霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!   作:みけさんわーきゃっと

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すぺっち ID:Z9jNKwLY様、紅憂様、なさちら様、ベルベル人様、Eureka29様、カワックス様、空草様、名無し ID:gdUARxiU様、ショショ様、シェフZ様、一般通行様、読み専太郎様、kinoppi様。感想ありがとうございます。
そろそろここに書くのが大変になってまいりました、嬉しい悲鳴です。

今回はかなり昔の話。
主人公ははっちゃけきれていませんし、エロにも覚醒していません。
いつもと違う感覚になりますが、お付き合いください。


俺に妹がたくさんできた話

「さーてと、確かこれで作れたはずだが」

 

霊夢ちゃんが魔理沙ちゃんと一緒に異変?とやらの解決に向かったので暇になった俺は趣味の料理をしていた。

まあ、趣味と言ってもそこまで上等なものではなく、世の中の奥様方に比べれば大した腕前ではないだろうと思うが。

レシピ類は意外に無縁塚に本が転がってたりする。

霖之助も小鈴も欲しがらないタイプの本なので時々読めない達筆でかかれているものや明らかに材料が手に入らないもの以外は重宝している。

 

この前仲良くなった鬼の萃香ちゃんのお陰で、いくつかの食材を加工することができるようになったのでだいぶ現代に近い料理が作れるようになってきた。

 

ちなみに萃香ちゃんは一言で言うならのんべの幼女鬼だ。

大きい二本の角が特徴で、めっちゃつかみたくなる。ちょうどつかむのにいい形してるんだよなあ……

幻想郷の住人の例にもれず、年齢不詳で長生きしているみたいだが、見た目が小柄なので俺は可愛い子扱いしている。

あとパンツも幼女パンツだったけど、俺がパンツに興味を示すとめっちゃ見せてくるのはやめてください、霊夢ちゃんの圧が怖いんです。あとたまに履いてないとか変な性癖に目覚めてしまいます(敬語)

 

霊夢ちゃんは「それ、山の妖怪も恐れる鬼なんだけど」とか言っていたが、時々圧を感じるようなことはあるけどそこまで怖くはない(正直脱衣籠の霊夢ちゃんのパンツを手に取って衝動的に嗅いでしまった瞬間を目撃した霊夢ちゃんの圧よりよほどぬるかった)なお、霊夢ちゃんはため息一つで「ま、トチ狂って私を襲わないならいいわ」と許してくれた(だがパンツは回収された)

 

それで手に入るようになった新素材、コーンスターチと片栗粉。

それと各種かんきつ類のしぼり汁(濃縮済み)

そして命がけで手に入れたいくつかの色素だ。

 

花を煮て色を取り出して、萃香ちゃんに密にしてもらって手に入れる方法はあってたのだが、風見幽香とかいう、花の妖怪?妖精?にめっちゃ追い回された。

 

死ぬ思いで博麗神社まで逃げ帰って(霊夢ちゃんが飛ぶ力を貸してくれていて助かった)霊夢ちゃんに助けを求めたのだが不在で死を覚悟したところ、俺の作った発酵堆肥を見つけて。「これはお前が作ったものかしら?」などと聞いてきて(さすが植物妖怪?)結構な量を持っていく約束と引き換えに見逃してもらえた。

 

見た感じはタイプの妖怪なんだが、目つきと圧が鋭くかなり恐怖した。

幻想郷に来てからのかなり上位の死を覚悟した瞬間だった気がする。

 

怖い人?ではあるが、それでも今回のお菓子を持ってご機嫌伺いにはいくつもりだけど。

花は無駄になったのではないってことを見せないとな。

 

 

まずはコーンスターチに片栗粉を少し入れてそこに砂糖(紫さんからしか手に入らない貴重品!)を入れて、綺麗に混ざるまで混ぜていく。

重曹もあると食べるときにしゅわしゅわするらしいけど、ないものはしょうがない。

試作したところ十分うまかったので、これでもいいと思う。

 

結構大量に作るつもりなので割と手間だ、食い始めるとあっという間だからな、お菓子って。

 

結構な量の原材料を混ぜ合わせた後、いくつかに分けて色素と柑橘の濃縮汁を混ぜたものをなじませていく。

全体に綺麗に水分が混じって、握ると固まるぐらいになったらうどんげちゃんにもってきてもらった丸薬盆(中に素材を詰め込むと丸く成型されるお盆、穴はいっぱいあって薬の大量生産に使う)で、丸く成型していく。

 

出来たものは崩さないように並べて……

懐から古びてはいるが、汚れ一つない謎の帳面を取り出し開く。

一から十まで漢数字が振ってあり、その下には空欄や文字の書かれた欄がある。

一と十の下の空欄は、読めない言語で書かれていて、何が書いてあるか俺にも不明で小鈴の能力でも不明である。

二の欄の下には「空を飛ぶ程度の能力」と書かれており三の下には同じように「道具の名前と用途がわかる程度の能力」四の下には「魔法を使う程度の能力」と書かれている。

 

霖之助にこの帳面を見てもらったところ、ここに記入したものを借りることができる能力を発動するアイテムらしい。

記入は自分の意思でなくてはならず、新月になると一と十以外は空欄に戻ってしまう。

 

この帳面の一と十が特別枠になっていることから霖之助は俺に「(にのまえ) (つなし)」と名付けた。

センスがあるのかないのかわからんわ!?

あとそういう読み方するとは全然知らなかったわ!

 

……気持ちはありがたいが正直反応しづらい名前なので、霊夢ちゃんは今も変わらず俺の事をアンタと呼ぶ。

そっちの方が俺も反応しやすいしなによりも霊夢ちゃんと仲良しな感じがしていい。

 

使う能力を切り替えるためには帳面を開く必要がある、なお、この帳面はマスタースパークの直撃を食らって(魔理沙ちゃんいい加減許さんぞ)も汚れ一つつかないため、防具として常に懐に入れてある。

 

なんとか破壊しようと魔理沙ちゃんがむきになっていたので魔理沙ちゃんが飛行中にドロワーズをガン見し続けながら冷やかすという報復をしたところ分かってくれた。

 

 

 

つまり魔理沙ちゃんをわからせたわけだ(意味違)

 

 

 

 

 

魔法を使う能力に切り替えて、弱い炎で乾燥させようとしたら……

 

 

 

ごおっ!

 

 

 

火事になりかけた。

なんだこの0か100しかない出力!?

おかしいだろ!?

っていうかよくこんなガバなので通常弾幕打てるな魔理沙ちゃん!?

 

二、三回試したが、発動した瞬間に高出力になり、弱めると消えてしまうため、ちょっと俺には(多分幻想郷のだれにも)扱えないと思うので、あきらめて霖之助が作ってくれたマイクロ八卦炉という名のコンロで石を焼いて、焼いた石を入れた付近に置くことで乾燥させる方法(本来の丸薬の作り方)で作ることにする。

くそっ!魔理沙ちゃんのせいでひと手間増えた!お菓子あげないでおこう!(理不尽)

 

 

 

乾燥させてる間にもう一つ

砕いた芥子の実(幻想郷は芥子も大麻もその辺に自生している。魔法薬などの原料になるらしいが恐ろしいところだ)をフライパン(鍛冶屋のおっちゃんに作ってもらった)に入れて、濃い砂糖液をかけながら焦がさないように煎り付けてささらで転がし、また砂糖液をかけ……を延々と繰り返す。

5,60回ぐらい同じ作業をして完成だ。

本来の作り方よりは大分雑だけど、これでもできることは実験済みだ。

これに果実の汁や花の色素などで色を付けた別バージョンも作る……夕方までかかるなこりゃ。

 

 

夕方。せっかく濃縮液があるのでついでに水あめも飴玉にしてしまおう。

麦芽水あめは癖があるから果実液入れたらどうなるかと思ったが、意外にいける。

こいつは熱いうちに何度も何度も飴を弄りまわして成型するので結構クソ熱い作業だが、ここまできたらテンションがおかしくなっていたのか一気に作業してしまった。

 

一日中火を扱っていたので今日だけで俺、水を6リットルは飲んだ気がする。

 

 

夜になった。

霊夢ちゃんはまだ帰ってこない。

寂しくなって霊夢ちゃんの妄想で埒を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、昨日作ったものを瓶詰(無縁塚の飲料、薬品ボトルなどの再利用品)していると、名もなき妖精がふよふよと飛んでいるのを見かけた。

チルノとかルーミアとか特徴のある妖精の他にも量産型と言ったら失礼だけど、そういう見分けのつかないような妖精が幻想郷では多々見られる。大きさも小さめだったりして可愛い。

 

霊夢ちゃんは「邪魔だったら潰しちゃっていいわよ、また湧くし」とかすごいこと言ってたけど、流石に蚊とかじゃないんだからそんなひどいことはできない。

何よりも意思疎通できる生物に容赦なさすぎるだろ。

 

ちっこいタイプの妖精に声をかけて手招きする。

 

「なにかなー?おにーさん」

 

「ちょっとこれ食べてみてくれる?」

 

と昨日作ったラムネを一個(それでもこの妖精にとってはミカンレベルのサイズだが)渡して感想を聞いてみる。

 

 

「何これー?」

 

「おかしだよ、美味しくなかったら残してもいいからな」

 

「わかったー」

 

はくっと、ラムネに噛みつく妖精とそれをかたずをのんで見守る俺、サイズ差があるから微笑ましいけど、現代だったら通報待ったなしである。

 

「これ!おいしー!」

 

「おう、そうかそうか、こんなのもあるぞ」

 

嬉しくなった俺はふたつめのお菓子、金平糖を渡す。さすがに飴玉は無理だと思うけど、これならかじって食べることもできるはず。

 

「んー……甘くておいしいけど、ちょっと固い」

 

「あー、ごめんな」

 

小さいサイズの妖精だと口の中で溶かすことはできないので、食べづらいようだ

 

「でも甘くておいしいよ、ありがとーね、おにーさん」

 

「あ、これお土産な」

 

とラムネを二つほど持たせてやる。

 

「えっ!?いいの?ありがとーやさしーおにーさん!」

 

「はっはー、いいってことよ」

 

たかだかラムネ二粒でえらい喜びようだな……

と、ほっこりしながら名もなき妖精を見送った。

これがあの事件の発端になるとは、俺はまだ思いもしていなかったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、霊夢ちゃんはまだ帰ってこないし、どーすっかなー」

 

瓶詰もあらかた終わりやることがなくなる。

今残ってるのは瓶に入りきらなかった分だ、しける前に寺子屋にでも持っていこうかなと思うが、今の俺は留守番なのでここを離れることができない。

 

異変が解決したら宴会とか言っていたので何か仕込むのもいいのだが、いつ解決するかわからないので無駄になる恐れもあるからあまり先走れないし……と考え事をしていると、斜め上の方から声をかけられた。

 

「ちょっとそこのお兄さん?わたくしにそのお菓子をいただけないかしら?」

 

少し大きめのタイプの妖精が空中にいた。メイド服を着ているってことは紅魔館の妖精メイドってやつかな?

 

「ああ、いいぞ、身体が大きめのタイプみたいだか……」

 

と、座ったまま妖精のほうを見上げると……

ニーソックスとその奥の白い布切れ、パンツが丸見えだった。

ウエストラインに沿って横のラインが走っていて、中央にワンポイントのリボン柄のついているオーソドックスなショーツタイプだ、ただニーソックスとの相性は抜群でメイド服と合わせてものすごくエロく見える。

 

「あれ?どうしたのお兄さん?……なにかわたくしの衣服におかしいところでも?」

 

と、俺がスカートの中を凝視していることに気付いた妖精が……

 

 

 

スカートを全開でまくり上げてなんかチェックしだした。

 

 

 

 

陽光の下で見るパンツはすごいまぶしかった。

妖精メイドは他の妖精より大人びた容姿をしており、ただサイズが小さいだけで外見的にはお姉さんという感じがする。

そして思ったよりも白くてむっちりとした太ももを持つ妖精メイドから俺は目が離せなかった。

よくみると少し食い込んで中央に筋が見えているのもさらに視線を固定する原因になった。

 

しばらく無言で見つめる俺と、パンツ丸出しで身だしなみのチェックをする妖精メイドというシュールな空間が出来上がった。

 

「あ、いや特には、変ではないよ、むしろ可愛いかな?」

 

「あら、ありがとうございますね、それで、そちらを分けていただけますか?」

 

「そうだな、妖精メイドさんは身体が大きめだから飴玉も食えそうだな」

 

と、色とりどりの飴玉をいくつかチョイスして手渡してやる。

 

「綺麗ですね……、では失礼して一つ……んーっ!美味しいですわ!」

 

「おう、喜んでくれて俺もうれしいぞ」

 

パンツも見れたしな。と心の中で付け足す。

 

「あの、申し訳ありませんけど、もう少しいただけないでしょうか……館のみんなにも分けてあげたいので」

 

「ん、じゃあ少し待ってな」

 

と金平糖、ラムネ、飴玉の入った瓶をひとつづつ、パンツ拝見料として妖精メイドにもたせてやる。

 

「こんなに一杯よろしいのですの!?ありがとうですわ!」

 

と、飛びついてきた。

……この妖精メイド、小さいけど大きい!?

ぷにっとした感覚に内心歓喜していると別方向から声をかけられた。

 

「ごめーん、おにーさん!もう少し分けてくれる?」

 

と、さっきラムネをあげた妖精が、他の妖精を引き連れて……結構多いな!?

 

「それではわたくしはこれで、ありがとうございました」

 

と妖精メイドが離れると、代わりに俺の眼前にさっきの小さい妖精が来て後ろを向いて残りの妖精を呼ぶ。

俺の前で後ろを向くもんだからもちろんパンツが……なんだドロワーズか。

ドロワーズも可愛いと言えば可愛いのだが、、いまいち滾らないのはなんでだろうな、同じ下着なのにな。

 

「おう、なんだほかの妖精たちもつれてきたのか?」

 

と、うしろの妖精たちを見ながら、ほぼ同じ顔だが微妙に目つきとかが違うな、正直見分けが……なんか一人(霊夢ちゃんは匹で呼ぶけど酷いと思う)だけ明らかに巨乳で見分けつくけど……それ以外は姉妹のように似ている。

 

「うん、私だけ狡いって言われちゃって……」

 

と申し訳なさそうな妖精。

別に気にすることないのにな。

 

「妖精の食べる量なんてたかが知れてるし、別にいいぞ」

 

と、並んだ妖精にラムネを二つづつ渡していく。

 

途中、妖精メイドにいっぱい渡したのに私たち二個だけー?という不満を言う妖精もいたが(最初の妖精がめっちゃ恐縮してて可哀そうだった)身体が大きいこととパンツ見てしまったお詫びだと伝えたら納得してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから結構時間がたった。

まだ俺は妖精の相手をしている。

 

なんかどんどん増えて行列できてるんだが!?

幸い小さいサイズの妖精ばかりだし「子分」この十倍ぐらいいても余裕で賄える分ぐらいは(ただしラムネがなくなりそうなため飴や金平糖も渡している、砕いて食べれば大丈夫らしい)制作したけど「子分!あたいにも!」だいぶ俺らが食べる分減りそうだなあ「ちょっと子分あたいの言うこと聞こえてる!?」

これだけおにーさんお兄さん「にやけてないでさー、こぶーん!」いわれると妹がいっぱいできた気分だな、見分けつかんけど。

さっき来たルーミアが上空に闇を作ってくれたんで「こーぶーん!」蒸し暑いが日差しが当たらないのはありがたいな。「こっちをむけーっ!」

 

「うるさいですぜチルノ親分」

 

手を伸ばしてお菓子をねだるチルノを完全に無視して、並んでいる妖精たちにお菓子を配り続ける。

 

「ありがとーおにーさん」

 

「おう、じゃあ次の子はどれがいいかな二個迄選べるけどラムネは少ないから一個だけな」

 

「えっといがいがのを二個!」

 

「子分!あたいを無視するなーっ!」

 

「はい金平糖二個だな」

 

「ありがとー人間のおにーちゃん」

 

「おーう、一気に食うなよー」

 

「こーぶーんー!」

 

チルノがしがみついてゆさゆさ俺を揺さぶる。

今日は少し蒸し暑いからひんやりしてて気持ちいいな。

 

「ええ、さっきからなんですかチルノ親分。俺はお菓子を配るんで忙しいんですぜ」

 

「あたいにもお菓子くれよ!さっきからなんでくれないの!?」

 

おれは「はーっ」とわざとらしく大きいため息をつくとチルノと目線を合わせてこう言った。

 

「チルノは親分ですよね」

 

「そう!あたいは最強だから親分だ!人間のお前はあたいの子分!ちったぁ親分の言うことを――」

 

チルノの言葉を遮って俺は言う。

 

「子分は親分に貰うものですぜ、チルノ親分、なので子分の俺はお菓子をあげることができないんですぜ」

 

「え、あ、うーん……」

 

チルノの動きが止まって考え込み始めた。

あいかわらずオバ可愛いな。まったくの屁理屈なのにな。

 

「ありがとーおにいさん」

 

「おーう、またなー」

 

そうこしながらも列に並んだ妖精たちをさばいていく。

カラフルで珍しいせいか金平糖の人気が結構高いな。

 

「えー、あー、うんその」

 

「どうしました?チルノ親分」

 

「子分……にーちゃん、あたいにもおかしちょうだい」

 

と、すこし恥ずかしそうに言うチルノ。

 

はにかむチルノクッソ可愛いな!?

こういうチルノならどんだけでも甘やかせる気がする。

 

「よーし、それじゃあチルノは体が大きいからこれ持ってけ、一気に食うなよ」

 

と、三種のお菓子の詰め合わせた小瓶をチルノに渡すと、めっちゃ目を輝かせながらこくこくうなずいてた。可愛い。

 

「やっとか、待ちくたびれたよ」

 

「よかったね、チルノちゃん」

 

「うん、あたいの子分にーちゃんはあたいの次に最強だな!」

 

リグルと言う新顔(最初男の子かと思った、もちろんお菓子はあげた)と大妖精(とっくに先にお菓子渡していた)と会話しながら列を離れていくチルノ、10分ぐらい粘ってたのはすごいと思う。

あと俺はチルノの物じゃないぞ、強いて言うなら保護者である霊夢ちゃんの物か。

つまり霊夢ちゃんは俺の嫁?

 

しばらく平和に配っていると、行列の途中にぽっかりと空間があり、その空間の中に日傘をさした少女が混じっていることに気付いた。

人形のようにかわいらしい女の子で、なんというか……全体的に赤い。

真昼間なのに寝るときにかぶる帽子みたいなのを被っていて結構短めのスカートからちょっとドロワーズがのぞいている。

 

俺はこの外見的特徴に聞き覚えがあった。紅魔館ってとこの女の子だったはずだ、フランドールとか言ったかな?

たしか……霊夢ちゃんが「危険だから出会ったら逃げなさい」と言ってた気が……

しかし、俺はこの行列を無視できない(謎の使命感)

 

「ありがと、じゃっ!」

 

こころなしか、妖精たちがスピードアップしている。

フランドールに怯えているというかかかわりたくなさそうというか。

そんなに怖いのだろうか?

ただの可愛い少女にしか見えないんだが……そういえば街中で閻魔様が歩いてるの見たっけ、閻魔様も可愛かったけどな。

 

やがて少女の番になった。

 

「ここにきたら、お菓子をもらえるって聞いたの、本当?」

 

「おう、誰に聞いた?」

 

「うちの妖精メイド。気になったから内緒で来たの」

 

「おいおい、結構遠いと思うんだけど、一人で危なくなかったか?」

 

「大丈夫、邪魔なのいたらギュっとするから」

 

ギュッがなにかわからんが、攻撃能力的なもんだろうけど……

 

「それでもフランドールちゃんかわ――」

 

「フラン」

 

「ん?」

 

「フランでいいわ、で人間さん、お菓子はくれないのかしら?コインいっこぐらいなら出すけど」

 

「ん、可愛い子はただでいいぞ」

 

フランドール……フランは怖いというより人なれしてない猫みたいな感じがするな。

びっくりして攻撃してくるタイプか?固いのも緊張しているような……?

ちなみに俺は子猫とかは大好きだ。

 

あとコインは出すものではなく入れるものだな。

 

「私、可愛い?……言われたことないけど」

 

「まあ、どっちかというと綺麗に寄ってる感じだけどな、ほら」

 

と、小瓶を見せて、受け取ろうと寄ってきたフランの頭をぽんぽんしてから撫でる。

 

「あっ……」

 

「よーしよし、フランは可愛いなー」

 

子犬や子猫扱いだが、人なれしてない子犬や子猫にこういうことしてはいけないぞ。

 

「人間さんは私が怖くないの?」

 

「うーん……わからん!」

 

「ほえ?」

 

お、初めて外見相応のちょっと抜けた顔見せたな。

少なくとも俺は危害を加えられてないから、ただのお菓子貰いに来た子供にしか思えない、さすがにそんなのにビビったりはしない。

 

「フランは俺に怖いことするのか?」

 

「痛いこととかしなければしない……」

 

頭を撫でながら俺はさらにフランに問う。

 

「これは痛いことかな?」

 

「えっと……違う」

 

「じゃあフランは俺に怖いことはしないよな」

 

「……でも、私時々、勝手に怖いことしちゃう……」

 

「それはフランがしたくてしてることか?」

 

「違う……けど……」

 

「なら俺はフランは怖くないな、可愛い女の子だな」

 

「でも、もしも、もしも私が怖いことしたら嫌いになるでしょ、みんなそう」

 

「なんでだ?」

 

「ほえ?」

 

うん、抜けた顔のフランは可愛いな、悪い子では絶対ないと思う。

 

「フランはごめんなさいできるか?」

 

「それはできる……けど……」

 

「ならごめんなさいするなら、俺は許すよ。誰が許さなくても俺は許すよ」

 

俺も許されてここにいる感じがするからな、霊夢ちゃんに生かされたときに強くそう感じた。

まあ、そう思いたいだけかもしれないけども、そう思えばここでも生きていける。

 

「本当……?」

 

「嘘をついて俺が何か得するかな?初めて会った女の子にさ」

 

まあ、誘拐とかいたずらとか目的ならわからんでもないが。

フランは現代社会の治安の悪いところなら一時間持たずにさらわれると思うぐらい、可愛くてきれいだ。

 

「えっと、えっちなことするとか?」

 

「誰だフランに変なこと教えたの!?」

 

「パチュリー」

 

「よし、今度苦情言いに行ってやる!」

 

「おうちに来てくれるの!?」

 

なんか、フランがすごい嬉しそうだ。

たぶん、訪問客って少ないんだろうな。

精々が霊夢ちゃんと魔理沙ちゃんぐらいか?

 

「あ、でも人間が来るのはちょっと危ないかも……」

 

あーそっかー………………でも、まあこの子の笑顔曇らせる必要はないな。

 

「大丈夫だ。俺は弱いけど霊夢ちゃん知ってるか?」

 

「博麗の巫女!お姉さまのお友達!」

 

「おう、俺も知り合いだから一緒に今度行くよ」

 

ザ・安請け合い。

また霊夢ちゃんがしかめ面しそうだけど、賽銭入れれば機嫌直るからいっか。

 

「よし、じゃあフラン。紅魔館って妖精メイド以外は何人いる?」

 

「えっと、お姉さまでしょ、咲夜でしょ、パチュリーでしょ、美鈴でしょ……4人!」

 

「よし、じゃあフランの分も入れて」

 

と、小さい籐籠に10本ばかり瓶を詰めてフランに持たせる。

 

「こんなにくれるの?」

 

「ああ、皆で分けるんだぞ、それとその籠は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……?……!うん!わかった!」

 

満面の笑み、めっちゃ可愛いな!

 

「えっと人間さん」

 

「どうしたフラン?」

 

「なま……じゃない、お兄様って呼んでいい?」

 

「おう、いいぞ、可愛い妹ができて俺もうれしいぞ」

 

と、また頭を撫でる。

 

「えへへー」

 

やっべ、今日できた妹がめっちゃ可愛い。

これだけでしばらく頑張れるわ。

 

「よし、俺はまだ配ってるから、気を付けて帰れよ、あと勝手に出てきたこと怒られたら――」

 

「ちゃんとごめんなさいできるわ、お兄様」

 

「よし、偉いぞ」

 

フランを見送って視線を戻すと……行列増えてないか?

 

流石に足りるかどうか不安になってきたぞ、これ。

 

――このあとめちゃくちゃ配りまくった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、帰ってきたら、こんなのになってるわけ?」

 

「いやー、悪いな霊夢ちゃん」

 

結局作ったお菓子のほぼほぼすべてを配って、俺は精魂尽き果てて寝落ちてしまったようだ。

風邪をひかないようにと言う妖精たちの慈悲なのか、なんか落ち葉に俺は埋められていたそうだ。

 

魔理沙ちゃんがなんか落ち葉まとめてあるし焼き芋しようぜ!と芋を持ち出して火をつけそうになったところで間一髪俺がいることを発見したらしい。。

んで事情聴取されたわけだ。

あと、魔理沙ちゃんは後で魔゛理゛沙゛ちゃ゛ん゛は゛可゛愛゛い゛なぁ゛の刑に処す。

(ひたすら可愛い連呼すると魔理沙ちゃんは照れて動かなくなる)

 

「とりあえず明日宴会するけど、大丈夫?」

 

心配してくれてるのか、霊夢ちゃん優しいな!

 

「ん、身体は特に――」

 

「料理作れる?」

 

料理人の心配か!?霊夢ちゃん厳しいな!

 

「まあ、風邪は引いてないし大丈夫」

 

「そ、ならいいんだけど」

 

「あ、そうだ、こちらがポルトガルのお菓子コンフェイトでございまーす」

 

と風見さんの分以外でひと瓶だけ残った金平糖をルイス=フロイスの真似(いや、実際こう言ったかは誰もわからんが)をしながら霊夢ちゃんに献上する。

実際は有平糖というお菓子もいっしょに献上してたらしいがさすがに作り方まで知らん。

 

「ふふっ、なによそのしゃべり方。……ふうん、綺麗なお菓子ね」

 

「結果論だけど想像以上に高くついたお菓子になったぞ、しばらく霖之助のところで丁稚だわ」

 

「アンタって時々後先考えないわね……ん、甘くておいし」

 

甘いものは偉大だな、ニコニコ霊夢ちゃんが見れるんだから。

 

「あー、霊夢ちゃん可愛いなー」

 

「またそんなこと言って。ま、今日は疲れてるみたいだし私が何か作るから、明日頑張んなさいよ」

 

「わかったぞ」

 

 

 

 

 

 

 

夜、霊夢ちゃんの作ってくれたご飯を食べて床につく。

 

――幻想郷にはまだ慣れないし、何も持っていないけど、俺はここで生きていけそうな気がする。

 




お読みいただきありがとうございます。

感想、評価、お気に入り登録などしていただけるとフランが喜びます。

今回は今までと毛色が違いますが根っこは一緒なので、もし今回が合わなくても次話を読んでみてください。

それでは。

ねくすと(次は呪いとか祟りとかなんとかしてみた話)

  • 魔理沙とデートした話
  • 決戦!星海恐怖異変
  • 因幡の白兎した話
  • 屋台で駄弁るだけの話
  • 人里で遊んだ話
  • 新聞記者に振り回された話
  • 白蓮ちゃんと愉快な仲間たち
  • 神奈子ちゃんにシゴかれた話
  • かわいいクソガキに子分にされた話
  • 白玉楼で料理した話
  • 本編

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