うちの父親は変態企業の社長です   作:ダルマ

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新たなる翼、新たなる仲間

 一方その頃、レベル4研究室では、いよいよVX-13とオーディーンの製造が最終段階に移行しようとしていた。

 

「いよいよ完成だな、バン!」

「うん!」

 

 期待に胸を膨らませ、その時を待つ一行。

 程なく、結城の最終チェック完了の声と共に、高速成形機よりコアスケルトンとアーマーフレームが出現する。

 

「これが、コアスケルトン・VX-13」

 

 完成間もないVX-13を手に取り、まじまじと見つめるバン。

 VX-13は一般的なコアスケルトンと異なり、各所に特殊な間接機構を有しているのか、形状が異なっている。

 

(高次元多関節機構を応用した可変機構の実用化、か……)

 

 そんなVX-13を目にし、考察を行う凛空を他所に、バンは続けてアーマーフレームを手に取り、再び恍惚な表情を浮かべた。

 

「ねぇ、バン! 早速組み立ててみましょうよ!」

「うん、分かった!」

 

 暫く見惚れた後、バンは早速、作業スペースを借りてオーディーンのアーマーフレームを組み立て始める。

 丁寧に、一つ一つ思いを込めて、VX-13にオーディーンのアーマーフレームパーツを装着させていく。

 

 そして、遂に、最後のパーツである頭頂部のパーツを装着させたところで、オーディーンがその姿を現した。

 

「これが父さんの新型LBX、オーディーン!」

「オーディーン……、北欧神話の最高神の名か」

 

 アキレスと異なり、その見た目からも高い機動力を有している事が窺えるスマートな形状。

 しかし、頭頂部のパーツや背部に装備された翼等が、アキレスの頭頂部やマントを彷彿とさせるなど、アキレスと同じ設計思想で作られている事が感じられる。

 

 そんな新たな相棒、新たなる力を手に入れたバンは、今度こそプラチナカプセルを守り切ってみせると、固く心に誓うのであった。

 

「どうだい、凄いだろう?」

「はい!」

「でも、このオーディーンには、もっと驚く凄い機能が搭載されているんだ」

 

 刹那、オーディーンの感想を聞きに歩み寄った結城の口から、意味深な言葉が漏れ、バンは興味を抱く。

 

「このオーディーンは、飛行形態に変形する事が可能で、しかも、音速で飛行する事が出来るんだ」

「え! 音速で飛べるの!? 凄い!!」

 

 結城の説明を聞き、バンは目を輝かせる。

 変形して音速で飛行する事が出来る、男心をくすぐられずにはいられない単語の数々に、バンは興奮を隠しきれなかった。

 

「成程、だから、オーディーンは空気抵抗を考慮したデザインになってるのね」

「スゲー、流石はバンの親父さんだぜ」

「やっぱり、LBXの生みの親が生み出すLBXは本当に凄いものばかりだ」

「ん、素敵……」

 

 改めて、完成したオーディーンを見つめる凛空達。

 そんな凛空達を他所に、悠介社長と拓也も、オーディーンの素晴らしさに感嘆の声を漏らしている。

 

「社長、大変です!」

 

 だが、霧野のただならぬ様子に気が付くと、悠介社長は慌てた様子で駆け寄る霧野に何があったのかを尋ね始める。

 

「たった今、リニアモーターカーの運転指令所から緊急の連絡があり、制御不能になったリニアモーターカーが暴走し、こちらに向かっていると」

「っ! 何だって!」

「えぇ!!?」

 

 霧野の口から告げられた衝撃的な事実に、その場にいた誰もが驚きを禁じ得なかった。

 

「詳しい状況を知りたい。シーカーの本部に向かおう」

 

 刹那、悠介社長の一言により、一向は詳しい状況を知るべく、シーカーの本部へと足を進めた。

 

 

 

 

 シーカーの本部に到着した一行は、直ちに現在判明している状況を確かめ始める。

 

「暴走したリニアモーターカーは、車両基地を発進後、このタイニーオービット社の本社ビルを目指し、速度を落とすことなく向かってきています。また、本社ビルで停車していたリニアモーターカーが原因不明の故障で動く事が出来ず、このままではリニアモーターカー同士が衝突し大惨事に!」

「くそ、なんてことだ」

「それで、暴走したリニアモーターカーの到着時間は?」

「現時点での速度が維持されたままですと、約ニ十分後に到着します」

 

 シーカーのスタッフからの説明を聞き、一行の表情が曇る。

 そんな中、悠介社長は顎に手を当てると、何やら考え始めた。

 

「リニアの暴走、そして故障。……偶然にしては、出来過ぎている」

「リニアモーターカーの運行には、最新の運行システムが使用されていた筈ですよね?」

「あぁ、その通り。故に、これまで運行開始以来、一度たりとも暴走事故など起きた事はない」

 

 悠介社長は凛空の質問に答えると、拓也に視線を送った。

 するとそれを受けて、拓也が口を開き始める。

 

「こんな事を仕掛けてくるのは"奴ら"しかいない!」

「それって……」

「まさか……」

「イノベーター!」

 

 標的となったのがタイニーオービット社の本社ビル、しかも、凛空達がいるのを狙ったかの如くタイミング。

 更には立て続けの襲撃等から、今回のリニアモーターカーの暴走が、イノベーターの仕掛けたものである可能性は極めて高かった。

 

「運転指令所からの連絡では、リニアモーターカー内部には整備中の整備員を数名乗せたまま暴走しているとの事です」

「速度は依然として低下する事無く、本社ビルまで、残り158キロメートルです!」

「想定される本社ビルへの被害、並びに近隣施設への二次災害、何れも深刻なものです」

 

 シーカーのスタッフからの報告を聞き、悠介社長は一拍置くと、意を決した様に口を開く。

 

「霧野君、退避勧告を発令する。速やかに、本社ビルにいる社員、並びに近隣施設にいる人々の退避と誘導を始めてくれ」

「分かりました」

 

 悠介社長の指示を受け、足早にシーカーの本部を後にする霧野を他所に、拓也が不安な様子で悠介社長に声をかける。

 

「本社ビルで働く社員だけでも四千人、周辺施設も含めれば、八千人近い数になる。それだけの数、ニ十分で避難させられるのか?」

「でも、暴走したリニアには整備員の人々が閉じ込められてるんですよね」

「そもそも、ここにいる俺達も危ないんじゃないか!?」

 

 拓也に続きアミやカズも不安を口にする。

 すると、不安な彼らを他所に、悠介社長が意外な一言を口にした。

 

「退避勧告は、あくまでも保険だ」

「保険?」

「そう、我々で暴走したリニアモーターカーを止められなかった時の保険だ」

「え、止められなかったって、それって……」

「そうだ、我々の手で、暴走したリニアモーターカーを止めるんだ!」

 

 悠介社長の言葉に、その場にいた多くの者達が驚きを隠せない。

 

「だが、暴走したリニアモーターカーは時速500キロ近くだ。それをどうやって……」

「簡単な事だ。時速500キロ以上の速度で接近し、リニアモーターカーの車内に乗り込み、運転席の非常ブレーキを作動させる」

「だから、そんなもの何処に……」

「ここにある、そうだね、バン君」

「はい!」

 

 悠介社長の言葉に疑問符を浮かべてる拓也だが、悠介社長とバンのやり取りを見て、何かを察する。

 

「なぁ、どういう事だよ?」

「つまり、音速での飛行が可能なオーディーンをコントロールポッドで操作して、暴走したリニアモーターカーに乗り込むって事だよ」

 

 一方、悠介社長とバンが考えた手段がどのようなものか、まだピンときていなかったカズ達だったが、凛空の説明を聞き、漸く理解するのであった。

 

「結城君。バン君をコントロールポッドのあるシミュレーションルームに」

「分かりました!」

 

 こうして、結城と共に出撃の為にシミュレーションルームへと向かうバン。

 そんなバンの背中を、残った面々は希望を託して見送るのであった。

 

 

 

 

 移動の最中、結城から口頭でコントロールポッドの使用方法のレクチャーを受けたバンは、シミュレーションルームに到着すると、一目散にコントロールポッドへと乗り込んだ。

 操縦桿の他、映像のみならず必要な情報を表示する事の出来る張り巡らされたモニター等。内部はまさにコックピットそのものであった。

 そんなコントロールポッド内の所定の位置に自身のCCMをセットした所で、結城からの通信が入る。

 

「バン君、準備はいいかい?」

「はい! ……オーディーン、発進!」

 

 そして、準備が整い、バンが操縦桿を握り操作を開始すると共に、飛行形態に変形したオーディーンが本社ビルから発進すると、その翼で空を切り、一路暴走したリニアモーターカーを目指した。

 

 

 一方その頃、シーカーの本部では、バンのナビゲートを買って出た悠介社長を他所に、残された面々が成り行きを見守っていた。

 

「拓也さん」

「ん? どうした」

「バンの事を信用していない訳じゃないんですけど、やっぱり、事は多くの人命がかかっている以上、リスクは最小限に抑えておくのがいいと思うんです」

「どういうことだ?」

「暴走したのと同様に、故障もイノベーターの破壊工作なら、それを排除し動かす事が出来れば、少なくとも衝突は回避できると思うんです」

 

 不意に凛空が告げた提案を受け、拓也は暫し考えた後、試してみる決断を下す。

 

「よし、直ぐに駅に向かおう!」

「はい!」

「私も、行く」

 

 こうして、ミカを含めた三人は、シーカーの本部を後にすると、一路本社ビルにある駅を目指した。

 

 

 

 

 途中、避難誘導に従い避難を行っているタイニーオービット社の社員達を横目にしつつ。

 程なく三人は、いつもと異なり人気がまるでない本社ビルの駅構内に到着した。

 

「え? 車両を調べたい?」

「はい、お願いします」

 

 人気がないとは言え、駅員やリニアモーターカーの乗務員はギリギリまで粘るつもりなのか、まだ駅構内に残っていた。

 そんな中、拓也は故障で動かない該当車両の車掌を見つけると、車掌に車両内の捜索許可を得るべく交渉を行う。

 

 暫し考えた後、車掌は、拓也達の捜索許可を与える旨を伝えた。

 

「それで、どうやって捜索するつもりだ? このリニアだけでも十六両編成だ。一両ずつ捜索していては、とても間に合わないぞ」

「ポイントを絞って捜索します。先ずは、運転席を捜索しましょう」

「分かった。……という事で、お願いします」

「は、はい」

 

 凛空の指示通り、先ずはリニアモーターカーの運転席を目指し、車掌を先頭に、車内に足を踏み入れる三人。

 やがて、三人は普段ならば絶対に足を踏み入れる事の出来ない、リニアモーターカーの運転席に足を踏み入れた。

 

「一見すると、特に怪しいものは見当たらないが?」

 

 シンプルな運転席内は、モニターやレバーなどが並ぶ運転台など、特に変わった箇所は見受けられない。

 それを証明するかのように、車掌も、先ほど運転席内を調べたが、特に異常は見受けられなかったと口にした。

 

「でも、目に見えているもの全てが、真実とは限りませんよ」

「?」

 

 意味深な言葉を口にした凛空は、徐に自身のバッグからLBXを取り出す。

 取り出したのは、頭部のモノアイが三つ目に変更され、背中のバックパックも、氷かきを連想させる形状のものに変更されているが。腰部や脚部のパイプ等、その他の部分は、ベースとなったザクⅡとあまり変わっていない。

 そんな特徴的な機体の名は、"ザク・フリッパー"。

 ベースとなったザクⅡと異なり、その高い情報収集能力を生かし、偵察という特殊な用途に用いられる機体である。

 

 ザク・フリッパーを取り出した凛空は、早速自身のCCMを使い同機の操作を始める。

 

「スキャン開始」

 

 そして、ザク・フリッパーが運転台に着地した、次の瞬間。

 ザク・フリッパーの特徴的な三つ目が光を放つと、運転席内のスキャンを開始した。

 

 運転席内を隅々までスキャンし、程なく、スキャンを終えると、凛空がスキャンの結果を口にする。

 

「あの天井にある点検口、あそこに不審な物体を検知しました」

「あの点検口は、車内配線の点検用に設けられたものです」

「開けてもらえますか?」

「分かりました」

 

 結果を受け、点検口の向こうにある不審な物体の正体を探るべく、車掌が台を使い天井の点検口を開ける。

 そして、内部を覗こうとした、その時。

 

 突如、開かれた点検口から、何かが運転席内に飛び出してきた。

 

「っ! LBX!?」

 

 飛び出してきたのは、モノアイ式の頭部に鋭角的な装甲を有する機体。

 

(マスターコマンド! まさか、こちらのリニアモーターカーにも潜んでいたのか!)

 

 その名を、マスターコマンド。

 デクーの発展型の機体の一つであり、最大の特徴は、背部に備えられた複数のケーブルを外部機器などに接続させる事で、対象にハッキングを仕掛け制御を奪う事が出来る事にある。

 まさに、破壊工作などの用途に開発された機体だ。

 

 とはいえ、戦闘能力が低い訳ではなく、装備した大型の火器、その見た目通り瞬間火力に秀でたキラーガトリングを使用し、戦闘をこなす事もできる。

 

「あのLBX、イノベーターの使うLBXに、雰囲気が、似てる」

「やはりイノベーターの仕業か!」

 

 マスターコマンドの姿を目にし、各々の感想を零すミカと拓也。

 そんな二人を他所に、マスターコマンドは装備したキラーガトリングを構えると、三つの銃口を凛空達に向ける。

 

「逃げて!」

 

 刹那、凛空の声と共に、キラーガトリングが唸りを上げると、直後に火を噴き、大量の弾丸をばら撒き始める。

 寸での所で運転席から逃げ出した一行は無事であったが、運転席の扉の周囲には、多数の弾痕が刻まれる事となった。

 

「ミカ!」

「ん!」

 

 マスターコマンドが敵意を明らかにした所で、凛空とミカはパワード・ジムとジーライン・ライトアーマーを取り出し、マスターコマンドを倒すべく操作を開始する。

 

「ミカ、援護するから、頼んだよ」

「分かった」

 

 運転席内に姿を現したパワード・ジムとジーライン・ライトアーマー、二機の姿を確認したマスターコマンドは、挨拶代わりに、キラーガトリングで二機に弾丸の雨をお見舞いする。

 飛来する弾丸の雨を難なく躱した二機は、散開すると、それぞれの行動に移行する。

 

 パワード・ジムは、装備したハイパーバズーカを撃ち込んでいく。

 だが、マスターコマンドは飛来する弾頭を躱し、命中弾を得るには至らない。

 それでも、パワード・ジムはハイパーバズーカを撃ち続ける。まるで、回避するマスターコマンドを何処かに誘う様に。

 

 刹那、回避を続けたマスターコマンドの背後に、ジーライン・ライトアーマーが姿を現し、装備したヒート・ランスを、マスターコマンドの無防備な背中目掛けて突く。

 

 しかし、寸での所で気が付き、紙一重で一突きを躱したマスターコマンド。

 お返しとばかりに、ジーライン・ライトアーマーに蹴りをお見舞いし、よろけた所で、キラーガトリングの銃口を向けた。

 

「やらせない!」

 

 だが、直後。

 パワード・ジムが両機の間に割って入ると、シールドを構え、キラーガトリングの弾丸の雨からジーライン・ライトアーマーを助ける。

 

「ミカ、今だ!」

「必殺ファンクション!」

〈アタックファンクション、ライトニングランス〉

 

 刹那、パワード・ジムを飛び越え、再び姿を現したジーライン・ライトアーマーが、マスターコマンド目掛けて必殺ファンクションを放つ。

 シールドによりジーライン・ライトアーマーを見失っていたマスターコマンドは、この攻撃に即座に対応する事が出来ず。

 青白く輝く光のランスが直撃すると、マスターコマンドは最後の輝きを放ち、爆散するのであった。

 

「やったね、ミカ!」

「うん」

 

 こうしてハイタッチと共に勝利を分かち合った後、凛空は直ちに、リニアモーターカーの故障が直ったかどうかを車掌に確かめてもらうように伝えた。

 

「あ、動く、動きますよ!」

 

 すると、故障の原因は先ほど倒したマスターコマンドで間違いなかったようだ。

 故障が直った事で、車掌は直ちに、衝突を回避するべく出発の準備にかかる。

 

「兄さん、こちらは故障の原因であるイノベーターのLBXを排除し、リニアの出発準備を進めている。そっちはどうだ?」

 

 一方、拓也は悠介社長に連絡を入れ、暴走したリニアモーターカーの状況を聞き出す。

 すると、悠介社長から告げられた状況説明に、拓也は目を見開いた。

 

 暴走したリニアモーターカーの暴走原因も、マスターコマンドによるハッキングが原因だったようで、車両内に乗り込んだオーディーンは、見事に同機の撃破に成功。

 その後非常ブレーキを作動させ、一安心。かと思われたのだが、何と、マスターコマンドにより非常ブレーキの機能が停止させられていたのだ。

 最早停止させる手段はない、かと思われたが、運転指令所に助力を仰ぎ、リニアモーターカーの浮遊装置を破壊し停止させる事で、摩擦により停止させるという最終手段を行使する事となった。

 

「摩擦で減速を初めてはいるが、減速が完了するまでの十分な距離がない為に、このままでは衝突は避けられない」

「そんな!」

「そちらは、直ぐに出発できないのか?」

「出発までには、あと五分はかかります」

「それでは間に合わない! 到達予想時間は、もう二分とないんだ!」

 

 最早、大惨事は回避できないのかと、誰もが諦めかけた、その時。

 

「あとは任せろ」

 

 突如、謎の通信が割り込んでくる。

 その通信の送り主は、誰であろうジンであった。

 

「ジン君!」

「凛空君、あとは僕に、僕と、このプロトゼノンに任せてくれ!」

 

 まさかの人物からの通信に驚く一同を他所に、凛空は頼んだよとの言葉を投げかけた。

 

「いくぞ、プロトゼノン!」

 

 通信を終えたジンは、早速プロトゼノンを操作する。

 レール上に仁王立ちしていたプロトゼノンは、助走を付けると、程なく複数のブースターを点火させ、一直線に火花を散らすリニアモーターカーに飛んだ。

 

 刹那、減速しているとはいえ、それでも時速400キロ以上のリニアモーターカーを正面から受け止めると、ブースターを最大加速にし、減速を加速させる。

 誰もが、固唾を呑んで見守る中、やがてリニアモーターカーは、残り1メートル程の所で完全に停止した。

 

「ふぅ……、助かったか」

「よかった」

「ん、彼の、お陰」

 

 ギリギリのところで大惨事を回避する事に成功し、胸を撫で下ろす一同。

 こうして、暴走を見事に解決した面々は、再びシーカーの本部に集合し、そこで、今回の事件解決の立役者と言うべきジンと対面する運びとなった。

 

 

 

 

「ジン、助けてくれて、ありがとう」

 

 ジンの気持ちの変化を知らぬ面々にとっては、今回の行動は何らかの裏があるのではないかと勘ぐってしまい、なかなか言葉をかけられずにいた。

 そんな中、感謝の言葉をかけたのは、他ならぬバンであった。

 

「でも、どうして?」

「自分のなすべきことを見つけた、からだよね」

「そう。僕は、お爺様の操り人形ではなく、これからは自分の考えで生きていく事に決めたんだ。お爺様のやろうとしている事を止める為に」

 

 ジンの言葉を聞き、カズやアミが更に困惑する中、ジンは更に言葉を続けた。

 

「とは言え、それでこれまでの僕の所業が消える訳じゃない。……でも、それでも、もし、許されるのなら。君達の仲間にしてほしい。お爺様と戦う為に」

 

 ジンからのこの申し出に、凛空を除く面々が唖然とする。

 だが直後、再びバンが口を開いた。

 

「そうか、分かった。なら、今日から俺達の仲間だ、よろしくな、ジン!」

「って、おいおい! バン、本気なのかよ!?」

「そうよ」

 

 バンの言葉に、カズとアミが考え直すべきと口にするも、凛空がバンの考えを後押しする様に語り始める。

 

「ジン君は本気だよ。そうでなければ、僕に相談もしなかったし、サイバーランス社のテストプレイヤーの件も、引き受けなかった筈だよ」

「凛空がそう言うなら、私は、彼を信じてもいいと思う」

「まぁ、助けてくれたのは事実だしね」

「テストプレイヤー……、って事は、ジンが使ってたあのLBXって、サイバーランス社が作ったものなのか!? 相変わらずスゲーの作るなぁ」

 

 凛空の言葉を聞き、それぞれが反応を示す一方、拓也は険しい表情を浮かべていた。

 だが、そんな拓也を諭すかのように、悠介社長が拓也の肩を叩くと、悠介社長は続けてジンに質問を投げかけた。

 

「ジン君。戦えるのか? 相手は君のお爺さんだぞ」

「勿論。覚悟は出来ています」

 

 悠介社長の質問に力強く答えたジンの様子を目にし、拓也も漸く納得した様で、ジンの加入を認めるのであった。

 

「改めて、よろしくな、ジン!」

「あぁ、よろしく」

「これからもよろしくね、ジン君!」

「こちらこそ」

 

 そして、バン・凛空・ジンの三人は、固い握手を交わすのであった。




 やぁ皆、店長だ!
 今日は、作中に登場したザク・フリッパーについての豆知識だ。

 雑誌企画であるMSVにて登場したこの機体は、ザク強行偵察型を改良した性能向上型であり、高性能偵察型とも呼ばれる機体。
 頭部カメラを3基1体式のスコープセンサーに換装し、背部ユニットを新造して複合探知システムを設けている。
 その形状が某鉄の棺桶を彷彿とさせる事から、バトオペ2参戦の際、炎の匂いがしみついてむせたぞ。

 では! 次回も、凛空と地獄につきあってもらう。
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