うちの父親は変態企業の社長です   作:ダルマ

54 / 122
閃光、再び

 バンを捜索するべく、様々な場所を探し回ったカズ・アミ・凛空・ミカの四人。

 しかし、結局いくら探しても、バンを見つける事が出来ず、合流した河川敷で途方に暮れていた。

 

「バン、本当に何処に行ったのかしら……」

 

 心配でたまらない様子のアミ、他の三人も、言葉に出さずとも気持ちは同じであった。

 

「おーい!」

「っ! この声!」

 

 刹那、そんな四人の耳に、今一番聞きたかった人物の声が届く。

 声の方に視線を向けると、そこには、橋の歩道から自分達に向かって手を振るバンの姿があった。

 

 事故等に巻き込まれた様子もなく、元気そうなバンの姿を目にし、四人は安堵の表情を浮かべた。

 

「バン! 一体何処にいたのよ!」

「そうだぞ! 俺達がどんだけ心配したと思ってんだ」

「一杯、探し回った」

「でも、無事でよかったよ」

「ごめん、皆。……それよりも、聞いて欲しい事があるんだ!」

 

 四人と合流を果たしたバンは、四人に心配をかけた事を謝ると、四人に、プラチナカプセルの一件を伝え始める。

 それを聞いたカズ・アミ・ミカの三人は、驚きの表情を見せる一方。

 

 原作とは異なり、プラチナカプセルをバンに渡したのが、レックス本人ではなく黒沢という代理人である事に、凛空はあれこれ勘ぐるのであった。

 

「兎に角、拓也さんに連絡するわ」

 

 そんな凛空を他所に、アミは早速拓也に連絡を入れると、プラチナカプセルの一件を拓也に報告する。

 すると、拓也から直ぐに向かうとの連絡を受け、一行は拓也の到着を待つ運びとなった。

 

 それから暫くした後。一行の目の前に、銀色の、先進的なデザインの八輪駆動の高級車が停車し、運転席から拓也が姿を現した。

 

「これが、プラチナカプセルか……」

 

 バンから手渡された小箱、その中に収められていたプラチナカプセルを目にし、感慨深そうに言葉を零した。

 

「よし、これはタイニーオービット社に持っていこう」

「え? タイニーオービットに?」

「そうだ。タイニーオービット社本社の設備を使えば、メタナスGXが無くても、プラチナカプセルを解読できるかもしれないからな」

「凄い! あ、でも拓也さん。急に行って、大丈夫なんですか?」

「任せておけ、大丈夫だ。さ、皆乗ってくれ、直ぐに本社に向かうぞ」

 

 こうして、拓也の提案により、凛空達は銀色の高級車に乗車すると、運転する拓也と共にタイニーオービット社の本社ビルに向かう事となった。

 だがこの時、一行は気付いてはいなかった。自分達の事を物陰から見つめる、一つの影がある事に。

 

 

 

 

 一行を乗せた銀色の高級車は、暫し一般道路を走行した後、高速道路を使い目的地を目指す。

 その車内では、運転手の拓也がハンズフリー通話を使用し、おそらくタイニーオービット社の人間であろう人物と、到着次第プラチナカプセルの解析を始められるように準備を頼む、との連絡を入れていた。

 

 一方、後部座席の凛空達は、神妙な面持ちで到着を待っていた。

 だが、不意に凛空が何かに気がつくと、運転中の拓也に声をかけた。

 

「拓也さん、後ろから、少し気になるトレーラーが三台ほど近づいてきてるんですけど」

「トレーラーだと?」

 

 凛空の言葉に、拓也はバックミラーに視線を向け、後方から接近する三台の大型トレーラーを確認する。

 三台とも同型の大型トレーラー、貨物部の側面には、所有する会社のものと思しきロゴマークが描かれている。

 

 一見すると、何処にでも見られる大型トレーラーだが、目を凝らしよく確認してみると、三台とも、運転席に運転手の姿が確認できなかった。

 それを確認した瞬間、拓也は、直感的に危険を察知したのか、大型トレーラーを引き離すべくアクセルを踏み込む。

 だがその直後、それを阻止せんと、前方を三台とは別の大型トレーラーが立ちふさがり、拓也は衝突を回避すべくブレーキを踏み込んだ。

 

「く! 何だこれは?」

 

 急加速からの急減速、その際に発生した衝撃に、後部座席の凛空達が小さく悲鳴を挙げるのを他所に。

 拓也は、自身が運転する銀色の高級車を囲むように、四台の大型トレーラーが走行している事に対して、困惑の声をもらした。

 

 

 この異様な光景に、ひしひしと危機感をつのらせる拓也達。

 一方、そんな彼らとは対照的に、愉快そうな顔つきを浮かべる人物がいた。

 その人物は、とある施設の司令室にて、現場から送られてきたライブ映像を目にしていた。

 

貞松(さだまつ)司令、対象の包囲、完了いたしました」

「対象内に、プラチナカプセルの存在を確認」

「いいぞ」

 

 オペレーターからの報告を聞き、その人物、プラチナカプセル奪還の任を仰せつかった赤の部隊の司令官、貞松 四郎(さだまつ しろう)は満足げな笑みを浮かべた。

 

「よし、作戦開始だ!」

「は! 作戦、開始します!」

 

 そして、貞松は、作戦開始の命令を下した。

 

 

 貞松の下命と共に、銀色の高級車を包囲していた四台の大型トレーラー、その屋根や貨物部の上に、次々とデクー改やデクーエースが姿を現すと、装備した火器の銃口を銀色の高級車に向ける。

 その光景を目にして、拓也達は、これがイノベーターの仕業であると理解した。

 

「皆、迎え撃とう!」

 

 そして、凛空がむざむざやられる事はないと、各々のLBXで敵を迎撃しようと声をあげた刹那。

 一機のデクーエースが銀色の高級車のボンネットに飛び乗ると、手にした棒状の物体をボンネットに突き立てた。

 

 この謎の行為に、拓也は疑問符を浮かべたが、その意味を、程なく思い知る事となる。

 

「っ! 窓が開かない!?」

「こっちもだ! どうなってんだ!?」

 

 後部座席から、窓を開けようとしたが全く反応しないとの悲痛な声が届き。

 刹那、情報ディスプレイが消え、異常を感じ取った拓也は、咄嗟にハンドルを切ろうとしたが、どれだけ力を入れても、ハンドルが動く事はなかった。

 

「くそ! 駄目だ、車のコントロールが出来ない!」

「えぇ!?」

「っ! あのLBXの仕業か!」

 

 そして、拓也は気がついた。ボンネットのデクーエースが、突き立てた棒状の物体を使い車のコントロールを奪ったのだと。

 だが、気がついたことろで時すでに遅く。前方を走行する大型トレーラーの貨物部の扉が開かれると、スロープが展開され、車一台が余裕で入りそうな貨物部に、銀色の高級車はゆっくりと誘導される。

 

 万事休す。

 そう思った、次の瞬間であった。

 

 不意に、一つの小さな影が、銀色の高級車のボンネットに現した。

 

「ん? あれは!?」

「おい、アレ!?」

「間違い、ない」

「でも、どうしてここに?」

 

 それは、エンジェルスター、そしてアングラビシダス等。

 幾多もの危機に颯爽と姿を現し手助けを行ってきた白いLBX。

 

「パンドラ……」

 

 人類最初の女性と同じ名を冠し、その名の恥じぬスタイリッシュな外観を有した同機は、両手に装備したビームの刃を持つダガー、ホープ・エッジを構えると、デクーエースと暫し睨み合う。

 そして、次の瞬間、パンドラは腰部に搭載されたスタビライザーから繰り出される圧倒的な機動力を使い、一気にデクーエースの懐に飛び込むと、デクーエース並びに棒状の物体を横一閃で撃破する。

 

 刹那、車のコントロールが戻った事を確認すると、拓也はハンドルを切り、スロープに乗る寸での所で距離を置く事に成功した。

 

「窓も開いたわ!」

「よし、これでいけるぜ!」

 

 そして、コントロールを取り戻した事で、窓も無事に開ける事ができるようになり、バンを除く四人は、早速包囲しているデクーの大群を撃退するべく、各々のLBXを車外に出撃させる。

 

 一方、先んじて戦端を開いていたパンドラは、銀色の高級車の右側を走行している大型トレーラーの貨物部に飛び乗る。

 すると、そんなパンドラを撃退せんと、デクー改やデクーエースがパンドラの周囲を取り囲む。

 

 如何に高性能なパンドラと言えど、多数のLBXに包囲されては多勢に無勢。

 かと思われた、次の瞬間。パンドラはホープ・エッジを振るうと、目に見ぬ一撃を繰り出す。

 刹那、包囲していたデクー改やデクーエースが次々と機能を停止させた。

 

 この光景を目にし、凛空達は驚きの表情を浮かべるが、それ以上に驚いていたのは、赤の部隊の司令官、貞松であった。

 

「さ、三号トレーラーのLBX、全機沈黙!?」

「な、何が起こった!?」

「ち、直後の反応から分析するに、指向性電磁パルス(EMP)を使用したものと思われます!」

「馬鹿な!?」

 

 イノベーターの使用するLBXでも搭載していない、そんな特殊な機能を有するパンドラの存在。そして、そのパンドラが凛空達に加勢したという事実。

 この二つの事柄から、貞松の脳裏に作戦失敗の四文字がよぎるものの、貞松は頭を振るいそんな考えを振り払うと、何としても作戦を成功させるべく発破をかけるのであった。

 

 

 一方、そんなイノベーター側の事情など露ほども知らない凛空達は、各々のLBXを操作し、デクー改やデクーエース等を撃破していく。

 クノイチは自慢の機動力を生かし、デクー改やデクーエースの間をすり抜けざまにコダチによる斬撃を加えていく。

 ハンターは、自慢の長距離射撃能力を生かし、デクー改やデクーエースを狙撃により撃ち抜いていく。

 ジーライン・ライトアーマーは、飛来する弾幕を潜り抜け、ヒート・ランスによる一撃でデクー改やデクーエースを貫いていく。

 

 そして、今回凛空が使用したLBX。

 所謂後期生産型と呼ばれるジム、同機を基に若干の仕様変更を行った機体、その名を"ジム改"。

 そのジム改をベースに、背部に大型のバックパックを装備し、脚部にショック・アブソーバーユニットを装備、更に胸部のデザインを変更する等。更なる性能向上を図った機体。その名を、"パワード・ジム"。

 

 パワード・ジムは、ベースとなったジム改の三割増しの推力を使い、その見た目に反した動きで対峙するデクー改やデクーエースを翻弄すると、隙を見て、装備したハイパーバズーカを撃ち込み撃破していく。

 

 そんな凛空達の戦いに触発されたのか、パンドラも、立ち塞がるデクーエース数機を蹴散らしながら、先頭を走る大型トレーラーへと向かう。

 だが、その矢先、突如としてそれまで洗礼されていた動きが一変、パンドラの動きが途端に鈍くなる。

 その瞬間を狙い、近くにいたデクー改がオートマシンガンの銃口をパンドラに向けるも、パンドラの異変に気がついたパワード・ジムが援護し、パンドラは事なきを得る。

 

 そして、再び元の動きを取り戻したパンドラは、程なく先頭を走る大型トレーラー、その屋根に移動すると、装備したホープ・エッジを突き刺し、同車のコントロールを奪う。

 刹那、パンドラがコントロールを奪った事により突破口を得た拓也は、凛空達がLBXを回収したのを確認するとアクセルを踏み込み、イノベーターの包囲から見事脱出に成功した。

 

 無事に包囲から脱出した凛空達が安堵する一方、あと一歩の所で取り逃がす事となった貞松は、苦虫を噛み潰したような顔を浮かべていた。

 

「くそ!」

「貞松司令、現場の部隊に追撃を指示しますか?」

「……いや、一旦退き上げさせろ。仕切り直しだ!」

「は!」

 

 次なる作戦の準備を指示した貞松は、今度こそプラチナカプセルを奪還せんと意気込むのであった。




 やぁ皆、店長だ!
 今日は、作中に登場したパワード・ジムについての豆知識だ。

 OVA作品、機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORYにて初登場となったこの機体は、ガンダム開発計画の一環として開発された評価試験用のモビルスーツで、ジム改をベースに改修した機体である。
 背部の大型のバックパック、大推力ブースター、ショック・アブソーバーユニット等を装備。この改修により、ジム改から30%の推力向上を果たしている。
 ただし、あくまでも評価試験機であるため、武装は他機からの流用である。
 作中では、オーストラリアのトリントン基地に配備された同機の活躍が描かれているぞ。

 では! また。

アナザー系のMSに関して

  • 登場前倒し
  • 当初の予定通り
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。