はい、嘘です。
本当なら当日に上げたかったのですが、ずれにずれて今日になりました。という訳で、特別編第三弾です。
このお話も、本編と共通している部分はありますが本編とは関係ございませんので、あしからず。
西暦2051年、人類は滅亡の瀬戸際にあった。
"地球の最適化"。人類という地球に巣くう"バグ"を排除し、文字通り、地球にパーフェクトワールドを作り上げる。
その理想を掲げ行動を開始した、"ミゼル"と言う名の謎の少年によって。
ミゼルは、世界中で普及していたLBX、
更には、超巨大ロボットであるミゼルトラウザーすらも使用し、ミゼルによる破壊活動は更に激しさを増していった。
そんな中、LBXを破壊の為の兵器ではなく、人々を笑顔にするホビーに戻すべく奮闘する少年少女達の姿があった。
彼ら彼女らの活躍により、ミゼルトラウザーは破壊され、同時に、首謀者であったミゼルの野望も打ち砕かれる。
こうして、世界中を巻き込んだ大事件、後に"ミゼルクライシス"と呼ばれる事件は幕を閉じた。
だが、このミゼルクライシスの余波は、その後も世界中に影響を与え続ける事となる。
ミゼルクライシスの後、各国政府はミゼルによるハッキングの影響を受けた残滓、更にはミゼルの名を騙り破壊活動などを行う勢力の出現を危惧し、その対応に追われる事となる。
その一環として誕生したのが、ミゼルカウンターの切り札、人間大に拡大したLBX。
Little Battler Counter System、LBCSと呼ばれる装着型パワードスーツシステムだ。
開発速度を速めるためにLBXの技術が用いられているが、LBCSはれっきとした兵器であり、その威力は既存の兵器を凌駕する程。
しかし、LBCSは訓練を受ければ誰でも扱える品物ではなく、その性能を遺憾なく発揮させる為には装着者の適性が高くなければならず。また、適性者の殆どが女性、それも十代の多感な年頃の者である事から、LBCS適合者は"装甲娘"の通称で呼ばれる事が多い。
こうして、第二のミゼルクライシス発生に対して各国がその対応を進める中、遂に、日本の首都であるトキオシティで恐れていた事態が起こってしまう。
ミゼルクライシスから三年が経過した西暦2054年、謎のメカノイドによる破壊活動が開始され、トキオシティは壊滅的な被害を受ける。
この影響で、日本政府は首都機能をキョウトシティに移転する事となり、放棄されたトキオシティは謎のメカノイド達に占領される事に。
首都機能移転後、政府はトキオシティを占領した謎のメカノイド達を
とはいえ、既存の兵器では倒す事が非常に困難なミゼレム。そこで政府は、ミゼレムに対して唯一対抗しうる力、LBCS、そしてその適合者である装甲娘たちによるミゼレム討伐を決定し、討伐の任を与える事となった。
そして、選考の結果、アテナス特殊警備と呼ばれる民間の特殊装備系警備会社に所属する装甲娘たちが、トキオシティ占領のミゼレム討伐の任を受ける事となった。
トキオシティ北部、ミゼレムの破壊活動の影響により廃墟と化した街の一角で、数人の人影が、ワニやゴリラ等、様々な動物の姿を模したメカノイド、ミゼレムと激しい戦闘を行っていた。
「ガンガンいきますよーっ!!」
「アキレスさん、突出し過ぎです!」
「おいおい、まったく……」
「アキレスちゃん、燃えてるねぇ~」
「ハンターさん、アキレスさんの援護を!」
「は、はい!」
人影の正体、それは対ミゼレム討伐の先遣隊としてこの地に派遣された装甲娘たち、通称ファーストケース。
そのメンバーであるアキレス、ジ・エンペラー、クノイチ、ジョーカー、ハンター。それぞれに適合したLBCSをコードネームに持つ彼女達は、この街をミゼレムの手から取り戻すべく、戦っていた。
ファーストケースのリーダーを務めるジ・エンペラーの制止を振り切り、アキレスは手にしたアキレスランスで次々とミゼレムを串刺しにしていく。
そんな様子を半ば呆れ、面白半分で眺めているクノイチとジョーカー。そして、ジ・エンペラーの指示でアキレスの援護に回るハンター。
「アキレスさん、後ろ!」
「ありがとう、ハンターちゃん!」
「エンペラーさんの言う通り、少し前に出すぎですよ」
「えへへ、でも、何だか今日調子よくってさー。だから、何だか負ける気がしないんだ!」
物陰に隠れていたアリゲイルに危うく背後から強力な噛みつき攻撃を受けそうになったアキレス、しかし、ハンターの援護により事なきを得る。
「あ! アキレスさん!」
「大丈夫、大丈夫!!」
ハンターの心配をよそに、アキレスは更に前に出ていく。
「クノイチさん、ジョーカーさん。アキレスさんの援護の為、私達も前に出ますよ!」
「ったく、しょうがねぇな」
「これは帰ったら、アキレスちゃんにプリンの一つも奢ってもらわないとね~」
「だな」
すると、そんなアキレスを見兼ねてか、ジ・エンペラー、クノイチ、ジョーカーの三人もミゼレムを蹴散らしつつアキレスの後を追う。
「よーし、この調子でどんどん倒しちゃうんだから!」
一方、そんな仲間の苦労に気付かないアキレスは、意気込むと、新しい標的を探しに廃墟の角を曲がった。
「っ!?」
しかし、そこで彼女は咄嗟に足を止める。
何故なら、角を曲がった先で待ち構えていたのは、先ほどまで相手にしていたミゼレムよりも一回りも二回りも巨大な存在。
両腕の銃口、巨大な翼と尾にはビームの刃、赤く堅牢な装甲で覆われたその姿は、LBXを破壊する為だけに開発されたキラードロイド・ワイバーンを彷彿とさせる。
その名を、ワイバーンβ。
「な! 巨大キラードロイド!」
「おいおい、マジかよ」
「これはちょっと、不味いのら」
「ど、どうしましょう」
ミゼレムの中には、アリゲイル等の個体よりも上位種の存在が確認されている。
伝説の神獣を模した姿のそれらは、通常個体よりも巨大で、それに比例してその戦闘能力も格段に高い。
それらの上位種を、人類側は巨大キラードロイドと称していた。
ワイバーンβもそんな巨大キラードロイドの一種で、装甲娘たちにとっては倒すべき敵なのだが、残念ながら、ファーストケースの彼女達は、まだ巨大キラードロイドとの戦闘経験はなかった。
「っ! こちらに気付いた! 皆さん、散開!」
ジ・エンペラーの指示をかき消すかのように、ワイバーンβの両腕の銃口から次々とビームが放たれる。
幸い命中精度は然程高くはなく、ファーストケースの面々は回避し、近くの物陰に身を潜める事に成功するも、途切れる事のない攻撃を前に、物陰から出るに出られなくなっていた。
「ハンターさん、何とかなりませんか?」
「駄目。私の火力じゃ、とても……」
物陰からハンターライフルによる攻撃を行ってみるも、ワイバーンβは蚊の食う程にも思わぬ様子。
「あの堅牢な装甲を貫くには、必殺ファンクションによる攻撃を行うのが最善だけれども……、こうも隙がなくては」
「ならエンペラーさん! 私が突撃して隙を作るから、その隙に必殺ファンクションを」
「な! アキレスさん、貴女何を言っているのか分かってるの!?」
「大丈夫、私にはアキレスシールドもあるし、何より、今日の私は絶好調だから!」
根拠のない自信を口にするアキレス、それに対してジ・エンペラーは大きなため息を零す。
「あのですね、アキレ──」
「よーし、いっくぞー!」
「って、ちょっと!」
そして、半ば呆れながらジ・エンペラーがアキレスに注意を促そうとした、その時。
アキレスは物陰から飛び出してしまった。
「今の私なら、どんな攻撃だって防げ──、キャッ!!」
物陰から飛び出したアキレスは、アキレスシールドを構えながらワイバーンβの注意を引くべく回り込もうとする。
だが、途絶える事無く放たれるビームを防ぎ切れず、遂に弾き飛ばされ尻もちをつくアキレス。
「イタタ……、っ!」
臀部の痛みに気を取られていたアキレスだが、直後に気がつく事になる。
ワイバーンβが、自身に対して両腕の銃口を向けている事に。
「皆さん、アキレスさんを助けますよ!」
「「了解!」」
仲間の危機を救うべく、他の面々が駆け付けようとするも、その行く手を、ワイバーンβの巨大な尻尾が遮る。
「アキレスさん、逃げて!」
最早救助が間に合わないと判断したジ・エンペラーは、力の限り逃げるように叫んだ。
だが、アキレスは眼前に迫る死の恐怖を前に、足がすくんで動けなくなる。
最早、これまでなのか、誰もがそう思った、次の瞬間。
「え?」
突如、銃声が鳴り響くと、何処からともなく飛来した弾丸がワイバーンβの頭部に命中し、ワイバーンβは頭を振るった。
一体何が起こったのか、アキレスが呆気に取られていると、何かに気がついたジョーカーの声が響く。
その声に導かれるように、アキレスが視線を向けたその先、そこには、廃墟のビルの屋上に佇む三つの人影の姿があった。
「あれは?」
太陽を背に佇む三つの人影は、次の瞬間、ビルの屋上から飛び降りると、落下途中にビルの壁面を蹴り、三方に散開するとワイバーンβに攻撃を開始した。
その人とは思えぬ動き、三つの人影の正体は、装甲を身に纏った三人の少女。
それは紛れもなく、装甲娘であった。
「あれは……」
降り注ぐビームの雨を掻い潜りワイバーンβの懐に飛び込むと、両手のホープ・エッジによる斬撃を繰り出す赤い装甲娘。
同じく、まるで猫のような機敏な動きでワイバーンβの巨体から繰り出される攻撃を躱すと、三又の槍、トリプルヘッドスピアーによる一撃を浴びせるコバルトブルーの装甲娘。
そして、一定の距離を保ちつつ、両手に装備したフリントロックピストルを彷彿とさせるスナップピストル、同銃による銃撃を繰り出す、ガンマンのような装甲娘。
三人の装甲娘は、素早い動きと連携でワイバーンβを翻弄する。
「す、すげぇ……」
「なんなのら、アレ?」
「少なくとも、敵ではないみたいです、よね」
三人の装甲娘の戦いに見惚れるファーストケースの面々。
「何だかよく分からないけど、これなら勝てるかも!」
「そうかしら? 確かに巨大キラードロイドと対等に渡り合っているけど、決定打に欠けているようにも見えるわ」
ジ・エンペラーが分析結果を口にした、その時。
不意に、何処からともなく狼の遠吠えのような音が聞こえてくる。
この音の正体を探るべく、ファーストケースの面々が周囲を見渡した、次の瞬間。
一筋の風と共に、赤い閃光が走った。
「沈め……」
刹那、新たに現れた影が、ワイバーンβの頭部に着地する。
トリコロールカラーに彩られ、鋭い爪と尻尾のようなブレードを持つその姿は、まさにその名の通り"狼の王"を彷彿とさせる。
そして、狼の王は小さく呟くと、その手にした、身の丈以上もある超大型メイスをワイバーンβの頭部目掛けて突き立てた。
金属のひしゃげる音、それをかき消すかの如くワイバーンβの断末魔。
だが次の瞬間、断末魔がぴたりとやんだ。
何故ならば、超大型メイスの先端に備えられていたパイルバンカーが、ワイバーンβの頭部を貫き絶命させたからだ。
巨大な鉄塊と化したワイバーンβ。
それを前にして、ファーストケースの面々は、ワイバーンβを葬った四人の装甲娘と対面する。
「赤いパンドラ……」
「ヴァンパイアキャット、らね? でも、お腹や脚が露出してないから、ちょっと違う?」
「ジャンヌD、ですね」
「ガンダムバルバトスルプスレクス。という事は、まさか!」
「レジェンドプレイヤーの皆さんですか!?」
それはかつて、ミゼルクライシスを解決へと導いた少女達。
相棒として使用していたLBXの特性を得たLBCSを身に纏い、装甲娘となってミゼレムとの戦いに身を投じる事となった彼女達。
この出会いは、偶然か、それとも必然か。
そして、この出会いが、今後どの様な影響をこの世界に及ぼす事になるのか。
それはまだ、誰も知らない。
「はいオッケー!!!」
静寂を突き破るように、男性の声が"撮影現場"に響き渡る。
刹那、それを合図に、大道具や小道具等々、大勢の撮影スタッフが慌ただしく動き始める。
「はぁ~、緊張した」
「そうね。インタビューとは違って、違う緊張感でいっぱいだったわ」
「え? そうか、俺はそんな事なかったけどな?」
「アスカらしい」
そんな慌ただしいスタッフ達を他所に、レジェンドプレイヤーと呼ばれた面々は、各々被っていた頭部のパーツを脱いで小脇に抱え、休憩スペースに足を運んだ。
「お疲れ様、皆」
「ん」
「お疲れ、ミカ」
休憩スペースで彼女達を出迎えたのは、一人の青年。
ミゼルクライシス、否、ミゼル事変を解決に導いたレジェンドプレイヤーの一人、西原 凛空であった。
そんな凛空の姿を見つけるや否や、ガンダムバルバトスルプスレクス役のレジェンドプレイヤー、三影 ミカは小脇に抱えていた頭部のパーツをテーブルに置くと、小走りに凛空のもとへと近づくと、彼の胸に自らの顔をうずめた。
「カッコよかったよ、ミカ」
「ん。でも、疲れた。凛空、癒して」
「うん、いいよ」
刹那、ミカの要望に応えるかのように、凛空はミカを優しく抱きしめる。
すると、癒されているのか、ミカの表情が徐々に満ち足りていくのであった。
「はぁ……。相変わらずラブラブね」
「本当よね」
そんな二人の姿を、同じレジェンドプレイヤーである川村 アミとジェシカ・カイオスは、少々呆れつつも、羨望の眼差しで見つめる。
すると、そんな二人の様子に気がついたヴァンパイアキャット役のレジェンドプレイヤー、古城 アスカが悪戯な笑みを浮かべながら、二人に声をかける。
「何だよ二人とも、そんなに羨ましいなら作ればいいじゃねぇか。いい人いないのか?」
「別に、いない訳じゃないけど。……ねぇ」
「そうそう、そうねって言って簡単に作っていいものでもないわ」
「でもそれってさ。勝手にハードル上げて機会を逃しているだけじゃねぇの?」
「「っ!!」」
アスカの何気ない言葉が、アミとジェシカの心に必殺ファンクション級のダメージを与える。
しかし、流石はレジェンドプレイヤー、直ぐに立ち直ると、すかさず反撃に出る。
「そうね。理想を追い求めなきゃ、相手が特撮オタクでもいいかもね」
「瓶底眼鏡がダサいのも、我慢すれば、ま、なくはないわよね」
「む」
少々棘のある二人の発言を受け、むすっとした顔になるアスカ。
「幾らアミとジェシカでも、ヒロの悪口を言うのは許さねぇぞ!」
「あら、私達は別に、ヒロの事を名指しで言ったわけじゃないわよ」
「そうそう。それにしてもアスカ、ヒロの事となるとムキになっちゃって、可愛い」
「そう言えば、最初は出演を嫌がってたのに、ヒロの一言で途端に前向きになっちゃって。本当に、愛の力って偉大よね」
「あ、あぅ……」
しかし、途端に悪戯な笑みを浮かべたアミとジェシカの言葉を聞き、アスカは瞬時に理解した。
自分は二人にからかわれたのだと。
「酷いぞ、二人とも!」
「ごめんなさい。……でも、恋っていいわよね」
「そうね。……で、アミ。実際の所、いい人いないの?」
「お、俺も気になる!」
「ふぇ!?」
その後、色恋沙汰で盛り上がり始める三人。
一方、そんな三人を他所に、凛空とミカの二人は、未だに二人だけの世界に浸っていた。
(ミカのガンダムバルバトスルプスレクス姿を見られたのは嬉しいけど……、まさか、こんな形で装甲娘の世界が実現するなんてな)
そんな中、凛空はふと、数か月前の事を思い出していた。
事の発端は数か月前に遡る。
ミゼル事変が終結し、世界に平穏が戻ってきたと同時に、LBXは再び、人々を魅了するホビーとして、人々の手に舞い戻った。
しかし、ミゼル事変により発覚したLBXが持つ潜在的な危険性により、ミゼル事変終結後も、一部の国や人々の間では、LBXの流通や使用が制限される等、まだまだ、LBXが人々の手に戻ったとは言い難い状況であった。
そんな中、この状況を何とかしたいと常々考えていた人物、LBXの生みの親である山野 淳一郎博士が、とある提言を行った。
「日曜日の朝九時というゴールデンタイムに、LBXをモチーフとした番組を制作して、世界にLBXの素晴らしさを再アピールしよう!」
「山野博士、番組を制作と言っても、具体的にはどの様な?」
「ふ、既に大まかな構想は出来ている。これを見てくれ! その名も、装甲娘だ!」
提言の発表の場に出席していた凛空は、山野博士が提示した構想の内容を目にし、言葉を失った。
美少女たちがLBXをモチーフとした装甲を身に纏い敵と戦う、という色物特撮番組。
その内容が、前世の記憶の中にある、LBXを擬人化したソーシャルゲームと瓜二つだったからだ。
「あ、あの山野博士。これは、何かの冗談ですか?」
「冗談? 私は本気だが?」
「え、でも──」
「素晴らしい! 山野博士、これは素晴らしいアイデアだ!!」
再考を促そうとする凛空の言葉を遮ったのは、同席していた凛空の父親、西原 蔵土その人であった。
「これまでにない斬新な設定、LBXをうまく取り入れた世界観。これはいけますよ、山野博士!」
「おぉ、やはり分かりますか」
「分かりますとも。特に、ダメージを受けて装甲が破損し、肌が露わになるというのが何とも」
「実は、その分は特にこだわって考えた部分でしてね」
「おぉ、やはり!」
煩悩まみれな会話で盛り上がる蔵土と山野博士。
そんな二人の様子を、凛空は冷淡な目つきで眺めていた。
「では早速、知り合いの映像制作会社に連絡を取って、打ち合わせの日程などを──」
「ちょっと、父さん!」
「ん、どうしたんだ凛空?」
「どうしたじゃないよ! 何でもう、放送するって前提で話を進めるのさ!?」
「凛空。お前は、こんなに素晴らしい構想を構想のままで終わらせるつもりか? 否、これは実現化させるべきだ!」
「LBXを再アピールするという試みはいいけど、何もこの構想だけでなくても……」
「凛空君、もしよければ、不満な点などを言ってもらえないだろうか?」
「その、LBXの要素を取り入れるにしても、わざわざ美少女にモチーフとした装甲を纏わせなくてもいいのではと」
凛空の言葉を聞き、山野博士は暫し考えに耽る。
やがて、山野博士は再び口を開いた。
「成程。確かに、画面に登場するのが装甲娘だけでは、画的に面白みがない。アクセントとして普通の人間を登場させる事で、装甲娘の存在をより際立たせる事が出来る。そういう事だね!」
刹那、山野博士の発言を聞き、凛空は、何故そんな解釈になるのかと、言葉を失ってしまう。
「しかし、ただ普通の人間を登場させるだけでは、やはり面白みがないな……。そうだ! バンを登場させるというのはどうだろう?」
「おぉ、山野博士のお子様で、今やレジェンドプレイヤーと呼ばれている彼ですか。それはいい! では、序に息子の凛空も登場させるのはどうでしょう?」
「でしたら、この際レジェンドプレイヤーの皆を登場させましょう!」
「それは素晴らしいアイデアです! レジェンドプレイヤー総出演ともなれば、注目度が高まる事間違いなしだ!」
当事者である凛空を差し置いて勝手に盛り上がる蔵土と山野博士。
そんな二人の様子を目にし、最早凛空には、異を唱える気力すら湧き起らなくなっていた。
その後、蔵土の力添えもあり、話はとんとん拍子に進み。
更には、プロジェクトの完成度を高めるべく、オタク分野に精通しているオタクロスをスーパーバイザーとして迎え入れる等。話が進むにつれ、より色物感が際立っていった。
こうして、親父たちの暴走が留まるところを知らぬ中、遂に撮影期間が始まり、撮影自体は順調に行われるのであった。
「凛空、何、考えてるの?」
「えっと……、早くミカのかっこいい姿を画面で見たいな、って」
「……、馬鹿」
とはいえ、何だかんだで凛空自身も、放送の開始を楽しみにしているのであった。
因みに、その後親父たちの暴走が更にエスカレートしたからか、きわどい水着でのどろんこプロレスの回や機械触手回等々。
色々な意味でギリギリな所までいってしまう事になるのだが、この時の凛空は、まだ知る由もなかった。