達した屠自古に雷撃を喰らう布戸であった。
「ん、来たぞ」
「おや、寺子屋に来るとは珍しいな」
「たまにはいいかと思ってね」
慧音を訪ねて来たのは妹紅である。
普段はもっと遅い時間に来ることが多く、またそのまま酒場などに行くことも多い。
「しかし、惜しかったな」
茶を出しつつ慧音が言う。
「何が?」
「昨日来れば彼がいたよ」
「……それは本当に惜しかったね」
現代社会では不審者極まりないが、なぜか彼は寺子屋の子供たちにおやつを頻繁に配りに来るのである。
咎めるものがいないので放置されてる感は否めないが、まあ、子供たちにとっても嬉しい事なのであろう、おおむね好意的に受け入れられている。
「慧音ばっかりずるい気がするんだ」
迷いの竹林には彼はあまり来ない。
「まあ人里に用があればついでで覗きにこれるからな、ここは」
「むー」
「はは、そうむくれるな。それに仮に彼が妹紅の家に来たところで話はあまり弾まないのではないか?」
「まあ、そうなんだけど……でも、なんというか「そう」あるのを受け止めてくれているような感じはするんだよ」
「とはいっても、いい加減もう少し饒舌になってもいいのでは?」
慧音が指摘した通り、この妹紅、彼といると急に言葉が少なくなる。
もちろんそれには訳があり――
「だって緊張する……!」
「緊張する人間は卑猥な事は言わないと思うのだがね?」
言葉少なくなるが、普通に性的なことは言うのである。
「せ、精いっぱいのアプローチ……」
「あれがアプローチならこじらせすぎだ、馬鹿者。輝夜も永琳もそうだから、なんだね?蓬莱人は性癖が歪んでいるのかね?」
「あれらと一緒にしないで!」
「そう言われても、なかなかに皆酷いぞ?ただその中でも妹紅はちょっとやりすぎだと思うぞ?」
輝夜は彼の使ったものを収集する癖がある。特に箸や匙などはかなりたくさん収集しているしタオルなどもこっそり持ってたりする。
永琳はマーキングである。無駄に体を擦り付けたり、彼の上着を借りて身に着けた後返したり。
なんなら文字通り唾をつけたりするのだ。
ちなみに妹紅は寝込みを襲う。寝ている間のイタズラが大好きなのだ。
なんだかんだ言って彼との性行為に一番近いのは妹紅であるかもしれない。
なにせ手コキの段階までは成功しているのである。
「半万年処女に言われたくないかな」
「それは禁止ワードだろう!?私だって好き好んで処女じゃないんだよ!」
思わず叫ぶ慧音。寺子屋は終わっているがまだ夕暮れ前で人通りもある。
外に聞こえて彼女の尊厳が破壊されないか心配である。
「でも慧音だって一緒に色々したのに」
「お酒って怖いな……」
妹紅に言われて遠い目になる慧音。
大抵酔って彼が寝ているときは慧音も結構飲んでいるので、勢いのまま妹紅に勧められるまま流されて、接吻したり舐めてみたりは慧音もしてしまっているのだ。
「だいたいそういうことできるんだから慧音も準備万端じゃない」
「……嫌いではないんだよ、いやむしろ好ましい部類ではあるのだが」
慧音は寺子屋の先生をしている以上男児たちの「初恋」の相手になることは多い。
大人になった後告白してくる人間も少なからずいる、が――
実績は半万年処女である。
「だが、なんというか、流されるのは癪なのだよ、それに私とてやぶさかではないのだ、だが、こう、その、なんだね、私を求めてほしいというか、その、わかるだろう?」
「私からすると慧音も相当こじらせてると思うわ」
慧音は壁ドンとかされると断り切れないタイプである、というか壁ドンされたい感じの人(?)なのだ。
だが、教え子たちは慧音に思慕の情があるためそうではない――結局のところ流されたいのである。
「まあ私も責められたいとは思う、こう腰をつかまれて逃げられなくされてガンガン突かれたい」
「だから妹紅はなんでそんなに下品なのだ!?」
「違う、自分に素直なだけだよ」
「なお悪い!!」
「なら慧音はどうされたいの?」
「えっと、私の喘ぎ声を接吻でふさぎながら――って何を言わせるんだ!?」
「やはり慧音は同類だ。だからこそ一緒に共有できるとおもうの」
その言葉に対して慧音のとった行動は憮然とした表情ですっかりぬるくなった茶を飲み――
「なんなら私が慧音を責めてもいいな」
全力で噴出したのだった。
「くくく、当たりだなあ!」
「ええ、私好みの少女がいてくれて本当にありがたいです」
「ああ、ゲートキーパーとはぐれてどうなることかと思ったがな!」
ここは紅魔館の玄関口。
そしてそこには二人の男と、レミリア・スカーレット、パチュリー・ノーレッジの両名がいた。
痩せたほうの男はレミリアを抱きかかえるようにしており、大男の方はパチュリーの体を撫でまわしている。
「くっ……」
不快そうにレミリアが呻く。
「暴れないでくださいねえ、今のあなたは単なる無力な少女ですからねぇ」
ねっとりとした口調で痩せた男が言う。
「そうそう、お前の力は俺が奪ったんだからなあ!この強奪の能力でなあ!」
と、大男が続ける。
実際不意を打たれてレミリアが能力を奪われた後はレミリアはただの少女程度の力しか持たず。パチュリーの魔法もダメージこそは与えることができるがすぐに再生されてしまい倒すに至らない。
「レミィの能力、敵に回すと厄介ね……」
乳をもてあそばれながらも、やや眉が吊り上がる程度の不快感しか示さないパチュリー。
実際は頭の中ですでに数千回は縊り殺しているのだが。
「どうやらこの辺りで一番強い魔物の力を奪えたようだな、ツイてるぜ!」
「私はその相手が美少女だということがとてもついてると思いましたね、あと、もう一人が魔法使いだということもね」
もう一人の相手は魔法を無効化するのか先ほどパチュリーの放った魔法を平然と受け止めて無効化してしまった。
本来ならこういう時に頼りになるはずの咲夜も美鈴も現在不在である。
だからといってこの二人は敵に回していい相手ではないのだが――
(ねえ、パチェ、そろそろ私不快なのだけど?)
薄い胸に顔をうずめて興奮している男を見て心底いやそうにレミリアが思念を飛ばす。
パチュリーの思考伝達の魔法だ(なお編み出したのは彼である)
(そうね、私も思ったより不快だわ、でもこいつ、あなたの力を奪っているのでしょう?殺してよいの?消えたりしない?)
(なくなったらそれはそれでいいわ、パチェに主の座を譲ってあげるわよ)
(御免被るわ、私がレミィの下にいるのだって「レミィより弱い」わけではなくて、のんびり本だけを読んで過ごしたいだけだもの)
(言うわね、ならやっておしまいなさい、わが友よ。正直不快すぎて自死を選びそうだわ)
現在服の下に手を入れられている状態である。だが不快さを抑えてあえてレミリアは男の頭をかき抱くようにして胸に押し付ける。
「これは……受け入れてくれたってことでいいんだね!」
と喜び勇む男を冷たい目でみながらパチュリーに目配せする。
(ええ、私もここまで不快だとは思わなかったわ、彼なら平気なのにね)
パチュリーは直尻もまれ中である。
「ねえ、あなた?」
「どうした?めっきりおとなしかったから観念したんだろ?なあに俺はこう見えても女の――「
パチュリーが放った攻撃はごく小さい一瞬の一筋の光。
だがそれを受けた腕から侵食するように崩壊が広がっていく。
「お。おい。俺が悪かった!だから――」
腕が崩壊し拘束から解き放たれたパチュリーが酷く冷たい声で言い放つ。
「強奪……ね。それの下位互換を持ってる人間を知っているけど、彼はもっと強いわよ」
おそらくだが彼ならあたった腕を侵食が体に及ぶ前にためらいなく切り落とすだろう「そういう判断」ができる男なのはこれまでの付き合いでよくわかっている。
男が口をなくし声にならない声をあげながら意識が消失するのをみてパチュリーは一言だけ叫ぶ。
「レミィ!」
「グングニル」
レミリアに頭を抱かれ、聴覚も視界も封じられたまままさぐっていた男は、相方が消滅するのに気がつかず、そして力の戻ったレミリアに肛門から脳天までグングニルで貫かれた。グングニルは物理攻撃なのである。
彼にとって幸せだったのは、死の恐怖もなく、美少女の胸で死ねたことだろうか。
「極めて不快ね」
レミリアが吐き捨てる、乳房を直接こねられるなどあの男にも許したことはないというのに――と。
「同感だわ」
何も知らない女というわけではないがそれでも人生で1.2を争う不快さだったとパチュリーは思った。
ただ触れられているだけなのにあれほど不快とは――あの男とならば重なったまま一晩過ごしても苦にならないというのに。
「それにしてもアレ、なんなの?私ですら当たれば危ないのではなくて?パチェ」
「言ったでしょう?下であるつもりはないって。でも、まあ彼ならなんとかできるレベルの大したことない魔法よ、レミィ」
そう笑いながら嘯くパチュリー。
なお、後ほど効果を説明して彼に向けて撃ったところ(ちなみに「シャレになってねえ!?」と猛抗議された)、速度が大したことない(それでも投石以上には早い)ため二射目ですぐに「大量の砂を巻き上げてそれにあてて無力化」とか言う本当に何とかしてしまう想定外の対処をされて「ええ……」とドン引くことになるのをまだパチュリーは知らない。
「体を清めたいわね、咲夜が戻ったらお風呂に入ろうかしら」
「あら?私はむしろ上書きしたい感じだけど?」
「なら私もお風呂に入れてもらいたい感じね」
お互いに「誰」の言葉はないが考えている相手は同じ人物である。
そうして身づくろいしながら雑談していると――
「ごめんなさいね、少し手間取ったわ」
「お嬢様!?いったい何が!?」
「哎呀……門番としてこれは失態かも」
スキマを通って咲夜と美鈴、そして紫が現れた。
「侵入者よ、で、紫。片付いたのかしら?」
「ええ、向こう側からこちらに穴を開けて渡って来たみたいね、そこそこ規模が大きくて二人を連れていって正解だったわ」
あいてが魔術結社なりなんなりの場合、異能を主体とした戦いは時には完全に対策されていたり効かなかったりする、パチュリーではなくこの二人が助っ人として選ばれたのは物理的な攻撃力があるためだ。
「あとはこちら側にアンカーとして召喚師がいるはずだけど……あら?」
スキマを周囲に展開し覗き込むようにしていた紫が何かを見つけたように目を見開く。
「どうやら始末がついたようね」
と楽しそうに笑う紫を見て、何が起きたか察せられる程度には、ここの面子は愚鈍ではないのである。
「咲夜、彼を呼んで来なさい。お風呂に入りたいわ。紫、迷惑料よ、スキマで咲夜を送って、またこちらに彼と一緒に戻して」
「はい、ですが『それ』の片づけは?」
と貫かれた死体を見やる。
「いいわよ、こんなもの飲むに値しないわ。紫、ついでにこれも始末しておいてくれる?」
「適当な妖怪に与えておくわね、スキマはしばらく開けておくわ、私も彼と戯れてささくれた心を癒したいところだけど……穴開けられた大結界の修繕があるから」
ちなみにこの後霊夢も呼び出されることになる。
ねくすと
-
魔理沙とデートした話
-
決戦!星海恐怖異変
-
因幡の白兎した話
-
屋台で駄弁るだけの話
-
人里で遊んだ話
-
新聞記者に振り回された話
-
白蓮ちゃんと愉快な仲間たち
-
かわいいクソガキに子分にされた話
-
神奈子ちゃんにシゴかれた話
-
邪仙が甘やかしてきた話
-
本編
-
二刀流の剣士とやりあった話
-
永遠亭で永琳ちゃんの苦労を知った話
-
山姥に小料理屋を始めさせてみた話