【急募】ヤンデレな彼女と別れる方法【助けて】   作:しろとらだんちょー

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筆が乗る
ゆえに後書きが長い


従順?系後輩 番外(下)

「おかえりなさい、先輩」

 

「ぇ……っ……?」

 

先輩が驚いてる。当たり前だ。先回りや尾行で姿を見せたのはこれが初めてだから。

 

「ぁ……た、だいま……?」

 

面食らった表情で軽く頭を下げてくれる。かわいい。かっこいい。愛しい。のに、先輩の体の周りを漂っている気持ちの悪い臭いが、その感情を黒く染めて邪魔をする。……いや、邪魔だとは言い切れない。私の内側を先輩に吐露するには、この黒い感情が必要になってしまうからだ。

 

本当は知られなくてもいい筈だった。こんなぐちゃぐちゃな感情を知られたらきっと引かれてしまうから。耐えられないから。でもそれを知られずに、先輩がただ私から離れていくのも耐えられない。だからこの感情にすら縋らなきゃいけないかもしれない。その可能性にさえ、私は吐き気を催してしまっていた。

 

「楽しかったですか?」

 

「ぇ、な、にが……?」

 

「誤魔化さないで結構ですよ。全部、全部知ってますから」

 

何で素直に言ってくれないんだろう。私に聞かれるのがそんなに嫌なのかな。そうやって思う度に、私の中の感情がどんどん黒く滲んでいく。

 

「……いや……ぇ……?」

 

「はぁ、どれだけ記憶力が低いんですか。昔の事といい、さっきの事といい…………まぁ、いいです。特別に私が話してあげます。その代わり、私の質問には全て答えるように。いいですか?」

 

「……ハイ」

 

教えて欲しい。ちゃんと理由を知りたい。ちゃんと先輩の口から聞いて、納得したい。そうしたらまた、先輩の理想でいられる筈だから。だから、どうか。

 

「まず一つ目。何故、私に触らなくなったんですか?」

 

「イヤ……ソノ……ほんと、は……嫌……ぃ……なの、かな……トカ」

 

「嫌いな人に胸を触らせるほど、私は尻軽に見えますか」

 

「そ……ゆわけ、じゃ……」

 

嘘は、嘘だけは吐かないで欲しい。

 

「……はぁ、二つ目。席をわざわざ離した理由は?」

 

「それ、も……おん……なじ……スカネ」

 

「それ以外の理由は?」

 

「ゃ……特、には……」

 

嘘なんて吐かれたら。

 

「三つ目。……私以外の女に、興味を持った事は?」

 

「……ない……カナ……?」

 

「話した事も、見た事も、考えた事も、本当にないですか?」

 

「ぇ……た、ぶん……」

 

私が、先輩の、中に、私が。

 

「……うそ、吐かないでくださいよ。言いましたよね? 私、先輩の事なら全部知ってるんです。私を避けた日の夜に一人で自慰してた事も、他の女と楽しそうに話してた事も、その相手が私の容姿とは懸け離れてた事も。全部知ってるんです。……ねぇ、何で嘘吐くんですか?」

 

先輩の荳ュ縺ォ遘√′縺?↑縺と蛻?°縺」縺ヲ縺励∪縺から。

 

「…………ねぇ!! 何で!!! 何で私じゃ駄目なんですか!!? 先輩言ってましたよね!? 私みたいな見た目が好きだって!! 敬語口調の人が好きだって!! 私、いっぱい練習したのに!! 先輩に!! 見て貰うために!! 好きになってもらうために!!! たくさんがんばったのに!! なんで!! なんで……!!」

 

「あ、の……ぇ……?」

 

「…………なんで、ですか」

 

私はもう、先輩の中にはいない。そんな事実だけが脳内で響いていて、理解が深まる度に私の価値が無くなっていく。周りに必要とされてなくても、世界に必要とされてなくても。先輩がいれば、先輩の傍にいられれば、先輩の中にいられれば、私という存在は途轍もない価値があったから。

 

だから、私の価値はもう何もない。

 

「おしえて……ください……」

 

もう、諦めた。だから後は、消える勇気が欲しい。どこまでも醜い私の頭では、先輩に縋って焦がれる事しか出来ない。私の至らなさも厭わしさも、先輩の口から聞けたらきっと。きっと―――

 

「……~~っ!! ほんっ、とうにっ! 嫌われたかと思ったんだ!」

 

「――――え?」

 

先輩が口にしたのは、予想していたより遥かに輝いたものだった。

 

「ぼ、お、おれがっ、一方的……にっ、触ってたからっ! こわくて何も言えない……とか、あるかとっ……おも、った……だけ。……だか、ら! 本当に、嫌いとかじゃ……むしろ、その…………す、好き……ヨリトイウカナントイウカ」

 

え?

 

「聞き間違いかもしれないので、もう一度言ってください」

 

「え……? い、いや、だからっ……一方的に……」

 

「最後の方です」

 

「ぁえ? あ、えと……好き……?」

 

え?

 

「もう一度お願いします」

 

「好き、だって!」

 

「…………もういっかい」

 

「す! き!」

 

あ、やっと理解出来た。先輩は私に『好きだ』って言ったんだ。先輩が、私に。理由も本当に最初に言っていた通りだった。確かに私からは何も言ってないから、ピュアな先輩には力に屈した一方的な行為に感じたのかもしれない。

 

あぁ、なんだ。言えば良かったんだ。最初から、私の心の中の全てを。

 

「……私も、です」

 

「え?」

 

「私も先輩が大好きです。おそらくこの世に存在する全ての愛がちゃちなものに見えるほど、私の愛は酷く深いと思います。体を触らせてた……触って貰ってたのも、先輩の特別が欲しかっただけです。あ、もちろん嬉しかったです」

 

「え、え」

 

『先輩を魅了してから』なんて、凄く遠回りな愛し方をしてしまった。先輩の事を本気で考えていたら、そんな事過程の無駄だってとっくの昔に分かっていた筈なのに。いや、今更後悔しても仕方ない。先輩にいっぱい伝えよう。言いたい事も聞きたい事もしたい事も、たくさんあるんだから。

 

「先輩は私の事を好きで尚且つ私の事を使えるんですから、今度からは自慰なんてしちゃ駄目ですよ。もちろん、他の人とも話す事は控えてください。男は別に構いませんが……もちろん男の方が気になり始めたらすぐに言ってください。それなりの策を講じますから」

 

「あの、え……?」

 

「それと、先輩の趣味嗜好が変わっている可能性があるので、あとで一つ残らず教えてください。髪型やプレイ内容が変わっていたら大問題ですので。その件で家にも上がらせてもらいますね。今日はお母さまもいるでしょうし、丁度良いですね」

 

「おっ、おちついて……」

 

「言っておきますけど、貴方にとってはたった一日二日かもしれませんが、私にとっては百年二百年に等しいんですよ? 貴方がどれだけ大事な存在か、言った事ありませんか? ……あぁ、言った事ありませんでしたね。じゃあ今言います」

 

先輩が動揺している。告白を何回も強制させた後だから、頬も紅潮していて可愛い。いつものように目を逸らさずに、しっかりと私を見てくれていてかっこいい。いきなり態度が変わった私を怪訝に見るでもなく会話を試みてくれて愛おしい。

 

貴方の全部が好き。今も昔も変わらない。貴方に存在する全ての概念が輝かしくて――

 

「――貴方は、私の光です」

 

それはいつだって、私の光だった。




君もハッピーエンド最高と言いなさい!

【加々良美羽(後輩ちゃん)】
男遊びに酔いしれる女の腹から産まれ、快楽的差別が蔓延る閉鎖的な村で育った。見た目こそ綺麗だがそれが逆に目立ち、まともな倫理観を持たないガキ共にいじめられる。頼れる大人も当然おらず、死ねば最悪の呪いに成り得るレベルの孤独と自暴自棄を抱えていた。そんなときに守ってくれたのが幼き頃の影久。闇の中を彷徨う美羽にとって、その存在は太陽よりも輝かしい光に見えたとか。親の仕事の関係で影久が村から去ったときは発狂して吹っ切れ、影久以外の全てに興味が無くなる。それによりいじめも消失。どうにかして影久に出会いたい美羽はあらゆる方法を使って影久の居場所を調べ上げ、都会の高校へ特待で入学し、そこで影久に再開する。影久は美羽の事を覚えておらず美羽ば悲しくなったが、これを逆に好機と捉え、様々な誘惑で影久と特別な関係を結ぶ。

美羽の抱く感情としては、好意よりも崇拝の方が近いかもしれない。影久の理想になるため日々自身の情報をメモに記入し、前日から一ミリでも変わった日は怯えて過ごしていたりもした。そんな人知れないプレッシャーもあってか、影久の行動も嫌われたと勘違いした。影久も罪な男やな。

【翳道影久】
幼い少女に崇拝心を埋め込むやべー奴。中学時代にちょっとしたこじれがあってから、性格は根本ごと陰キャに落ちてしまう。高校生思春期のもやもやした時期に、隣の席の美少女が誘惑してきたからにはもう大変。誘惑といってもあまりに自然な動作や仕草だったため、省みた際に無理矢理だったと解釈してしまったのもしょうがない。このあとはひたすらに尽くしてくれて、毎日のように愛を囁く彼女が出来ましたとさ。外堀が埋まるのは音速だったとかなんとか……

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