うちの父親は変態企業の社長です   作:ダルマ

1 / 122
遅ればせながらダンボール戦機10周年を記念して、特別編です

このお話は、登場人物等共通ですが、本編とは関係ございません。
所謂"もしも"を題材とした、短編となっております。


特別編
必殺ファンクションだ、当たると痛ぇぞぉ!


 それは、ちょっとした運命の女神様の悪戯。

 運命の女神に愛された一人の青年は、気がつけば、LBXと呼ばれる、ホビー用小型ロボットが世界的に大流行している世界にて、第二の人生を与えられる事となった。

 

 第二の人生を歩み始めるにあたり、青年から少年へと戻った彼は、自身を取り巻く環境。

 LBX製造メーカーの一社であるサイバーランス社、その御曹司という立場を利用し、別次元のロボットをLBXとして再現する事を画策するのであった。

 

 

 

 

 時は流れ、西暦2050年。

 世界中の人々が注目し、世界中のLBXプレイヤーが憧れる夢の舞台、LBX世界大会アルテミス。

 今年で第三回目となる本大会。その開催地となったお台場ビッグスタジアムは、今まさに、観客席を埋め尽くす多くの観客達の熱気で大いに盛り上がりを見せていた。

 

 割れんばかりの歓声の中、決勝ステージへの進出をかけて行われる予選ブロックの一つ、Cブロックもいよいよ大詰めを迎えていた。

 司会者の紹介と共に、Cブロック決勝戦に駒を進めた両チームが、決勝の舞台となるDキューブの前に立つ。

 

「まさか、こうなるなんてね。……決勝に進めるのは、どちらか一方だけ」

「あぁ、だけど、俺は手加減しないぞ!」

「それはこっちも同じだよ、バン!」

 

 Dキューブを挟み対峙するのは、山野 バン、青島 カズヤ、川村 アミ、の三人からなるチーム。そして、サイバーランス社の御曹司にして、バン達とは気心の知れた友でもある、西原 凛空。

 しかも、四人は放課後などに馴染みの模型店でバトルを楽しむ仲という、そんな間柄。

 

 今回、とある理由から第三回LBX世界大会アルテミスに出場する事になった彼らは、Cブロック決勝戦にて相対する運びとなった。

 

「さぁ、果たして、この一戦を勝ち残り、見事ファイナルステージへの切符を勝ち取るのは、果たしてどちらのチームかぁぁっ!? それでは、Cブロック決勝戦!! Ready……」

「アキレス!」

「ハンター!」

「クノイチ!」

「……"ドラグナー"、発進!!」

 

 Dキューブ内に広がる決勝の舞台、巨大タンクやパイプライン、そして立ち並ぶ煙突等。工業地帯と呼ばれるフィールドに降り立つ、四機の小さな戦士達。

 白を基調とした、古代ギリシャの騎士を彷彿とさせるアキレス。

 逆関節に尻尾、狼を連想させる外観に大型の狙撃銃を装備した、ハンター。

 両手に装備したコダチと相まって、忍び装束に身を包んだ女忍者を彷彿とさせる、クノイチ。

 

 バン達の使用する特徴的なLBX。それに負けず劣らず、凛空の使用するドラグナーと呼ばれたLBXも、異彩を放っていた。

 

 白を基調とし、竜騎士の名を冠したその機体は、ドラゴンの頭部を思わせる頭部の形状に、ツインアイ。

 更に、背部に備えたリフターと呼ばれる装備。この装備により、そのマッシブな見た目に反して、同機は高い機動力を有している。またリフターの主翼にはミサイルポッド等も装備する事が出来る。

 

 その他、両腰に装備したレーザーソード、マシンガン、そしてハイブリッドシールド。

 まさに、強大なドラゴンを相手にするかの如く、強力な武装を有していた。

 

 

 この機体こそ、凛空が自らの立場と知識を利用し作り上げた、別次元のロボットをモデルとしたLBX。

 プロジェクトMA(メタルアーマー)と呼ばれる、モデルとなった人型機動兵器群のLBX化、その中でも"Dシリーズ"と呼ばれる次世代型の試作機群。ドラグナーは、その栄えある一番機なのである。

 

「戦い慣れてるとは言え、油断しちゃダメよ!」

「分かってるって!」

「いくぞ!」

「こい!」

「バトルスタート!!!」

 

 司会者の合図と共に、早速ドラグナーがリフターの主翼を展開させると、スラスターを噴かせ、その身を上空へと舞い上げた。

 そして、程なくアキレス達の頭上に到着すると、装備したマシンガンの引き金を引き、弾丸の雨をアキレス達に降り注いだ。

 

「やっぱり上から来やがった!」

「物陰に隠れて!」

 

 だが、バン達はこの行動を予期していたのか、冷静に物陰に隠れると、降り注ぐ弾丸の雨を回避する。

 

「だったら、これで!」

 

 刹那、マシンガンでの攻撃を停止したドラグナーは、リフターの主翼翼下に装備したミサイルポッドの発射口をアキレス達が身を隠した物陰の方に向ける。

 次の瞬間、ミサイルポッドから甲高い音と共にミサイルが放たれると、物陰の周辺に次々と弾着し、周囲に爆炎と爆煙を発生させた。

 

 この攻撃に驚き、飛び出してきた所をマシンガンで撃ち抜く、凛空はその様な魂胆であった。

 だが、爆煙の中から飛び出してきたのは、ドラグナーを狙う音速の弾丸であった。

 

「っ!」

 

 咄嗟に回避しようとCCMを操作する凛空。

 だが、飛来した弾丸はドラグナーの装備していたマシンガンを貫き、マシンガンを火球に変える。

 

「よっしゃ!」

「流石はカズ、良い腕だね」

 

 下手人であるハンター、そのプレイヤーであるカズの狙撃の腕前を、敵ながら見事と賛辞を送った、次の瞬間。

 爆煙の中から、新たな影が飛び出してきた。

 

 それは、自慢の機動力を生かし煙突を垂直に駆け上るクノイチの姿であった。

 瞬く間に頂上付近まで駆け上ったクノイチは、刹那、煙突を蹴り見事な跳躍を披露すると、装備したコダチを構え、空中のドラグナーに迫る。

 

「もらった!」

 

 空中では回避も困難、故に、コダチによる一撃は確実であろうと思われた、刹那。

 ドラグナーは装備したハイブリッドシールドを勢い良く振るうと、クノイチに叩きつけた。

 

「クノイチ!」

 

 元々軽量級のストライダーフレームである事に加え、空中という踏ん張りのきかない状況も相まって、シールドバッシュを受けたクノイチは、軽々と弾き飛ばされた。

 

「アミ!」

「くそ、よくも!」

 

 その光景を目にし、ハンターが装備したハンターライフルを構え、狙いを定める。

 そして、引き金を引いた、直後。

 ドラグナーはスラスターを噴かせると、飛来した弾丸を躱し、減速する事無く地上のハンター目掛けて急降下する。

 

「何!?」

 

 少しでも操作を誤れば、瞬く間に地面や周囲の建造物と激突するが、ドラグナーはそんな様子もなく、ハンターに接近する。

 ドラグナーの行動に驚き、反応が遅れた為、迎撃の準備に手間取るハンター。

 

 その隙に、瞬く間にハンターの懐に飛び込んだドラグナーは、腰に装備したレーザーソードを抜刀すると、光の刃でハンターライフルを真っ二つに切り裂く。

 そして、続けざまに、加速を得て威力を増した蹴りをお見舞いし、ハンターを近くの建造物の壁に叩きつける。

 

「あっと言う間に二人も……」

 

 これまで幾多もバトルをして、その実力は分かっていた筈だった。

 だが、アルテミスという大舞台で、全力で行われるバトルを通じ、バンは、凛空の本当の実力をまざまざと思い知らされた。

 

「……いや、俺は負けない! 父さんとの約束を果たす為、こんな所で負けるわけにはいかないんだ!!」

 

 刹那、バンは気持ちを奮い立たせると、自身のCCMを操作する。

 次の瞬間、バンの奮起に応えるかのように、アキレスが光を放ち、機体が金色(こんじき)に輝く。

 これこそ、アキレスの秘めたる能力、一時的に機体性能を向上させる特殊モード、Vモードである。

 

「いけぇ! アキレスッ!!」

「迎え撃て、ドラグナー!!」

 

 真っ向から激突するアキレスとドラグナー。

 互いの得物がぶつかり合い、激しい火花を散らす。

 

「うぉぉぉっ!」

「このぉぉっ!!」

 

 両機のぶつかり合いは、周囲の建造物を巻き込み、パイプを切り裂き、壁に穴をあけ、周囲に瓦礫の山を形成していく。

 そんな両機の激しいバトルを、観客達は固唾を呑んで見守る。

 

 そして遂に、その時が訪れる。

 

「これで」

「決める!!」

 

 両者が互いのCCMを操作した次の瞬間。

 アキレスは装備したアキレスランスにエネルギーを集中させ。

 ドラグナーは、レーザーソードを連結させツインソード形態にすると、ツインソードにエネルギーを集中させる。

 

〈アタックファンクション、超プラズマバースト〉

〈アタックファンクション、グロリアスレイ〉

 

 次の瞬間、互いのCCMから機械音声が流れると共に、両機から放たれた必殺ファンクションが激突し、巨大な閃光の後に周囲一帯を爆煙が覆う。

 操作しているバンと凛空、そして観客席の観客達も、固唾を呑んで爆煙が晴れるのを待つ。

 

 程なく、爆煙が晴れると、そこに広がっていたのは、巨大なクレーターと衝撃により破壊された周囲の建造物。

 そして、巨大なクレーターの両端にて、互いに傷だらけとなりつつも戦う姿勢を崩さぬアキレスとドラグナーの姿であった。

 

 必殺ファンクションによる攻撃は痛み分け、決着は、次の一撃で決まる。

 かと、見守っていた観客達が思った、次の瞬間。

 

 不意にドラグナーが体勢を崩し膝をつくと、青白い光を放ち、その機能を停止させた。

 

「け、決着ーーっ!! 激戦を制しファイナルステージへの切符を勝ち取ったのは、山野 バン・青島 カズヤ・川村 アミのチームです!!」

 

 司会者の口からバンチームの勝利宣言が行われた刹那、会場内に観客達の歓声が響き渡った。

 それを受けて、バン達本人も漸く自分達が勝ったことを実感し、喜びに沸く。

 

「バン、カズ、アミ。ファイナルステージ進出、おめでとう」

「凛空……」

「三人とも、凄く強くなってて、僕の完敗だよ」

「そんな、凛空も充分に強かったよ」

「そうそう、俺達三人がかりでも互角ってかんじだったしな」

「そうよね」

 

 そんなバン達に、凛空は称賛の言葉を送る。

 

「それじゃ、僕は観客席で見学させてもらうから。バン、ファイナルステージ、頑張ってね!」

「あぁ、勿論さ!!」

 

 そして、バンと固い握手を交わした凛空は、決勝ステージを後にする。

 

(アルテミスを終えれば、後はラストまで一直線。残された時間は、多くはない。……ドラグナーのパワーアップを急がないとな、"竜退治"に備えて)

 

その胸中に、新たな決意を秘めて。




その他、構想として最終決戦においてジン君がファルゲンを操作し、ドラグナーとの連携攻撃で月光丸を撃破する、と言うものもありました。

という訳で、もしも作られたのがメタルアーマーだったらの世界線、その一幕でした。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。