お耳は痛いしお目々も見えない 作:Uberルーパー
小説書き上げたのも初めてだから大目に見て許してぇ…(よよよ
緑色のターフを踏みしめて、二頭の競走馬が静かに向かい合っていた。
観客はただ立ち尽くす二頭に少なからずどよめいていたが、同時に納得もしていた。この二頭の因縁に。
それぞれの騎手もまた、誘導を強引に引っ張って、近づいていく馬達を止めなかった。それだけ、跨がる馬の思いを強く感じていたから。
やがて栗毛の馬が優しく、小さく嘶いた。
「今日も、走るのか」
青鹿毛の馬が顔を擦り寄せる。口から声を発することは無い。擦り寄せるという行為そのものが肯定のようだ。
「お前も飽きねぇなぁ。もう三度も負けてるのに。そんなに俺のプリチーヒップにご執心か?」
何いってんだこいつと言わんばかりに身も心も引いていく青鹿毛。冗談を真正面から受け止めるタイプの性格のらしい。
相変わらず反応が良いな、と栗毛の馬が薄く鼻を鳴らす。
「ずっと二着でさ、よく諦めねぇなって何度も思ったけど、なんだかんだ嬉しかったよ。一緒に走ってくれて」
脚を動かし、身体の向きを変えて青鹿毛から顔を背ける。語りかけ、しかしどこか独りごちるように最後の言葉を紡ぐ。
「じゃあな。お前と走るのが一番楽しいよ、俺は」
そう言い残し、ゲートに向かって歩きだす。
後ろを振り返ることはない。もう言いたいことは全て言った。
だから
―――君に、勝つ。僕が勝つ
初めて聴いた、とても小さな声に返すなら、こう言おう。
「追いついてこいよ、後ろから」
係員の声がかかり、ゲートへ誘導されていく。
閉塞感に塗れる空間で、彼は目を閉じた。
レースが、始まる
(その足音はオルフェぇ!今日こそお前をむっころ、アッ待って待って話しかけないで、自分の声がうるさくて返答できないから申し訳なくなっちゃうからやめて。擦り寄せることで肯定を示す…考えついた俺天才か?てかヒップがどうのってなんだよ俺のおケツが好きなの?ちょっと距離取りますね。そりゃ悔しいから諦める訳ありませんねぇ舐めたこと言ってんじゃ……、急にデレないで恥ずかしい…、だから急にデレ、って待て待てどっか行くんじゃねぇ。今日こそ返答しようって決めてんだ、言うぞ俺は言うぞオラァ!
―――
…耳が…うるさいです…、俺の耳良すぎかな…?そいえばよかったわ…)
THE WINNER
その馬は、圧倒的ハンデを背負っていた
誰もがやめろと言った
無理をするなと制止した
だが、その馬は走った。目を閉じて
2011年 有馬記念
勝利の音に導かれ、幾度となく敗北した暴君を
静かに差し切ったその執念が、
観客の目を奪った
暗闇の中、栄光を手にした、その馬の名は
―――ミクロノイジア
「上がってきた!ミクロだ!ミクロノイジアだ!」
「並んだ!3度の惜敗を経て!音だけを頼りに!ついに!ついに!ミクロが前に出た!」
声を上げよ、それが唯一の称賛だ
感想を烏滸がましく求める作者を許してぇ…