【急募】ヤンデレな彼女と別れる方法【助けて】   作:しろとらだんちょー

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陰キャ全開主人公


メスガキ系後輩(上)

スレを立てて相談してからおよそ三日。

全財産という事で凄く葛藤したが、ようやく決心する事ができた。

 

俺は揺らがぬ意思を心に刻み、今日も学校へと向かう。寝覚めの悪さも、朝食の出来も、着替えの手際の悪さも、全てがいつも通りだった。だからアイツも、いつも通りに現れる筈だ。

 

「おはよです! せんぱい!」

 

「…おー」

 

やはり現れたか。ストレスマッハの諸悪の根源、巳凪(みなぎ) セナ。

 

「今日も今日とて、朝っぱらから気持ち悪い顔してますねぇ~…そんなものを朝から見るワタシの気持ちにもなってくださいよぉ~」

 

「…るせー」

 

相変わらずイラつく口調と態度だ。この場で言い渡してもいいのだが、時と場が整っていないから言ってもあまり良い効果は得られないだろう。ここはいつも通り我慢して、学校で別々になる事を待つとしよう。

 

「あ、そういえば新しい下着買ったんですよ! 黒のレースの可愛いやつ!」

 

「へー」

 

「ふふん…それを今日履いてきたんですよねぇ~…どうします? 見ますか?」

 

「いや、いい」

 

何でこんな話を俺に振ってくるんだろうか。反応に困るし、下手な相槌を打とうものなら変態だの何だの糾弾される。数を重ねる内にそれを学んだから、今は受け流しの相槌をしてる訳だが。

 

「む! せんぱいにしかこんな提案しないのに! ほんとにいいんですかぁ~?」

 

「…」

 

「あ! 今見たそうな顔した! うわぁ~やっぱ変態ですねぇ~」

 

見たそうな顔ってなんだよ。こんな自分でも分かるほどの不貞腐れた顔をしてるのに、何でコイツはこう変な方向に受け取ってしまうんだ。何が何でも罵倒して金をむしり取りたいのか?それなら納得は…できるけどしたくないな。

 

「ま、そんなせんぱいのために! 今日だけ特別に! たったの三万円で見せてあげま~す!」

 

「…普通に三万円分の漫画でも買うわ」

 

「うぇぇ…そんなんだから童貞なんですよぉ~? ただの絵と現役さいかわJKのパンツじゃ比べ物にならないでしょぉ?」

 

「…ほっとけ」

 

童貞で悪かったな。と脳内で悪態をつく。これだけ心に来る罵倒も、繰り返し受けていれば慣れてくるもんだな。そう思っていると、学校の校舎の形が少しずつ見えてきた。セナとの別れが近付いて来ている事に嬉しさを覚えながら、引き続き適当な相槌をしていく。

 

そして正面玄関に着いて、俺は颯爽と自分の教室へ向かおうとする。が、なぜか後輩に手を握られ止められる。予想外の行動に俺は動揺し…というか単に陰キャ童貞故の染みついた特徴が出て、一気に挙動不審になる。

 

「え、な、な、て、な」

 

「せんぱい…昼休み、話があるんですけど…屋上、来てくれますよね?」

 

「あ、あ、お、おう」

 

「…ふふっ、約束ですよぉ~?」

 

そう言ってセナは自分の教室へと駆けて行った。

 

…これは、まさか…

 

(告白!?)

 

まさかの事態に、気持ちの悪い挙動は続く。揺るがぬ意思など端からなかったかのように消え去り、陰キャ故の都合の良い妄想が脳内で展開されていく。

 

(もしかしたら『好きだからちょっかいかけてた』みたいな、小学生男児みたいな想いを抱いていたのか!?)

 

そんなんだから童貞なんだよ。と俺の中の誰かが突っ込むがどうでもいい。気分は一気に有頂天へと達し、ルンルン気分で教室へと向かう。あぁ、我が世の春。お父様、お母さま、遂にこの私も青い春を過ごせそうです。

 

軽快なステップを踏みながら扉を開け、自分の机に座る。懐に用意していた五十万をカバンの奥に大切にしまい、清々しい様子で授業の準備を始めた。




そんなんだから童貞なんだよ
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