うちの父親は変態企業の社長です   作:ダルマ

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無印とWをつなぐミッシングリンク編
ホットなリミットが胸を刺激する


 風に乗って、セミの鳴き声が聞こえてくる。

 真っ白な入道雲が沸き立つ中、太陽がギラギラ輝きを放っている。

 グレゴリオ暦で第七の、日本では"文月"とも呼ばれる月。季節はまさに、夏真っ盛りだ。

 

 

 そんな七月の初旬の頃。

 多くの働くお父さん・お母さん(大人)達が、夏の暑さの中、バスや電車などで地獄を見て心を乾かせているのを他所に、多くの学生(子供)達は、歓喜の渦に包まれていた。

 何故か、理由は言わずもがな、今月の下旬から始まるからだ。学生(子供)達にとっての一大イベント、"夏休み"が。

 通学や授業から解放され、一か月強もの間、自由な時間を謳歌する事が出来る。友達と家族と、様々な場所に出かけたり、様々なイベントに参加したりと、まさにその過ごし方は無限大だ。

 

 ただし、この夏休みの期間においては、学校側から生徒達が自堕落にならぬようとある物が配布される。それが、俗に言う"夏休みの宿題"だ。

 計画的に消化すれば何も問題ないが、一方でそうでない場合は──。

 

 ジャスト840時間だ。……いい悪夢(ユメ)は見れたかよ?

 との死の宣告を受ける事になる。

 

 

 

 

 そんな夏休みの開始が間近に迫ったこの日。

 ミソラタウンにあるミソラ第二中学校のとあるクラスの男子生徒達は、興奮のるつぼと化していた。

 それは、夏休みが間近に迫っていたからではない。本日行われる体育の授業の内容が"水泳"だからである。

 

 思春期真っ盛り。しかも、身体の変化の個人差がもっとも顕著に現れる時期である。

 そんな最中に行われる水泳の授業。

 プールサイドを彩る生足魅惑のマーメイド達。誤魔化しの効かない薄着の曲線達を前に、平常心を保てる者がいるだろうか。答えは否である。

 

 

 という訳で、朝から多くの男子生徒達は、来るべき水泳の授業に対して心を躍らせていた。

 

「ついに来たな、この日が!!」

「本当に、心が躍ります」

「俺なんて、今日の水泳の授業が楽しみ過ぎて、昨日目が冴えてなかなか寝付けなかったぜ」

「わかる」

 

 休み時間、男子生徒達は刻一刻と近づいている水泳の授業に対して期待感をつのらせていた。

 

「……所で諸君。君達は、誰の水着をご所望かな?」

「それがし、皆川さんを推すでそうろう」

「皆川。確かにアイツ、いいもの持ってるよな」

「わかる」

 

 最も、その会話の内容は、下心が丸出しのものではあったが。

 

「俺は小寺なんていいと思うんだ」

「えー、でも小寺ってどう見たって、ツルでペタ、だぜ」

「ばっきゃろう! それがいいんじゃねぇか! ステータスだぞ、希少価値だぞ!!」

「お、おぅ……」

「森谷もいいし、手島も捨てがたい……。ぬぉぉっ! そもそもこのクラスの女子って、皆レベル高くねぇ!?」

「わかる」

「だがしかし。諸君、彼女の事を忘れてはおるまい?」

「ふ、無論でござるよ」

「寧ろ、彼女を抜きにしてこの話題を語るなど、愚の骨頂」

「わかる」

「そう、我らの希望の星! 三影さん!」

 

 男子生徒の口から最愛の恋人の名前が飛び出し、聞き耳を立てていたとある男子生徒は眉をピクリと動かす。

 しかし、そんな事など知る由もない男子生徒達は、更に話を続けるのであった。

 

 

 

 

 それから時間は進み、遂に、男子生徒達待望の授業が始まった。

 男女それぞれの更衣室に別れ着替えを行い、着替えを終えた生徒達が続々とプールサイドへと姿を現す。

 最も、女子は遅れているのか、現れたのは全員男子ではあったが。

 

「太陽がまぶしいぜ!」

「絶好の水泳日和だな!」

「ふぉぉぉ! 女子は、女子はまだかぁ!?」

「おま、興奮し過ぎ!」

「ん? どうした、腹でも痛いのか?」

「馬鹿、アレだよ、アレ。テント張っちまったから隠そうと必死なんだよ」

「あぁ」

 

 一部前屈みになる男子生徒もいる等、まさに男子生徒達の期待度は最高潮に達していた。

 そんな中、水着に着替える事無く私服姿のままの男子生徒の姿が、プールサイドに設けられた日除けテントの下に置かれたパイプ椅子にあった。

 

「凛空、大丈夫か?」

「ここは影になってるから、心配ないよバン」

 

 その男子生徒とは、誰であろう凛空である。

 最近無事に退院し、あるくエンジェルを装着しなくても日常生活を送れるようになったのだが、まだ完全に回復した訳ではない為、今回は見学する運びとなっていたのだ。

 

「こんな暑い日にプールに入れないなんて、残念だよな」

「あ、リュウ」

 

 暫く凛空がバンと話をしていると、不意に新たなクラスメイト、リュウが二人のもとにやって来る。

 

「仕方ないさ。凛空はまだ退院したばかりなんだから」

「そっか……。なら仕方ないな」

「ごめんね。けどその分、バンとリュウの事応援してるよ」

「よーし、なら凛空、見ていてくれよ! 俺の華麗なる"ブルド泳法"!!」

「え? あ、うん……」

 

 ブルド泳法という謎の泳法が飛び出し一瞬返事に詰まった凛空だったが、すぐに無難な返事を返すのであった。

 刹那、そんな他愛もない会話も一区切りついた所で、不意に扉が開く音が聞こえてくる。

 次の瞬間、それまでのざわめきが嘘のようにぴたりと止んだ。同時に、男子生徒達の視線が女子更衣室の方へと一斉に向けられる。

 

「「Foooooooooーーッ!!!」」

 

 プールサイドに姿を現した水着姿の女子生徒達を目にした瞬間、想像以上の素晴らしき目の保養に歓喜の声を上げる男子生徒達。

 そのあまりの興奮っぷりに何人かの女子生徒がドン引きするを他所に、男子生徒達は彼女達の姿を脳裏に焼き付けていく。

 

「全く……。男子って本当にバカよね」

「あ、アミ」

「あはは……、まぁ、仕方ないよ」

 

 そんな男子生徒達に冷たい視線を送りながら、凛空達のもとにアミがやって来る。

 

「ん? 所でリュウは何してるの?」

「あ、えっと……」

「リュウは多分、自分自身と戦ってるんだと思うよ」

「ふーん、そう」

 

 アミは見学ではなく授業に参加する為に、当然ながら水着姿である。

 リュウはそんなアミに対して背中を向けていた。理由は、アミの魅力的な水着姿を拝見した事による生理現象故だ。

 

 まさか自分自身が原因とは思ってもいないアミは、凛空の説明を聞くや、すぐにリュウに対して見向きもしなくなる。

 

「所で、凛空」

「な、何?」

 

 刹那、アミが凛空に対して意味深な笑みを浮かべる。

 

「ちょっと待っててね」

 

 そう言い残すと、アミは一旦その場を離れる。

 程なくして、アミは一人の女子生徒を連れて戻ってきた。

 

「はーい、お待たせ」

「……」

 

 笑顔を浮かべるアミとは対照的に、女子生徒の方は気恥ずかしそうな表情を浮かべている。

 何故ならば、その女子生徒とは凛空の最愛の恋人であるミカだからだ。

 

「ねぇ凛空、ミカの水着姿、凄く可愛いと思わない?」

「アミ、そういうお節介は……」

「いいでしょバン、折角の機会なんだから。という訳で凛空、ご感想は?」

「え、あ……、えっと」

 

 見慣れた青と黒のボーダー柄の服ではなく、紺色の学校指定の水着、所謂スクール水着姿のミカ。

 水着というデザイン、更には構造により、彼女の女性としての魅力的な部分が誤魔化しが効かない程強調されている。

 

 そんな素晴らしい光景を目の前に、凛空の視線は釘付けになり、思考はお留守になってしまう。

 しかし、男性の本能的には自然な事なので、オールオッケー! なのだ。

 

「……エッチ」

 

 刹那、凛空の視線に気が付いたミカが、そんな言葉を零すと共に、自身の胸元を隠す仕草を行う。

 

「え? 凛空!?」

「え? っ! 凛空!」

 

 どうやら、先程のミカの一連の動作は、凛空にとって超必殺ファンクション級の威力があったらしく。

 鼻血を出したかと思えば、パイプ椅子ごと倒れてしまった。

 

「ん? どうしたんだよ二人とも……。って、うぉ!? 何だよこれ!?」

「凛空、しっかりしろ凛空!!」

「西原ー! しっかりしろ!」

「傷は浅いでござるよ!」

「メディ――ック!!」

「よーしお前ら、授業を始めるぞ。ん? おいそこ、いつまでも集まって喋ってないで……、ぬぉ! どうした西原! しっかりしろ!!」

 

 刹那、漸く生理現象が収まったリュウや他の男子生徒達。更には水泳を担当する男性の先生も凛空の異変に気が付き、プールサイドは騒然となるのであった。

 

 

 その後、男性の先生により保健室へと運ばれた凛空は、保健室の先生の適切な処置により即死を免れるのであった。




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そして、次回もご愛読のほどよろしくお願いいたします。
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