魚は泳ぐ、鳥は飛ぶ、たから僕は描いている   作:至ッ亭浮道

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第4話

「もう秋(あき)だねえ」

 

 放課後(ほうかご)。

 佐藤(さとう)さんがそう言(い)った。

 僕(ぼく)は、佐藤(さとう)さんが風情(ふぜい)を感(かん)じれるのに、驚(おどろ)いた。

 

「そんなこと言(い)うと、おばあちゃんみたいだよ」

「むう。君(きみ)はつくづく失礼(しつれい)な少年(しょうねん)だなぁ」

「春奈(はるな)は、割(わり)とおばあちゃんじゃん」

「じゃあ、瑠(る)美(み)はおじいちゃん!」

「どこが?」

「説教(せっきょう)っぽいところ」

 

 余計(よけい)なこと言(い)わなきゃいいのに、と思(おも)った時(とき)には、もう遅(おそ)かった。

 

「いたい! いたいーーっ!!」

 

 川上(かわかみ)さんは、佐藤(さとう)さんの肩(かた)にグーッと力(ちから)を入(い)れて、肩(かた)を揉(も)んでいた。

 佐藤(さとう)さんの悲鳴(ひめい)が、痛痛(いたいた)しい。

 それでも、川上(かわかみ)さんは、何秒間(なんびょうかん)か、佐藤(さとう)さんの肩(かた)を、揉(も)み続(つづ)けた。

 

「もう! 痛(いた)いでしょ! 厳罰(げんばつ)すぎますぞ!」

「春奈(はるな)があんなこというからでしょ」

「だからって、暴力(ぼうりょく)はよくなーい! この怪力(かいりき)少女(しょうじょ)!」

 

 佐藤(さとう)さんは、ほっぺたを膨(ふく)らませながら、怒(おこ)っている。

 けれど、川上(かわかみ)さんは、取(と)り合(あ)うつもりもない様子(ようす)だ。

 そして、怒(いか)りで暴(あば)れようとする佐藤(さとう)さんを制(せい)しながら、川上(かわかみ)さんは、僕(ぼく)の方(ほう)を向(む)いた。

 

「峯村(みねむら)は、まりあ先輩(せんぱい)のところに、行(い)くんだよね?」

「うん。少(すこ)し話(はな)して、用事(ようじ)を聞(き)いてから、帰(かえ)るよ」

「ちょっとー、タロちゃん! 春奈(はるな)を、こんな凶暴(きょうぼう)な生(い)き物(もの)と一緒(いっしょ)に、置(お)いていくの!?」

「でも、行(い)かなきゃだし」

「どのぐらいかかるの?」

「それが、わからないんだよね」

 

 大園(おおぞの)先輩(せんぱい)が、どうして、僕(ぼく)のクラスまで来(き)たのかも、分(わ)かっていない。

 だから、どれぐらい時間(じかん)がかかるのか、という見立(みた)てもできなかった。

 

「ほら、今日(きょう)は帰(かえ)るよ」

「あーん! 今日(きょう)はタロちゃんと帰(かえ)りたい気分(きぶん)なの!」

 

 佐藤(さとう)さんは、そのあとも駄々《だだ》をこねていた。

 けれど、川上(かわかみ)さんに引(ひ)きずられるようにして、二人(ふたり)は帰(かえ)っていった。

 二人(ふたり)の姿(すがた)を見送(みおく)ってから、僕(ぼく)は準備(じゅんび)をした。

 そして、大園(おおぞの)先輩(せんぱい)がどこにいるかを聞(き)くために、生徒会室(せいとかいしつ)に向(む)かった。

 

 

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