うちの父親は変態企業の社長です   作:ダルマ

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あい、戦士

「おーい、凛空。大丈夫か?」

「凛空、調子はどう?」

 

 凛空とミカの二人が晴れて恋人同士になった翌日。

 カズとバン、それにアミの三人は、凛空の自宅に足を運んでいた。

 

 その目的は、凛空のお見舞いの為だ。

 

 実は、ミカを庇った際、凛空は体に強い衝撃を受けてしまい、かなりを怪我を負う事となった。

 ミカを助けた直後は凛空自身も気がつかなかったが、後になって痛みを感じ、直ぐに病院へと運ばれ診察を受けた結果、軽度の全身打撲と診断され、暫くの安静が言い渡される事となった。

 

 その為、凛空は現在、自宅で安静に過ごしていたのだ。

 

「三人とも、お見舞いに来てくれてありがとう」

「凛空が元気そうでよかった」

「だな。ミカから凛空が階段から転げ落ちて病院に運び込まれたって連絡が来た時は、正直肝が冷えたぜ」

「心配かけてごめんね、バン、カズ」

 

 自室のベッドで安静にしていた凛空は、上半身を起こすと、お見舞いにやって来たバンやカズと会話を始める。

 因みに、バン達には、埠頭での出来事は伏せられていた。

 これは、間近に迫ったアキハバラキングダムに集中してほしいとの凛空の配慮によるものであった。

 

「暫くは安静にしてなくちゃならないんだって?」

「うん。だから、残念だけど、アキハバラキングダムには出場できそうにないんだ」

「そっか……」

「ごめんね、二人とも」

「何言ってんだよ、凛空が出場できない分、俺達が頑張って優勝してやるって、な、バン?」

「あぁ、勿論さ! だから凛空は、心配せずにゆっくりと治療に専念してくれ」

「ありがとう、二人とも」

 

 二人の気持ちに感銘を受けた凛空は、二人と力強い握手を交わす。

 そんな男の友情を見せつける三人を他所に、アミは、一足先に看病に来ていたミカと女の子同士の会話を始めていた。

 

「よかったね、凛空の怪我、大したことなくて」

「うん」

「所で……。その様子だと、ちゃーんと一歩、踏み出せたみたいね」

「……、ん」

 

 どうやら、アミの優れた洞察力は、凛空とミカの関係が発展した事を瞬時に見抜いたようだ。

 改めてアミの口からそれが語られると、ミカは少々顔を赤らめて頷き、肯定する。

 

「おめでとう、ミカ」

「……ありがとう」

「という訳で」

「??」

「ミカ、今度一緒にトキオシアデパートに買い物に行きましょう!」

「え?」

「折角彼女になったんだから、凛空の為にも、しっかりコーディネートしないと! そうね……、いきなりフルチェンジはハードルが高いから、先ずは髪型や小物からね。あ、私が通ってる可愛い雑貨屋さんがあるから、先ずはそこに行きましょう! それから──」

 

 突然のアミのお節介に、ミカは面を食らってしまう。

 しかし、決して嫌などではなく、自身の恋を応援してくれるアミの姿勢をむしろ嬉しく思うミカであった。

 

 一方その頃、男子三人組はと言えば。

 

「なぁ凛空、これって何だ?」

「えっと……、"機動戦士ガンダム"、企画書?」

「カズ、バン。二人とも、これは絶対に他言無用で頼むよ。いいね、絶対だよ!」

 

 カズが偶然見つけた書類の束。その表紙に書かれていた番組企画書の文字に、カズとバンの二人は早速興味津々となる。

 すると、最早誤魔化せないと判断したのか、凛空は絶対に口外しない事と口を酸っぱくして注意した後、企画書の内容について説明を始めた。

 

「実はそれ、今進めているロボットアニメの企画書なんだ」

「でもこのガンダムって、確かLBXの名前だろ?」

「うん。所謂販売促進アニメってやつだよ。と言っても、視聴者対象を中学生以上に設定しているから、アニメの方は手のひらサイズじゃなくて、モビルスーツって言う、有人操作式の人型機動兵器という設定にして、世界観も、未来世界の地球政府とスペースコロニー国家の戦争というものになってるんだ」

「スゲー面白そうじゃん!」

「LBXに乗り込んで操作する……、コントロールポッドでオーディーンを操作した時のあの感じ?」

「イメージとしてはね。でも、より兵器感を出す為に、コクピット内には操縦桿やフットペダルの他に、ボタンやコンソール等も描写するから、感覚としては戦闘機のコックピットに近いかな」

 

 プロジェクトMSの基となったロボットアニメ、機動戦士ガンダム。ロボットアニメの金字塔とも呼べるこのアニメを、この世界でも放送させたいとの思いを、凛空は以前より秘めていた。

 そして、プロジェクトMSの成功を機に、凛空は放送を開始させるべく本格的に動き出す事となる。

 

 前世でのアニメと模型の関係を参考に、販売促進アニメとしてのアイデアをまとめた提案書を父親である蔵土に提出。

 自社製LBXの更なる販売促進につながると判断したした蔵土はゴーサインを出し、見事、アニメ放送に向けて企画が始動する運びとなったのだ。

 

「ねぇ凛空、これっていつ頃放送する予定なの!?」

「順調に行けば、二年後ぐらい、かな」

「二年後か、待ち遠しいな!」

「うん!」

「そうだ、もしよければ、先行上映会に二人を招待してあげるよ」

「本当、やったー!」

「持つべきものは友だな!」

 

 企画書の内容を聞き、期待に胸を膨らませていたバンとカズの二人は、凛空の言葉を聞き、更に胸が熱くなるのであった。

 

「凛空、絶対忘れないでよ!」

「勿論」

「男同士の約束だな!」

 

 そして、三人は誓いを立てるかの如く、再び力強い握手を交わすのであった。

 

 

 

 

 その後、五人で他愛もない会話で暫し盛り上がった所で、不意にアミがおいとますると切り出した。

 

「アミ、もうちょっといてもいいんじゃないかな?」

「そうだぜアミ」

「あの、僕も別に、もう少しいてくれても構わないよ」

「はぁ……。これだから男どもは」

 

 男子三人組の反応を目にしたアミは、三人に聞こえないように小さく呟くと、強硬手段に出る。

 

「さ、バン、カズ、帰るわよ!」

「え、あ! じゃ、またな凛空!」

「ちょ、分かった、分かったって! そんなに引っ張るなよ」

 

 二人の手を引き凛空の自室を後にするアミ。

 退室際、目線でミカにエールを送ると、アミはバンとカズの二人を引き連れ退室した。

 

「行っちゃったね」

「ん」

 

 三人が退室し、再び室内に静寂が訪れる。

 暫し静寂が続いた後、静寂を破るように、凛空が口火を切った。

 

「ミカ、今日はありがとうね」

「ん、……彼女、だから、当然」

「え、あ、そっか、えへへ」

 

 お互いに気恥ずかしくなったのか、頬を赤らめる二人。

 

「……ミカ」

「何?」

「大好き、だよ」

「ん。私も、凛空の事、大好き」

 

 やがて、二人は互いの手を握り、見つめ合いながら、互いに好意を伝える。

 

「ね、凛空」

「何?」

「……、私の事、裏切ったら、承知しないから」

 

 その余韻に浸っていた凛空。

 しかし、不意にミカが雰囲気を一変させ、何処か虚ろな目をして淡々と語ったその内容を受けて、凛空は、背筋に冷たいものが走るのを感じるのであった。

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