うちの父親は変態企業の社長です   作:ダルマ

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試される戦略

 旧シーカー本部内に鳴り響いていた戦闘音がぴたりと止むと同時に、大型機械を護衛していたLBX達との戦いも終わりを迎えた。

 各々のLBXを回収した三人は、床に散らばる護衛LBX達の残骸を踏み越えながら大型機械に近寄っていく。

 

「これを止めれば、事件解決ですね!」

 

 意気揚々とそう言いながら大型機械に触れようとするヒロ。

 しかし、そんなヒロの手を制止させるかの如く、突如として二つの小さな影が三人の目の前に舞い降りる。

 

「っ! これって……」

「Gレックス!?」

 

 舞い降りたのは赤と青、それぞれの色に塗装された二機のLBX。

 その名をGレックス。バンと凛空にとっては自分達に文字通り命を懸けて未来を託してくれた恩人であり師でもある人物、伝説のLBXプレイヤーが操っていた無敵の火竜だ。

 本人が使用していたオリジナルのGレックス自体は本人から託された凛空が大切に保管しているものの。既に市場には、去年のアルテミス出場の際の人気に肖ってかレプリカ品が流通していた。

 

 おそらく、今回現れた二機のGレックスもそんなレプリカ品を使用した物だろう。

 とは言え、再びGレックスが自分達の前に立ちはだかった事に、バンと凛空は複雑な表情を浮かべる。

 

「っ! デパートで戦った黒いLBX!?」

 

 刹那、アキレス・ディードが何処からか姿を現し、大型機械の上に降り立つ。

 

「成程、こいつらがステージボスって訳ですか……。バンさん、凛空さ──、ひっ!」

 

 誰がどの機体を相手にするか、その相談を持ち掛けようとしたヒロは凛空の方に視線を向けた瞬間、小さな悲鳴を上げた。

 それにつられて凛空の方に視線を向けたバンも、思わず息を呑んだ。

 何故なら、凛空がまるで殺し屋のような眼光でアキレス・ディードを見つめていたからだ。

 

「バン、ヒロ君。アキレス・ディードの相手は僕がする」

「「は、はい!」」

 

 こうして戦う相手が決まったその直後、不意に空中ディスプレイが現れる。

 空中ディスプレイには自身のCCMをその手に持った、先程世界に向けて宣戦布告を行った仮面の男が映し出されていた。

 

「君達が、ディテクターに対抗する力か。……面白い、阻めるものなら阻んでみよ!」

 

 仮面の男の言葉が終わると共に空中ディスプレイも消える。

 それを合図に、戦いの幕が切って落とされる。

 

 

 アキレス・ディードに向けてランチャーストライクガンダムのバルカン砲が火を噴くも、アキレス・ディードは小型ノズルを使用しひらりと躱してみせる。

 そんな同機に対して、ランチャーストライクガンダムは果敢に距離を詰めて必中弾を狙う。

 

 一方、エルシオンとペルセウスは二機のGレックスを相手に攻撃を仕掛けるものの、二機のGレックスは繰り出される攻撃を軽くいなすと、的確な反撃でエルシオンとペルセウスにダメージを与えていく。

 そこで、バンとヒロの二人は攻撃を一方に集中しようとするも、二機のGレックスは巧みな連携で二対一の構図を作らせない。

 その動きは、今まで相手にしてきた暴走LBX達とは段違いのものであった。

 

「く! 何て強さだ……。動きがまるで違う」

「むむ……。互いの死角を補い合う、ベストマッチなコンビネーション! これは、初のボス戦に心が躍るな、なんて言ってる場合じゃありませんね!」

 

 こんな状況でもブレないヒロを他所に、バンは何とか突破口を開こうと考えを巡らせる。

 しかし、妙案が思いつく前に二機のGレックスが再び動き出す。

 

「え!?」

 

 だが、二機のGレックスが向かったのは、ランチャーストライクガンダムの方であった。

 

「これで──、ち!!」

 

 アキレス・ディードに指向したアグニの引き金を引く間際、二機のGレックスの介入により、発射は阻止されてしまう。

 

「邪魔するな!!」

 

 折角のチャンスを潰され怒りに震える凛空、そんな彼の気迫が乗り移ったかの如く、ランチャーストライクガンダムは眼前に立ち塞がった赤いGレックスに対して飛び膝蹴りをお見舞いする。

 その威力はすさまじく、赤いGレックスの巨体が宙を舞う程。

 刹那、そんな相棒に注意が向けられている隙に、青いGレックスがランチャーストライクガンダムの背後から襲い掛かろうとする。

 

 だが次の瞬間、バーンナックルがランチャーストライクガンダムの背部を捉えるよりも早く、アグニの床尾が青いGレックスの頭部に叩きつけられる。

 予期せぬ攻撃に堪らず倒れる青いGレックス。しかし、青いGレックスへの攻撃はそれだけにとどまらなかった。

 ランチャーストライクガンダムは青いGレックスを踏みつけ動きを封じると、ゆっくりとアグニの砲口を青いGレックスへと向ける。そして、次の瞬間──。

 

 零距離射撃を受けた青いGレックスは、爆炎の中に姿を消した。

 

「次っ!!」

 

 こうして青いGレックスを撃破し、次なる標的を赤いGレックスへと定める凛空。

 一方、赤いGレックスは相棒の弔い合戦の如く、果敢にランチャーストライクガンダムへと突撃を行う。

 

 先ほどは不意打ちを受けたが、正面からの殴り合いならば赤いGレックスに分がある。見守っていたバンとヒロもそう判断した次の瞬間、二人は我が目を疑った。

 何故なら、ランチャーストライクガンダムがアグニをまるでトンファーや槍の如く使用し、近接戦闘をこなしてみせたからだ。

 アグニとバーンナックルのリーチの差もあり、最後は突き飛ばされた赤いGレックスがアグニの零距離射撃を受け大きな風穴を開けた所で、見事決着が付くのであった。

 

「これで残るは──、っ!」

 

 二機のGレックスを倒し、いよいよ本命のアキレス・ディードに再び挑もうとした、その時。

 伏兵として隠れていたのか、三機目となる黄色いGレックスが姿を現し、ランチャーストライクガンダムに迫る。

 凛空が完全に油断していた事もあり、黄色いGレックスの攻撃を受けたランチャーストライクガンダムはよろけてしまう。

 

 そして、黄色いGレックスが更に追い打ちをかけるかの如くバーンナックルを振りかぶった、次の瞬間。

 

「デクー!?」

 

 突如現れた真紅のデクーが、装備したシールドでバーンナックルの一撃を受け止める。

 

「まさか、味方ですか!?」

 

 驚くバンとヒロを他所に、真紅のデクーは攻撃後の隙を突き、装備したトマホークで黄色いGレックスを上空へと弾け飛ばす。

 刹那、真紅のデクーの行動の意図を汲み取ったランチャーストライクガンダムが黄色いGレックスに狙いを定め、アグニの引き金を引く。

 そして、空中で逃げる事も防御を取る事もできない黄色いGレックスは、アグニの直撃を受けて見事な花火を咲かせるのであった。

 

 

 

 

「っ! バンさん、凛空さん、黒いLBXが!?」

 

 こうして三機目のGレックスを撃破した所で、ヒロがある事に気が付く。

 それは、いつの間にかアキレス・ディードの姿が見当たらない事だ。

 

「逃げられた……。でも、まだ遠くには行ってない筈です、追いかけましょう!」

「待てヒロ、機械を止める方が先だ!」

 

 バンとヒロが口論を繰り広げると、突如真紅のデクーが装備したトマホークをブーメランの様に投擲し、大型機械を破損させる。

 異音と共に煙が噴き出した次の瞬間、大型機械は機能を停止させるのであった。

 

「あれ程高性能なデクーがあったなんて……」

「もしかして、あのデクーもこれまで加勢してくれたLBX達と同じなんじゃ?」

「いや、あのデクーはどうも違う気がする……」

 

 移動する真紅のデクーを目で追いながら各々の感想を零すバンとヒロ。

 程なく、真紅のデクーは自分達が侵入してきた床下のハッチの前で立ち止まる。

 すると次の瞬間、床下のハッチから、一人の青年が姿を現した。

 

「もしかして、そのデクーは君の?」

「あぁ、そうさ」

 

 バンの質問に答えながら、青年は真紅のデクーを回収する。

 

「もしかして、デパートや地下駐車場で僕達を助けてくれたのも貴方なんですか!?」

「あ? 何の事だ?」

「あれ、もしかして違うんですか? でも、先程助けてくれたのは貴方なんですよね、ありがとうございます!」

 

 青年は薄暗い雰囲気を醸し出しているが根は優しい。

 ヒロはそう信じてお礼を述べるも、それに対して青年はきっぱりと否定する。

 

「勘違いしないでほしいな。悪いけど俺は、君達を助ける為に来たんじゃない」

「え?」

「なら、君の目的は一体……」

 

 刹那、青年は不敵な笑みを浮かべると、自らの目的を答え始めた。

 

「俺がここに来たのは、山野 バン、君を倒すためだ!」

「「っ!?」」

 

 青年のまさかの目的に、目を見張るバンとヒロ。

 

「そうだ、自己紹介がまだだったね。俺の名は風摩 キリト。……君の強さに心奪われた男さ!」

 

 バンが寒気を感じる一方、キリトは更に話を続ける。

 

「だというのに、君にはガッカリしたよ。あの程度の相手に苦戦するとは、本当にガッカリだ」

「く……」

「それに対して、西原 凛空。君は本当に素晴らしい、評判以上だ! さぁ、今すぐバトルを──」

 

 どうやらバンと異なり、凛空はキリトのお眼鏡にかなったようだ。

 すると、ここで自身の名を呼ばれた凛空がキリトの方に顔を向ける。

 

 刹那、未だ怒りが収まりきらず険しい表情を浮かべる凛空の顔を見たキリトは直感的に理解する。今はバトルをするべきではないと。

 

「どうやら今日は都合が悪いらしい。……という事で、バトルは次の機会に預けておく。あぁ、序に山野 バン。次に会った時は君を倒す、覚えておけ」

 

 そして、言いたい事を言い終えたキリトは、床下のハッチの中へとその姿を消すのであった。

 

 

 

 

 それから程なく、拓也と、久々の全力疾走により肩で息をするコブラがやってきた。

 

「三人とも、無事か!?」

「はい」

「はぁ、はぁ……。今の、風摩 キリトって奴、一体何者だ?」

 

 どうやら先ほどのキリトとのやり取り、拓也とコブラはヘッドホン越しに一部始終を聞いていた様だ。

 

「バンの強さに心奪われたと言っていた……。かと思えば、バンを倒すとも言っていた。一聴すると発言自体が矛盾しているが、いやこれは、愛を超越し憎しみへと変わったという事か!?」

 

 独特な解釈を呟く拓也を他所に、バンは思い当たる節がない為首を傾げる。

 

「僕が思うに、彼は最終的には味方になると思いますよ! きっとそうに違いありません! 元敵幹部が光墜ちして追加戦士として参戦するのは、ヒーローもののお約束の一つですからね!」

 

 一方、ヒロは自信満々にそう言い放つのであった。

 

「ま、その辺はおいおい分かるだろ。とりあえず今は、トキオシティの危機を救った事を喜ぼうや」

「っ、そうでした! 僕達、トキオシティの危機を救ったんですね!」

「あぁ!」

 

 コブラの言葉を聞き、バンとヒロの二人は顔をほころばせる。

 そんな二人とは対照的に、凛空は先程よりも和らいだとは言え、少しばかり険しい表情を浮かべるのであった。

 

「……よし、決めたぞ」

「ん? 何を決めたんだ、宇崎の旦那?」

「シーカーを復活させる!」

「え!?」

「ディテクターに対抗する為には相応の力が必要だ。だから、シーカーを復活させる。それしかない」

 

 程なく、拓也がシーカーの復活を宣言し、復活の為の準備が始まる。

 先ずはコブラの協力のもと旧シーカー本部の電源設備を復旧させると、拓也はタイニーオービット社に連絡を取り、本格的な復旧作業に必要な里奈や結城などの元シーカーメンバー数人を呼び寄せる。

 

「はい、こちら現場となったダイソンビジネスセンター前の道路です。まだ車輛の移動は始まっていない為、現在でも道路上には数多くの車輛が──」

 

 復旧したモニターに映し出されたニュース番組を眺めながら。

 

「これってつまり、秘密基地が復活するんですよね! くぅーワクワクしますねぇ!」

「だが、やるべきことは山積みだ。……完全に復旧させるには、時間がかかりそうだ」

 

 そんなやり取りを行うヒロと拓也を他所に、バンは誰かに連絡を取ろうとしていた。

 

「……駄目だ、出ない」

「バン、さっきから電話をかけてるのって」

「うん、父さんに何度もかけてるんだけど、全然出ないんだ」

 

 イノベーター事件の際に拉致された一件が頭をよぎったのだろう、バンは山野博士の安否が気になる様子。

 一方の凛空は、表面上はバンを気遣いつつも、内面には別の感情を抱くのであった。

 

「バン、心配するな。山野博士なら大丈夫だ」

「え?」

「言ったろ。山野博士は既にディテクターとの戦いに備えてるって。だから当分、連絡は無理だ」

「……」

「そんな顔するな。博士からの伝言だ。安全な所にいるから心配するな、ってな」

 

 コブラから山野博士の伝言を聞き、漸く安どの表情を浮かべるバン。

 こうして山野博士の件が片付いた所で、不意に拓也がコブラに質問を投げかける。

 

「コブラ、ディテクターの事はどこまで分かっているんだ?」

「あぁ、実は──」

 

 コブラの次の言葉を聞き逃すまいと、その場にいる全員が耳を凝らす。

 

「まだ殆ど分かってねぇのよ」

「「えっ!?」」

 

 だが、まさかの言葉に、バンとヒロは素っ頓狂な声を上げた。

 

「そう言うな。山野博士ですら、ディテクターの全容を把握できてないんだぜ」

「それってつまり、正体不明の敵って事ですか?」

「現時点で分かってるのは、ディテクターが世界的な世界的な巨大テロ組織だってこと。何かの目的のために、世界中から優れたLBXプレイヤーを集めているってこと、それから……」

 

 連れ去られた三人を心配するバンを他所に、コブラは一拍置くと更に話を続ける。

 

「世界中のLBXを、奴らは思うがままに操る事ができる。……今俺達が把握しているディテクターの情報は、こんなものだな」

 

 こうしてコブラの話が終わった所で、不意にヒロが質問を始める。

 

「あの、ディテクターはどうやって世界中のLBXを操るんですか?」

「ブレインジャックだ」

「ブレインジャック?」

「つまり、CCMの電波を遮断して、LBXのコントロールを乗っ取るって事さ。文字通り、LBXの頭脳(ブレイン)をジャックする恐ろしいシステムだ」

「そんな事が!? ……あれ、でも待ってください。ならどうしてディテクターは、僕とバンさん、それに凛空さんのLBXをブレインジャックしなかったんですか?」

 

 新たに生まれたヒロの疑問に、再びコブラが答え始める。

 

「したくてもできないからさ」

「え?」

「できないって、どうしてさ?」

「その答えは……。凛空、お前さんのLBXに"Mチップ"は搭載されてるか?」

「いえ、ストライクは市販用のLBXではないので、Mチップは搭載してません」

「という事は、バンとヒロのLBXと同じくMチップ非搭載って訳か」

「待てコブラ、その言い方だと、ブレインジャックにはMチップが関係しているのか!?」

「その通りさ、宇崎の旦那」

 

 どんどん話が進んでいくのを他所に、Mチップが一体どんな物なのか分からないヒロは、堪らずMチップについて尋ねる。

 

「ヒロ、LBXの管理機構であるオメガダインは知っているな?」

「はい」

「そのオメガダインが四年前のLBX販売再開に際して、商品として出荷される全てのLBXに搭載を義務付けた回路の事だ。MチップにはLBXの識別と、周囲への安全性を保つため、稼働中のLBXを強制停止させる役割があるんだ」

 

 ヒロの質問に拓也が答えた所で、コブラが補足を加え始める。

 

「山野博士によれば、ディテクターはそのMチップを悪用してLBXを操っているとの事だ」

「えぇ!? そんな事されたら、世界中のLBXが敵になっちゃうじゃないですか!?」

「だが、バンとヒロのLBXは山野博士のハンドメイドだ。だからMチップは搭載されてないし、ブレインジャックされる心配もない」

 

 刹那、ヒロが声を上げる。

 

「それってつまり、ディテクターから世界を守るために作られたLBXを、僕とバンさんが託されたって事ですよね!!」

「その通りだ」

「しかも、立ち向かうのは得体の知れない巨大な悪……。くぅ~、燃えてきましたよ! ね、バンさん、凛空さん!」

「あはは、ヒロ君らしいね……」

 

 やる気十二分というヒロに対して苦笑いを浮かべる凛空。

 一方のバンは、静かに闘志を燃やしていた。

 

「俺とヒロ、それに凛空のLBXだけが戦えるのか……」

「いいや、四人だ」

「「……え?」」

 

 不意に出たコブラの言葉に、バンとヒロは同時に声を漏らした。

 

「山野博士から託されたLBXは三体あるんだ」

「三体目を託された人ってどんな人なんですか!?」

「今はまだ分からん」

「へ?」

「何故なら、三体目は明日開かれる"シブヤタウン武闘大会"の優勝賞品にしろと……、と言われたんでな」

 

 こうして、コブラの口から新たなる仲間の存在を告げられた後、明日の集合場所と時間を決めた所で、この日は解散する運びとなった。

 

 

 

 

 それから数十分後。

 凛空の姿は自宅……、ではなく、サイバーランス社の本社ビルの開発ルーム内にあった。

 

「凛空君、君が無事でよかった」

「まったくだ。最初にニュースが流れた時はヒヤヒヤしたぞ」

「ご心配おかけしました、嶺部長、イアン主任」

 

 そこで凛空は嶺部長と、ファクトリーから足を運んでいたイアン主任の二人と面会していた。

 

「にしても、本当に山野博士の予測した通りになるとはな……」

「実をいうと、わしは凛空から話を聞いた時は半信半疑だったが。実際に事が起こると、最早信じる他ないな」

 

 嶺部長とイアン主任の口から、今回のディテクターの一件についての感想が零れる。

 

「所で凛空君、ディテクターが表立って行動を開始した訳だが、私達はどうすれば?」

「山野博士からの指示によれば、当分は裏方に徹してほしいと」

「はぁー。わしとしては、折角完成したエクシア達をサイバーランスの社名と共に堂々とお披露目したかったがな」

「すいません、イアン主任」

「ま、貴重なデータが得られただけでも良しとするか。それに考えようによっては、ピンチに駆け付ける謎のLBXってのもカッコよくていいかもな!」

 

 今回のディテクター事件への介入に関して、凛空は山野博士の名を借りて嶺部長やイアン主任達の協力を取り付けていた。

 具体的には、山野博士から秘密裏に連絡を受けた際にディテクターの存在を教えられ、ディテクターの計画を阻止するための協力を要請され、その要請を受けて秘密裏に動いている。という体で話を進め、協力を取り付けたのだ。

 

 何故、この様な回りくどい方法で協力を取り付けたのか。

 それは、ディテクターの裏に隠れた真の敵が文字通り強大であり、表立って協力を取り付ければ、部長達はもとよりサイバーランス社そのものも危うくなりかねないと判断したからだ。

 

「では、僕はそろそろ……」

「そうか、気を付けてな」

「はい」

「なら、わしもファクトリーに戻るとするか。ディテクターが動き出したとなると、急いでエクシア達の追加オプションを仕上げなきゃなんからな」

「イアン主任、よろしくお願いします」

「おう、任せておけ!」

「私の方も、エリカ君達と共に新型機の開発を急ごう」

「お願いします、嶺部長」

 

 こうして開発ルームを後にした凛空は、今度こそ自宅に帰るべく歩みを進める。

 そしてその道中、凛空は連れ去られたミカを必ず取り戻す、その決意を胸に刻み込むのであった。

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