Bブロックが終了すると、準備時間の開始と同時に、Cブロックに出場するプレイヤー達の招集を告げるアナウンスがアリーナ内に流れる。
「それじゃ、凛空、ミカ、行ってくる!」
「俺達の活躍、見とけよ!」
「先にファイナルステージ進出を決めて、凛空とミカに活を入れなくちゃね」
「頑張ってね、バン! カズ! アミ!」
「ん、応援してる」
出場するバン・カズ・アミの三人を見送ると、凛空とミカの二人は、雑談を交わしながらCブロック開始の時を待った。
なお、二人は知る由もなかったが、選手控え室にて、バン達、主にアミが一回戦の対戦相手であるジョン・ハワードとポール・ゴードンの二人と一触即発となったり、その状況を森上 ケイタのチームの介入により何とか回避する事に成功する等。
開始前から一波乱のあるCブロック。
その開始を告げるアナウンスがアリーナ内に流れると、バン達を含め、出場するプレイヤー達が中央ステージに姿を現した。
そして遂に、各プレイヤーの準備が整うと、Cブロック第一回戦の開始を告げる合図が、アリーナ内に響き渡る。
バン達にとって負けられないアルテミス、その大事な初戦となるジョンとポールとのバトルは、世界のレベルを痛感させられる出だしとなった。
タイタンとオルテガの息の合った攻防一体の連携を前に、アキレスとハンターは苦戦を強いられる。
しかし、相手のペースに乗せられることなく、自分達らしい戦いを意識したバンとカズは、相手の攻撃を凌ぎつつ、反撃の時を辛抱強く待った。
そして、相手の攻撃を凌ぎ続け、遂にその時が訪れる。
タイタンとオルテガの連携を崩すべく、必殺ファンクションを駆使して両機を引き離す事に成功したアキレスとハンターは、なおも襲い掛かるタイタンとの戦いを制し見事撃破。
だがその直後、タイタンに突き刺したアキレスランスが抜けなくなった所を狙い、オルテガがアキレスに迫る。
しかし、アキレスは迫るオルテガに対して蹴りを繰り出し上空に吹き飛ばすという荒業を披露し、上空に吹き飛ばされたオルテガを、最後はハンターによる狙撃で仕留めるという連携を披露し、バン達は第一回戦を突破するのであった。
こうして、第一回戦を突破したバン達は、続く第二回戦も突破し、準決勝へと駒を進めた。
準決勝の相手は、無敵の重機軍団ことチーム・アーミーチャリオット。
再び名の知れた相手とのバトルを前に、観覧席から応援に駆け付けた面々の声援が飛ばされる。
そんな中、何故かバン達の応援に駆け付けたリュウは、ブルド好きが故に、対戦相手であるチーム・アーミーチャリオットに声援を送り、ハンゾウから叱責を受ける事となる。
だが実は、叱責したハンゾウ自身も、プロメテウス社のスポンサー枠で出場しているチーム・アーミーチャリオットとバン達とのバトルに対して、内心ではどちらを応援するべきかで葛藤していたのは、ここだけのお話。
そんな一幕もありつつ、行われた準決勝。
ブルドとタイタンのコンビに対して、ハンターとクノイチという、アキレスを温存して行われたバトル。
フィールドである現代都市の特性を生かし、クノイチの機動力で相手を翻弄した所を、ビルの上に位置取ったハンターが狙撃で仕留めるという連携で、見事、チーム・アーミーチャリオットを下し、決勝戦に駒を進めた。
そして迎えた、運命の決勝戦。
対戦相手は、森上 ケイタのチーム。
この難敵に対して、バン達はチーム力では相手に分があると判断、相手を分断し、それぞれが一対一の戦闘に持ち込む。
しかし、バン達が自分達を分断する事を想定していたのか、ケイタのチームは隙を見て集結すると、追いかけてきたハンターを捕らえ、撃破を狙う。
だが、寸での所でアキレスとクノイチが、膝関節にダメージを負い、左腕を失いながらも、何とかハンターの窮地を救う事に成功する。
ここで一旦身を隠し、態勢を立て直したアキレス達。
その後、態勢を立て直している間に練った相手の裏をかく作戦が見事に的中し、相手のブルド、そしてアマゾネスを撃破して。残るは、ケイタの操るウォーリアーのみとなった。
圧倒的に有利な戦局となり、果敢に攻めるアキレス達。だが、窮地に追い込まれたウォーリアーが必殺ファンクション、トライデントを繰り出し、クノイチとハンターを機能停止にする。
こうして、戦況はイーブンに戻り、残ったアキレスとウォーリアーの一騎打ちが始まる。
しかし、ハンターを庇った際に負った膝関節のダメージが災いして、ウォーリアーに苦戦を強いられるアキレス。
そして、遂にアキレスが膝をつき、絶体絶命かと思われた、次の瞬間。
アキレスは、溜まったCゲージを使用し、アルテミス前にレックスから教わった必殺ファンクション、電撃を纏い相手に突撃する"超プラズマバースト"を発動し、見事、ウォーリアーを撃破して勝利を掴み取るのであった。
この大逆転勝利に、応援していた北島夫婦やゴウダ三人衆等は沸き立ち、凛空とミカの二人も、バン達の勝利を喜ぶのであった。
バトル終了後、互いの健闘を称え合うというスポーツマンシップを披露して終了したCブロック。
その後に行われたDブロックは、それまでのブロックとは異なる様相を呈していた。
その要因となったのは、主に二人のプレイヤー、仙道 キヨラ、そしてユジンの二人。
キヨラは、今回のアルテミス出場に際して用意した、赤を基調としたカラーリングに頭部にセンサーを追加する等、以前以上の改造を施したジョーカー、その名を"ジョーカーMk-2"。
同機を用いて、第一回戦から、レーザーキャノンを撃ちまくる相手に対して、撃破したと錯覚させ、実際はフレンドリーファイヤを誘発させる等。箱の中の魔術師に相応しい戦いを見せる。
一方ユジンは、彼が持つもう一つの顔、赤いジャージに自身が操るLBXを模した仮面を被り、アキハバラを守る戦隊ヒーローのリーダー、オタレッドになる事でアリーナの雰囲気を克服しながら。
自身が操るハンドメイドのLBX。背中の巨大な羽、鳥を模したヒーローをイメージした頭部、更に、ヒーローが所有する片手銃のような見た目のビビンバードガン。
まさに戦隊ヒーローを連想させるそのLBXの名は、"ビビンバードX"。
観客達との温度差を作り出しつつも、ヒーローの如くパンチやキックを駆使し、試合を勝ち上がっていく。
そして迎えた決勝戦。対峙したのは、キヨラとユジンの二人。
開始直前、ユジン、もといオタレッドの名乗り口上と決めポーズが炸裂し、アリーナ内に微妙な空気が流れる中。
決勝戦の舞台となる港湾都市のフィールドに、ビビンバードX、そしてジョーカーMk-2と僚機のオルテガ二機が投下される。
一対三と、数だけで見ればオタレッドが不利に思われるが、オタレッドは心に燃える正義がある限り負けはしないと熱く語る。最も、それが観客達との温度差を生じさせるのだが、本人は特に気にしていない様子。
「かかってくるがいい! 手品師の使う"イカサマ"等に遅れを取る私ではない!!」
「……あぁ、イカサマ!? アンタ、今イカサマって言った!?」
「ひ! あの、す、すいません、言い過ぎました!」
「私をイカサマ呼ばわりなんて、いい度胸してるじゃない! ……森野、風間、お前達は見てなさい」
しかも、気が大きくなり、うかつな一言を漏らしてしまい、それがキヨラの逆鱗に触れる事となる。
そして、決勝戦開始と同時に、キヨラが積極的な攻勢に出る。
文字通り切り刻まんとする勢いでジョーカーズソウルを振るうジョーカーMk-2。それに対して、ビビンバードXは機敏な動きでそれを躱し続ける。
オタレッドが侮りがたい相手であると感じた、次の瞬間。ジョーカーMk-2は移動速度を上げ、ビビンバードXの周囲を回り始める。
ジョーカーよりも格段に上昇したその速さに、見覚えのあるバン達が驚愕した刹那。
ビビンバードXの周囲に、三機のジョーカーMk-2が現れた。
また分身に見せかけた三機同時操作かと思われたが、今回のそれは種も仕掛けもない、ジョーカーMk-2の卓越した機動力が生み出した残像。
そして、この残像を利用した三方向からの残像攻撃を受けて、ビビンバードXは吹き飛ばされ、近くのビルに叩きつけられるのであった。
「私をイカサマ師呼ばわりするからこうなるのよ」
「流石だな、キヨラ」
「俺達が出るまでもなかったな」
勝利の余韻に浸るキヨラ達。
これに対して、オタレッドは、まだ勝負はついていないと、不屈の精神を見せる。
刹那、まるでプレイヤーの意思が乗り移ったかの如く、ビビンバードXは再び立ち上がった。
その様子を見て、再び切り刻まんとビビンバードXに迫るジョーカーMk-2。
だが、ビビンバードXはジョーカーMk-2の斬撃を躱すと、逆にジョーカーMk-2に踵落としを食らわせる。
これを見て、僚機のオルテガが装備したロデオマシンガンを発砲するも、ビビンバードXはその攻撃を躱し、オルテガに強烈な蹴りを食らわせる。
更に、立ち上がったジョーカーMk-2に、フライング・クロスチョップを食らわせた。
このビビンバードXの攻勢に、観客達は魅了され、歓声を上げる。
最早、会場を含め試合の流れは完全にオタレッドに傾く。
そんな中、トドメを刺すべく接近するビビンバードXに対して、ジョーカーMk-2は突如、味方の筈のオルテガを蹴り飛ばしぶつけた。
「何するんだよキヨラ!?」
「何、何って、見ての通りよ。お前達の見せ場を作ってるの」
「見せ場って。仲間を盾にすることがかよ!?」
「本当、まだ気づかないの? お前達は所詮、私が勝つための駒に過ぎないのよ!!」
そして、残りのオルテガもジョーカーズソウルを使い弾き飛ばすと、ビビンバードXにぶつけた。
刹那、ジョーカーMk-2は必殺ファンクション、デスサイズハリケーンを発動する。
生み出された黒いハリケーンは、ビビンバードX、そして二機のオルテガを巻き込み。程なく、三機は上空に吹き飛ばされ、爆発を起こした。
この、勝利の為に味方を巻き込む事を厭わぬキヨラの戦法を目の当たりにし、アリーナ内は静まり返る。
すると、そんな静寂を突き破る、オタレッドの雄叫びが響き渡った。
刹那、キヨラは気がつく、吹き飛ばした筈のビビンバードXが、再び立ち上がっている事に。
「貴女には見せねばなるまい! 友の涙! そして、私の怒りの"拳"を!!」
友を傷つける事すら厭わぬキヨラの姿勢に、怒りを露わにしたオタレッド。
刹那、ビビンバードXはビルの屋上から跳躍すると、オタレッドが怒りの拳を発動する。
「くらえ! ファイナル・クライマックス・ビビンバード・ダイナミック・エクスプロージョン!!」
〈アタックファンクション、レインバレット〉
刹那、オタレッドが口にした技の名前が違う事や、拳ではなく銃である等、会場内が総ツッコミを入れるのを他所に。
ビビンバードガンから文字通り雨のようにフィールド内に降り注ぐ光弾の雨を躱しきれず、ジョーカーMk-2は蜂の巣となり倒れた。
その瞬間、オタレッドことユジンの、ファイナルステージ進出が決定するのであった。
Dブロックが終了し、準備時間を挟んでEブロックが開始される。
そんな中、凛空は席を離れ、とある人物のもとへと向かっていた。
観覧席にその人物の姿が見えず、探して回ると、お目当ての人物は、ロビーの椅子に腰を下ろし休息を取っていた。
「ユジンさん」
「凛空君、どうしたんですか?」
「ファイナルステージ進出、おめでとうございます! それを言いたくて」
「あ、ありがとう凛空君」
お目当ての人物ことユジンに賛辞を贈ると、その後暫し雑談を交わした所で、ロビーに設置された大型モニターに映し出されているDブロックの試合映像を観戦しながら、互いに感想を語る。
「やはり、公式戦で無敗を誇るハンニバル・ハーン選手は強いですね」
「はい。でも、それよりも気になるのは……灰原 ユウヤ」
「灰原 ユウヤ。あぁ、確かに彼も気になりますね。運も実力のうちとは言いますが、先ほどの試合も、相手の機体のCPUが接触不良で試合が終わりましたからね」
二人が口にした両プレイヤーは、順調に勝利を重ね、決勝戦で相まみえる事となった。
試合開始と同時に、ハンニバルの操るショウグンが突撃を開始すると、装備したジャイアントハンマーを振るい、猛攻を加える。
しかし、ユウヤの操るLBX、黒を基調とし金色の縁取りがなされた、大剣と大型の盾を装備したその姿は、まさに閻魔大王を彷彿とさせる。その名を、"ジャッジ"。
同機は、まさにミリ単位の、紙一重の所でその猛攻を躱し続ける。
やがて、ジャッジはことごとくショウグンの攻撃を躱し終えた所で、僚機の、色合いこそ違うもののその外観はエジプトと瓜二つのLBX、"アヌビス"からコマンドハンドガンを受け取ると、ショウグンと正面から対峙する。
そして、ショウグンが渾身の一撃を繰り出そうとした、次の瞬間。
五発の銃声が鳴り響くと、放たれた五発の弾丸がショウグンの駆動部を直撃し、ショウグンはそのまま地面に倒れ機能を停止させるのであった。
「す、凄いですね! 運が良いとは言え、まさかあのハンニバル・ハーン選手に勝ってしまうとは!」
(実際に見ると、本当に凄い操作技術だな……)
まさかの番狂わせを目の当たりにし、興奮するユジン。
一方の凛空は、観この番狂わせが偶然の産物などではない事を見抜き、少々険しい表情を浮かべるのであった。
「これより、Fブロックの準備を行います。出場するプレイヤーの皆様は、選手控え室にお集まりください。繰り返します、これより──」
こうしてEブロックも終了し、予選ブロックの最後を飾るFブロックの準備を告げるアナウンスが流れると、凛空はユジンに声をかけた。
「それじゃユジンさん、僕、もう行きますね」
「頑張ってください凛空君!」
「はい!」
そして、ユジンの声援を受けながら、凛空は選手控え室に向かうべく、足を進めるのであった。