うちの父親は変態企業の社長です   作:ダルマ

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恐怖! 要塞戦車バルドーマ

 要塞戦車バルドーマの登場に、浮足立つ一同。

 

「皆臆するな! ロンド・ベル各員、攻撃準備!」

 

 だが、嶺警部の力強い言葉と、バルドーマへの攻撃準備を始めるロンド・ベルの姿を目にし、他の面々も落ち着きを取り戻す。

 

「俺っち達もいくぞ!」

「「おぉ!」」

「アタイ達もやるよ!」

「「うっす!!」」

 

 更に、ロンド・ベルに触発され、ヤマネコやリコ等の号令のもと、他の面々もバルドーマへの攻撃準備を始める。

 やがて、攻撃準備が完了した、その時。

 

「撃てぇ!!」

 

 嶺警部の号令一下、バルドーマ目掛けて一斉に攻撃が行われる。

 だが、やはり相手は本物の戦車。ビッグ・ガンの直撃を受けても、百機近くものLBXによる一斉攻撃を受けても、その装甲にはかすり傷程度の傷しかつかない。

 

 刹那、バルドーマのコントロールユニットが赤い光を放った、次の瞬間。

 

「っ! 散開しろ!」

 

 嶺警部の叫び声と同時に、バルドーマの主砲が火を噴く。

 次の瞬間、防衛陣地が、轟音と共に巨大な爆発に飲み込まれる。

 

 やはり、玩具ではなく純粋な兵器として作られた砲の威力は凄まじく、爆煙が晴れて姿を現したのは、巨大なクレーターと化した防衛陣地の姿であった。

 

「くっ!」

 

 幸いと言うべきか、嶺警部の叫び声により、赤いジム・スナイパーⅡをはじめとするロンド・ベル、更にはヤマネコやリコ等も間一髪の所で回避に成功した。

 だが、先ほどの砲撃でビッグ・ガンを失った他、回避できなかった数十機が落伍する事となった。

 

 圧倒的とも言うべき彼我の火力差を見せつけられ、嶺警部は苦虫を噛み潰したような顔を浮かべる。

 

「まだビッグ・ガンを失っただけだ! たかが戦車の一台、アレックスで押し出してやる!!」

 

 しかし、嶺警部は諦めなかった。

 スラスターを噴かせると、アレックスはバルドーマ目掛けて突き進む。

 

 だが、そんなアレックスの接近を許すまいと、車体各所に装備した火器が火を噴き、圧倒的な弾幕が展開される。

 

「くっ! これでは迂闊に近づけないか……」

 

 掠っただけでもシールドが弾き飛ばされる程の威力、直撃を受ければ、LBXなど一溜まりもない。

 そんな弾幕を何とか躱しつつ、一旦距離を置く事に成功するアレックス。

 

「レッド・ツー、レッド・スリー、兎に角撃ちまくれ、味方の後退を援護するぞ!」

「畜生、あんなデカブツ使うなんて卑怯だろ!?」

「ぼやくなジェイク。……ま、気持ちは分からんでもないけどな」

「二人とも、お喋りはそこまでだ。今は、一人でも多くの味方を生き残らせる事に集中しろ!」

「「了解!」」

 

 しかし、誰もがアレックスのようにこの弾幕を掻い潜れるわけではない。

 多くの者は戦闘を諦め、後退を開始する。

 

 そんな者達を、ザクⅡ三機で構成されたレッドチームと呼ばれるサイバーランス社のチームをはじめ、ハッカー軍団やロンド・ベル等が殿を務めて援護する。

 

 

 だが、途切れる事のないバルドーマの弾幕に、一機また一機と落伍者が続出していく。

 最早、このまま敗北の時を待つしかないのか。この絶望的な状況に希望を見いだせないでいた、その時。

 

「凛空君、待たせたね」

 

 不意に、地下道の出入り口であるエレベーターの扉が開くと、中から一人の少年が姿を現す。

 誰であろう、ジンだ。

 

 危険な地下道に生身で乗り込んできた事に若干呆れ模様のカズやアミを他所に、話はさらに進む。

 

「ジン君がここにいるという事は……」

「あぁ、漸く完成した。だから、ここからは僕も戦おう」

「ちょ、ちょっと待って、ジン! 今回の相手は戦車なんだ!」

「バン君、心配は無用さ。完成したこの"ゼノン"なら、戦車が相手だろうと問題ない」

 

 プロトゼノン同様、深紫の装甲を身に纏ったその機体は、ジンの説明の通り、各所に基となったプロトゼノンの造形を色濃く残している。

 しかし、不要な装飾が減り装甲も単純化、更には頭部の角や大型ウイングも撤去されている等、細部にプロトゼノンで得たジンの戦闘データが反映されている。

 

(あ、やっぱり背部のブースター付き大型ウイングは撤去されてマントに変更されたのか……、アレカッコよかったのになぁ)

 

 因みに、ジンの新たな相棒であるゼノンの姿を観察していた凛空が、心の中で少しばかり不満を述べていたのは、ここだけのお話。

 

「だけど、僕一人では戦車は止められない。だから、凛空君、バン君、君達にも力を貸してほしいんだ」

「分かった。それで、具体的には何をすればいいの?」

「僕がゼノンを使ってあの戦車にハッキングを仕掛ける、その間の時間稼ぎを頼みたい」

「分かった!」

「ちょっとバン、レベル4研究室の方はどうするの!?」

「そっちはカズとアミ、それにミカの三人で向かってくれ」

 

 こうして、バルドーマを止める為地下道に残る事となった凛空とバンは、三人を見送ると、早速戦場へと舞い戻る。

 

 

 

 

「ジン、先ずはどうする?」

「先ずは足を止める」

〈アタックファンクション、ブレイクゲイザー〉

 

 刹那、ゼノンが装備した鍵鎚"ゼノンハルバード"を力強く地面に叩きつけるや否や、青白い炎がバルドーマ目指して突き進む。

 次の瞬間、青白い炎はバルドーマの右側履帯に直撃し、バルドーマの動きを止めた。

 

「す、凄い……」

「うん、プロトゼノンの時よりも格段に威力が上がってる」

「二人とも、感心するのは後だ!」

 

 ジンの言う通り、バルドーマの動きは止まったが、まだあの弾幕が無効化された訳ではない。

 刹那、三人の機体目掛けて、あの弾幕が飛来する。

 

「じ、ジン! 動きを止めたのはいいけど、この弾幕じゃ、簡単には近づけそうにない!」

「分かってる。……凛空君、あの砲塔上部にあるユニットを狙えるか? おそらく、あれを破壊できれば、この弾幕も何とかなる筈だ」

「分かった、やってみる!」

 

 ジンの指示を受け、凛空はAFAガンダムを跳躍させる。

 

〈アタックファンクション、ミサイルパーティー〉

 

 刹那、機体の各所から一斉に発射されたミサイルの数々が、バルドーマ目掛けて飛来する。

 だが、そのミサイルの数々は、展開された弾幕により、一発も命中する事無く撃ち落とされる。

 

 しかし、凛空の表情に、悔しさは見られない。

 何故なら、この展開こそ、凛空が狙っていたものだからだ。

 

「これで!」

〈アタックファンクション、メガビームキャノン〉

 

 ミサイルが撃ち落とされた事により発生した煙幕。

 そんな煙幕を突き破った巨大な一筋の光が、バルドーマの砲塔上部のコントロールユニットに直撃する。

 

「やった!」

 

 直撃とは言え、やはり完全に破壊するまでには至らなかった。

 それでも、コントロールユニット内部の射撃管制装置が損傷したからか、それまで効果的に行われていた筈の射撃が、文字通り出鱈目に撃ち始めた。

 

「よし、これならいける!」

「行こう、二人とも!」

「分かった!」

 

 動きも止まり弾幕も脅威ではなくなった。

 あとはバルドーマに取りつき、ゼノンがハッキングを行うだけ。

 

 なのだが、そう簡単に事は運ばない。

 

「LBX!?」

「時間がない、強行突破するぞ!」

「僕が援護する、二人は前衛を!」

「あぁ、いくぞ!」

 

 砲塔上部を目指す三機の行く手を阻むかのように、搭載されたイノベーター製LBXが立ちはだかる。

 それでも、AFAガンダムの援護のもと、オーディーンとゼノンが互いの得物を振るい、立ちはだかる敵を薙ぎ倒し前に進む。

 

 こうして漸く、目的の砲塔上部に辿り着いた三機。

 

「ここだ。……凛空君、バン君、僕のハッキングが完了するまでの間、ゼノンを守ってくれ」

「分かった!」

「あぁ、ゼノンには、指一本触れさせない!」

 

 コントロールユニットの裏側に手を触れ、早速ハッキングを開始するゼノン。

 作業中は動けず無防備となるゼノンを守るべく、AFAガンダムとオーディーンは、次々と現れるイノベーター製LBXに立ち向かう。

 

 AFAガンダムの二連装式ビームライフルが閃光を放ち、デクー改やアヌビスを撃ち抜く。

 オーディーンのリタリエイターが斬撃を繰り出し、複数のデクーを切り捨てる。

 

 しかし、倒せど倒せど、次から次へと新手が現れる。

 

「ジン、まだなのか!?」

「もう少しだ……」

「バン、ここが正念場だ!」

「あぁ!」

 

 刹那、AFAガンダムとオーディーンがそれぞれの必殺ファンクションを繰り出し、砲塔上部にいた敵を撃破する。

 一旦は敵を掃討し、一息つく凛空とバン。

 だが、それも束の間。再び砲塔上部に、新たなイノベーター製LBXが姿を現した。

 

「く、まだ来るのか」

 

 再び敵を迎え撃つべく、それぞれの得物の銃口と穂先を向けた、次の瞬間。

 

「あれ?」

 

 凛空とバンの二人は、敵の違和感に気がついた。

 敵が、まるでゼンマイの切れた人形の如く動かなくなっている事に。

 

「動いて、ない?」

「という事は、もしかして……」

「凛空君、バン君、ハッキング完了だ」

 

 ジンの報告を受け、二人は歓喜の声を上げる。

 その直後、レベル4研究室の援軍に向かったカズ達からも通信が入り、レベル4研究室の防衛も完了したとの報告を受ける。

 

 そして、勝利の喜びに沸く通信が次々ともたらされ、今回の防衛戦最大の功労者である三人は、改めて、勝利を手にした事を実感するのであった。

 

 

 

 

 だがこの時、まだ彼らは知る由もなかった。

 この勝利が、一時的なものであるという事を。

 

 

 

 

 

「だから言ったんですよ、貞松さん、それに二階堂君も。(シーカー)は単純な物量作戦で倒せるほど、簡単な相手ではないと」

「く……」

「……」

 

 イノベーターの研究施設の一角、そこでは、イノベーターの実動部隊である赤と黒、そして青の部隊の司令官が一同に会していた。

 

「では藤堂、貴様には奴らに勝てる策があるというのか!?」

「えぇ、勿論。こういう敵には、"搦め手"を使うのが一番です」

 

 貞松の問いに、青の部隊を率いる藤堂 三良(とうどう みつよし)は、不敵な笑みを浮かべながら答えるのであった。

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