うちの父親は変態企業の社長です   作:ダルマ

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皆様、メリークリスマス!
お待ちかねの後編でございます。


英雄たちのバトルローグ 後編

 そびえ立つ巨大な山を中心に、草原や砂漠、更にコンビナートや現代都市等。複数のフィールドで構成された特別なDキューブ内。

 その中で戦火を交える、アミ達とCrazy IVの操る機体達。

 

 錨型のハンマーであるシーホースアンカーを装備した、アミのパンドラ。

 長剣である武の剣と円盾の鏡の盾を装備した、ランの再生産されたミネルバ。

 鎌状の双剣であるペルセウスソードを装備した、アスカのヴァンパイアキャット。

 エール、ソード、ランチャー、三種のストライカーを統合した全領域対応型のストライカーパックを装備した、ミカのパーフェクトストライクガンダム。

 

 普段愛用している武装や機体と異なるのは、女子会終わりにキタジマ模型店で締めの、いつもとは趣向を変えたバトルを楽しむためだ。

 

 

 一方Crazy IV側が使用するのは、ズールやグラディエーター、更にオルテガやブルド、そしてリーオーやドム等。メーカーも武装もバラバラな機体の数々。

 しかも特筆すべきはその数。アミ達が一人一機なのに対して、Crazy IV側は自律稼働型BXを使用することにより、ニ十機もの数を投入していた。

 当然、公式のバトルでは規程違反となる行為だが、今回はアンリミテッドレギュレーションという事もあり、機体数の上限は無いも同然であった。

 

「幾らレジェンドプレイヤーでも、この数相手じゃ厳しいでしょ?」

「結局、戦いは数なのよシスター!」

「だからって、命乞いしても攻撃の手は緩めないお!」

「戦いは非情っす!」

 

 数の有利を生かしアミ達を分断すると、そのまま猛攻を加えるCrazy IV。

 一方、分断され猛攻に晒されているアミ達は、防戦一方となっていた。

 この戦況にCrazy IVの面々は気を良くするも、彼女達は気付いていなかった。アミ達が防戦一方なのは、自分達の動きを分析する為だという事に。

 

「……そろそろ、仕掛けされてもらうわ!」

「っ!?」

 

 刹那、遂にアミ達が攻勢に出る。

 

 コンビナートで逃げ回っていたパンドラは、重量のあるシーホースアンカーを装備しているとは思えぬ俊敏な動きと共に、追撃していたグラディエーター達に迫る。

 銃弾の雨を躱しながらくり出す、シーホースアンカーの重く鋭い一閃。刹那、頭部を粉砕された二機のズールが機能を停止させる。

 更に間髪入れず、パンドラは残る機体の間合いに飛び込むと、再びシーホースアンカーの一閃を繰り出す。そして、瞬く間に残る機体も葬り去るのであった。

 

「幾ら数が多くたって!」

「な!?」

 

 現代都市で攻勢に出たミネルバは、装備した鏡の盾で銃弾を防ぎながら対峙するLBX達に迫る。そして、LBX達の脇をするりと通り抜けると、すれ違いざまに次々と斬り捨てていく。

 程なく、地上にいたLBX達を全て武の剣の錆にした所で、建物の屋上にいる最後の一機を錆にするべく駆け始める。

 これに対して、最後の一機であるリーオーは装備したドーバーガンで迎撃を試みる。しかし、ミネルバは建物の壁を走るなど、アクロバティックな動きで躱してみせる。

 そして、瞬く間に距離を詰めると、最後に跳躍からの踵落としを繰り出し、勝負を決めるのであった。

 

「へへーん。残念だけど、昔から得意なんだよね、猫被るのは!」

「にゃ!?」

 

 草原で攻勢に転じたヴァンパイアキャットは、文字通り猫の如く滑らかな動きで翻弄すると、隙を見てペルセウスソードの斬撃を繰り出す。

 負けじと対峙するLBX達もギガントアックスやスパイクランス等を振るうも、ヴァンパイアキャットは最小限の動きで躱し、お返しの斬撃をお見舞いする。

 やがて、ヴァンパイアキャットの周囲には、対峙していたLBX達の残骸が散らばるのであった。

 

「これで、お終い」

「あぁ!? 踏み台にすらされなかったぁ!!」

 

 砂漠で攻勢に出たパーフェクトストライクガンダム。対するは、砂塵を巻き上げ滑るように移動する五機のドム。

 コンボウェポンユニットのバルカン砲が火を噴きドムの装甲を叩く。だが、五機のドムは多少の被弾をものともせず、陣形を整え始める。

 次の瞬間、五機のドムは単縦陣を形成し、パーフェクトストライクガンダムに対して突撃を仕掛ける。

 だが刹那、アグニより放たれた巨大な一筋の光が五機のドムを次々と貫き、一気に撃破されるのであった。

 

 

 

 

「さぁ、約束通り、皆を解放しなさい!」

 

 Crazy IV側のLBXを全て撃破し、バトルはアミ達の勝利に終わった──、かと思われた。

 だが、Crazy IVの面々は負けて悔しさを滲ませるどころか、不気味な笑みを浮かべ始める。

 

「フフフ、まさか、これで終わったと思ってるの?」

「さっきのは、所詮前座」

「ここからが本番だお!」

「さぁ、第二ラウンドの始まりっす!」

「な!?」

 

 次の瞬間、特別なDキューブ内に巨大な四つの影が姿を現した。

 

 

「何だこれ、UFO!?」

 

 ヴァンパイアキャットの前に姿を現したのは、フラスコ或いは玉葱のような形状の巨体を持ち、四機の接地用ダンパー、巨体の四方に砲塔を有している機体。

 その名を──

 

「にゃはは。この"アッザム改"で、悪ーい猫ちゃんを対峙してやるお!」

 

 ジジが操作するアッザム改。

 

 

「アレって!?」

 

 ミネルバの前に姿を現したのは、モノアイ式の頭部、重厚な装甲に背部の大型弾倉、凶悪なガトリング砲を片側二基、左右合計四基も装備した武器腕を持つ機体。

 その名を──

 

「私って、小細工とか苦手なんだよねー。だから、この"トロイ改"で真正面からいくからさ、よろしく。あ、でも、簡単に死なないでよ、(動画的に)つまんないから、フフフフッ……」

 

 アズが操作するトロイ改。

 

 

「あんなものまで……」

 

 パンドラの眼前に広がる海上に姿を現したのは、前後対称形状の胴体、三本指の腕部クロー、六基の脚部の内前後の四脚はLBXを収納できる程巨大な機体。

 その名を──

 

「パワーこそLBXの本質っす! この"ゾック・フォートレス"のパワーの前に、逃げ回りながら死ねっす!」

 

 しーの操作するゾック・フォートレス。

 

 

「……」

 

 パーフェクトストライクガンダムの前に姿を現したのは、上半身部分のイナクトカスタム、下半身部分は全体的に角ばったフォルム、先端が鋭利な六本の脚を有する機体。

 その名を──

 

「じゃ、もうちょっと遊びましょうか、この"アグリッサ"で」

 

 クレの操作するアグリッサ。

 

 

 何れも、公式のバトルでは規程違反とされる機体ばかり。しかし、Crazy IV側は躊躇いなく投入してきた。

 数ばかりでなく機体までもやりたい放題の彼女達に対して、アミは憤慨する。

 

「貴女達には、フェアプレー精神と言うものがないの!?」

「……アハ、アッハハハハハ!!!」

「っ!?」

「正々堂々、公正に? ルールを守って敬意を払いましょう? ……そんなの、勝つためなら要らないわよ!!」

 

 刹那、クレが声高く叫んだ。

 

 

「要らないわよねぇ、心なんか!! それで勝てるって言うんならさぁ゛!!!

 

 

 同時に、第二ラウンドの幕が切って落とされる。

 

 

 

 

「これでもくらえ!」

「にゃはは! そんな攻撃、このアッザム改の重装甲の前には無意味だお!」

 

 上空に浮かぶアッザム改に対し、ヴァンパイアキャットは先ほど倒したLBXが装備していたロケットランチャーを回収し、砲撃を行う。

 しかし、放たれた弾頭が直撃したにもかかわらず、直撃部に僅かな傷をつける程度のダメージしか与えられなかった。

 

「それじゃ、今度はこっちからいくお!」

 

 刹那、指向可能な砲塔が火を噴き、ヴァンパイアキャット目掛け光弾が降り注ぐ。

 これに対し、ヴァンパイアキャットは俊敏な動きで光の弾幕を躱す。

 

「だったら、こいつはどうだお!」

 

 砲撃では仕留められないと察したジジは、次の手を繰り出す。

 アッザム改の機体底部から射出されるカプセル状の物体。それはふわふわとヴァンパイアキャットの頭上に移動する。

 刹那、嫌な気配を感じたアスカは、咄嗟にヴァンパイアキャットを後退させる。すると次の瞬間、カプセル状の物体がワイヤーを展開し檻を作ると、内部に電磁波を発生させた。その威力は凄まじく、範囲内に放置されていた重火器の数々が、高熱により次々と誘爆していく。

 

「アッザム・リーダーを初見で躱すなんて、流石はレジェンドプレイヤーだお! ……でも、いつまで続けられるかなぁ~?」

「ちっ!」

 

 次々と降り注ぐ光の弾幕、隙を見て檻に閉じ込めようとするアッザム・リーダー。

 この猛攻を前に、ヴァンパイアキャットは何とか躱し続けるも、遮蔽物のない草原では息つく間もなく、徐々に追い詰められていた。

 

(くそ、このままじゃ……どうする、何かいい手は……)

 

 その時、アスカはアッザム改の姿を目にし、ある事に気が付く。

 

(そういえばアイツの姿、センシマンに登場するUFO怪人ルナ・アムザムに似てるな。確かルナ・アムザムも小さなUFOを召喚して……っ! そうだ!)

 

 刹那、アスカは攻略の糸口を見つけたのか、早速反撃に転じる。

 

「にゃは! もう自棄になって突っ込んできたのかお?」

「そうじゃねぇ、よ!」

 

 砲撃を掻い潜りながら草原を駆けるヴァンパイアキャット。すると次の瞬間、ヴァンパイアキャットが大きく跳躍する。

 

「にゃにぃ!?」

 

 見事な放物線を描きながらヴァンパイアキャットが着地したのは、何とアッザム・リーダーであった。

 そして、まさに猫の如く優れたバランス感覚で、浮遊するアッザム・リーダーを乗り継いでいくヴァンパイアキャット。

 程なく、ヴァンパイアキャットはゴールであるアッザム改の機体上部に降り立った。

 

「こいつでトドメだ、必殺ファンクション!!」

〈アタックファンクション、コスモスラッシュ〉

 

 刹那、凄まじい斬撃がゼロ距離で放たれる。

 これには如何に重装甲のアッザム改と言えど耐えられる筈もなく、機体の各所から火の手を上げながら、程なく草原の只中に墜落するのであった。

 

 

 

 

「あははっ! どうしたの、早く出てきなさいよぉ!! あはははははっ!!!」

「これじゃ迂闊に近づけない……」

 

 四基に増強されたデスバレルが唸りを上げ、銃口から吐き出された弾丸が現代都市のビル群を蜂の巣にしていく。

 この圧倒的な弾幕では、流石に鏡の盾で防ぎ切る事はできない。故にミネルバはビルの影に身を隠しチャンスを窺っていたのだが、トロイ改の想像以上の弾幕に攻めあぐねていた。

 

「ほらほら~、さっさと出てきて蜂の巣になりなさいよぉ!」

「どうする、どうすれば……」

 

 背部の大型弾倉を鑑みると、弾切れを起こす前に現代都市が更地と化すだろう。

 故に今すぐ攻めたい所ではあるが、あの弾幕を前に、ミネルバは一歩が踏み出せない。

 

(っ、焦っちゃ駄目! 落ち着いて。ユウヤも言ってた、彼を知り己を知れば百戦殆からずって。……冷静に状況を把握しなきゃ)

 

 刹那、ランは深呼吸をすると気持ちを落ち着かせる。

 

(周囲のビルはもう使えない。それに、機動力で撹乱するのは難しい……。ん、あれは……)

 

 その時、ランの視界に入ったのは、先ほど倒したLBXが装備していた盾。刹那、ランは打開策を見出す。

 その内容とは、回収した盾と鏡の盾を二枚重ねにすると言うもの。

 

(これなら、いけるかも! ……よし!)

 

 盾を重ね終えると、ランは覚悟を決める。そして、自身のCCMを操作し、ミネルバをトロイ改目掛けて突撃させた。

 

「あははは! 真正面からくるなんて、本当に最高よぉ!!」

「うぉぉぉっ!!」

 

 ランの気迫と共に、二枚重ねの盾で防ぎながら、ミネルバは弾幕の中を突き進む。

 しかし、残り半分ほどの距離で、回収した盾が限界を迎え壊れる。それでも、ミネルバは止まる事無く進み続けた。

 

「えぇ!? 嘘、嘘でしょぉ!?」

「これで!」

「いゃぁ!?」

 

 そして、間合いに飛び込むや否や、限界寸前ながらもその役目を全うした鏡の盾に代わり、トロイ改目掛けて武の剣が振るわれる。

 繰り出された一閃は、見事、四基のデスバレルの砲身を斬り落とした。

 

 こうして攻撃手段を失ったトロイ改は、慌てて後退を始める。だが、ランがそれを見逃すはずはなかった。

 

「今だ、必殺ファンクション!!」

〈アタックファンクション、白虎衝波斬〉

 

 巨大な青白い虎のオーラと共に突撃するミネルバ。

 刹那、流星の如く一閃を受けたトロイ改は、断末魔の様な爆発の中に消えるのであった。

 

 

 

 

「パワーこそ正義! 正義こそパワーっす!」

「何が正義よ、こんな戦い方しておいて……」

 

 コンビナートの中、パンドラはゾック・フォートレスの砲撃を躱しつつ、四機のナズーと戦っていた。

 この四機のナズーは、ゾック・フォートレスの脚部に格納されていた自律稼働型LBXである。

 故にアミがぼやいた通り、その戦いぶりはしーが口にした正義とは程遠いものであった。

 

「戦いとは頭脳と技能っす。LBXバトルなら、なおさらっす」

「いいように言ってくれるわね」

 

 不満を垂れつつも、アミは障害物などを活用し、ナズーを一機ずつ確実に仕留めていく。

 シーホースアンカーの一閃で頭部を粉砕し、地面に、或いは壁に叩きつけ、程なく四機のナズーを沈黙させる。

 

「さぁ、次はどうする気かしら? まさか、これで万策尽きた、なんて言わないわよね?」

「そうっす。とっておきの策は、ここからっす!」

「パンドラ!?」

 

 次はどんな一手を繰り出すのか、アミがゾック・フォートレスに対し警戒を強めていると、それは背後から訪れた。

 仕留めそこなったのか、瀕死のナズーが最後の力を振り絞り、パンドラを海へと押し出したのだ。

 

「水中ならゾック・フォートレスの独壇場っす!」

 

 海の中、潜航したゾック・フォートレスのモノアイが今一度赤い光を放つと共に、魚雷発射管の発射口が開口する。

 

「これでフィニッシュっす!!」

 

 刹那、発射口から必殺の魚雷が放たれる。

 海中では地上程俊敏に動けないパンドラ。最早、万事休すか、と思われたその時。アミは、不敵な笑みを浮かべていた。

 

「ねぇ、こんなことわざを知ってる? "策士策に溺れる"」

「へ?」

「必殺ファンクション!!」

〈アタックファンクション、オーシャンブラスト〉

 

 本来は発動と同時に水を生み出す予備動作が必要となるが、今回は海中故にそれが必要ない。

 故にシーホースアンカーを振り回し渦を作り出すと、強力な高圧水流をゾック・フォートレス目掛けて放つ。

 

 水流は途中で魚雷を破壊し、勢いを衰えさせる事無くゾック・フォートレスに直撃する。

 刹那、海上に巨大な水柱が出現すると同時に、海面にゾック・フォートレスの破片が浮かび上がるのであった。

 

 

 

 

「熱々のプラズマ、存分に堪能しなさい!!」

「……」

 

 下半身ユニットの機首に搭載されたプラズマキャノンが火を噴き、パーフェクトストライクガンダムに襲い掛かる。

 純粋なエールストライカーよりも劣るとはいえ、ミカの操作技術も相まって、難なくプラズマキャノンを躱すパーフェクトストライクガンダム。

 しかし、アグリッサは畳み掛けるように、ブレイドライフルによる攻撃を行う。

 

 プラズマキャノンとブレイドライフルによる攻撃を組み合わせ、反撃の隙を与えない。

 

「アハハッ! その飛び跳ね方、貴女のブサイクなLBXにお似合いよ!」

「……は?」

 

 クレの口からパーフェクトストライクガンダムを馬鹿にする発言が飛び出した瞬間、ミカの中で、何かが切れる音がした。

 

「そんなブサイクなLBXは、さっさと黒焦げに──」

 

 刹那、パーフェクトストライクガンダムのスラスターが唸りを上げると、突撃を敢行する。

 

「っ!?」

「……凛空の事を馬鹿にする貴女は、徹底的に、潰す」

〈アタックファンクション、アサルトストライク〉

 

 驚きのあまり迎撃がもたつくアグリッサを他所に、コンボウェポンユニットが唸りを上げる。更に続けて、左肩のマイダスメッサーが投擲される。

 コンボウェポンユニットから放たれた弾丸とミサイルはプラズマキャノンを破壊し、続けて投擲されたマイダスメッサーは、死角からアグリッサの脚部を切り裂く。

 こうして体勢を崩した所を、アグニで狙い撃つ。

 

「く!?」

 

 アグリッサが大破する寸前、イナクトカスタムは分離する事で難を逃れる。

 ほっと一息つくクレだが、彼女は気付いていなかった。必殺ファンクションがまだ終わっていない事を。

 

「きゃぁっ!?」

 

 刹那、イナクトカスタムの右腕と左脚を一筋の閃光が貫き、破壊する。

 その正体は、パーフェクトストライクガンダムのビームライフルであった。

 次の瞬間、再びパーフェクトストライクガンダムのスラスターが唸りを上げ、右腕と共にブレイドライフルを失ったイナクトカスタム目掛けて突撃を行う。

 

 そして、パーフェクトストライクガンダムはシュベルトゲベールを構えると、瀕死のイナクトカスタムに対して一閃を繰り出し、引導を渡すのであった。

 

 

 

 

 

 こうして、第二ラウンドもアミ達の勝利に終わる。

 とは言え、アミ達は警戒を緩めない。二度あることは三度あるかも知れないからだ。

 

「さぁ、勝ったんだから、約束通り皆を解放しなさい!」

 

 アミ言葉を他所に、Crazy IVの面々は俯いたままだ。

 だが程なく、彼女達は顔を上げると、アミ達をキッと睨みつける。

 

 そして、口を開くや否や──

 

「バーカ、バーカ!!」

「覚えてなさいよーっ!!」

「二回も勝ったからって、うぬぼれるなお!!」

「これで勝ったと思うなっすー!!」

 

 捨て台詞を吐くと、撮影スタッフ達を引き連れ、瞬く間にファミレスから逃げ去ってしまった。

 

「え?」

「逃げた……」

「てか、逃げ足早っ!?」

「でも、とりあえず、一件落着」

 

 結局Crazy IVは逃がしたものの、ミカの言う通り、今回の騒ぎは何とか無事に収まった。

 刹那、店内で一部始終を見ていたお客さん達から、立役者であるアミ達に対して惜しみない拍手が送られる。

 

 大変なことに巻き込まれたが、お客さん達の安堵の表情を目にし、苦労の甲斐があったと思うアミ達であった。

 

 

 因みに、動画配信という言い逃れ出来ない証拠がある為、後日Crazy IVが警察のご厄介になったのは言うまでもない。

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