もしも音ゲーマーがスクールアイドル同好会に入ったら 作:良麺
「じゃあまずは柔軟から!」
外に出て、みんな柔軟を始めた。特に愛さんは柔軟の中でも難しいとされるだろうポーズを難なくクリアしている。
「流石愛ちゃんやっぱ体柔らかいねぇ」
「まぁね!もう十何回もやってるからね!柔軟だけに!!」
一方で横でやっている彼方先輩は...
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
めっちゃ戦ってる。意外と体が硬いようだ。
「おおおおおおおおお」
璃奈さんも彼方先輩ほどではないが柔らかくはない。
「りなりーはだいぶ柔らかくなってきたけど、カナちゃんはもうちょっと頑張らないとね」
「そんなぁ、これ以上やったら彼方ちゃん壊れちゃうよ〜」
まぁ柔軟に関しては俺もそんなに得意ではないので人のことは何も言えない。
「次は発声の練習をしましょう!」
今度は桜坂さんが前に立って仕切り始めた。演劇部だから発生に関しては結構専門的だったりするのか。
「あーーーーーー」
流石演劇部、音程がずれることなく、長時間声を出し続けることができている。これ意外と難しいんよな。
「あーーーーーーあ“あ”」
あぁ今ので大体わかった。発声に関してはかすなんちゃらさんが課題を抱えているっぽい。
「あああああああああー」
「あああああああああああぁぁ」
音域もコントロールができていない。
「プルルルルルルルル」
「ぷるるるるるるるるるっるるっっる」
これもあんまりできていない。それなりに時間はかかりそうだ。
「こんにちは〜。きょうはかすみん、会場のみんなを夢中にさせる魔法、かけちゃいますからね〜」
「もう夢中だよ!!」
「いいよぉ!かすかす!!」
「かすかすじゃなくてかすみんです!!フン!」
...は、なにこれは。
「あーこれ、MCの練習です」
「あー」
急にセミナーみたいなことが始まったからびびった。
「まぁ発声はあれだったけどMCはピカイチやね」
「むぅ落として褒めるタイプ、あんまり嫌いじゃないです...//」
あら、そんなご趣味が。
「にしても結構色々やってるな」
「まぁね、他にもグラウンドを走ったりして体力も付けたりして、これをほぼ毎日やってるね」
重労働すぎて俺には無理です。
「じゃあみんな!最後はグラウンドでランニングね!あと童夢くん、例の作曲の件でちょっと話そう」
「おう」
侑さん以外のメンバーは部室から出ていった。
「さて、同好会の曲ももちろん作って欲しいんだけど、実はもう一個お願いがあるんだ」
「なに?」
「私に、作曲を教えてほしいの」
「おぉ。作曲はまだしたことはないのか」
「まぁね。やり方わからないし、それに、音楽科だとたしか学年末に課題でオリジナル曲を作らないといけないんでしょ?」
「そうだけど、なぜそのことを?」
「私ね、音楽科に転科が決まったんだ」
「ほぉ...え?マ?」
「うん。マ?だよ」
「あーマってマジのことね」
「やっぱりそうだと思った。転科が決まったって言っても音楽科に行くのは今の学期が終わってからなんだ。だから次の学期では童夢くんと同じクラスになるね」
「おめでとう」
「ありがと!あとね、いつか私の作った曲で、みんながステージに立つ姿を見てみたいんだ。だからね、悪いけど、私に作曲を教えてください!!」
「まぁもう作曲の授業に関してはもう終わっちゃったしな。別にいいよ」
「ほんとに?やった!!」
あの時みたいにまた手を握ってきた。癖なのか?
「あ!ごめん、気にしてた?」
「いや、そうでもない」
「そう、よかった!あ、もう時間だね」
「お、早いな」
「そうだ!!童夢くんまだ同好会のグループラインに入ってなかったよね」
「そうだけど、俺いらなくね?」
「ううん、そんなことないよ。だって童夢くんも同好会の一員だもん、是非入って」
まぁ入るだけなら。
「じゃあ招待お願い」
「うん!今するね!!」
招待通知が来たので加入ボタンを押した。ちゃんと同好会のメンバー全員入っており...
『朝香 果林』
なんと、あの人の名前が、グループラインにあった。アイコンも、自撮りだろう、その人の顔がはっきり写っていた。
「あ、あ、」
「?どうしたの?童夢くん」
「え、あ、あぁ、なんでもないさぁ!!」
「ほんとにどうしたの?」
「大丈夫大丈夫」
「なら、いいけど」
嘘だろ、あの朝香果林が、この同好会にいるというのか??
「ふぅ疲れた〜」
ランニングからみんなが帰ってきた。
「童夢〜愛さん頑張ったから褒めて〜」
「お、おう」
「ん?童夢何かあったん?」
「いやなんでもないって」
「?」
「童夢くん、これからお茶会でお菓子たくさん用意したんだ、童夢くんも食べよ?」
エマ先輩が誘ってきた。いや、お茶会なんてそれどころじゃない。
「ご、ごめんなさい、ちょっと急用思い出しまして、早く帰らないといけないので、また今度で」
「え?そうなの??」
「え?童夢帰るの?なら愛さんも」
「悪い、一人で行かなくちゃいけないんだ、だから、ごめん」
荷物を持って急いで出ていった。
「童夢くん!!」
侑さんが呼び止める、だがそれで留まるわけにいかない。一刻も早く離れたかった。
「童夢...」
「童夢くん、どうしちゃったんだろう」
「明らかに何かありますね」
「侑ちゃん、何か知ってる?」
「わからない、グループラインに追加した途端、急に様子が変わって」
同好会は混乱していた。
「アタシ、行ってくる!!」
愛は練習着のまま、童夢を追いかけた。
しかし、もうどこにも童夢はいなく、もう手遅れだった。
「童夢、なんで...」
愛は涙が溢れて、前が見えなくなった。
「愛ちゃん!!」
そこに追いかけてきた侑が愛を介助する。
(愛ちゃんがこんな風になるなんて、童夢くん、何があったんだろう)
そう思いながら、愛を部室に連れ戻した。
俺は急いで透のいるゲーセンに逃げた。
「あれ、早くね」
「ちょっとな」
「なんかあったん?」
「後で話すわ。あの事が関わってる」
「は」
とりあえず落ち着きを取り戻すため、筐体に1クレ入れて、音ゲーを始めた。