もしも音ゲーマーがスクールアイドル同好会に入ったら 作:良麺
さて、時刻も午後7時を回り、俺と愛さんは世間話をしながら愛さんの家に向かっていた。
「そういえば童夢って家どこなの?」
「前と同じだよ」
「え?変わってないの?」
「偶然まだ空き家で残ってたからまた買い直した」
「そんなことできるんだ」
「そういえばまだもんじゃ屋ってやってるの?」
「当たり前じゃん!うちのみやしたは、永久不滅だよ!跡取りもできたしね!!」
あ、そうか。もし愛さんと結婚するとなるとみやしたを継がないといけないのか。それだといろいろ修行とかもあるからダルそうだな。どうしよ。
「あ、でももし童夢が嫌なら跡継がなくてもいいよ!!童夢の夢が最優先だし!!」
愛さんはそう言ってくれるけど、そうはいかないだろ。
「あ、家着いたよ。ここじゃないの?」
比較的にデカい屋敷。門に宮下という表札もあるので、ここで間違いないだろう。
「じゃあ、またな」
ゲーセンに向かおうとする。しかし、愛さんは手を離してくれなかった。
「いや、まだ別れたくない」
えー...
「せっかく恋人になれたんだもん。もっと一緒にいたいよ...」
「そうは言われてもな」
「そうだ!今日愛さんの家で夕飯食べて行きなよ!!」
流石にそれはヤバすぎる。第一愛さんがいいって言っても、突然家に男を連れてこられたらなんて言われるかわかったもんじゃない。
「流石に家にも迷惑かかるからやめとくよ。それに家に夕飯ワンあるし」
「そんなぁ」
愛さんは頑なに離そうとしない。困った。ゲーセンは10時まで。このままだと1、2時間しか遊べない。透も待ってるし。
「愛さん、別に昔と違ってまた離れ離れになるんじゃないし、また明日会えるじゃん」
「そうだけど...」
うーんこうなったら何か特典でもつけるか。
「じゃあ、明日の昼一緒に食わないか?」
「!!食べる!!絶対食べる!!!」
「じゃあ約束するから、今日はこれでさよならしようぜ」
「うん。わかった。愛さん寂しいけど我慢する」
愛さんは手を離す。手の神経が消えた。
「じゃあまた明日ね!!」
愛さんは家の中に入って行った。
「さてと、透になんて言い訳するか」
俺は急いでゲーセンに向かった。
ゲーセンに着き、音ゲーコーナーに行くと透がいた。
「やっときたか。そんなに時間かからないだろ〜って言ってから5年ぐらいかかってるけど大丈夫?」
「それがさ〜」
今までのことを話した。
「は?バグだろwwwww」
「まじで色々ありすぎてサ終しそうなんだけど」
「にしてもお前地味にリア充になってるの㊙️ねよwww」
「それはすまん!」
「まぁ別に悪いことじゃないけど、その彼女、大丈夫か?」
「何が」
「聞いた感じ、結構重そう、っていうか」
「そう?案外普通じゃないの?」
「まぁーなんだっていいけど」
「せやな」
「そういやさお前、ワイワイの大型アプデ明日だけどどうすんの」
ワイワイとは俺たちがやっているもう一つのアーケード音ゲーだ。洗濯機のような形をしていて、かなり体力を使うが、その分楽しい。つまり、神ゲーなのだ。
「あれ?明日だっけ?」
「そうだな」
「あーまじか。開凸するか」
「ワンある」
「確定な」
こうして翌朝、ゲーセンに開店アタックすることが決定した。
一方その頃、
「あ!!!!童夢とライン交換するの忘れてた!!」
なんと愛は浮かれていたのか、童夢とラインを交換するのを忘れていた。
「せっかくお弁当作ろうと好きなおかず聞こうと思ったのに...」
明日のお昼に向けて、童夢に弁当を作ろうとしたが、連絡ができないとなるとどうしようもない。
「そうだ!!朝早くに童夢の家に行って、一緒に学校に行こう!!家変わってないって言ってたし」
そうと決まれば!!と思い、愛は明日に向けて早めに就寝した。
「あー、明日が楽しみすぎて寝れないかも」
そして翌朝。時刻は7時半。
「なんとか起きれた、童夢いるよね!!」
記憶を頼りに童夢の家に向かった。すると見覚えのある家に着いた。利根川の表札もある。ここで間違いない。愛は意を決してドアホンを押した。
「はーい、あら?どちら様?」
「あの!!童夢のお母さんですか?私、宮下愛って言うんですけど!!」
「宮下愛、もしかして愛ちゃん?」
「はい!!」
「久しぶりねぇ!もしかして童夢に会いにきたの?」
「はい!!実は、その、童夢とは昨日から」
「まぁ!!あの子ったら!!愛ちゃん、悪いけど、今童夢いないの」
「え?」
時間が止まった気がした。
「童夢、なんか『開凸いけぜ!』って言って7時ぐらいに出てったの」
「そう、なんですか」
「童夢からなんか言われてない?」
「いえ、実はまだ連絡先交換してなくて」
「あらま!まったくアイツってなんていい加減なのかしら!!ごめんね、愛ちゃん。よかったらアイツのラインあげようか?」
「え!いいんですか!」
「いいわよ!アイツのラインだったらいくらでもあげるから」
こうして愛は、童夢の母親からラインをもらった。
「アイツには言っておくから、愛ちゃん先に学校に行ったら?このままだと遅れちゃうし」
「はい、わかりました」
そうして愛は学校へ向かった。
「譜面ヤバすぎんだろwwww」
「よくこんな音取りできたな」
一方俺たちはワイワイの大型アプデで大量に入った新曲を消化していた。そこで俺のスマホが鳴った。母さんからだ。
「はい」
『あんた今どこいんの?』
「○ジャラン」
『愛ちゃん来てたけど』
「は」
『は、じゃないだろ。アンタ彼女放ったらかしで何してんの』
「いや、あいつなんも言ってなかったし」
『なんで連絡先交換とかしなかったの』
「あ、忘れてた」
『はぁ、全くアンタ彼女できたことないからわかんないんだろうけど、普通連絡先交換するのが当たり前じゃないの?』
「いや、俺は違う」
『何がだよ。とりあえず愛ちゃんにアンタのラインあげといたからね』
「え〜、まぁいいか」
『まったく、これからはマメに連絡取り合って、二度とこんなことがないようにしろよ』
「おけ、じゃあ次開凸するときキッパリ断るわ!」
『そもそも開凸するのがおかしいだろ。つかアンタ時間大丈夫?』
「あ、遅刻確定!!ありがとうございまーす!!!」
『ほんとに、愛ちゃん一体こんなやつのどこに惹かれたのか...』
「まぁそんな遅れないように行くわ」
『今すぐ行け!!』
電話が切れた。
「なぁそろそろ時間やばくね?」
透も同じことを言ってきた。
「じゃあこれラスクレで行くか。どうせ今から行っても間に合わんし」
「しょうがねぇな」
それから100円玉を入れ、プレイを再開した。
ワード解説
・開凸
開店時間に凸る(入店する)の略。大抵はそれで学校に遅刻する
・ワン
ワンチャンの略
・サ終
サービス終了の略。本来はゲームのサービス運営が終了する時に使われる言葉なのだが、一部の人は絶望している時などにこの言葉を使うことがある。