「これ負けたね」
燃え盛る城下
数刻までは活気盛んで人々の笑顔で溢れていた町を天守閣から眺めながら茶々は考えていた
雪崩のように舞い込んでくる敵軍、叔父上が指揮をとり戦ってはいるが物量の差がありすぎる
それに何体かは叔父上に匹敵するものもいた
「退散退散、、、叔父上には悪いけど、私が居たってなにも出来ないし」
戦うのは苦手だ、そもそも彼女は武士でもない、甘やかされ育った姫である
「何処へ行クツモリダ?」
「へ?」
踵を返し逃げようとする茶々に不意に声がかけられた
そこには全身を蒼の甲殻で覆い、四本の腕、人ではないものの武士を思わせる雰囲気を纏った一匹の化け物が立っていた
「兵ダケデナク一般人マデモガ我々ト戦ッテイル、ナノニダ」
化け物がはく白い吐息、怒りか?周囲の温度が急激に堕ちる
「ソノ装飾ノ数々、将デアロウモノガ自分ダケ助カロウナドトハ恥ヲシレ」
「剣ヲヌケ、セメテモノ情ケダ、戦士トシテ散レ」
化け物はそう言い構える、仁義にあついのかは知らないが、剣を抜くまでは待ってくれるようだ
「見逃してくれる気はないの?それに茶々は将じゃなくて姫なんだけど?」
「二度イウキハナイ」
細やかな提案を即断られる
その言葉通り余計なことを言ったら斬られそうだ
どうしたものか
まぁ逃げるんだけどね
「貴様なはなんという?」
「・・・コキュートス」
名前を聞いてみたが、別に戦うつもりはない
「ではコキュートス・・・茶々は逃げるから、これでも喰らっとけー」
大声で逃走宣言するとともに茶々はスキルを発動する
「日輪の寵愛」
対象のステータスを段階的に下げていく呪い
彼女に関わったものは意思関係なく受けるという
「茶々に惚れると火傷するし、わりとリアルに」
というのは本人の談
それと同時に城が燃える、山火事のことくそれは勢いを増しコキュートスを飲み込む
その隙に茶々は天守閣から飛び降りる
「バーーイ」
「下ラヌコトヲ」
冷たく吐き捨てる
このような炎など自分には効くわけがない、しかしコキュートスは今、この炎よりも煮えたぎる思いに自身を焦がしていた
武士として散るという誉れを捨て、命惜しさに逃走する彼女をみて
「凍霧(フロストミスト)」
コキュートスの身体から白い霧が吹き出る
瞬く間に炎は鎮火し、霧に触れた物は凍りついた
「生カス価値ナシ」
憤怒の熱は下がることはないままコキュートスは彼女を追うように飛び降りる
決して逃がすつもりはない
(うーーんやっぱり追ってくるよねー)
空中に身を預け、風圧から小さい装飾品を飛ばしながら茶々は思う
後ろから濃密な気配が近づいてくる
「はぁー茶々、姫なんだけど」
頬を膨らましながら刀を抜く、使ったことなど彼女にはないが、生きるためには戦うしかない
抜いた刀が、炎を反射し煉獄に輝く
戦わない彼女にとって、豚に真珠と言ってもいい業物
感覚から距離は然程離れてはいない
覚悟を決めるなか、突如背後からの轟音とともに気配が消える
「?」
なにが怒ったのかわからないが、
急激な魔力の膨張を感じとった
(この魔力、、、叔父上の、、)
ノッブの魔力と酷似していた、
宝具でも使ったのだろうか・・・
「ラッキー!!」
思わぬ棚ぼたに喜びながら
茶々はそういいながら城下町に堕ちていった