魔法少女リリカルなのは 炎雷春光伝   作:しばらく

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5話 strikers

「そんじゃ、説明は任せたぞ。あたしはアイツらに付いててやるから」

 

なのはに続きフェイトとヴィータが紹介を終える。

同じ部隊だろう4名が遅れて合流するとヴィータは指揮のため彼女たちの元へ飛び去っていった。

 

「これから妹さんを連れて戦闘圏から離れた場所に控えている航空機まで退避します。

 殿部隊の到着を待ち、離陸後は私たち空戦魔導師で周囲の警戒を行います」

 

依然戦闘は続いている、部隊員だろう若い魔導師たちが事に当たっている。

優秀ではあるが一人一人の力量は未熟さを残している。しかしお互いの不足を埋める見事な連携だ。

余裕を持ってガジェットの波を押し留めている。

などと考えていると聞き逃せない言葉がなのはの口から発せられた。

 

『殿部隊って…」

 

「この場にはライトニング隊からエリオ・モンディアル三等陸士とキャロ・ル・ルシエ三等陸士を残していきます」

 

「必要ないと伝えたはずですが…」

 

「協力の条件は聞いています。貴方の力量と敵戦力から非現実的な条件ではないとは思いました」

 

そう、実際問題必要ないのだ、強力と評されるⅢ型すら脅威たりえない。

言葉は悪くなるが自分より劣る者に守られる道理はない。

もちろん彼女も不足の事態が発生することを危惧して要るのだろう。

だがレリックを持ち出せば敵にとってこの戦場に価値はなくなる。

 

しかし、と言葉を区切りなのはは続ける。

 

「一人戦場に残す事は考えられません。管理局の指揮下に入っているのであれば尚更です」

 

「それを押しての条件です、八神さんは問題ないと判断したようですが」

 

「理解はしてますが現場を任される身として、受け入れるわけにはいきません」

 

何故そこまでして引き下がらないのだろう。相手にとっても悪くない話の筈なのに。

 

「ぼ、僕たちも足を引っ張らないよう努めます!」

「私も!」

 

「この子達が?」

 

「ええ、エリオとキャロです。まだ若いですが二人とも優秀な魔導師です」

 

ライトニング隊の隊長だと紹介されたフェイトが頷き答える。

敵意はないが強い視線を二人から受ける。必要ないと言われ侮られたと感じたのだろう。

 

「不快にさせたならすまない、でも、そう言うわけではないんだ。

 優秀であればこそ妹を、リオを守って欲しい」

 

「でも、それじゃあ…」

 

かけた言葉に多少の揺らぎはあったが引き下がる事はない。

ーー優しい子達だ

きっと心配してくれているのだろう。

 

「それでも、君があの子を守りたいように私たちも君を守りたいの」

 

「え…」

 

なのはの言葉遣いは隊長然とした物から崩れ、子供に言い聞かせるような口調になる。

しかし向けられる目はより揺るぎなく此方を射抜いている。

守りたい、その言葉を聞き何故か心臓の鼓動が強く鳴る。

 

「……それは…俺が、貴方より強いとしてもですか」

 

「強いとか弱いとかは関係ないよ、私たち機動六課だって守りあって戦ってる。

 だから…守るよ」

 

いつ以来だろう、守るなんて言われたのは…

いや、随分前にも言われた気がする、あれは誰だったっけ。

 

「はぁぁぁ……わかりました」

 

負け惜しみのように大きくため息を吐く、もう何を言っても折れそうにない。

リオと同じだ、あの目をした時の我儘は絶対に通してきた。

それに、このまま問答を続けても時間が無為に過ぎるだけだ。

 

「ありがとうレオン君!」

 

満面の笑みを向けられるが、いささかバツが悪く顔を背けリオの元へ向かう。

 

「この人達が安全な場所まで連れて行ってくれるからいい子に言うことを聞くんだぞ」

 

リオの視線は不安そうになのおはとレオンの顔を行ったり来たりしている。

柔和な笑みを浮かべ頭を撫でるが手を掴む力が緩む事はない。

 

『兄ちゃんは?……兄ちゃんも一緒に行くんだよね!」

 

「俺は残るよ、大丈夫、管理局の人たちがリオを守ってくれるから、兄ちゃんといるよりもずっと安全だ」

 

「でも!危ないよ、怪我しちゃうよ!」

 

「大丈夫だよリオちゃん、お兄ちゃんの他に二人もここに残るから」

 

見かねたなのはが助け舟を出してくれる。

 

「で、でも兄ちゃんドジだし、いつも箪笥に小指ぶつけて騒いでるし、怠け者だし、

 あと…あと…あ、足くさいし!残っても邪魔なだけだよ…」

 

「心配なのはわかるけど、めちゃくちゃ言うなぁ。いつもそんなふうに思ってたのか…」

 

「あ!そうじゃなくて、えっと、うぅ〜」

 

どうしたものかと悩んでいると、

ちょうど撃ち漏らしたガジェットⅢ型が此方にアームを伸ばしてくる。

すかさず他の魔導師がフォローにまわるが、それを念話で止める。

 

「兄ちゃん後ろ!」

 

「大丈夫だーー」

 

背後から迫り来るアームを掴み一気に引き寄せる。

重量を感じさせず近ずく躯体に潰すように上から拳を叩きつける。

魔力で強化されたのみの術式も解さない純然な力のみで装甲を砕く。

ニヤリと広角を上げ悪戯っぽい笑みをリオに向ける。

 

「兄ちゃんは強いからな!」

 

「う、うん!」

 

一瞬呆気に取られるが此方の笑顔に釣られリオも笑顔を浮かべる。

もう大丈夫そうだ、安心して非難してくれるだろう。

なのはがしゃがみ視線を合わせ一言二言と会話を重ねた後に抱え上げる。

 

「いいお兄ちゃんなんだね、君は」

 

「あ、いや、まぁ…たった一人の大切な妹ですから」

 

フェイトに声をかけられ周りからの視線に気づく。

みんな一様に生暖かい目を向けており顔に熱がのぼる。

 

ーーなんて恥ずかしいことを言ったんだ、俺は…

 

 

「と、とにかく。リオをお願いします」

 

「はい、必ず無事に届けます」

 

和む空気を切り替えるように神妙な顔を皆に向け頭を下げると、

頭の上から柔らかくとも揺るぎないフェイトの声が聞こえた。

その遣り取りを皮切りに各人行動に移す、なのはとはやては通信でやりとりを始め、

フェイトは戦場に加わりガジェットの間引きを始める。

自分も突っ立ってはいられない、やるべき事をやらねば。

 

「モンディアル君にルシエさんだったね、さっきは駄々をこねてすまなかった。」

 

「いえ、あと僕のことはエリオって呼んでください」

「私もキャロで大丈夫です」

 

「なら俺もレオンで構わないよ。それはそうとして今後の動きについて決めておこう」

 

「「はい」」

 

軍人の気質か素直さからか歯切れのいい返事で二人が答える。

本来であれば向こうが指示をする側であるため自分で仕切るのは気が引けた。

しかし反発がないようで一安心だ、今も潜んでいる敵の動きに備え指揮権は持っておきたい。

 

二人の戦闘スタイルは先程見させてもらった。

エリオは高い機動力と魔力変換資質を生かした突破・殲滅型だ。

キャロは補助魔法による援護と召喚魔法で使役している竜を起点にした攻撃。

つまり取るべき戦略は、

ーーわからん、組織で戦ったことなんて1度もないんだ、戦略なんて思いつかないよ…

であれば、いつも通りやってもらうのが良いだろう。

 

「恥ずかしながら今まで一人の戦いしかして来なかった物で、君たちに合わせる自信がない。

 だから完全に分けてしまおう、二人は普段通りお互いの動きに合わせればいい。

 そして俺もいつも通り一人で戦う、どうだろう?」

 

「僕は構いません」

 

「あのぉ、支援魔法もレオンさんには掛けなくてもいいんですか?」

 

「ああ、構わない。…それで問題ありませんか、はやてさん」

 

『まぁ…そうやなシンプルやけど現状はそれが一番やろね』

 

通信を繋げながらも口出ししてこないはやてに確認をとる、と何故か落胆気味に答える。

ーー何を期待してたんだ、この人は

 

『ちょうど向こうも準備できたようやし、妹さんに声をかけるなら今のうちにな』

 

「いえ、もう大丈夫です」

 

『ほんまに?』

 

改めて確認されるがやはり言い残した事はない、どうせまたすぐ会うのだ。

此方に視線を向けるリオに親指を立て答える。

 

「ええ」

 

そっか、と返しはやての表情は柔らかい笑みから真剣なものに変わる。

 

「それじゃあ、スターズ部隊及びフェイトちゃんはレリックと民間人を護衛して即時退避、

 残りのライトニング部隊は協力の嘱託魔導師とその場で敵戦力の足止めを。ーー状況開始や!』

 

「「「「了解!」」」」

 

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