【急募】ヤンデレな彼女と別れる方法【助けて】   作:しろとらだんちょー

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待たせた割に短い…ごめんね


ヤンキー系と王子様系 番外(上)

「それ以上喋んな、クソ女」

 

「…お前の方こそ黙るべきだと僕は思うけどね」

 

桔梗の属するクラスの教室内で、二人の女が激しい口論をしている。今にも殴り合いに発展しそうな気迫の言い合いに、周りの生徒達も止める事は出来そうになかった。なぜこのような事態になったのか、時間は10分前にまで遡る…

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

僕は桔梗が大好きだ。

桔梗が生み出す所作の全てが堪らなく尊く、今まで培ってきた地位や財産、評価や力を全て桔梗に捧げても幸せだと思えるくらいに。

 

僕は桔梗を愛してる。

この想いは一秒たりとも途絶えた事はないし、これからどんな一生になろうとも一ミリも揺らぐ事がないと断言出来る。

 

だけどこれは一方通行だ。

 

いくら僕が桔梗に想いを伝えても、返ってくるのは困ったような反応ばかり。別にその事に不満がある訳ではない。桔梗の行う全ての動作が僕は大好きだし、桔梗が誰をどんなふうに愛するかなんて僕が決められる事でもない。

 

でも、その代わりに不安がある。それは『桔梗に嫌われてしまうかもしれない』といういついかなる時にも存在する最悪の可能性。そうならないように努力はしているが、絶対にならないとは言い切れない。故に、もう一つの歪みが出来てしまっていた。

 

(…桔梗に、愛されたい)

 

『誰を愛するかなんて僕が決められる訳じゃない。』

全く以てその通りだ。感情や思考をコントロールする事は極めて不可能に近く、それは桔梗だけに限った事じゃない。…いや、だからこそだろうか。桔梗の想いを独り占めしたいと思い始めたのは。

 

最初は見れるだけで良かった。話せるだけで、触れられるだけで、見てくれるだけで、僕はたまらなく幸せだった。満たされていた。筈だったのに、ふと気付けば心は乾いている。自分で生み出した感情だけでは埋まらない何かが、内側で愛を待ち侘びているんだ。

 

(〝相棒〟なんかじゃ足りない…!)

 

過ぎた願いだ。分かってる。

 

「よぉ、クソ女」

 

「…何の用だよ」

 

「いやぁ…な?少しだけ伝えときたい事があってよ」

 

分かってた。

 

「前に聞いたんだよ。桔梗に『友達なのか?』、ってさぁ…」

 

「簡潔に言ってくれ。お前みたいな存在に時間を割く程、僕は暇じゃない――」

 

「〝大事〟だって言われたんだよ」

 

「……は?」

 

けどその理解を跡形もなく消し飛ばしてしまう程、溝女が言った言葉は衝撃的だった。

 

 

俺は桔梗が大好きだ。

『どこをどういうふうに』なんて聞かれても答えられない。大好きなところを一つ一つ言ってたら一年くらい余裕で過ぎ去ってしまうんだから当たり前だ。全部好きって言葉を軽く見る奴もいるが、それがどれほど凄いか分かっちゃいない。

 

俺は桔梗を愛してる。

この想いは桔梗と出会ったあの日から、勢いを落とす事無く成長し続けてる。きっとこれからもそうだ。いついかなるときも、病めるときも健やかなるときも変わらない。それだけは魂に誓って言える。

 

だけどこれは一方通行だ。

 

朝も、授業中も、休み時間も、昼休みも、掃除中も、放課後も、夜だって。桔梗から向けられる感情の中に愛はなかった。でもそれで良かった。桔梗が傍にいるだけで幸せだったから。

 

幸せ、だったのに。

 

その幸せだけじゃ心は埋まらなくなってた。この前のデートのときもそうだ。大事だって言ってくれて、幸せのあまり存在ごと溶けてしまいそうなのに、心のどこかでは何かが足りないだなんて言いやがる。

 

(…桔梗が、欲しい。桔梗の愛を、この体で感じてみたい…!)

 

きっと分かってたんだろう。

 

「…ははっ、なんだ。そんな事か」

 

「あ?」

 

「大事だなんて言葉、濁したに決まってるじゃないか。桔梗は優しいからね、お前みたいな存在に対してもちゃんと考えてくれるのさ。もちろん…建前として、だけどね」

 

分かってたから、きっと。

 

「…違う」

 

「違わないよ。桔梗は君の事なんか―――大事だなんて思っていない」

 

「それ以上喋んな…クソ女ァ…!!」

 

「…お前の方こそ黙るべきだと僕は思うけどね」

 

こんなクソ女が言った事ですら、揺らいでしまうんだろう。




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