うちの父親は変態企業の社長です   作:ダルマ

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戦いは数だよ!!

 AFAガンダムを凛空に渡した嶺部長は、その後、結城をはじめとするTO社開発部の社員、そして悠介社長と共に、エターナルサイクラーのサンプルユニット製造の為、社長室を後にする。

 一方、嶺部長や結城達がサンプルユニットの製造に取り掛かっている間は手持無沙汰となるバン達は、各々、時間を潰し始める。

 

 バン達主だった面々は、シーカーの本部へと赴き、今後のイノベーターとの戦いに向けた対策協議を始め。

 一方の凛空とミカは、拓也の許可を得て、本社ビル内にあるテストスペースにおいて、一刻も早くAFAガンダムの操作に慣れるべく、操作訓練に励んでいた。

 

「っ! そこ!」

 

 テストスペースに設置されたDキューブ内の草原、そこに描かれた光跡は、ウォーリアーを貫き、その機能を停止させる。

 だが、描かれた光跡は一つだけではない、幾つもの光跡が描かれ、その度にウォーリアーが、その機能を停止させる。

 

 こうして草原に、幾つものウォーリアーの骸が転がり、戦闘は終了したかに思われた。

 しかし、息をつく暇も与えないかの如く、得物を手にしたウォーリアー達が新たに草原に降り立つと、AFAガンダムに牙を剥き始める。

 

「……」

 

 AFAガンダムは飛来する弾丸や弾頭を自慢の機動力で躱しつつ、六連装ミサイルポッドで牽制。そして、右腕の二連装式ビームライフルや左腕に装備したハイパーバズーカを使い仕留めていく。

 そんな戦いの様子を、テスト用プログラムを操作するミカは、無言で見つめている。

 

「っ! 後ろ!?」

 

 粗方のウォーリアーを撃破し、一息つこうとした、刹那。

 物陰に隠れていたウォーリアーが飛び出し、手にしたのブロードソードの錆にするべく、背後からAFAガンダムを襲う。

 寸での所でそれに気がついた凛空は、咄嗟にCCMを操作し、AFAガンダムのバックパックに備えた二本のサブアームを起動させる。

 

 次の瞬間、背後からAFAガンダムを襲ったウォーリアーの一撃は、二本のサブアームが装備したビームサーベルにより受け止められ、不発に終わった。

 

「これで!」

 

 刹那、反撃とばかりに、AFAガンダムは蹴りをお見舞いすると、ウォーリアーを吹き飛ばす。

 そして、ダメージにより起き上がれないウォーリアー目掛け、二連装式ビームライフルが光を放つ。

 

 こうして、草原に静寂が訪れるのであった。

 

「ふぅ……」

「お疲れ様、凛空」

「ありがとう、ミカ」

 

 テスト用のプログラムを終了し、Dキューブ内からAFAガンダムを回収した凛空は、ミカが差し出したタオルを受け取る。

 そして、タオルで汗を拭きながら、凛空は設置されていたモニターに近づくと、録画されていた先ほどの戦闘映像を見返し始めた。

 

「んー、やっぱり、まだ機体に振り回されてるな……」

 

 険しい表情で映像を見ながら、反省点を見つけていく凛空。

 

「よし、修理を終えたら、もう一度バトルだ!」

 

 そして、一人反省会を終えると、凛空は再びテスト用のプログラムに挑むべく、AFAガンダムの修理を始めた。

 

「凛空」

「ん、何?」

 

 だがその矢先、不意に、ミカが凛空の名を呼んだ。

 

「少し、休憩した方がいい」

「大丈夫だよ」

「嘘、凛空、さっきのバトルでかなり集中して、疲れてる」

「AFAガンダムは今までの機体よりも機動力や火力は勿論の事、なによりも反応速度が高いから、少しでも気を緩めると、すぐに機体に振り回される。だから、多少疲れるのは仕方がないよ。それに、今はこのAFAガンダムを、一刻も早く完璧に操作できるようにならないと、皆の為にも」

「それでも、今は休むべき」

「大した事ないから本当に──」

「嘘ついても、ダメ。だって、私が一番、凛空のこと、わかってるから」

 

 刹那、凛空は苦笑いを浮かべる。

 

「あはは……、ミカには敵わないな」

 

 そして、観念したかのように、凛空は作業の手を止めた。

 

「ん、どうぞ」

 

 テストスペースの一角に休憩用として設置されているソファー。

 そこに腰を下ろしたミカに誘われ、凛空は、吸い込まれるようにミカの膝の上に自身の頭を乗せると、体を横にするのであった。

 

「凛空が頑張ってるのは、皆知ってる。だから、休める時は、ちゃんと休もう」

「うん、そうする……」

「よしよし」

 

 そう言いながら、ミカは凛空の頭を撫でる。

 慈愛に満ちたミカの表情と、太ももの柔らかさと温もり、それらが織りなす圧倒的な包容力により、凛空の意識は、瞬く間に溶かされてしまうのであった。

 

 

 それから十分ほどが経過した頃。

 シーカーの本部で里奈と再会し、彼女が自分なりの戦い方としてタイニーオービット社に籍を戻した事、更には八神と面識があった事などを知ったバン達。

 こうして予期せぬ再会を果たした彼らは、一旦シーカーの本部を後にすると、訓練に励んでいる凛空の様子を見るべく、テストスペースに足を運んだ。

 

「凛空、調子はど……、ん?」

「お? 何だ寝てるのか」

「疲れちゃってたのね」

 

 そして、テストスペースに足を運んだバン達が目にしたのは、ミカの膝の上で穏やかな寝顔を浮かべる凛空と、そんな寝顔を見つめるミカの姿であった。

 そんな二人の姿を目にし、最早当たり前と認識しているのか、膝枕されている事に対しては特に反応を示さないバン・カズ・アミの三人。

 

 一方、凛空とミカの二人に改めて紹介するべく三人に同行していた里奈と八神、それに黒服の三人組は、この光景を目にし各々の反応を示す。

 

「野暮な事を聞くようだけれど、二人はその……、そういう関係だったの?」

「うん」

「そうだったのね。……ふふ」

「?」

「あ、ごめんなさい。とてもお似合いだと思ったから」

「ありがとう」

 

 二人の幸せを祝福するかのように穏やかな笑みを浮かべる里奈。

 一方の八神は、生きていれば娘も二人と同じ年頃で恋の悩みの一つでもあったのだろうと、天国の家族に思いを馳せると同時に、二人の未来のためにも、必ずや海道 義光の野望を阻止しなければならないと、改めて決意を固めるのであった。

 

「いいですねぇ」

「まさに青春っす」

「お前たち、二人の為にも、私達大人も頑張るよ!」

「「ラジャー!」」

 

 そして、黒服の三人組も、二人の姿を見て改めて意気込むなど。

 こうして知らぬ間に、また一つ、外堀が埋まる凛空なのであった。

 

 因みに、同じく同行していたハンゾウとキヨラの二人だが。

 ハンゾウが、まるで弟や妹を見守るかの如く視線を二人に向けている一方。キヨラが意味ありげに、ハンゾウの事を横目でチラチラ見ていたのは、ここだけのお話。

 

 

 

 

「……ん」

「おはよう」

 

 その後、目を覚ました凛空は、いつの間にかバン達がいた事に少し驚きつつ、起き上がる。

 そして、里奈達と言葉を交わし、その後バン達とAFAガンダムを操作した感想等で盛り上がっていると、不意に、拓也が血相を変えて現れた。

 

「どうしたの、拓也さん?」

「皆、大変だ!」

 

 拓也の様子に、バン達はただならぬ事態が起こったのだと察知する。

 

「イノベーターのLBXの大群がここに攻め込んでくる!」

「えぇっ!?」

「っ! マジかよ!?」

「でも、このビルの周囲には、確か田中さんが部下の人たちを配置したって……」

「それが、どうやらイノベーターは、このビルの地下にある、リニア開通前に使われていた地下鉄の廃線を利用しているらしい」

「何とか止められないんですか!?」

「数が多すぎて、とても防衛システムだけでは迎撃できそうにない」

「その、数って?」

「"三万五千"にも及ぶ大群だ」

(あれ、原作よりも一万機程増えてる?)

 

 想像を遥かに上回る敵の総数に、驚きを隠せないバン達。

 ただ、原作での二万五千という数を知っていた凛空は、原作よりも敵の数が一万機程増えている事に対して驚いているのであった。

 

「だが幸い、イノベーターの大群がこのビルに到着するまでには、まだ一時間程の猶予がある。そこで、兄さんがシーカー本部で陣頭指揮を執り、防衛陣地の構築を急いでいる。それに伴って、社内のプレイヤーを総動員して地下に送り込んでいる所だ」

 

 一拍を置いた拓也は、更に説明を続けた。

 

「また、オタクロスさんから連絡があり、オタレンジャーとハッカー軍団を応援として送ってくれるとの事だ」

「オタレンジャーは兎も角、ハッカー軍団は、アキハバラタワーでの戦いの傷が癒えていないんじゃ?」

「オタクロスさん曰く、ハッカー軍団の手にかかれば、三十分程度もあれば新品同様に修理できるそうだ」

「成程」

「それに、田中さんの計らいで、ロンド・ベルも応援として駆けつけるとの事だ」

「ロンド・ベル、それって、最近ニュースで取り上げられてた、警察のLBX犯罪対策部隊の事よね」

「警察の特殊部隊まで応援にくるのか!? そりゃ心強い!」

 

 拓也の説明を聞いたバン達は、心強い応援の数々に安心感を募らせる。

 しかし、そんな彼らに、拓也は油断は禁物とばかりの言葉を続けた。

 

「とは言え、敵の数は圧倒的だ。そこで君達に、更なる有志を集めてほしいんだ」

 

 拓也の言葉を聞き、バン達は自分達の為すべきことを理解する。

 

「バン、早速街に戻って声かけようぜ!」

「うん!」

「でも、今から街に戻って間に合うのかしら?」

「移動手段としてこちらで車の手配を行う、だから心配しないでくれ」

「よし、なら俺は、スラムの連中を集めてくるぜ!」

「なら私は、学校の連中を集めるわ」

「それなら僕は、サイバーランス社のプレイヤーを集めてくるよ」

「私達はどうすればいい?」

「里奈と八神達は、私と共にシーカー本部に戻り、そこで兄さんの指示を仰いでくれ」

「了解した」

「では皆、頼んだぞ!」

 

 そして、それぞれの役割を果たすべく、一行は行動を開始するのであった。

 

 

 

 

 手配してもらった車でサイバーランス社の本社ビルへとやって来た凛空は、事前に蔵土と連絡を取り事情を説明し集めてもらったプレイヤー達に簡単な説明を行うと、彼らに、一足先に決戦の地へと向かってもらう。

 そして、彼らを見送った凛空は、その足で開発室へと向かった。

 

「ジン君!」

「凛空君、話は聞いている」

 

 開発室へと足を運んだのは、ジンと会う為であった。

 

「できれば、僕も今すぐに向かいたい所だが……」

「まだ?」

「あぁ、今、急ピッチで最終調整を行っている所だ」

「そっか」

「けど安心してくれ。最終調整が終わり次第、僕もすぐに向かう!」

「分かった!」

 

 ジンと誓いのグータッチを交わした凛空は、開発室を後にすると、決戦の地であるタイニーオービット社の本社ビルへと戻るのであった。

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