うちの父親は変態企業の社長です   作:ダルマ

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大変お待たせいたしました、それでは続きをどうぞ。


世界を変えるもの

 トキオシアデパートへと足を運んだ凛空とバンの二人は、その足で新製品発表会が行われるイベントフロア……ではなく、一階中央にある噴水の方へと向かった。

 

「お、来た来た。おせーぞ二人とも」

「何か、あったの?」

「実は……、ここに来る前に公園でヒロ君と会ってさ、ヒロ君もLBXを始めたみたいで、それで話が盛り上がっちゃって……」

「俺はちょっとのつもりで佐藤たちとバトルしてたら、思いのほか熱中しちゃってさ……」

 

 そこで二人が合流したのは、先に待合場所にやって来ていたアミ・カズ・ミカの三人。

 凛空とバンが待ち合わせ時刻ギリギリに来た理由を聞くや、アミ・カズ・ミカの三人は、二人らしいと言わんばかりの表情を浮かべた。

 

「それじゃ、二人も来た事だし急いでいきましょう。イベントフロア、もう人で一杯よ」

 

 そして五人は、アミの掛け声と共にイベントフロアへと足を運び始めるのであった。

 

 

 

 

 トキオシアデパートの五階に存在するイベントフロアへと足を運んだ五人が目にしたのは、溢れんばかりの人の姿。

 しかもその多くはLBXを取り扱う雑誌の記者、更にはテレビ局やネットメディアの記者等々。業界並びに報道関係者で埋め尽くされている。

 この事からも、近年同業他社の激しい追い上げにあいながらリーディングカンパニーの地位を守り続けているタイニーオービット社の持つ影響力の強さを感じずにはいられなかった。

 

「ん? おい見ろ! あれって、去年のアルテミス優勝者の!」

「山野 バン、とそのサポートメンバーの二人。やはり招待されていたか……」

「待て、彼らだけじゃないぞ!」

「あれは……、西原 凛空!」

「まさか彼も招待されていたとは……」

 

 特設ステージを最前列で見ようと人込みをかき分けて進む五人。

 そんな五人の正体に気付いた記者たちは、各々にひそひそ話を始める。

 

「しかし、タイニーオービットも豪気ですな。此度の新製品発表会に、目下最大のライバルと呼ばれるサイバーランスの御曹司を招待するとは」

「それ程、間もなく発表される新製品とやらに自信があるのでしょう」

「確か、社内では"Dプロジェクト"の名で厳重な情報管理のもと開発が行われていたとか。しかも、プロジェクトのリーダーを務めていたのは現社長と」

「いやはや、これは否が応でも期待せずにはいられませんな……」

「と、噂をすれば」

 

 そんな記者たちのひそひそ話を他所に、五人が最前列に到着したと同時に、特設ステージの脇から仕立ての良いスーツに身を包んだ拓也が姿を現した。

 

「お集まりの皆さん、大変お待たせいたしました」

 

 壇上で挨拶を始める拓也、同時に、イベントフロア上空に拓也の巨大なホログラムが出現する。

 そんな演出を経て、いよいよ、誰もが待ちに待ったその瞬間が訪れる。

 

「では早速、我がタイニーオービット社の新製品をご紹介いたしましょう!」

 

 刹那、記者たちの持つカメラ、並びに招待者やイベントフロア外で見物している人々の視線が一点に向けられる。

 特設ステージ上に設けられた、白い布で覆われた台座へと。

 

「ご覧ください! これが、我がタイニーオービット社が自信を持ってお送りする新製品! その名も、LBX"アキレス・ディード"です!!」

「え!?」

 

 拓也の言葉と共に二人のコンパニオンが覆っていた白い布をはぐ。

 刹那、黒を基調とした配色、鋭角的なパーツに各部の小型ノズルを備え、より機械的な外観となったアキレスがその姿を現した。

 

「このアキレス・ディードは、タイニーオービット社の新たなる主力商品として、全世界で発売予定です」

「アキレスが全世界で!」

「黒いアキレス、渋いぜ!」

「ステキ!」

「ん、良い」

「……」

「凛空?」

「あ、ごめん。……ちょっと、トイレに行ってくる」

「え? 凛空?」

「おいおい、まだ始まったばっかだぜ」

「なるべく早く戻るよ!」

 

 その場を後にする凛空を他所に、カメラのシャッター音が響き渡りアキレス・ディードの雄姿が写真に収められていく。同時に、拓也はアキレス・ディードの特徴を説明し始める。

 そして、一通り説明が終わった所で、今度はデモンストレーションの準備が始まる。

 

「ご紹介しましょう。今回、アキレス・ディードのデモンストレーションを担当する我が社のテストプレイヤー、パトリックです」

「やーどうもどうも!!」

 

 デモンストレーションに用いられる巨大Dキューブが運び込まれると共に、一人の青年が特設ステージ上に姿を現す。

 赤い髪に端正な顔立ちをした青年、パトリックと呼ばれたテストプレイヤーだ。

 程なく、巨大Dキューブの設置が完了した所で、デモンストレーションが幕を開けた。

 

 

 市街地を模した巨大Dキューブ内、その一角に降り立ったアキレス・ディードは、早速各部に搭載された小型ノズルを噴かせ上空に飛翔する。

 刹那、それに反応するように、建物の屋上に設置された砲台がアキレス・ディードに向けて発砲を開始した。

 しかし、アキレス・ディードは巧みな機動で飛来する弾丸を躱すと、お返しとばかりに装備したダークシューターを発砲し、砲台の上部にあるターゲットを撃ち抜いていく。

 

 こうして第一関門を突破した所で、今度は別の砲台群がアキレス・ディードを出迎える。

 だが、アキレス・ディードはダークシールドを使用し巧みに攻撃を受け流しつつ、ダークシューターでターゲットを撃ち抜いていく。

 その後も、アキレス・ディードは巨大Dキューブ内に設置されたターゲットを次々と撃ち抜いていった。

 

「「おぉーっ!!」」

 

 これには招待者達や見物人からも感嘆の声が漏れ、それに対して気をよくしたのか、アキレス・ディードは空中で次々とアクロバットな動きを披露してみせた。

 

「マジかよ、すげぇ!」

「凄い……、このアキレスが、もうすぐ皆のもとに……」

 

 その様子を目を輝かせて見ているバンとカズ。それに対してアミとミカの二人は、デモンストレーションが終わるまでに凛空が戻ってくるかを気にかけるのであった。

 しかし結局、凛空がデモンストレーション中に戻ってくることはなかった。

 

「では、続いては……」

 

 そして、次のプログラムに移ろうとした、その時。

 

「ん? 何だ?」

「お、おいアレ!」

 

 誰かの声に反応するように、皆次々と、頭上から降下してくる一筋の光に視線を向け始める。

 

「LBX? もしかして新製品ってアキレス・ディードだけじゃなかったのか?」

「でも、少し変」

「そうね、拓也さん達の方も何だか慌ててる様子だし」

「あの光……、それにあの造形……」

 

 一筋の光の正体、それは背部から粒子を放出する、青を基調としたトリコロールカラーのLBX。

 以前遭遇したガンダムアストレアに酷似したその姿を目にしたバンは、既視感を覚えずにはいられなかった。

 

 程なく、その場の注目を一身に集めた謎のLBXは巨大Dキューブ内、アキレス・ディードの目の前に降り立つ。

 

「おいおい何処のどいつだ? サイバーランスか? プロメテウスか? ま、何処のどいつかは知らねぇが、人様の発表会に無断で踏み込んだんだ。タダで済む訳ねぇよなぁ!!」

 

 すると、これに対してパトリックは応戦の姿勢を見せる。

 

「パトリック、何をする気──」

「社長、これはいいチャンスですよ」

「何?」

「謎の乱入LBXを撃退できたとあれば、アキレス・ディードの価値は更に上がります。……パトリックは、我が社の優秀なテストプレイヤーではありませんか。性格には、少々問題はありますが」

 

 拓也が部下とそんなやり取りを行っているのを他所に、当のパトリックは、謎のLBXを操るプレイヤーに言い聞かせるかのように自己紹介を行う。

 

「貴様、俺が誰だか分かってんのか!? タイニーオービット社が誇るテストプレイヤー、パトリック様だ! 二千戦二千勝、バトルでも負け知らずのスペシャル様なんだよ!! 知らねぇとは言わせねぇぞっ!!!」

 

 刹那、アキレス・ディードは左手にブロードソードを装備すると、ブロードソードの剣先を謎のLBXに向けながら、同機に対して突撃をかける。

 

 ──エクシア、目標を駆逐する。

 

 次の瞬間、謎のLBXが右腕に装備していた折り畳み式の大型実体剣が展開するや否や、刀身がアキレス・ディードの左手を切り飛ばした。

 

「な!?」

 

 あまりにも衝撃的な光景に、イベントフロアが静寂に包まれる。

 

「っ! ……て、てめぇ! わかってねぇだろぉ!!」

 

 そんな静寂を打ち破ったのは、他でもないパトリックだ。

 

「俺は──!!」

 

 怒りの咆哮の如く声と共に至近距離からダークシューターを放つも、謎のLBXはその一発をひらりと躱してみせる。

 しかもお返しとばかりに、左手で抜刀したビームサーベルを用いて、アキレス・ディードの左腕を切り裂く。

 

「スペシャルで──!!」

 

 更に続けて、今度は大型実体剣でアキレス・ディードの右腕を切り裂いてみせる。

 

「二千戦で──!!」

 

 そしてトドメとばかりに、ビームサーベルを振るいアキレス・ディードの頭部を切り落とす。

 

「負け知らずなんだよぉぉぉぉっ!!!」

 

 パトリックの断末魔の如く声と共に、無残にも倒れ込むアキレス・ディード。

 一方、その惨状を作り出した謎のLBXは、ビームサーベルを収め大型実体剣を折り畳むと再び背部から粒子の放出を始め、まるで目的は達せられたと言わんばかりに飛翔する。

 

 遠ざかるその姿を目で追いつつ、嵐は過ぎ去った、誰もがそう思った、次の瞬間。

 

「……え?」

 

 突如として、謎のLBX目掛けて一筋の閃光が走った。

 幸い、寸での所で回避した為直撃は免れたが、この謎の攻撃によってイベントフロア内では再びどよめきが沸き起こる。

 

「今度は一体何なんだよ!?」

「あ、おい、あれを見ろ!」

「嘘!?」

「まさか!」

「あれって……」

 

 そこにいたのは、五体満足で台座に佇み、ダークシューターを構えるアキレス・ディードの姿であった。

 

「アキレス・ディード!? でも確かにさっき……」

 

 バンは慌てて巨大Dキューブ内に視線を向ける。するとそこには、謎のLBXにより無残な姿となったアキレス・ディードが確かに存在していた。

 

「っ! あれは予備の……。おい、一体誰が操作している!? パトリック、お前か!?」

「ち、違いますよ社長ぉ~! 俺、何もしてませんって!」

「では一体誰が……」

 

 どうやら新たに現れたアキレス・ディードは予備機として用意されていたものの様だ。

 刹那、アキレス・ディードは小型ノズルを噴かせ飛翔すると、ダークシューターを発砲しながら謎のLBXに接近していく。

 それに対して謎のLBXも折り畳み式の大型実体剣、複合兵装になっているそれをライフルモードで使用し反撃を行う等、二機の戦いは空中戦の様相を呈していた。

 

「凄い、さっきはあんなに一方的だったのに!」

「ん、互角」

「やっぱスゲーぜ、アキレス・ディード!」

「でも、一体誰が操作してるのかしら?」

 

 多くの観衆に見守られながら繰り広げられる二機の戦い。

 一進一退の攻防が暫し繰り広げられた後、アキレス・ディードが仕掛ける。

 

 小型ノズルを巧みに使い謎のLBXの攻撃を躱しつつ接近した次の瞬間。

 一気に懐に飛び込むと、謎のLBXに対して強烈な蹴りをお見舞いした。

 

 この蹴りが決定打となり、謎のLBXは体勢を立て直すことなく、一階中央にある噴水に落下するのであった。

 

 

 

 

 そして再びイベントフロアに静寂が訪れる……、事はなかった。

 何故なら、二機の戦いを見ていた観衆から歓声が沸き起こったからだ。

 

 空中に静止するアキレス・ディードに向けられる称賛の声や眼差し。アキレス・ディードはまさに、ヒーローであった。

 

 

 ──そう、この時はまだ。

 

 

 刹那、アキレス・ディードのメインカメラが怪しく光るや否や、ダークシューターの銃口をイベントフロアに向ける。

 そして、次の瞬間。

 

「……え?」

 

 放たれた光の弾丸はバンの頬を掠め、近くの床に着弾する。

 

 

 その瞬間、称賛の声は悲鳴に、イベントフロアは……否、トキオシアデパートは戦場へと変貌した。




 オタクロスのオタ知識デヨ!
 今回は、作中で海外企業製のLBXとして登場したファントンとリーオーについてじゃ。

 ファントンは機動戦士ガンダム00並びに00Pに登場する機体で、人類革新連盟が開発し第五次太陽光発電紛争時に主力機として運用した機体デヨ。
 後継機のティエレン同様重装甲が売りの機体じゃが、その分機動性は犠牲になっておる。武装は頭部下側に装備した滑腔砲とカーボンスピアじゃが、必要に応じて追加する事が可能デヨ!

 一方リーオーは、新機動戦記ガンダムWシリーズに登場する機体で、十二星座の「しし座」の名を有し、実戦配備からアップデートを繰り返し二十年以上にもわたり主力を務めたエレガントな名機デヨ。
 本機は機体各部に設けられたハードポイントによって様々な任務に対応した装備の換装が可能で、地上のみならず宇宙でも運用できるよう豊富なオプションが用意されておる。
 また、様々な陣営で運用されたために多くのバリエーション機が生まれたのも特徴の一つデヨ!
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