うちの父親は変態企業の社長です   作:ダルマ

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いがみ合う二人、共闘、何も起きないはずがなく

 ミカがジュースの注がれたグラスを手に凛空の自室へと戻り、凛空がグラスを受け取った所で、CMが明け、二回戦の開始を告げるアナウンスが流れる。

 第一試合、山野 バンチーム対ハッカー軍団という組み合わせ。

 今度こそ、ハンゾウが出るかもしれないとの期待に胸を膨らませるミカを他所に、凛空の胸中は不安に満ちていた。

 

 二回戦は各チームより二名を選出し戦うタッグバトル形式。

 文字通り、チームメイトとのコンビネーションが勝敗を左右すると言ってもよい。

 

 そんな二回戦に山野 バンチームから選出されたのは、何と協力などという言葉とは縁遠い、ハンゾウとキヨラの二人であった。

 

「やった、郷田さんが出てる」

(あぁ、やっぱりこうなっちゃうか……)

 

 原作でも描かれていたように、おそらく休憩時間中にハッカー軍団の挑発を切っ掛けに、ハンゾウとキヨラは仲違いを起こしたのだろう。

 そんな二人の様子を見て、このままでは優勝できないと判断したバンが、二人を仲直りさせるべく、荒療治として二回戦に二人を選出させたのだ。

 

 勿論、凛空から見れば危険な賭けではあるが、バンが判断した以上、凛空としてはこの賭けが成功する事を祈るしかなかった。

 

「さぁ、熱気も高まってまいりましたアキハバラキングダム! 果たして二回戦はどの様な熱戦が繰り広げられるのでしょうか!?」

 

 角馬 王将のトークが繰り広げられる中、両チーム選出のメンバーがDキューブの前に立つ。

 

「二回戦第一試合、ハッカー軍団からはヤマネコとグンソウ。そして対する山野 バンチームは、郷田 ハンゾウと仙道 キヨラ。果たして、どの様なバトルとなるでしょうか!? それでは、Ready……」

「それじゃ、軽ーく捻ってやるか、レッドリボン!」

「グリーンリボン、やるだもん!」

 

 Dキューブ内に広がる砂漠のフィールドに、ヤマネコのレッドリボン。そして、チーム一の巨漢を誇るグンソウが操る、左目にモノクルを装着し、西洋風な出で立ちをしたメイド型LBX、グリーンリボンが降り立つ。

 

「どうだ? こいつが俺っち達のLBXだ!」

「ふ……、随分とチャラチャラしたLBXだな。悪いが、そんな奴らに負ける気がしねぇぜ!」

 

 開始前から激しい舌戦を繰り広げる両チーム。

 

「俺の新しい相棒の前じゃな!! ……見ろ、生まれ変わった地獄の破壊神の姿を!!」

 

 刹那、ハンゾウの手から、新たな相棒と呼ばれた機体がDキューブ内に投下される。

 

 ハカイオー同様に、黒を基調とした重厚感のある巨体を誇る機体。

 しかし、闘牛を彷彿とさせる頭部の造形、胸部の砲口が一門から二門へと増設された他、冷却ファンも増設され。更に、装備する剣も、ビームの刃を持つチェーンソー型の大剣、"絶・破岩刃"となっている。

 

 凶暴さを増し、まさに地獄の破壊神の名に相応しい、プロメテウス社が持てる技術の粋を結集し生み出された機体、その名を……。

 

「ハカイオー絶斗(ぜっと)だ!!」

 

 ハンゾウの新たな相棒、ハカイオー絶斗。

 その雄々しき姿を目にし、ミカは惚れ惚れとした様子で「カッコイイ」と呟くのであった。

 

「生まれ変わったのは、お前のLBXだけじゃないわ」

「何!?」

 

 刹那、ハンゾウに続き、キヨラも生まれ変わった自身の相棒をDキューブ内に投下する。

 

「見なさい、これがジョーカーの後継機、ナイトメア!!」

 

 二人の新たな相棒がお披露目された所で、戦いの火蓋が切って落とされる。

 

 

 

 

 開始早々先に仕掛けたのはヤマネコとグンソウ。

 二人の操るレッドリボンとグリーンリボンは、上下の高さを生かした連携攻撃で、じわじわとハカイオー絶斗のLPを削っていく。

 

 何とか反撃を試みたいハカイオー絶斗ではあったが、攻撃後すぐに稜線の影に隠れてしまうレッドリボンとグリーンリボン。

 砂漠のフィールドを最大限に生かした相手の戦法を前に、ハカイオー絶斗はデクの棒と化してしまう。

 

「動いて、ない……」

 

 そんな味方を他所に、ナイトメアは、中央ピラミッドの中腹に佇み、完全に傍観者と化していた。

 そんなナイトメアの様子を目にし、ミカは眉を顰める。

 

 刹那、中継の映像がLBXからプレイヤーに切り替わる。

 すると、語気を荒らげ突っかかりながらCCMを操作するハンゾウと、タロットカードを交え言い返すキヨラの姿が映し出された。

 

(はぁ……、やっぱりこうなるのか)

 

 原作同様、大事なバトル中にも関わらず言い争いを繰り広げる二人の姿を目にし、凛空は心の中で大きなため息を零すのであった。

 

 一方、この状況は相手からすれば好機以外の何ものでもなく。

 レッドリボンとグリーンリボンは、互いに装備したアサルトAR3の上位型であるアサルトAR5でハカイオー絶斗の周囲に砂煙を巻き上げ、ハカイオー絶斗の視界を遮ると、標的をナイトメアに変更する。

 

 すると漸く、ナイトメアが動き出す。

 迫るレッドリボンとグリーンリボンに対し、その圧倒的な機動力を生かして両機を翻弄すると、装備した大型の杖、ナイトメアズソウルによる強打をお見舞いする。

 

「無茶苦茶」

 

 強打により弾き飛ばされたレッドリボンとグリーンリボンは、故意かそれとも偶然か、それぞれ進路上にいたハカイオー絶斗とぶつかる等。

 ミカが呟いた通り、ナイトメアの戦い方は乱暴という他なかった。

 

 刹那、怒りが爆発したのか、ハンゾウがキヨラに対して責め立て始める。

 すると、キヨラはタロットカードを取り出し、自分に降りかかる火の粉を払っただけだと答え始めた。

 

 次の瞬間、ハンゾウが、徐にキヨラの手にしたタロットカードを叩き落とす。

 

「何するの!」

「言いたい事があるなら、こんなもん使わずに、俺の目を見てハッキリと言いやがれ!!」

「っ!」

 

 刹那、キヨラの顔が赤く染まっていく。

 そんなキヨラを他所に、ハンゾウは言いたい事を言い終えると、再びバトルに集中し始める。

 

 その姿に似合わず素早い動きで、レッドリボンとグリーンリボンに対して、装備した絶・破岩刃による一太刀を浴びせるべく奮闘するハカイオー絶斗。

 しかし、ストライダーフレームに分類されるレッドリボンとグリーンリボンに追いつくのは難しく、追いかけっこが続く。

 

 やがて、長引く追いかけっこにハンゾウの集中力が途切れた所で、グリーンリボンが稜線の影から飛び出し、無防備なハカイオー絶斗の背部に弾丸の雨をお見舞いする。

 これまでの戦いで蓄積したダメージも相まって、遂にハカイオー絶斗が膝をついた。

 

「手間取らせやがって……。その顔、ぶっ飛ばしてやる!」

「なら、僕たんは胸を。モーターごとぶっ壊しちゃうもん!」

 

 前後をレッドリボンとグリーンリボンに挟まれ、アサルトAR5の銃口を突きつけられるハカイオー絶斗。

 もはや絶体絶命か、と思われた、次の瞬間。

 

 背後にいたレッドリボンが、ナイトメアズソウルによる強打を受けて弾け飛んだ。

 

「何!?」

「伏せろ!」

 

 先ほどまで仲間割れしていた筈のナイトメア、それが突如としてハカイオー絶斗の救助に駆け付け、困惑するグリーンリボン。

 刹那、キヨラの言葉に従い、ハカイオー絶斗が姿勢を低くし障害がなくなった所で、グリーンリボンに対してナイトメアズソウルによる強烈な突きが炸裂する。

 

 こうして、ハカイオー絶斗が危機を脱した所で、ハンゾウがキヨラに突然の心変わりについて尋ねる。

 

「どういうつもりだ?」

「か、勘違いしないで! 郷田、あんたのガサツ過ぎるバトル、これ以上見るに堪えなかっただけよ!」

 

 一拍置き、キヨラは更に言葉を続けた。

 

「それに、会ってみたくなったのよ。こんな奴らの上で、ふんぞり返ってるマスターキングって奴にね」

「は! 奇遇だな。実は俺も、マスターキングがどんなツラしてるのか、拝んでみてぇと思ってた所だ!」

 

 刹那、先ほどまでの仲間割れが嘘のように、ハカイオー絶斗とナイトメアが連携しての攻勢に転じた。

 ハカイオー絶斗が守備に回り、ナイトメアが攻撃に出る。

 この連携を前に、レッドリボンとグリーンリボンは一旦距離を取り、体勢を立て直す。

 

 刹那、二機はハカイオー絶斗に牽制を入れつつ、その攻撃対象をナイトメアに絞り込む。

 ナイトメアはその機動力を生かして二機の攻撃を躱すも、徐々にハカイオー絶斗との距離を離されていく。

 

「チッ、こいつら!」

 

 ヤマネコとグンソウの意図を察し、舌打ちを鳴らすキヨラ。

 しかし、レッドリボンとグリーンリボン、二機からの息つく暇もない攻撃に、ナイトメアは躱すので精一杯。

 

「避けろ!」

〈アタックファンクション、超我王砲(チョウガオーキャノン)

 

 刹那、ハカイオー絶斗の胸部にある二門の砲口から、二重螺旋を描きながら強力なビームが放たれる。

 巨大な一筋の光は、射線上にいたレッドリボンとグリーンリボンを捉える事は出来なかったものの、ナイトメアから引き剥がすという最低限の成果をあげる事はできた。

 

「チッ、余計な事を!」

「何だよ、素直じゃねぇな」

 

 プレイヤーの言葉とは裏腹に、ハカイオー絶斗の隣に駆け寄るナイトメア。

 

「いくぞ、仙道!」

「ふん、分かってるわよ!」

 

 刹那、再び超我王砲(チョウガオーキャノン)が炸裂し、巨大な一筋の光がレッドリボンとグリーンリボンの手前に弾着する。

 次の瞬間、耳を突く爆発音と共に、周囲に砂煙を巻き上げ、二機の視界を奪う。

 

「くそ!」

「これじゃ何も見えないもん!?」

 

 この状況に、思わず苛立ちを隠せないヤマネコとグンソウ。

 だが、次の瞬間、グンソウは驚きで目を見張った。

 それは、砂煙の中からナイトメアが姿を現し、ナイトメアズソウルによる強打をグリーンリボンにお見舞いしたからだ。

 

 だが、攻撃はそれだけでは終わらなかった。

 

「くらいやがれ!」

 

 強打を受けて砂煙の中から弾き飛ばされたグリーンリボン。そんな同機を進路上で待ち構えていたのは、ハカイオー絶斗であった。

 無防備なグリーンリボン目掛けて、絶・破岩刃が振り下ろされる。

 刹那、火花を散らした後、グリーンリボンは文字通り真っ二つとなって、バトルから落伍した。

 

「くそが! 調子に乗るんじゃねぇ!!」

 

 味方がやられても、それでもなお立ち向かうレッドリボン。

 

「決めるわよ!」

「おうよ!」

「「必殺ファンクション!!」」

 

 だが、そんなレッドリボンに対して、超我王砲(チョウガオーキャノン)とデスサイズハリケーン、二つの必殺ファンクションが放たれる。

 二つの必殺ファンクションを受け、レッドリボンは断末魔の如く爆発の中へと姿を消し、その瞬間、ハンゾウとキヨラ、二人の勝利が確定するのであった。

 

 

「勝った……」

「途中ハラハラする場面もあったけど、何とか勝ててよかったね、ミカ」

「うん!」

 

 山野 バンチーム対ハッカー軍団の試合を見終えた凛空とミカの二人は、それぞれの感想を述べる。

 因みに、勝利の喜びで小さくガッツポーズを行うミカの姿を目にし、凛空がご満悦な表情を浮かべていたのはここだけのお話。

 

 

 

 

 その後、試合も順調に行われ、次々と三回戦進出チームが決定し、遂に、最後の一枠をかけた二回戦最後の試合が始まる。

 対戦カードは、海道 ジンチーム対オタレンジャー。

 

「さぁ、会場のボルテージも高まってまいりましたアキハバラキングダム! 三回戦進出を決めるのは、果たしてどちらのチームか!?」

 

 角馬 王将のトークが繰り広げられる中、両チーム選出のメンバーがDキューブの前に立つ。

 

「いくぜ、俺達の初陣だ、フェンリル!」

「プロトゼノン」

 

 そして、海道 ジンチームから選出されたカズとジンが、各々の相棒をDキューブ内に投下する。

 

「いくわよ! 閃光よ、ピンクに染まれ! ビビンバードX-IV、見参!」

「いくぞ! 黒き風と共に舞え! ビビンバードX-V、ここに召喚!!」

 

 オタレンジャーから選出されたオタピンクとオタブラック、それぞれのパーソナルカラーに塗装されたビビンバードXが、決めポーズと共に姿を現す。

 こうして、主役が出そろった所で、角馬 王将の合図と共に、戦いの幕が切って落とされる。

 

「ピンク、いくぞ!」

「OK!」

「オタクロス流!」

「コンビネーション奥義!!」

 

 開始早々、ビビンバードX-IVとX-Vが一列に並ぶと、グルグルと回り始める。

 この奇妙な動きを目にし、カズは警戒を強める。

 しかし、一方でジンは、淡々と自身のCCMを操作していた。

 

〈アタックファンクション、ブレイクゲイザー〉

 

 刹那、プロトゼノンが装備した鍵鎚型メイス、オベロンを地面に叩きつけると、青白い炎がビビンバードX-IVとX-V目掛けて襲い掛かる。

 ビビンバードX-IVは何とか躱したものの、ビビンバードX-Vは直撃し、爆炎の中に姿を消した。

 

「貴様ーっ!! 人がカッコよくポーズを決めている時に攻撃するのはルール違反だろう!」

「そんなルールは知らない」

 

 オタブラックが口にした、所謂お約束破りの行為に対し、ジンは知らないと吐き捨てる。

 すると、そんなジンのクールな態度を目にし、ジンの事を気に入っていたオタピンクは更に惚れ込んでしまう。

 

「チョーカッコイイ! ジンくーん、私の想い、受け止めてーっ!!」

 

 刹那、ビビンバードX-IVは装備したビビンバードガンを投げ捨てると、抱き着くべく、プロトゼノン目掛けて駆け寄る。

 このオタピンクの暴走に、オタレッドは制止の言葉を投げかけるも、オタピンクの耳には届きそうもなかった。

 

「いただきだ!」

〈アタックファンクション、ホークアイドライブ〉

 

 一方、この好機を、カズが見逃す筈もなく。

 フェンリルの構えたドミニオンライフルから、三連発の光線が放たれ、ビビンバードX-IVに直撃し、勝敗が決するのであった。

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