うちの父親は変態企業の社長です   作:ダルマ

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W編
episOde Zero


 A国。世界中でその名を聞いて知らぬ者はいないであろう同国は、陸地面積が世界第三位を誇る。

 その大きさが同国の成長の大きな原動力となり、同時に多種多様な文化を生み出した土壌となったのは言うまでもない。

 そんな同国の北東部にあるのが、同国内で最も歴史の古い街の一つと同時に世界都市の一つでもある街、それが"ボストンシティ"である。

 

 マサチューセッツ湾に面したボストンシティは、A国最古の都市公園が存在している他、世界的にも有名な大学が数多く集まり、日々最先端の研究がなされている。

 まさに、古いものと新しいものが入り混じった独特の雰囲気を醸し出した街。それがボストンシティなのだ。

 

 そんなボストンシティの郊外に、とある企業の工場が存在していた。

 工場の主である企業の名はクリスターイングラム。そして、工場の名は"コルベガ"と言う。

 

「確認いたしました。どうぞ、お通りください」

 

 そのコルベガの出入り口ゲートに、一台の車が停車していた。

 だが警備員達の確認が取れた事で、同車はゆっくりと発進し、程なく駐車場に到着すると駐車する。

 

 程なく、車の後部座席から、一人の青年が降りてくる。

 前傾姿勢の猫背に白黒の囚人服の様な服を着崩しているのが特徴的なその青年は、何処か薄暗い雰囲気を醸し出している。

 そんな青年のもとへ、一人の男性が出迎えにやって来る。

 

「いやはや、ようこそお越しくださいました」

「……名呉さん、だったっけ? 挨拶はいい、時間が惜しいんだ、さっさと案内してよ」

「そ、そうでしたね。貴方はオメガダインのテストプレイヤー故にご多忙の身、そ、それでは早速ご案内いたします。風摩 キリトくん」

 

 出迎えに来たのは、今やクリスターイングラム社の社外取締役となった、神谷重工元社長の名呉 健三。

 そんな彼が直々に出迎えた青年。風摩 キリトと呼ばれた青年は、名呉氏に案内されコルベガの施設内に足を踏み入れる。

 

 

 暫く歩いた後、二人は施設内のとある部屋に足を踏み入れた。

 

「こちらです」

 

 部屋の中にはDキューブが設置され、その脇に、不敵な笑みを浮かべた五人の男達が佇んでいた。

 キリトは彼らを一瞥すると、名呉氏と話を始める。

 

「あいつらが?」

「その通りです。彼らが今回、風摩 キリトくんとの対戦の為に用意した、我がクリスターイングラムの神谷重工ブランドが誇る精鋭達です!」

「ふーん……」

 

 自信満々に説明を行う名呉氏とは対照的に、キリトは物足りなさそうな反応を示す。

 

「それでは、時間も惜しいでしょうから、早速バトルとまいりましょう!」

 

 名呉氏のが説明を終えた所で、キリトはDキューブの前へと移動する。

 同時に五人の男達も移動を終え、Dキューブを挟んで対峙する。

 

「クククッ。オメガダインのテストプレイヤーを務める貴方とこうしてバトルできるとは、実に光栄だ」

「ふん。世辞はいい、さっさとバトルを始めるぞ」

「おっとその前に、我らの自己紹介をば」

「……さっさとしろ」

「では……、お初にお目にかかります。我ら、神谷重工ブランドが誇る精鋭部隊、その名もデクー5(ファイブ)

「我らの使用する機体は、神谷重工ブランドが誇る傑作LBX、デクー」

「しかし、デクーと侮るなかれ。我らのそれは、最新技術を惜しみなくつぎ込みカスタマイズした、まさに完璧で究極のデクー」

「如何にオメガダインのテストプレイヤーと言えど、一筋縄ではいきませんよ」

「ですが、だからと言って、手加減などいたしませんがね」

 

 自己紹介を終えたデクー5は、各々が使用するデクーをDキューブ内に投下させる。

 一方のキリトも、自身の愛機をDキューブ内に投下させる。

 

 神殿のジオラマに降り立ったのは五機のデクーシリーズと、真紅に彩られた一機のデクー。

 

「ほぉ、赤いデクー。それが貴方の使用するLBXですか……」

「そうだ。これが俺のLBX、デクーOZだ」

 

 デクーOZと名付けられた機体は、文字通りデクーをベースに真紅の塗装が施され、一部のアーマーが鋭角的なものへと変化している。

 一見すると改造箇所は少ないようにも思えるが、駆動系や装甲材、更には内部構造に至るまで、キリト自身の手により極限までカスタマイズされている。

 

 まさに、量産機をカスタマイズし極限まで性能を引き出す、とのキリトの理念を具現化した機体と言えた。

 

「これは素晴らしい! 我らのデクーと貴方のデクー、どちらが最強か、雌雄を決しましょう!」

 

 刹那、合図と共にバトルの幕が切って落とされる。

 

 先に動いたのは、デクー5の五機のデクーシリーズ。

 一斉に距離を取ると、各々が装備した得物の引き金を引く。

 次の瞬間、弾丸や弾頭の雨がデクーOZに襲い掛かった。

 

「やったか!?」

 

 一斉攻撃を受け爆発の中へと消えたデクーOZ。その光景を目にしたデクー5は自分達の勝利を半ば確信していた。

 だが、次の瞬間。爆煙を突き破り、赤き閃光と化したデクーOZが姿を現す。

 

「な!? また俺が踏み台にされたぁ!?」

 

 一瞬の内に距離を詰めたデクーOZは、デクーカスタムLを踏みつけると、自身の得物であるOZトマホークで斬りつけ撃破する。

 

「くそ、やはり接近戦は駄目だ! 距離を取って戦うぞスナイパー!」

「オーケーだ、バズ!」

 

 刹那、デクー改とデクーカスタムRが遠距離戦を仕掛けるべく更に後退する。

 しかし、そんな二機に対して、デクーOZは追撃の構えを見せない。

 

 見過ごすのか、と思われた次の瞬間。

 デクーOZは二機目掛けてOZトマホークを投げつけた。

 

「な、馬鹿な!?」

「トマホークがブーメランみたいに!?」

 

 OZトマホークはまるでブーメランのような軌道を描き、途中デクー改とデクーカスタムRを撃破すると、再びデクーOZのもとへと戻ってくる。

 

「く! 撃ちまくれ、ノーマル!」

「了解だエース!」

 

 残り二機となったデクーエースとデクーは、各々のが装備するスナップリボルバーとキラーガトリングの火力をデクーOZへと集中させる。

 しかし、デクーOZは飛来する弾丸の雨を躱しながら、二機との距離を詰める。

 

「な!?」

 

 次の瞬間、デクーエースの懐に飛び込んだデクーOZは間髪入れずにOZトマホークを振るう。

 斧刃が赤い装甲を切り裂き、デクーエースを撃破する。

 

「く、くそぉぉっ!!」

 

 最後に残ったデクーは、破れかぶれにキラーガトリングを発砲し続けるも、その弾丸がデクーOZの装甲を捉えることはなく。

 間もなく、OZシールドによるシールドバッシュを受け、仲間の後を追うのであった。

 

 

 

 

 

 バトルが終了し、部屋の中に静寂が訪れる。

 暫くの静寂の後、静寂を破る拍手が部屋の中に響き渡った。

 

「す、素晴らしい! 実に素晴らしい! デクー5を一分以内に倒してしまうとは、流石は、オメガダインのテストプレイヤー様だ」

 

 拍手と共に賞賛を送る名呉氏。

 一方キリトは、Dキューブ内からデクーOZを回収すると、呆然と立ち尽くすデクー5を一瞥した後、バトルの感想を口にする。

 

「期待して足を運んでみたが、この程度とは、正直言ってがっかりだよ。これじゃ、大した経験値にもなりゃしない」

「そ、それは……」

「もう少し歯ごたえのありそうな対戦相手は用意できなかったの?」

「こ、こちらとしても可能な限りの──」

「そうだ、アイツはいないの?」

「アイツ、とは?」

名呉さんの所(クリスターイングラム)でテストプレイヤーをしているアイツだよ。神谷重工ブランドの試作機を使ってる」

「あ、あぁ! M・ゴジョーの事だね!」

 

 名呉氏が漸く理解した所で、キリトは期待を高める。

 しかし、名呉氏の口から飛び出したのは、キリトの期待を裏切るものであった。

 

「申し訳ないが、彼は先日から長期休暇に入っていてね」

「……チッ」

 

 刹那、機嫌を損ねたキリトは、舌打ちすると部屋を後にしようとする。

 何とか機嫌を直してもらおうと名呉氏は声をかけるも、全く効果は見られない。

 

 そのまま部屋を出ていくかに思われた、その時。

 不意に、キリトは扉の前で立ち止まった。

 

「そうだ、名呉さん。悪いが、ウォーゼンに伝言を頼まれてくれないか」

「ウォーゼン? ……っ! まさか、オメガダインの総帥であるアラン・ウォーゼン氏ですか!?」

「そうだ。日本に寄っていくから帰りは遅くなる、ってな」

 

 そして、いつの間にか機嫌を直したキリトは、伝言の内容を伝えると、今度こそ部屋を出ていくのであった。

 

 

「あの、失礼ながら。何故一介のテストプレイヤーである彼にあそこまで機嫌を取るのです?」

 

 キリトの退室後、一部始終を見ていた神谷重工ブランドの職員の一人が、名呉氏に疑問を投げかける。

 すると、名呉氏は苦々しげな表情と共に疑問に答え始めた。

 

「私とて、好き好んであんな青二才に媚びへつらっていた訳ではない。ローレンスCEOから直々にもてなしてやれと言われていなければ、あんな青二才……」

「ローレンスCEOから直々に!? 一体、あの青年は何者なんです?」

「私が知るか! ……だが、LBXの腕前は、認めざるを得んよ」

「そうですね。それにしても、彼はなぜ日本へ?」

「だから、私が知るわけないだろう!」

 

 結局謎が解明される事はなく、名呉氏の怒鳴り声が部屋の中に響き渡るのであった。




 オタクロスのオタ知識デヨ!
 今回は、作中に登場したガンダムアストレアについてのじゃ。

 機動戦士ガンダム00Pにて初登場したこの機体は、ソレスタルビーイングが開発した第2世代ガンダムの1号機となる機体デヨ。
 前世代機である0ガンダムの汎用性を受け継いでおり、人間とほぼ同等の可動域を持つフレームが採用された事で高い運動性を有する他、機体各部に露出した粒子供給コードが特徴じゃ。
 本機で試験運用された武装は後に、第3世代ガンダムが運用した各種武装に引き継がれ。本機もまた、第3世代ガンダムの開発技術をフィードバックし改修され、長らく運用される事になるデヨ!
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