うちの父親は変態企業の社長です   作:ダルマ

94 / 122
世界のルール

 開始早々、オーディーン・ゼノン・ガーベラの三機が、夕焼けに彩られたフィールドを駆ける。

 そして、間合いを詰めるや否や、各々の得物をルシファー目掛けて振るう。

 だが、ルシファーはその荘厳さを備えた聖騎士の如く見た目に反し、三機の攻撃を瞬間移動の如く機動性で躱してみせた。

 

 高い機動性を見せつけられ驚く凛空達、しかし、それで諦める彼らではない。

 三機はルシファーに対して畳み掛けるかのように攻撃を続ける。また、AFAガンダムも機を見てビームを放つ。

 だが、ルシファーはそれらの攻撃を軽々と躱してみせる。

 

「そんなものなのかい?」

 

 刹那、ゼノンの攻撃を躱したルシファーは素早くゼノンの背後を位置取ると、自らの得物であるビームソードのヘブンズエッジを振るう。

 ルシファーの一撃を受けフィールドに倒れるゼノン。それを見て、ゼノンの援護に入るオーディーンとガーベラ。

 しかし、ルシファーは援護に入った二機の攻撃を躱すや、オーディーンを装備した天帝ネメシスシールドによるシールドバッシュで弾き飛ばし、間髪入れずにガーベラにも強力な蹴りを繰り出し蹴り飛ばした。

 

 こうして邪魔がなくなった所で、倒れたゼノンにヘブンズエッジの二撃目を加えようとしたルシファーだったが、AFAガンダムの援護射撃により一旦距離を取った。

 

「あの四人でも駄目なのか!?」

「くそ、いけ好かねぇ奴だが、間違いなく腕は本物だ」

 

 第三回LBX世界大会アルテミスの上位三名、更に実力のあるミカを加えた最強と呼ぶに相応しい布陣。

 だと言うのに、四人の攻撃はルシファーにかすりもしていない。

 

 これには、観戦していたカズやハンゾウも、唸らざるを得なかった。

 

「僕は神に選ばれしもの、そして、このルシファーはそんな僕が美しいと認める唯一無二のLBX。即ち、ルシファーには僕以外、何人も触れる事は許されないのさ」

「何が神だ!」

「自惚れも、大概にして」

 

 コウスケが講釈を垂れるや、オーディーンとガーベラが再びルシファーへの攻撃を仕掛ける。

 しかし、ルシファーは両機の攻撃を華麗なステップで躱すと、お返しとばかりに、ヘブンズエッジの一閃で両機を弾き飛ばした。

 

 そんな両機を横目に、攻撃後の隙を狙いゼノンが飛び込むも、ルシファーはその攻撃を華麗な身のこなしで躱すと、ゼノンの無防備な背部に強烈な蹴りをお見舞いする。

 

「ははは! 何度やっても無駄だよ!」

 

 倒れたゼノンにヘブンズエッジの剣先を突き付けようとした、刹那。両機の間を二筋の光が駆け抜ける。

 

「バン!」

「分かった!」

 

 横槍を入れたAFAガンダムは右腕の二連装式ビームライフルをパージすると、ビームサーベルを抜刀し、オーディーンと共にルシファーへの突撃を開始する。

 しかし、ビームサーベルもリタリエイターも、ルシファーの装甲を捉える事はできず虚しく空を切るばかり。

 やがて、何度目かのビームサーベルが空を切った所で、ルシファーは華麗な身のこなしでAFAガンダムを踏み台にすると、オーディーンに優美に着地してみせた。

 

「遅い、遅すぎる。そんなスピードじゃ、このルシファーには触れる事すら出来ないよ。……ま、触れさせるつもりなんて、毛頭ないけどね」

 

 弄ばれ、苦々しい顔を浮かべる四人。

 しかし、四人の闘士はまだ燃え尽きてはいなかった。

 

 オーディーンから優美に飛び降りたルシファーへ突撃するAFAガンダムとガーベラ。

 息の合った同時攻撃を仕掛けるも、ルシファーは見切っているとばかりに躱し続け、程なく、攻撃後の僅かな隙を突き、両機を弾き飛ばした。

 

「こんのぉぉっ!」

 

 刹那、今度はオーディーンとゼノンがルシファーに挑む。

 しかし、ルシファーは華麗なステップでオーディーンの攻撃を躱し、隙を見て背後に回ったゼノンの一撃を躱すと、お返しとばかりにゼノンをシールドバッシュで弾き飛ばした。

 

「二度の同時攻撃を、あんな簡単に……」

 

 観戦していた面々がコウスケの圧倒的な実力に愕然とする中、実際に対峙している四人は、アイコンタクトで意思の疎通を図る。

 刹那、ルシファー目掛け、四機が四方から一斉に襲い掛かった。

 四方からの一斉攻撃、並のプレイヤーやLBXならば躱すことはほぼ不可能。

 

 だが、ルシファーは、その攻撃をアスリート顔負けの宙返りによって華麗に躱してみせた。

 

「何!?」

「く、噂には聞いていたが、これ程とは……」

「全く……、人の話を聞いていなかったのかい? 僕のルシファーには触れる事はできないって」

 

 あれ位の芸当等朝飯前と言わんばかりの様子のコウスケ。

 

「じゃ、……そろそろこっちからいくよ!」

 

 刹那、ルシファーがゼノン目掛けて突撃を開始する。

 そして、ヘブンズエッジの斬撃が繰り出された次の瞬間、まさに電光石火の如く、二撃目三撃目と斬撃が繰り出される。

 

 太刀筋が見えない高速斬撃を、ゼノンハルバードを盾代わりに何とか耐えるゼノン。

 だが、やはり全ての斬撃を防ぐ事はできず、徐々に岩肌に追い詰められると同時に、じわじわとダメージを蓄積させていく。

 

「ホラホラ、どうしたんだい? 君の実力はそんなものなのか? それでもかつて、イノベーターでナンバーワンと呼ばれたプレイヤーかい?」

「くっ!」

 

 最早防ぐだけで精一杯、万事休すかと思われたその時。

 

〈アタックファンクション、ミサイルパーティー〉

 

 AFAガンダムの機体各部から放たれたミサイルの数々が、ルシファー目掛けて飛来する。

 しかし、それを察したルシファーはゼノンへの攻撃を中断すると、背面の大型ブースターによる加速性能を生かし、空中を踊るかのようにミサイルの数々を躱してみせる。

 

「無駄だよ!」

「ならこれで!」

「墜とす」

 

 刹那、オーディーンとガーベラがルシファーへの突撃を敢行する。

 だが、二機の攻撃はルシファーの装甲を捉える事無く、逆に、ヘブンズエッジの一閃で、二機は地上へと叩き落とされてしまう。

 

「時間も惜しい……、四体まとめて片付けてやる!」

 

 宣言した刹那、再集結した四機に対しルシファーの高速斬撃が炸裂する。

 四対一という状況ながらも、隙のないルシファーの攻撃を受け、四機はシールドや武器を盾代わりに攻撃を防ぐので精一杯であった。

 

 岩肌に追い詰められ、万事休すかと思われたその時。

 ふと、凛空がバンとミカにアイコンタクトをとる。

 

「さぁ、砕けろ!!」

 

 それに気づいていないコウスケは会心の一撃を繰り出すが、次の瞬間。その一撃を、予期せぬ光の刃が受け止めた。

 AFAガンダムの二本のサブアームが装備したビームサーベル、これにより、ルシファー会心の一撃は寸での所で不発に終わった。

 

「今だ!」

「こんのぉ!」

「お返し!」

 

 これにより生じた隙を突き、オーディーンとガーベラの一撃が、ルシファーの腹部に突き刺さる。

 ただ、踏み込みが甘かったのか、反撃の狼煙となる一撃は致命傷にはなり得なかった様だ。

 

 それでも、難敵であるルシファーに傷を負わせた事実は、観戦していたカズ達を大いに沸かせた。

 

「……な、……たな」

 

 一方、愛機を傷つけられたコウスケは、身を震わせていた。

 

「僕のルシファーに触れ、あまつさえ……傷までつけたな!!」

 

 刹那、コウスケは物凄い剣幕で怒りをぶつけ始める。

 

「この美しさを傷つけた、その罪は──、万死に値する!!!」

 

 まるでコウスケの怒りが乗り移ったかの如く、プレッシャーを放ち始めるルシファー。

 これに対して、怒りの矛先が向けられたオーディーンとガーベラは身構える。

 

 

 

 

 そして、怒りの一撃が繰り出されるかと思われた、その時。

 

「もしもし? ……ダディ」

 

 不意にコウスケのCCMが着信を告げた。どうやら、電話の相手は父親である神谷 藤吾郎の様だ。

 

「……了解だよ、ダディ。あぁ、所でダディ、今日のディナーは? ……へぇ、それは楽しみだ」

 

 程なく、電話を終えたコウスケは、まだバトルの最中だと言うのにDキューブからルシファーを回収する。

 

「残念だったね、タイムオーバーだ。決着は、また次の機会に」

「どういう事だ?」

「門限は守る。それが、世界のルール」

 

 コウスケの口から語られたまさかの理由に、一行は複雑な表情を浮かべた。

 

「そうだ、僕のルシファーに傷をつけたのは君達が始めてだ。名前くらいは覚えておいてあげるから、名乗るといい」

「山野 バンだ」

「三影 ミカ」

「覚えておこう」

 

 刹那、コウスケは台座近くのコントロールパネルを操作すると、バリアを解除し、安置されていたエターナルサイクラーをバン達に投げ渡した。

 更についでとばかりに、カズ・アミ・ハンゾウ・キヨラの四人から没収したCCMも投げ渡した。

 このコウスケの行動に、困惑を隠せない一行。

 

「どうして?」

「グラビティポンプが完成したから、そのサンプルユニットは不要になったんだろうね」

「おい、答えになってねぇぞ! グラビティポンプって何だ!?」

「教えてあげよう。グラビティポンプとは、エターナルサイクラーの技術を応用して作られたドングリ製造マシンさ。一度稼働すれば、永遠にドングリを作り出す事が出来る、まさに神の所業」

「ドングリって……、あの核に匹敵する威力を持ってる超小型爆弾の!?」

「おや、ドングリの事を知ってるとは、感心だね」

「お前たちは、ドングリを使って何をするつもりだ!」

 

 ジンの質問に、コウスケはやれやれと言わんばかりの表情を浮かべた。

 

「肝心な所を知らないとは……、まぁいい。なら、ヒントをあげよう。"フェアリーテイル計画"、覚えておくといい」

「フェアリーテイル計画……」

「では、失礼するよ。……あぁ、そうだ。君達は、そこの直通エレベーターを使うといい。誰にも見つからずに外に出られるよ」

 

 そう言い残すと、コウスケは踵を返して最下層を後にするのであった。

 一方、残された凛空達も、半信半疑ながらコウスケの言っていた直通エレベーターに乗り込み、最下層を後にする。

 

 そして、コウスケの言う通り警備員などに見つかる事無く無事にゴライアスを脱出した凛空達は、ドングリやフェアリーテイル計画等の情報を拓也達に伝えるべく、一路シーカー本部に向かうのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。