うちの父親は変態企業の社長です   作:ダルマ

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壮絶! エターナルサイクラー防衛戦!

 イノベーターが放つ、三万五千機にも及ぶLBXの大群が、刻一刻とタイニーオービット社の本社ビルへと近づく中。

 対するシーカーは、地下道内に防衛陣地を構築するべく、バリケードなどの設営を急いでいた。

 

「ん、おい、アレは?」

「あぁ……。あれは確か、先ほど到着したロンド・ベルが持ち込んだ物って聞いたぞ」

 

 設営作業に駆り出された二機のグラディエーター、それを操る二人のプレイヤーは、機体のカメラ越しに、陣地の一角にLBXの身の丈を越える、巨大な砲が運び込まれる光景を目撃する。

 その大きさに似合うだけの銃砲身、砲本体の上部と下部に装着された合計三基のジェネレーター。そして、それらを支える為の三脚。

 

「まさに、巨大な銃(ビッグ・ガン)だな」

 

 作業を行うジム・カスタム達が手早く設営する様子を眺めつつ、プレイヤーは独り言ちるのであった。

 

 

 一方同じ頃、シーカー本部では、ロンド・ベルの主だった幹部が悠介社長達と挨拶を交わしていた。

 

「この度は、本当にありがとうございます」

「いえ、LBXを用いた事案に対処するのが、我々ロンド・ベルの任務ですから」

 

 悠介社長と握手を交わした嶺警部は、その後互いの健闘を讃えると、自分達の準備を進めるべくシーカー本部を後にしようとした。

 だがその時、嶺警部は、シーカー本部に足を踏み入れたとある人物に気がつき、その歩みを止めた。

 

「八神教官!」

「っ! 嶺、なのか」

「お久しぶりです!」

「あ、あぁ。まかさ、こんな所で再開するとはな……」

 

 八神の事を教官と呼んだ嶺警部は、久方ぶりの再会を喜ぶかのように、八神のもとへと歩み寄る。

 一方の八神も、思いもよらぬ再会に少々戸惑いつつも、嶺警部の差し出した手を握り、握手を交わすのであった。

 

「皆心配してたんですよ、八神教官が突然学校に来なくなったかと思えば、警察官を辞職して音信不通になったので」

「それはすまない事をした。あの頃は、私も色々とあったからな……」

「でも、お元気そうで何よりです」

「ありがとう。……しかし、しばらく見ない間に、随分と見違えたな。入校した当初は班内で一番内気だったお前が、今や指揮官として部隊を率いるまでに成長したとは」

「き、教官、からかうのはよしてください」

「ははは! ……立派になったな、嶺」

「いえ、これも教官のお陰です」

 

 そして、別れていた時間を埋めるかのように、会話を弾ませる二人。

 そんな二人の様子を見ていた悠介社長は、二人の関係性について尋ねる。

 

「嶺警部は八神さんとお知り合いなのですか?」

「八神教官は自分が警察学校に在学していた際、担任教官として、自分に警察官のいろはを叩き込んでいただきました」

「成程」

「最も、八神教官の"修正"は他の班と比べて一段と厳しく、当時は何度も警察官を目指した事を後悔していました」

 

 ばつの悪そうな顔を浮かべる八神を他所に、嶺警部は一拍置くと、更に言葉を続けた。

 

「ですが、そんな熱心な指導のお陰で、自分は立派な警察官になれる事ができました。本当に、八神教官には感謝しかありません」

「つまり嶺警部にとって、八神さんは恩師という事ですね」

「はい」

 

 しかし、嶺警部が力強い返事を返すと、八神は照れくさそうな顔をするのであった。

 

「悠介さん!」

「皆、有志を集める為に奔走してくれて、本当にありがとう」

 

 刹那、有志を集める為に奔走していたバン達が、シーカー本部へと戻ってくる。

 すると、その中に凛空の姿を見つけた嶺警部は、凛空に声をかける。

 

「やぁ、凛空君。また会ったね」

「嶺警部、お久しぶりです!」

「また君と戦う事になったね、よろしく頼むよ」

「こちらこそ! あ、所で嶺警部、今嶺部長が来てるんですけど、ご存知ですか?」

「え、親父が?」

 

 嶺警部と会話を弾ませる凛空。

 そんな凛空の姿を目にしたバン達は、改めて、凛空の人脈の広さに感心するのであった。

 

 

 

 

 シーカー本部でそんなやり取りが行われている一方、迎撃に向けての準備は着々と行われていた。

 

 バン達が奔走し集まった老若男女の有志達、その数は、なんと四百人にも及ぶ。

 これだけの数を集められたのも、特にハンゾウとキヨラ、二人の番長の功績が大きい。

 だが、数が集まり嬉しい反面、新たな問題も浮上する事となる。

 

 それが、タイニーオービット社の本社ビル内に、彼らを収容するだけのスペースがない事だ。

 

 一応、廊下などを使用すれば全員を収納できない事もないが、非常時とは言え、通常業務も行われている。

 なので、安易に収容すれば、通常業務に支障が出かねない。

 かと言って、全員を地下に向かわせる事も出来ない。

 

 では、一体どうすれば、この問題を解決できるのか。その答えを導き出したのが、オタクロスであった。

 彼は、悠介社長の許可を得て、本社ビル内の社内無線ポートを利用した、LBXの遠隔操作用サーバー並びにシステムを製作。操作可能半径が最大300メートルにまで延伸した。

 これにより、わざわざ本社ビル内に入らずとも操作が可能となった為、有志の方々は、LBXを預け、本人達は本社ビル周辺に分散し備える事となった。

 

 

 その一方、バン・カズ・アミ・凛空・ミカの五人は、悠介社長の指示により、本社ビル内にあるシミュレーションルームへと足を運んでいた。

 そこで一行は、里奈が準備していたコントロールポッドを使う運びとなった。

 

「バン君と凛空君は手前のポッドに、残りの三人は、奥のポッドを使って」

 

 里奈の指示に従い、五人はそれぞれのコントロールポッドに足を運ぶ。

 

「これが、コントロールポッド……」

 

 操縦席に乗り込んだ凛空は、まるで、本物のロボットのコクピットを彷彿とさせるその内装を目にし、胸が熱くなっていた。

 

「皆、聞こえてるわね。これから、皆の機体とコントロールポッドの接続手順を説明するわ」

 

 だが、いつまでも感動している暇はない。

 凛空の説明した手順に従い、凛空はAFAガンダムとコントロールポッドの接続を進める。

 

〈メインシステム、通常モード、起動します〉

 

 そして起動ボタンを押した、次の瞬間。コントロールポッド内に機械音声が流れた。

 

(あれ、この音声、何処かで聞いたような気が……。いや、気のせいか)

 

 と、余計な事を考えないようにしたところで、凛空は、コントロールポッド内のモニターに映し出された光景を目にし、感嘆の声を漏らした。

 

「凄い……」

「LBXに乗り込んでるみたいね!」

「いつもと目線が違うから、少し、違和感はあるけど」

「さしずめ、俺達が小さくなっちまったって感じだな」

 

 それに同意するかのように、他の面々も各々の感想を零す。

 

「よし、皆行くぞ!」

「「おぉ!」」

 

 そして、バンの掛け声と共に、五人が操作する五つの小さな戦士は、地下道を目指して移動を開始するのであった。

 

 

 

 

 五人が地下道に到着した頃には、既に防衛陣地の構築も終わり、本隊の布陣も完了する等、迎撃の準備は粗方完了していた。

 

「凄いなリコ! これだけ多種多様なフレームのLBXが勢揃いする光景なんて、そうそうお目にかかれねぇぜ!」

「うぅ、おいどん、こんな大規模な戦いは初めてでごわす……」

「なーに弱音を吐いてんだよ! ゴウダ三人衆として、リーダーに恥かかせるような戦いはするんじゃないよ! あんた達も、一中やアキバの連中に後れを取るんじゃないよ!!」

「「おぉーっ!!」」

「お前ら、二中の連中に後れんなよ」

「キヨラの前で、無様な戦いなんてするなよ」

「「おぉーっ!」」

 

 ゴウダ三人衆の三人を筆頭に、ミソラ第二中学校の面々が意気込みを見せる一方。森野と風間、両名の掛け声に、ミソラ第一中学校の面々も負けじと意気込みを見せる。

 また、ハッカー軍団を中心としたアキハバラの面々や、タイニーオービット社並びにサイバーランス社のプレイヤー。そして、ロンド・ベル。

 何れも戦闘を前に奮い立っており、まさに士気旺盛であった。

 

「凄い、数」

「うん。まさに壮観だね」

 

 そんな本隊と合流を果たした凛空とミカの二人は、モニターに映し出された多種多様なLBXの勇姿を目にし、感嘆の言葉を零す。

 因みに、バン・カズ・アミの三人は、最終防衛線とも言うべき地下道出入口の防衛を任されている。

 

「凛空」

「ん?」

「頑張ろ」

「うん!!」

 

 そして、凛空とミカの二人も気合を入れ直し、その時を待つのであった。

 

 

 

 

 程なく、暗黒の地平線より、地平線を覆わんばかりのモノアイの光が現れる。

 

「こちらロンド・ベル、目標の大群を視認した。これよりビッグ・ガンによる先制攻撃を仕掛ける」

 

 刹那、ロンド・ベルからの通信が終わると、防衛陣地に設営された巨大な砲、ビッグ・ガンが火を噴き始めた。

 一筋の光が、地平線のモノアイ目掛けて光跡を描くと、次いで、爆発が起こる。

 LBX用の火器では到底届かないであろう200メートルもの長距離攻撃。

 それを可能にしたのは、ビッグ・ガンの性能もさることながら、地下道という厳しい環境下でも、目標に命中させる事の出来る高い狙撃能力があってこそだろう。

 

 そんな芸当を目撃した凛空は、ふと、狙撃手の顔を拝みたくなり、ビッグ・ガンの方へとカメラを向けた。

 

(……赤い、ジム・スナイパーⅡ?)

 

 後期生産型と呼ばれるジムの一種であるジム・コマンド、同機をベースに高い汎用性を維持しつつ頭部の狙撃用バイザー等、専用装備を備え長距離狙撃能力を獲得したのが"ジム・スナイパーⅡ"である。

 ビッグ・ガンを使用していたのは、全身が赤く塗装されたジム・スナイパーⅡであった。

 因みに、ジム・スナイパーⅡの長距離狙撃能力開発には、以前凛空が回収したアサシンのデータも活用されている。閑話休題。

 

 

 その後も、ビッグ・ガンによる一方的な攻撃が続くものの、やはり、モノアイの波を止めるには至らず。

 程なく、先頭集団が、迎撃ラインに足を踏み入れた。

 

「いくぞ!」

〈メインシステム、戦闘モード、起動します〉

 

 機械音声が流れるのを他所に、凛空はペダルを踏みこみ操縦桿を動かすと、スラスターを噴射させ、AFAガンダムを先頭集団の頭上に移動させる。

 

〈アタックファンクション、ミサイルパーティー〉

 

 刹那、機体の各部にある増加装甲内に収納したミサイルを露出させると、それらを一斉に発射。

 無数のミサイルが先頭集団を襲い、爆発と共に、巻き込んだイノベーター製LBXをただの残骸へと変貌させる。

 

「俺も続くぜ!」

〈アタックファンクション、超我王砲(チョウガオーキャノン)

 

 AFAガンダムの先制攻撃に続くように、ハカイオー絶斗からも強力なビームが放たれ、射線上にいたデクーやデクーカスタムLを、その威力をもって破壊していく。

 そして、両機の必殺ファンクションが繰り出されたのを皮切りに、本格的な戦闘が幕を開けた。

 

「デルタチーム、攻撃を集中して敵の足を止めるぞ!」

「集中攻撃ですか」

「了解! どんな敵でもどんと来いってな!」

 

 陸戦型ガンダム一機、陸戦型ジム二機で構成されたサイバーランス社のチームが、装備したYF-MG100を弾の続く限り発砲し始める等。

 両陣営の間を、無数とも思える弾丸や弾頭、更にはビームなどが飛び交い。

 続けざまに、シーカー側から大小さまざまな必殺ファンクションが繰り出され、イノベーター製LBXを次々と爆散させていく。

 

 程なく、それら熾烈な攻撃を掻い潜った一部の機体との白兵戦も行われ始めた。

 

「おらぁっ!」

「郷田、突っ込み過ぎてやられるんじゃないわよ!」

「言われるまでもねぇ!」

 

 自慢のパワーで、三機のアヌビスを絶・破岩刃の錆にした他。

 頭部を鷲掴みにしたデクーカスタムRを近くの壁面に叩きつける等、その名に恥じぬ戦いぶりを見せるハカイオー絶斗。

 一方、圧倒的な機動力を生かして、相手を次々と翻弄しつつ、ナイトメアズソウルによる強打をお見舞いしていくナイトメア。

 

 戦闘は、時間の経過と共に、更に激しさを増していく。

 

「アレックスは伊達じゃない!」

 

 嶺警部が操るアレックスも、激しい弾幕を躱しつつ、ビームライフルやビームサーベルでイノベーター製LBXを次々と撃破していく。

 

 また、ジム・カスタムと装備やフレーム等の共有化を図り、重厚な複合装甲をその身に纏い、両肩にビーム・キャノンを備えた、支援用機の一つの到達点とも呼べる機体。

 その名を、"ジム・キャノンII"。

 同機の支援を受けつつ、ジム・カスタムが前衛として積極的な攻撃を仕掛ける等。ロンド・ベルは、持ち前の統率の取れた動きで敵を撃退していく。

 

「無闇に分散なんてするんじゃないよ! 二人で一機を相手にして、確実に倒すんだ!」

「「うっす!!」」

 

 そんなロンド・ベルと比べると練度はあまり高くはないものの、ミソラ第一中学校の面々も、リコの指示で組織立った攻撃を見せる。

 また、ハッカー軍団も、前衛組と後衛組が息の合った連携を見せる等。

 シーカー側の数の不利を補う戦術を前に、有効な対策を取る素振りもないイノベーター側は、次々と自慢の数を減らしていく。

 

「にしても、倒しても倒してももきりがねぇ」

 

 だが、一機また一機と落伍しようとも、鉄の背中は、まるで果てしなく続くかの如く、押し寄せる。

 容赦なく、弾丸の雨が降り注ごうとも、肩を喘がせ、味方の残骸で埋め尽くされた大地を、ひたすらに踏みしめ進み続ける。

 

 それはまるで、散り逝く戦友(とも)に未練など無いかの如く。

 

「本当に、よくこれだけの機体を集められたな」

「いやそれよりも、これだけの数を動かす為のプレイヤーを集めた事の方が凄いだろ」

 

 例え使い捨ての駒の如く扱いといえど、これだけの数を用意できたことに敵ながら尊敬の念を抱いていると、不意にアミから、敵のLBXは全て自律型ではないかとの通信が入り、全員が納得した表情を浮かべる。

 

「だが、そうと分れば遠慮することはねぇ。人間様の底力、見せてやるぜ!」

 

 敵の動きが単調と分かれば、腕に覚えのある者は、更に積極的な攻撃を仕掛けていく。

 

「おらぁぁっ!」

 

 その内の一人、大型ヒートサーベルを装備したザクⅡを操るサイバーランス社のプレイヤーは、雄叫びと共にデクーを一刀両断にする。

 と、そんなザクⅡを追いかけていた別のザクⅡが合流を果たす。

 

「見たか! ギー様の格闘センスを!」

「おーおー、張り切ってるな」

「リベリオ、張り切らない訳ないだろ! 山野 バンに西原 凛空、それに郷田 ハンゾウや仙道 キヨラ、そしてユジン。今年のアルテミス出場者達と肩を並べて戦ってるんだぞ! いや、逆にこれで張り切らない方がおかしい!」

「おー、流石は有名プレイヤーマニアのギー」

「二人とも、無事か?」

 

 力説するギーと若干引き気味のリベリオ、そんな二人の操るザクⅡのもとに、紺色に塗装された陸戦高機動型ザクが合流する。

 

「お、ヴィンセント、お前からもギーに言ってくれよ、あんまり張り切りすぎんなって」

「ギー、気持ちは分かるが、焦りは禁物だ」

「けどヴィンセント。活躍して、年下の彼女に武勇伝の一つも語りたいって、お前だってそんな気持ちが無い訳じゃないだろ」

「確かに、それは否定しない。けど俺達はチームだ、一人の独断専行が、チーム全体を危険にさらすことだってある。だから、今後は勝手な行動は慎んでくれ」

 

 そこで一拍置いたヴィンセントは、更に言葉を続けた。

 

「その代わり、俺とリベリオがお前を引き立たせる。俺達は、チームだからな」

「……ふ、分かったよ」

「よし、ギー、前衛は任せたぞ」

「おう!」

「リベリオ、ギーの援護を頼む」

「了解!」

「チーム・マルコシアス、いくぞ!」

 

 そして、三機のザクは、再び戦場を駆け始める。

 

 

 そんなチームがいる一方で、この戦場において異色を放つチームもまた、存在していた。

 

「くらえ! 正義の鉄拳、ビビンバード・アサルトバーニング!」

「轟け! ブルー・シューターハリケーン!」

「いくわよ! ピンク・スーパー・トルネードキーック!!」

「必殺! ジンジャー・ターメリック・カリボンバー!」

「刮目せよ! グランド・インフェルノ!」

 

 色彩豊かな五つの機体が、個性豊かなプレイヤーの掛け声と共に、まさに戦隊ヒーローの如く動きで次々と敵を撃破していく。

 その正体は、言わずもがなオタレンジャーの五人。

 

「まだまだいくぞーっ!!」

「「おぉっ!!」」

 

 汚名返上の絶好の機会とばかりに、気合の入った五人は、息の合ったコンビネーションで更に敵を撃破していく。

 言動は兎も角、次々と敵を撃破する様は、五人のLBXプレイヤーとしての技術の高さを物語っていた。

 

「うりゃぁぁっ! おりゃぁぁっ!!」

 

 だが、誰もがヒーローの如く華やかに活躍できる程、この戦場は甘くない。

 リュウの操るブルド改は、その分厚い装甲で多少の被弾も覚悟の上で、得物であるブルドアックスを振るい、デクー等を叩き斬っていく。

 しかし、目の前の敵に集中するあまり、周囲の確認が疎かになってしまう。

 

「へ!?」

 

 その隙をつかれ、危うく背後からロケットランチャーの一撃を受ける、と思われたその時。

 ブルド改のピンチを、一発の砲撃が救う。

 

「そこのオレンジ色のブルド改、無事か?」

「あ、貴方は?」

「名乗る程の者じゃない」

 

 ブルド改のピンチを救ったのは、ガンタンクを簡略化・再設計した機体。

 より戦闘車両の様な外観へとその機体の名は、"ガンタンクⅡ"。

 

「そうだ。同じパンツァーフレーム使い(タンク乗り)のよしみでアドバイスしてやる。あまり装甲を過信し過ぎるな、今のままじゃこの先生きのこれないぜ」

 

 そして、ガンタンクⅡのプレイヤーはリュウにアドバイスを送ると、独特の走行音を響かせ、その場を後にするのであった。

 

 

 

 

 鳴り響く銃声、轟く爆発音。立ち上る煙の数々。

 激戦地と化した地下道を、AFAガンダムとガーベラの二機は、肩を並べて駆け抜けていた。

 AFAガンダムの援護のもと、ガーベラが装備したヒート・ランスで次々と敵を貫いていく。

 

 息の合った連携攻撃で多数の敵を撃破した二機は、同じく多数の敵を葬ってきたアレックスと合流を果たした。

 

「やぁ二人とも、無事みたいだね」

「はい」

「嶺警部もご無事で何よりです」

「まぁ、この位はね」

 

 お互いの無事を確認し終えた所で、不意に、悠介社長から通信が入る。

 曰く、内通者の手引きによるものか、別ルートから社内に侵入するイノベーター製LBXの数が増加しているとの事。

 その為、このままではエターナルサイクラーのサンプルユニットを製造しているレベル4研究室にも危険が及ぶと判断した為、凛空達に研究所防衛の援軍に向かって欲しいとの事。

 

「行ってくるといい、残りの敵は、僕達だけでも片付けられる」

 

 嶺警部の言う通り、シーカー側の奮戦により三万五千機もの威容を誇っていたイノベーター製LBXの大群は、その数を二割ほどにまで減らしており。既に戦闘は、掃討戦に移行しつつあった。

 

「分かりました、お願いします」

 

 嶺警部達にこの場を任せると、AFAガンダムとガーベラの二機は、バン達と合流するべく地下道出入口目指してスラスターを噴かせた。

 しかし、その矢先。ふと、地下道の奥から地響きが聞こえ始めた。

 

「ん、何だ?」

「警部、奥から接近する大型の機影を確認した」

「何!?」

 

 赤いジム・スナイパーⅡからの報告を受けた嶺警部は、直ちに警戒を促す。

 と、地響きと共に、ソレが一同の前に姿を現した。

 

「何これ、ふざけてるの?」

 

 ソレを目撃したミカがぽつりと零した感想は、その場にいた誰もが共感する所であった。

 

 現れたのは、LBXどころか人間すらも優に超える巨大な鋼鉄の軍馬。

 円盤状の車体に左右二列ずつ重ねた履帯、大口径短砲身の主砲に大型ガトリング砲をオフセット装備、更に砲塔側面十二連装ミサイルランチャーを二基。その他、車体の各部に機関銃や対LBX用の近接防御火器を備えている。

 そして、砲塔上部にはそれら武装の射撃管制装置も兼ね備えたAI制御のコントロールユニットを備えている。

 

 文字通り要塞と呼ぶに相応しい威容を誇る超重戦車、その名を、"要塞戦車バルドーマ"。

 イノベーター側が、今回の襲撃の為に用意した切り札と言うべき戦闘車輛である。

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