うちの父親は変態企業の社長です   作:ダルマ

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 バンと凛空が以前旧シーカー本部を訪れた際は地下駐車場の出入り口から入る事が出来たが、どうやら今回は、先ほどのLBXの暴走による混乱で地下駐車場の出入り口が塞がってしまったようだ。

 そこで今回は、トキオシアデパートの一階バックヤードにある従業員専用出入り口を利用し地下駐車場を目指す事となった。

 

「うわー、何だか普段は入れない所に足を踏み入れるとワクワクしますね!」

「確かにね」

「ヒロ、俺達は職場体験に来てるんじゃないんだぞ」

「う、すみません……」

 

 普段は入る事のできないバックヤードに足を踏み入れ、見えるもの全てが新鮮に映るヒロ。

 しかし、バンにはそれが注意散漫になっていると思われたらしく、ヒロは注意を受けてしまう。

 感情と連動しアホ毛共々しゅんとするヒロ。そんなヒロを、凛空は優しく慰めるのであった。

 

 そんなやり取りを行いつつ、三人はバックヤードを進む。程なく、三人は従業員専用エレベーターの前に足を運んだ。

 

「これを使うんですか?」

「いや、システムジャックの影響でエレベーターは使えない。だから近くにある階段を使ってくれ」

 

 ヘッドホンから聞こえるコブラの指示に従い、三人は近くにある従業員用の階段に足を運んだ。

 

「うわ……、ちょっと暗いですね」

 

 ヒロの言う通り、階段内は光源が非常灯の灯りのみの為薄暗く、視界の確保が困難であった。

 

「成程、ここで暗視ゴーグルの出番って訳か」

 

 刹那、三人はゴーグルの暗視機能を有効にする。すると薄暗い中でもしっかりと視界が確保される。

 

「うぉぉ、感動ーっ! まるでサバイバルアクション系のゲームの主人公みたいですよね! ──HQ、こちらブラボー4、セクションBへの突入を完了した。これより、パッケージの回収に向かう!」

 

 すると次の瞬間、ヒロは手で拳銃を作るとゲームの主人公さながらの言動を行う。

 しかし当然ながら、この場違いな言動に対してヘッドホンから拓也の声で注意が促される。

 

「危険なミッションだ、注意していこう」

「はい……」

「ヒロ君、非日常的な体験に浮かれてしまうヒロ君の気持ちも分からなくはないよ。でも、やっぱり時と場合に応じないと」

「はい……」

「けどシチュエーションのチョイスは見事だった……、いいセンスだ」

「いい──センス……。はい!」

 

 バンと凛空から慰められいつもの調子を取り戻したヒロは、二人に続くように階段を下っていく。

 それから暫く階段を下り続け、やがて三人は、地下三階にある地下駐車場までたどり着いた。

 

 

「よし、三人とも、地下駐車場に着いたな」

「はい。けど……」

「どうした?」

 

 しかし、無人と思われていた地下駐車場には二十機近くはいるであろうLBXが、三人の行く手を遮るかのように待ち構えていた。

 近くの自動車の陰に身を潜めその様子を確認した三人は、拓也とコブラに指示を仰ぐ。

 だが、迂回ルートはない為、戦闘は避けては通れない様だ。

 

「仕方ない。凛空、ヒロ」

「はい」

「……」

 

 そして、三人が各々のLBXを取り出し戦端を開こうかとした、その時。

 

「っ! 二人とも、アレ!」

 

 何かに気が付いた凛空が地下駐車場の一角を指差す。それにつられ、バンとヒロも指差す方へと視線を向けた。

 

「っ! 何だあれは!?」

「戦闘機、ですか?」

 

 そこで三人が目撃したものは、オレンジを基調としたLBXサイズの戦闘機が粒子を放出しながら猛スピードでLBXの集団に向かっていく姿であった。

 程なく、LBX側も戦闘機の存在に気が付き、フライトデクーやグフフライトタイプと言った飛行型のLBXを中心に迎撃を開始する。

 しかし、謎の戦闘機は臆することなく飛び交う弾幕を掻い潜ると、お返しとばかりにビームサブマシンガンを発射する。

 だが、飛行型のLBX達は戦闘機からの攻撃を躱し、ファーストアタックは双方空振り……かと思われた。

 

 刹那、飛行型のLBX達を通り過ぎた戦闘機の後部、そこに装着されたコンテナ状のハッチが開かれると、そこから大量のミサイルが射出される。

 次の瞬間、回避や迎撃を行う間もなく、飛行型のLBX達は次々とミサイルの餌食となるのであった。

 

「一瞬であの数を……」

「バンさん、今度は別のが!」

「え!?」

 

 一連の戦闘を観察していたバンだったが、不意に聞こえたヒロの声につられ、別の方向へと視線を向ける。

 そこで目にしたのは、白と黒を基調とした文字通りデカブツと称するに相応しい重装甲のLBXが、粒子を放出しつつ残りのLBXの集団の前に降り立つ姿であった。

 

「まさか、あの数を相手に!?」

 

 圧倒的に数的不利な状況下、にもかかわらずデカブツLBXは一歩も引く気配を見せない。

 刹那、先手必勝とばかりにLBXの集団は各々の得物をデカブツLBXに向け、躊躇う事無く引き金を引く。

 大量に放たれる弾丸や弾頭。だが、デカブツLBXは並のLBXならば蜂の巣になりそうな弾幕を受けても、まるで蚊の食う程にも思わぬという様子。

 

 と、デカブツLBXは装備していた大口径ビーム砲を構えると、その砲口を集団へと向ける。

 そして次の瞬間、砲口から放たれた巨大な一筋の光は十数機にも及ぶLBXを次々と飲み込み、葬り去るのであった。

 

「何なんだ、あのLBXは……」

 

 圧倒的な性能を目にし唖然とするほかないバン。

 だが次の瞬間、バンはデカブツLBXの背後から忍び寄る影の存在に気が付く。

 

「っ! 危ない!」

 

 影の正体、それは伏兵として隠れていたのであろう一機のアヌビス。

 手にしたファラオブレードの刀身でデカブツLBXを斬りつけようと忍び寄っていた。

 

 そんなアヌビスの存在に気が付いたバンは、咄嗟にエルシオンで助けに向かおうとしたが、その時。

 それよりも早く、上空よりアヌビスに急接近する影が存在した。それは謎の戦闘機。

 あまりの速度と角度に、そのまま体当たりしてしまうのではと思われた、次の瞬間。

 

「っ! 変形した!?」

 

 何と謎の戦闘機はオーディーンと同様の、空気抵抗を考慮したスマートな人型形態に変形。

 そしてビームサーベルを抜刀すると、降下の勢いを乗せた光の刃でアヌビスを切り裂くのであった。

 

「あの戦闘機、可変型LBXだったのか……」

 

 更なる衝撃の事実を目の当たりにしたバンは、デカブツLBXと共に何処かへと飛び去って行く可変型LBXを見送る。

 程なく、二機の姿が見えなくなった所で三人は自動車の陰から出ると、軽く周囲を見渡す。

 

「あ」

 

 すると何かを見つけたのか、凛空は小さく声を漏らすと、地下駐車場の一角に足を運び何かを拾い上げる。

 

「凛空さん、それは?」

「あの可変型LBXが投棄していった武装コンテナみたいだね」

「どうするんだ?」

「手掛かりが見つかるかもしれないから、あとで嶺部長に調べてもらうよ」

 

 そう言いながら、自然な流れて自身のバッグに回収した武装コンテナを入れる凛空。

 まさかその行動が証拠を隠滅する為の行為で、尚且つ先程の第三世代型GNドライヴ搭載型LBX、可変型LBXこと"ガンダムキュリオス"、デカブツLBXこと"ガンダムヴァーチェ"。両機を操作していたのが凛空自身であるとは、バンとヒロの二人は夢にも思わぬのであった。

 

 

 

 

 こうして予期せぬ助っ人の登場で待ち伏せを突破した三人は、その後拓也の指示に従い旧シーカー本部へと通じている秘密の階段を見つけると、下り始める。

 その最中、不意にバンが先ほど助っ人に現れた二機のLBXについての話題を切り出す。

 

「さっき現れた二機、機体の特性や武装は違うけどトキオシアデパートに現れた二機にも似ていた……」

「確かに、さっき見た二機も、僕達が黒いLBXと戦った時に加勢してくれたLBXと同じように背中から粒子が出てましたよね!」

「多分、単機ではなく二機で現れたのは、機体ごとに機能を特化させ複数で運用する事によって最大限のパフォーマンスが発揮できるためだと思う」

「成程、鋭い読みだね」

「それに、実は去年のクリスマスにも似たような機体を目撃した事があるんだ。その時も今回の様に加勢してくれたんだけど、……仮に俺の見た五機全てが同じ人が作ったものだとすると、その目的は一体なんだろうか?」

「うーん。ヒーローものなら、何らかの理由で正体を隠しつつ独自に行動していてたが後に追加戦士として堂々参上! って展開がお約束ですけど……」

 

 実はヒロの発言は当たらずも遠からずなのだが、当の本人は知る由もなかった。

 

「そう言えば、俺の見た五機は何となく凛空が使ってるガンダムに似ている気がしたんだけど……。凛空、何か知らないか?」

「そうだね。……確かに、さっきの二機はガンダムの特徴に似てはいたけど、それだけでサイバーランスが関わっていると決めつけるのは性急だと思う。最近じゃ他の企業からも、ガンダムタイプの人気に肖ろうと外観だけ模倣した機体も出てるからね」

 

 刹那、凛空はこれ以上この話を掘り下げられない様にまとめに入る。

 

「回収した武装コンテナから手掛かりが見つかったらバンにも教えるから、今は目の前の事に集中しよう」

「あぁ、分かった」

 

 こうして凛空の目論見通り話が終わった所で、バンが別の話題を切り出した。

 

「そう言えばヒロ。選ばれたって事に凄く嬉しそうにしてたけど?」

「あぁ、その事ですか──」

 

 するとヒロは、自身の過去と共に、自身が愛してやまない宇宙英雄センシマンとの出会いについて話し始めた。

 幼き頃、ヒロの両親は仕事人間で殆ど家にも帰ってこなかった。その為、それが原因でいじめられていたのだとか。

 そんなある日、当時放送されていた宇宙英雄センシマンを視聴したヒロは背中を押され、いじめっ子たちに立ち向かえたのだという。

 

「──あの時から、とても自分が強くなれた気がするんです。だから、僕にとって"選ばれた戦士"ってそういう特別な意味があるんです。……勇気を持てば強くなれる。僕はそう思ってます!」

 

 こうしてヒロが語り終えた、その時。

 感動的な話に水を差すかの如く、三人の周囲に次々と弾丸が撃ち込まれる。

 

「わわ! 何ですか!?」

「っ! あれは……」

 

 三人が下の踊り場に視線を向けると、そこには下手人であろう多数のインビットが武器腕の銃口を三人の方に向けていた。

 

「待ち伏せ!?」

「どうします?」

「決まってるさ。初陣だ、エルシオン!」

「ペルセウスいけー!」

「ストライク、行きます!」

 

 刹那、エルシオンとペルセウスが一番槍の如く突っ込み戦闘を開始する。

 その後方、左背部に身の丈程の巨大ビーム砲、右肩部にバルカン砲と多目的ランチャーの複合兵装を備えたストライクガンダム。遠距離砲撃戦用のランチャーストライカーを装備した形態。その名を"ランチャーストライクガンダム"が降り立ち、二機の援護を行う。

 最も、主武装となるアグニの名を冠された巨大ビーム砲は乱戦で使用するには使い勝手が悪い為、主に複合兵装の方を使用している。

 

「バンさんと凛空さんが一緒なんだ、これ位!」

「ヒロ、気を抜くなよ」

「へへ、分かってますって」

 

 本人はそう言っていたものの、程なくペルセウスはインビットに背後を取られ攻撃を喰らってしまう。

 しかし、咄嗟にエルシオンが援護に駆け付け、すかさずランチャーストライクガンダムも加わった為事なきを得る。

 

「ヒロ、気を抜いちゃ駄目だ!」

「油断大敵だよ」

「は、はい!」

 

 こうしてヒロが気を引き締め直した所で、戦闘は更に激しさを増していく。

 

「っ! 反応が遅い……」

 

 その最中、バンはエルシオンが自身の反応速度に追いついていない事に気が付く。

 しかし、組み立ててから細かなチューニングをする間もなく初陣を飾る事になった為やむを得ない。

 それでも、長年の経験から機体の状態に合わせ戦闘を進め、凛空とヒロの助けも相まって、無事に待ち伏せのインビット達を撃破するのであった。

 

「ありがとう二人とも、助かった」

「バンはまだエルシオンに慣れてないからね、助けるのは当然だよ」

「今の僕達、ナイストリオでしたね!」

「そういうヒロ君も、操作の腕前がどんどん上達してるね」

「ありがとうございます!」

 

 凛空に褒められて照れるヒロを他所に、バンは回収したエルシオンのチューニングを行い始めた。

 すると、そんなバンの様子に気が付いたヒロが凛空に何をしているのかを尋ねる。

 

「あれは多分、さっきの戦闘でエルシオンの反応が遅れていたから、それを改善する為にチューニングを行っているんだよ」

「チューニングですか?」

「ホビーとはいえLBXは精密機器だからね。使用するLBXの状態は、プレイヤー自身がきちんと把握しておかなきゃ駄目なんだ。少しの見逃しがバトルの結果に大きく左右される事もあるからね。故に、メンテナンスはとても大事なんだ」

「分かりました!」

 

 程なく、バンがエルシオンのチューニングを終えた所で、三人は再び秘密の階段を下り始めるのであった。

 

 

 

 

 その後三人は秘密の階段から秘密の通路に出ると、拓也の指示に従い旧シーカー本部の床下へと繋がっている秘密の地下通路へと足を踏み入れる。

 程なく、突き当りにある梯子をバンを先頭に登った三人は、登った先にあった重厚なハッチを開いた。

 

 そこで三人が目にしたのは、薄暗く人気のない旧シーカー本部の中央に以前訪れた際はなかった長方形の大型機械が設置され、怪しくライトを点滅させながら稼働し、その大型機械を守るように多数のLBXが周囲を巡回している様子であった。

 

「多分、あの大型機械が今回の暴走の原因だね」

「けど、結構な数のLBXが守ってますよ……」

「でも、機械を止めるには突破しないと。いくぞ、凛空、ヒロ!」

「うん!」

「はい!」

 

 エルシオンとペルセウスが前衛を務め、ランチャーストライクガンダムが後衛として二機の支援を務める。

 上記の陣形で護衛のLBX達に立ち向かう三人。

 順調に撃破していくものの、その数が減る気配はない。

 

「やっぱり数が……、って、やば!」

 

 数の優位を生かし、デクーと鍔迫り合いを繰り広げているペルセウスの左右から得物を構えたアヌビスやグラディエーター達が迫っている事に気が付くヒロ。

 すると、そんなペルセウスの危機を救うべく、エルシオンとランチャーストライクガンダムが動く。

 

〈アタックファンクション、ホーリーランス〉

 

 天使の翼を得て上空に舞い上がったエルシオンは、聖なる光を纏ったエルシオンハルバードを右側から迫る集団に投げつける。刹那、青白く輝く光のランスが射線上の機体を次々と破壊していく。

 

「当たれ!」

 

 一方、ランチャーストライクガンダムはアグニを構えると、その砲口を左側から迫る集団に向ける。刹那、アグニより放たれた巨大な一筋の光は射線上の機体を次々と飲み込んでいくのであった。

 

 

「す、凄い……」

 

 程なく危機を脱したヒロは、先程の二機の活躍について感想を零す。

 

「ヒロ君、必殺ファンクションならヒロ君にも使える筈だよ」

「え?」

「凛空の言う通り。ペルセウスに経験を積ませればヒロも使えるようになる!」

「はい! よーし、やるぞ!」

 

 二人の説明を受けて、ヒロは早速ペルセウスを操作し経験を積ませ始める。

 迫るLBX達と戦い経験を蓄積させていくペルセウス。やがて、ヒロのCCMに必殺ファンクション使用可能の表示が現れる。

 

「これか、よーし、必殺ファンクション!」

〈アタックファンクション、コスモスラッシュ〉

 

 刹那、ペルセウスは両手のペルセウスソードに溜められたエネルギーを斬撃として放つ。

 その威力は凄まじく、直撃はもとより、かすめた程度でも断末魔の如く爆破を起こすのであった。

 

「やりました!」

「凄いじゃないかヒロ!」

「本当に、ヒロ君は飲み込みが早いね」

「いや~、それ程ですよ。えへへ……」

「よし、この調子で残りを片付けるぞ!」

「了解!」

「はい!」

 

 こうしてヒロがまた一歩成長した所で、三人は再び気を引き締め直すと、残りのLBX達との戦いを再開するのであった。

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