ワンパン聖女〜追放されたのでとりあえず世界旅行します〜 作:ちゃんエビ
今夜の宿を決めるという本題から脱線して話が進まないアリシア達
そんな中物理攻撃に訴える聖女に慌てふためく一行は
「エリシア!今のアリシアを止められるのは最早お前しかいない!頼む‼︎」
「え?ゴットハンドの凄いところ見てみたい♪ジェイクさんファイッ‼︎」
「いや、無理だから‼︎」
「エリーちゃん‼︎アーちゃんの全力パンチはこの街を更地に変え巨大なクレーターを作る事なんて朝飯前です‼︎冗談言ってないで早く止めるです‼︎」
「しょうがないなぁ・・お姉ちゃん殴っちゃ駄目だよ?蹴りで我慢しよう?」
「いや‼︎どっちも変わらないです‼︎」
「そんな事言っている間にアリシアの奴、拳を思いっきり鳴らしてるんだが‼︎何?なんなのアイツ?物理的に訴えて来る系聖女か?」
「え?今更?お姉ちゃんは自称普通の聖女を騙る完全なる脳筋系撲殺聖女だよ?」
「その通りです‼︎以前聖騎士団のヒュドラ討伐に同行したのですが!って‼︎そんな悠長な事言ってる場合じゃないです‼︎」
「ピンクの‼︎だいたいお前がアリシアに変なこと吹き込むからアイツが無自覚チートを勘違いしたんだろうが!責任取りやがれ‼︎」
「はい?何言ってやがるです‼︎サンちゃんは冒険者ランクとモンスターのランクしか吹き込んでないですよ‼︎自分の実力をクソ雑魚認定しているのはアーちゃん自身です‼︎そんな事までサンちゃん知らないです‼︎」
「はいはい‼︎ジェイクさんとサンちゃん、くだらない責任の擦り付け合いは見苦しいよ?まぁここは聖女エリシアにお任せあれ!ってね」
「聖女らしさ全くないですが、この場はエリーちゃんに任せるです」
「お姉ちゃん‼︎サンちゃんが私を苛めるよぉぉ‼︎」
「ぴぃぃぃぃぃぃぃぃ⁈アーちゃん!サンちゃんのライフはとっくに0です‼︎」
「ふふっ♪」
「やっぱエリシア腹黒いな‼︎」
「ねぇ?お姉ちゃん?お姉ちゃんってSSランクのモンスターはワンパン出来るよね?まぁSSランクは糞雑魚モンスターだし?普通の聖女のお姉ちゃんでも一撃で倒せるんだろうけど・・ジェイクさんもSSランクだよ?つまりジェイクさんは冒険者としては糞雑魚のへっぽこ冒険者‼︎お姉ちゃんのパンチで木っ端微塵になっちゃうと思うんだよね?エリシアはね?SSランクの糞雑魚冒険者を苛めるお姉ちゃんは見たくないよ‼︎」
『・・そうですね・・確かにジェイクさんはSSランク冒険者!ここは聖女として寛大な心で許してあげましょう‼︎ジェイクさん?慈愛の心を持つ真の聖女、エリシアに感謝してくださいね?」
「・・・あ、ああ・・・エリシアありがとな」
「ここまでコテンパンに打ちのめされるSSランク冒険者さん初めて見ました・・なんていうか・・ドンマイです」
そんな騒ぎを遠巻きに見つめるレックス
騒ぎに巻き込まれたくないので距離を置いたレックス
「早く野営しろ」
と投げやり気味に密かに呟くのであった
アリシアです‼︎
色々と話が逸れてグダグダになりましたが、レックスさんが早く帰りたいオーラを撒き散らしていたので私達はベルナンド郊外の空き地で野営の準備を始めました
因みにジェイクさんは少し距離を開けて野営します
「さて・・ではサンちゃんはそろそろ戻ります!」
え?サンちゃんも一緒に野営する流れではなかったのですか?
いきなりこんな事言われるとは思いもしませんでした
「サンちゃん戻ってしまうのですか?」
「はい!サンちゃんは天使!いつまでも現世に顕現する訳にはいかないのです‼︎」
「そうですか・・ではそのまま天界に帰ってしまうのですね!サンちゃんお元気で‼︎」
「ちょちょちょちょちょ⁈サンちゃんの戻る場所はアーちゃんの中!だってサンちゃんはアーちゃんの守護天使だもん‼︎天界には帰らないもん‼︎なんか流れで天界に追い返そうとしてません?アーちゃん?」
え?・・・いや・・・そんな事・・・ないですよ?
「目が泳いでますよ‼︎アーちゃんとサンちゃんはズッ友だもん!マブだもん‼︎ずっとアーちゃんと一緒にいるもん‼︎」
サンちゃんって私の事になると口調変わりますよね?
「なぁ、おい!そのピンクのガキ天使だったのか⁈」
「ピンクのガキって言うなです‼︎こう見えてサンちゃんは天使の中でも格上の存在‼︎本来なら人間が気安く話しかけられる存在ではないのです‼︎」
確かにそうですね!だったらサンちゃんも気安く話しかけないでくれます?
「確かにサンちゃん、いえサンダルフォンは高位の天使!私達人間が気安く話しかけられる存在ではありません!いえ、寧ろ姿を見せる事すら滅多にない存在!ですので私達に気安く話しかけられるのも困ります‼︎
だからもう話しかけないで下さいね?」
「ぴぃぃぃぃぃぃぃ⁈アーちゃんごめんなさぁぁぁぁい‼︎サンちゃんはその辺に生える雑草のような存在ですぅぅ‼︎だから気安く話しかけてぇぇぇ‼︎」
「コイツ天使としてのプライドねぇのかよ⁈」
サンちゃんに天使としてのプライドがあればこんな醜態晒しませんよ?ジェイクさん‼︎
「ふふふ〜ん♪サンちゃんにも天使としてのプライドはあります‼︎いいですか?このプリティーなサンちゃんはアーちゃん専属の守護天使‼︎ つまりアーちゃんには守護天使サンダルフォンの加護が付与されてるのです‼︎ふふふ〜ん♪サンちゃんもちゃんと天使してるんですよぉ」
え?・・そんな加護あるなんてサンちゃん言ってなかったですよね?
「サンちゃん‼︎私に加護が付与されてるなんて初耳ですよ?どうして言ってくれなかったんですか?」
「え⁈・・サンちゃんはアーちゃんに言ってますよ‼︎アーちゃんはお歌がとっても上手ですねぇ‼︎サンちゃんのおかげですねって‼︎」
・・・・・ん?・・・アレってサンちゃんの自画自賛というかいつもの戯言かと思ってましたが・・・・え?
「あの?・・サンちゃんの加護ってまさか」
「お歌がとっても上手になります‼︎」
・・・・・素直に喜べない微妙な加護‼︎
「あ!今微妙だと思いましたよね?」
「私も微妙だと思うよ?だって歌が上手い人って加護が無くてもいる訳じゃん?別に加護が無くても困る訳ではないし?そんな加護でイキってるサンちゃんって実は下位天使レベル以下の糞雑魚なんじゃ?」
「まぁ・・ぶっちゃけ精霊の加護の方が有用性高いしな」
「エリーちゃん酷い‼︎失恋男もデリカシーがねぇですよ‼︎そんなだからアーちゃんに振られるのです‼︎」
「コイツ、俺への当たりキツくないか?」
ふふふ♪サンちゃんは打ち解けるのが早いですね♪皆んな仲良くて微笑ましいです
「さて、野営の準備も完了しましたし・・ポーションでも飲みましょうか?」
「いや‼︎そこは酒だろうが‼︎」
「お酒飲むほど大した事してないと思います!まぁポーションもどうかと思いますが」
「ふふっ♪白くて濃厚なアレを飲むのが一番だよ」
「なっ⁈エリシアお前っ‼︎」
白くて濃厚なアレ?・・あぁアレですね
「ふふふ♪確かに白くて濃厚なアレは美味しいですね、私も毎朝飲んでますよ」
「嘘だ・・エリシアならまだしもアリシアまでも・・うわぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
「この冒険者さん何か勘違いしてますけどミルクですよ?エリーちゃんはワザとですけどアーちゃんは意味が分かってないので‼︎」
「そっ・・そうだったのか!ピンクの!お前いい奴だな!」
「サンちゃんはプリティーな天使なのですから当たり前です!それにサンちゃんはNTRは趣味じゃないのでおとといきやがれです!」
「おっおう・・よく分からんがありがとな」
「ふふっ♪ミルクはミルクでも」
「腹黒勇者うるさいです‼︎」
そんなやり取りをしつつサンダルフォンはアリシアの中に還っていき一行は野営で一夜を明かす事になるのだった
◆◇◆
「ボス‼︎例の聖女ですがこの街の郊外で野営してました‼︎」
「そうか・・報告ご苦労・・って郊外で野営⁈」
「え、ええ・・何やら楽しそうにワイワイと準備してましたよ」
「えぇぇ、俺が言うのもなんだが危機感ないのか⁈仮にも俺達に狙われてるんだぞ?」
「それが・・あの聖女達の中にゴットハンドの一人、雷鳴のジェイクがいまして」
「雷鳴のジェイク⁈よりにもよってゴットハンドが一緒だとは‼︎これは厄介だな」
「どうします?ボス」
「・・・まぁ俺に考えがある」
聖女アリシアの誘拐を企てる闇の組織ファントムブラッドのボス“ネロ“
彼にはどうやら考えがあるようで自信ありげにほくそ笑むのだった
アリシアです‼︎緊急事態です‼︎
私は今襲撃にあっています‼︎
プ〜〜〜〜〜〜ン!
あぁ‼︎もう煩いです‼︎
蚊!蚊‼︎モスキート‼︎
普通ですが聖女の生き血を啜るなんてなんと罰当たりな蚊なんでしょうか?
まぁこんな事考える暇は今ないんですけども‼︎
『た・・・助けてくれぇ・・誰か助けてくれぇ」
え?誰かが助けを求める声が聞こえてきたような・・・
「頼む・・誰か助けてくれぇ」
聞き間違いじゃなかったですね!誰かが助けを求めていました‼︎
ですが‼︎私も助けて欲しいんですよ‼︎蚊がウザいです‼︎
申し訳ありませんが誰かに助けてもらって下さい‼︎
今それどころじゃありません‼︎
「助けてくれ‼︎聖女様‼︎」
え⁈なんで助けを求める相手を指定してるんですか?
もしかして聖女の力が必要な事態なのでしょうか?
とはいえ私は普通の聖女、脳筋聖女はともかく他の聖女達ほど凄くはないのであまり役に立つかは分かりません
ですが助けを求めてるのなら無視する訳にもいきませんね‼︎
そのかわり蚊を何とかしてもらっていいですか?
「あの〜?どうなさいました?どこか怪我でも?」
「あ、あぁ・・俺の連れが大怪我で今にも死にそうなんだ‼︎助けられるのは聖女様しかいない‼︎頼む‼︎助けてくれ‼︎」
私達が野営をしている郊外から少し離れた場所にちょっと臭うおじさんが私を呼んでました
どうやらちょっと臭うおじさんの連れが大怪我で死にそうと慌ててたのですが
「大丈夫です‼︎結構レアですがどんな傷も一瞬で治るエクストラポーションがあります‼︎これを飲めば大丈夫ですよ」
私のポーションコレクションに結構レアなエクストラポーションというポーションがあります‼︎
このポーションはどんな傷も一瞬で治り体力も完全回復する大変素晴らしいポーションなんです‼︎
味は素晴らしくないのですが‼︎
そういえば聖都のリーンベルグ学術院の教授がエリクサーだ‼︎伝説のエリクサーだとか騒いでましたけど残念、これはポーションなんです‼︎
私の知り合いのポーションマイスターのおばあちゃん、表向きは深淵の魔女の館とかいうお客さんが寄り付かないような名前の薬屋を営んでいるおばあちゃんがくれたポーションなんです‼︎
「私レベルになるとエリクサーを精製するなんざ朝飯よ‼︎だが問題は味さね‼︎そのエリ・・エクストラポーションは効果は抜群だが味が駄目だから失敗作さ‼︎アンタにやるよ‼︎」
と言って私にくれたポーションなんです‼︎
って!ポーションの語りが長くなるといけませんね!
「へ⁈・・あ、いや・・ポーションじゃなくて・・聖女様に診ていただきたいんです‼︎・・その・・連れは呪いにかかってましてポーション如きじゃ治らないんです‼︎」
なるほど‼︎ちょっと臭うおじさんの連れは呪いにかかってると‼︎
確かに呪いの解呪は聖女の役目ではあります・・が
ポーション如き⁈今ポーション如きと言いました⁈
それはちょっと聞き捨てなりませんね‼︎
「分かりました‼︎では呪いを解呪出来る聖女特製の聖水を差し上げます‼︎ポーション如きじゃ駄目なら回復魔法でも使えばいいんじゃないでしょうか?大丈夫です!聖水で呪いを解呪出来れば回復魔法も効きますから‼︎」
私こう見えて結構怒ってるんです‼︎
だってポーション如きとか言われたらそうなりますよね?
「いや!だから‼︎聖女様に来てもらわないと意味ないんだよ‼︎」
え?私に出来る事はポーションと聖水があれば全部賄えますよ?
だから私自身は必要ない筈ですよ?
えぇ、私はこう見えて結構怒ってるんです‼︎
それに蚊の襲撃で気が立ってるので今の私はツンデレというやつなんです!
サンちゃんが前に教えてくれたので意味が合ってるかは分かりませんが
多分ツンデレというやつです
「あ!私聖都から追放されたのでもう聖女じゃないですよ?」
そういえば私って聖都から追放されたので公に聖女と名乗ってはいけないんでした‼︎
枢機卿から名乗っちゃ駄目だとは一言も言われなかったけど追放されて私は聖女ですって言うのもちょっと違うというか・・まぁ称号は聖女なので聖女であるのは変わりませんが
「ごちゃごちゃうるせぇ‼︎サッサと来い‼︎」
って⁈えっ⁈いやちょっと待って下さい‼︎なんで私いきなり縛られてるんですか?
「へっ!俺のスキル【
ちょっと不服ですが命は惜しいです‼︎というか人に助けを求める態度じゃないですよね?実は私、ちょっと臭うおじさんはちょっと怪しいって匂いがしてたんですよね‼︎
「私に助けを求める事は嘘だったと?そうゆう事でいいんですか。」
「ああ‼︎最初から嘘だよ!お前を拐う為のな‼︎最初から素直に着いて来ればこんな手荒な真似はしなかったんだが・・まぁ今更か」
「私の思った通りおじさんは臭うんですよ‼︎怪しさと加齢臭のコンボです!」
「うるせぇ!口で抵抗すんな‼︎」
あれ?心なしか縄の縛りがほんの少し強くなりました?
まぁ全く痛くないので問題ありませんが・・いや縛られてる事自体が問題でした
こんな時サンちゃんかエリシアが気付いて助けに来てくれれば良いのですがエリシアは泥酔してサンちゃんは多分ネットサーフィンとやらで気付いてないでしょうし・・・ジェイクさんは・・まぁ期待しないでおきましょう
「へっ!声も出せないだろう‼︎気絶してもおかしくない程強く締め付けたからな‼︎」
え⁈いやいや‼︎ほんの少しだけ強くなったかなぁってぐらいじゃないですか‼︎ちょっと大袈裟過ぎじゃないですか?
あっ!もしかして口ではなんだかんだ言いながら実は優しいとか?
だったら全く痛くありませんよって言うのは可哀想ですかね?
まぁ縛られてる私が言うのもなんですけど
「へへっ!どうやら気絶したみたいだな‼︎さて!さっさと連れてくか」
どうやら私は誘拐されるみたいです‼︎
抵抗したいのですが普通の聖女・・いや普通じゃなくても・・いや脳筋聖女以外はか弱いので抵抗は意味ないかと
それに命は惜しいのでとりあえずは大人しくしてます
◆◇◆
大変です‼︎
私の人生においてかつてない空前絶後の大ピンチです‼︎
私が崇拝する唯一にして最愛の聖女様‼︎愛しのアリシア様がなんかガラの悪い臭そうなおっさんに誘拐されてしまいました‼︎
しかも縄で縛られてです‼︎
なんて羨まし・・・いやいや‼︎なんという愚かな事を‼︎
いやいや‼︎決して聖女様の寝込みを襲う為に聖女様の匂いを辿った訳ではないですよ?
問題は聖女様がどこに連れて行かれたかですね‼︎
ここは騎士団に通報すべき事なんでしょう‼︎
だがしかし‼︎聖女様の忠実なる下僕であるシスプリこと私が聖女様を華麗に助けたら・・聖女様は私に惚れるのでは?
「ふっふっふっ!アリシア様‼︎このシスプリの愛の力でお助けします‼︎」
となるとあの臭そうなおっさんの跡をつけなければ‼︎
・・・うっわ!臭っ‼︎ちょっと臭そうなおっさんの残り香臭っ‼︎
って事はあのちょっと臭そうな・・いやガチで臭いおっさんに担がれたアリシア様は汚されたって事に‼︎
汚された聖女様・・・・・ふぅ〜‼︎落ち着け‼︎落ち着け‼︎私‼︎
ここで興奮しては尾行がバレてしまう‼︎
我慢だ‼︎我慢するんだ‼︎シスプリ‼︎
って私が身悶えてる間にあのガチ臭、筋骨隆々なおっさんと合流したみたいです
仲間でしょうかね?
「へへっ!アバレルの旦那!要望通り聖女を拐ってきましたぜ‼︎」
「あぁ、確かにコイツは昼に見た姉妹の片割れだな!まさか聖女だったとはな‼︎」
「姉妹ですかい?だったらもう1人も拐いますかい?」
「・・・いや、ボスの命令は聖女だけだ!確かにもう1人も惜しいが今は聖女を連れて行く事が最優先だ‼︎」
「へへっ‼︎なら誰かに見つからないうちにさっさとづらかりましょう」
「そうだな・・・だからお前は死ね‼︎」
「うごっ⁈」
「気付いてなかったか?お前を尾行している奴がいる事に!この失態はお前の命で償え」
え⁈・・・バレてる・・・尾行がバレてる‼︎
しかもガチ臭殺されちゃったよ⁈これ凄くヤバくない?
「おい‼︎そこに隠れてる奴‼︎大人しく出てこい‼︎さもなくば殺す」
いやいやいや‼︎大人しく出て来ても殺すんでしょうが‼︎
人の心ないのか?
「出てこないか?まぁいい‼︎殺すだけだ‼︎」
あ・・・アリシア様申し訳ありません‼︎シスプリは天に召されるようです・・助けられず申し訳ありません‼︎
◆◇◆
アリシアです‼︎
命が惜しいので大人しくしていたらとんでもない事になってしまいました
ちょっと臭うおじさんは凄く臭うおじさんでした‼︎
だけどシュールストレミング男爵に比べたら全然マシです‼︎
アレは存在しては駄目なレベルではないでしょうか?
まぁそれはともかくそのちょっと臭うおじさんと合流した仲間みたいな人が現れて話していましたが・・ちょっと臭うおじさん殺されちゃいました‼︎
聖女の前で殺人とか神に仇なす行為ですよ‼︎
人の心はないのですか?
それに私達を尾行している人がいるらしいのですが誰でしょうか?
可能性としてはエリシア、次点で騎士団のレックスさんあたりですかね?ジェイクさんは論外ですね‼︎
とにかく早く出てきてください‼︎殺すって言ってるので大人しく出てくれば命だけはなんとか助けてもらえるかも・・・あれ?なんか矛盾してません?
大人しく出てくれば命だけは助けてやるとは一言も言ってないですよね?つまり出て来ても殺すの一択しかないのでは?
それ聖女の前でやっちゃいます?
私も命は惜しいので大人しくしてますが目の前で人が殺されるのを黙って見過ごす訳にもいかないんですよね?
ちょっと臭うおじさんはすいません‼︎あまりにも唐突過ぎたので‼︎
それに私を誘拐するという事は何か目的があっての事で今すぐ殺される事はないと思いますし・・・ちょっとだけ抵抗して時間稼ぎぐらいは出来るはず
その間に逃げてくれれば・・・多分アリシアかレックスさん
ではちょっとだけ抵抗して・・・あれ?これって縄だったんですかね?
なんか簡単に千切れたんですが?
いや手で千切った訳じゃないですよ?縛られてるから手は不自由だし本当にちょっとだけ抵抗しようと体に力を入れて身動きしようとしたら縄が急に千切れたんです‼︎決して脳筋じゃありません‼︎
「おい・・お前どうやって縄を解いた?」
え?いや解いてないですよ?千切れたんです‼︎
ちょっとポカンとしてますが何が起きたか分かってないんでしょう
大丈夫です‼︎私も分かりません‼︎
「あ、その急に縄が千切れて・・私にも分かりません」
だって分からないからそう言うしかないですよね?
「チッ‼︎ここで殺されたくないなら大人しくしてろよ?」
あれ?この人昼に見たアリシアに煽られた人じゃないですか‼︎
私の可愛い妹のお腹を殴った極悪人じゃないですか‼︎
人の心はないですね‼︎
「いえ‼︎私の妹のお腹を殴ったんです‼︎普通の聖女でも許せない事ってあるんですよ?一発で良いので殴りたいです」
「あ?何言ってやがる‼︎無駄な抵抗するなって言っただろうが‼︎」
「いえ‼︎殺されたくないなら大人しくしてろよ?とは言われましたが無駄な抵抗するなとは言われてません」
「どっちも意味は同じだろうが‼︎」
「なら最初からそう言えば良かったのではないでしょうか?人に何かを伝える時はちゃんと言葉を選んだ方がいいですよ?」
「ごちゃごちゃうるせぇ‼︎力づくで黙らせるぞ‼︎」
「ですから‼︎一発だけでいいので殴りたいです‼︎その後大人しくしますので‼︎」
「黙れ‼︎お前に選択の権利なんてないんだよ‼︎分かったら大人しくしてろ‼︎」
「嫌です‼︎黙りませんし大人しくもしません‼︎貴方に私の行動を強制する権利はないんです‼︎私は妥協案を提案したんです‼︎貴方が私の提案を受け入れたら私は大人しくなるんですよ?」
「もういい‼︎力づくで黙らせる‼︎恨むなら俺の言う事を聞かないお前を恨め‼︎」
私は一発で良いと言ったのに・・話が通じない人ですね‼︎
可愛い妹のお腹を殴ったんだから一発くらいいいですよね?
それに私は殴られてボコボコにされるみたいなのでせめてもの抵抗としてなんとか一発くらいお腹にパンチを当てたいですね‼︎
◆◇◆
俺の名はアバレル
元Cランクの冒険者だった男だ!
冒険者の頃は毎日魔物を討伐して生計を立てていた
俺の固有スキル【
そのスキルと俺のフィジカルを駆使すれば倒せない魔物はいなかった
おかげで俺はメキメキと頭角を表し冒険者になって一年も経たずC級に上がりBランク昇格も時間の問題だった
だけど俺は出会っちまった‼︎
俺なんかじゃ全く歯が立たない冒険者に‼︎
Bランク昇格間近とはいえAランクとの実力差がこんなにもあるのかと戦慄した
あの人は・・血霧のネロは無敵だ‼︎
あの人にダメージを与えられる奴は絶対にいない‼︎
防御力を無視した攻撃だろうが当たらなければ意味はない‼︎
俺はあの人の実力を見て心の底からあの人に惚れちまった
俺はあの人に一生ついていこうと誓った
たとえあの人が冒険者の道を外れ外道の道を歩こうとも
そして今の俺はあの人が作った犯罪組織ファントムブラッドの構成員だ
誘拐、殺人、人身売買、金になる事ならなんでもやった
そして今回はボスのお得意さんのベルナンド男爵だ‼︎
まさかこの街の男爵が犯罪に手を染めていたとは、最初に知った時は驚いたもんだ
だがこの街の領主が裏にいる事は俺達からすりゃ有難い
おかげで俺達はこの街で犯罪を犯しても表沙汰にならないからな
そして今回の獲物は聖女だ‼︎
まさか聖女を拐う事になるとは予想してなかったが金払いはいつもの5倍だ‼︎
世間では大問題だろうが俺達には関係ない
まぁその辺は男爵が何とかするんだろうがな‼︎
にしてもまさか昼間見た姉妹の片割れが聖女だとは!
護衛も付けないで旅とか普通に考えたら無防備過ぎだろ‼︎
まぁ聖女だから何不自由なく過ごしてきたんだろう、世間知らずだとしても護衛ぐらいは付けるべきだ‼︎
まぁ俺達から見たら格好の獲物だから有難いんだがな‼︎
そんな聖女だが見た目の割に中々頑固な奴だ‼︎
ちょっと脅せば大人しくなると思ったが反論して俺の言う事を聞きやしない
どうやら昼の一件で妹の腹を殴った事を根に持っているようだ
まぁ、こんな弱そうな聖女のパンチ一発程度喰らっても問題ないが俺にも俺の面子がある
こういった仕事は少しでも主導権を渡したら駄目なんだ‼︎
完全に俺が主導権を握り相手に選択の余地を与えない‼︎
それが仕事を完遂する上で必要な事なんだ‼︎
だから俺は聖女を完全に黙らせるべく聖女を殴った‼︎
流石にスキルを使うのはやり過ぎかと思いスキルの発動はしなかったが
腹に思いっきりパンチをぶち込んでやった‼︎
だが聖女は何が起きたんだ⁉︎と言わんばかりの表情で立っていた‼︎
まるで俺のパンチが一切効いてないかのように‼︎
なるほど‼︎聖女だから何か魔法的な防御で今のパンチを防いだんだろう
俺もスキルは使ってないからな‼︎
ならば次はスキルを使って防御力を無視した一撃をお見舞いしてやる‼︎
俺はスキルを発動して再度聖女の腹に思いっきりパンチをぶち込んだ‼︎
傷物になるのは避けたかったが今回ばかりは仕方ない‼︎
まぁ聖女の使用目的を考えれば大した影響はないだろう、聖女を連れて行く事が最優先だ‼︎
だが聖女はそれでも立っていた‼︎
えぇ⁈一体何がしたいの⁈と言わんばかりの表情で立っていた‼︎
馬鹿な‼︎俺はスキルを発動した筈だ‼︎
物理防御力も魔法防御力も無視した俺の全力の一撃だぞ‼︎
困惑した俺はそれから何度も全力で聖女の腹を殴った‼︎
一撃じゃ駄目でも何度も殴ればダメージは蓄積する‼︎
だが聖女はそれでも立っていた‼︎
「えぇぇと・・・殴った・・んですよね?もしかして私を傷付けないようワザと優しく殴ったんですか?だって全く痛くなかったから・・あ!そういえばスキルでどんな攻撃もダメージが1になるという外れ・・いえ‼︎慈悲深いスキルがあるらしいのですが、もしかしてそのスキルをお持ちなんですか?」
この時俺は唐突に理解した・・いや、理解させられた
ボスのように攻撃が当てられずダメージを受けない人間と、攻撃を受けても全くダメージにならない人間がいる事を‼︎
「妹のお腹を殴った事は許せませんが、慈悲深いスキルをお持ちのようなので神の天啓とみなしデコピン一発でチャラにしてあげます」
聖女は俺の前でそんな事を言いながらデコピンの構えをした
俺はこの聖女には何をしても勝てないだろう‼︎
聖女は俺に一発お見舞いすれば大人しくすると言っていたから俺も大人しくデコピンを一発受けよう
結局聖女の提案通りの展開になっちまったな‼︎
「あ!人にデコピンをするのは初めてなので、ちょっと練習していいですか?」
「あ、あぁ」
人にデコピンをするのは初めて?
コイツ、今までデコピンすら人にした事ないのかよ‼︎
まぁ聖女は慈悲深い少女とは聞いた事あるが、デコピンすら人にした事ないとか普通に考えていないだろう‼︎
そんな事を考えていたらいきなり空気が破裂するような音と衝撃が伝わって来た
まさかこのタイミングでSランク相当の魔物が攻めて来たのか?
いや!この街でそんな事は今まで1度も無かった・・ならこの正体は
「あっ‼︎デコピン煩かったですか?前にドラゴンをデコピンで倒した時はこんな感じだったんです‼︎SSランクのドラゴンは一撃だったけどCランクの格上ならかなり痛い位で済みますよね?」
・・・・・聖女だった・・・・
ちょっと待て!ちょっと状況を整理しようか‼︎
なんでデコピンからあんな悍しい音と衝撃が出るんだ‼︎
それにSSランクのドラゴンをデコピンで一撃・・いや普通に考えれば嘘だと分かるしそんな事あり得ない‼︎
だがあのデコピンからはそれを可能にする程の衝撃が発生している‼︎
近くの廃屋の壁が崩壊したぞ‼︎
それに昼間に片割れの妹が言っていた‼︎
お姉ちゃんはドラゴンをワンパンすると‼︎
あの時はただのハッタリだと思っていたがアレは本当だったのか‼︎
人にデコピンをするのは初めて?
ああ‼︎正解だ‼︎そんなもん人に向けて放っていいもんじゃない‼︎
間違いなく跡形も残らず弾け飛ぶぞ‼︎
・・・・・ん?・・・・俺今からそのデコピン喰らうんじゃね?
「ホントすいませんでしたぁぁぁぁ‼︎」
俺は恐怖のあまり反射的に土下座をして本気で謝った‼︎
そして恐怖に耐えきれず俺は意識を手放した。