【急募】ヤンデレな彼女と別れる方法【助けて】 作:しろとらだんちょー
テレレレン…テレレレン…
「ん…?」
普段聞いている目覚ましとは異なる音で起きた俺は、疑問に思いながら横を見る。そこには振動しながら着信が来ている事を知らせているスマホがあった。俺はスマホを手に取り、誰からの着信からも確認せずに応答した。
「ふぁい…もしもし…」
「『ふぁい…』じゃないですよ! 今何時だと思ってるんですか!」
「えぇ…?」
「もしかして忘れたんですか!? 今日はデー…お出かけの予定でしょ!」
俺はモーニングコールと共に伝えられた内容に戸惑うが、徐々に理解するにつれて脳が思考が鮮明になっていく。特別焦ってはいない。むしろ『遂に来たか』的な使命感に満たされていた。
俺は責める言葉の嵐を適当な所で切り上げてのそのそと起き上がる。時刻は13時10分。自宅から駅まで15分弱。そして準備にかかる時間は多分10分ぐらい。
(…なんかもうどうでもいいな)
最終局面に等しい状況が待ち構えているというのに、心境は何だか軽いまんまだ。変に緊張するよりかはいいのだろうが、それでも少しは真剣になりたいものだ。そう思いながらも俺はテレビをつけるという愚行を犯し、準備が終わり駅に着く頃には1時間が経過してしまっていた。
「おっっっっそいですよ! 何時だと思ってるんですか!」
「えーと…14時20分だな」
「もう! こんなカワイイ後輩を1時間も待たせるなんてありえないですよ!」
「…すまん」
想定していた叱責だが、やはりかなりのダメージを喰らうな。今回に関しては俺が10:0で悪いので何とも言えないが、たかが荷物持ちに質を期待するのもどうかと思う。それでも俺はセナに頭を下げてある程度の機嫌を取ろうとするが、そこである事に気付いた。
「アゲハ、さんは?」
「…あぁ~…アゲハちゃんはちょっと用事ができたみたいで! しょうがなぁ~くせんぱいと二人きりでデ…お出かけですよ!」
「…そうか」
相手が二人いてどうしたものかと思っていたが、どうやら都合よく二人になったらしい。セナは『そんな事より』と話題を切り替え、これからの行先と予定を事細かに話しながらゆったりと歩き始めた。俺はそれについていくと、懐に入った五十万をしっかりと握りしめた。
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「いやぁ~楽しかったですねぇ~! 久しぶりに遊んだって感じがします!」
「…よかったな」
俺には不釣り合いなカフェの一角でセナとお茶を飲みながら、空同然になった財布を見つめて溜め息を吐いていた。五十万はちゃんとあるが、これもこの後無くなってしまうのだから本当に諸行無常で世は無情だ。
(まぁ、また貯め直せばいいか)
ナイーブな気持ちを切り替え、俺は飲み干したなんちゃらコーヒーを机に置く。美味しそうになんちゃらミルクを飲んでいるセナに声をかけて、遂に話を切り出した。
「なぁ、セナ」
「ん? 何ですかせんぱい」
「ちょっと真剣な話があるんだが」
「…えっ、えっ、えぇっ!?」
話を持ち出した途端、セナは何故か持っていたコップを落としそうになった。少し零れる程度で済んだが、なぜそこまで動揺したのかは分からない。俺はセナの紅潮した顔も疑問に思いながらも、懐から五十万を出して机の上に置いた。
「ここに五十万ある…これが俺の全財産だ。これを全部やるから、もう俺に関わらないでくれ。それ以上は、もう貢いでやれないんだ」
「……は?」
セナはコップを落とした。中身が全て床にぶちまけられ、うざったい程の甘い匂いが場に広がる。その匂いは、何故かイヤな予感の匂いがした。
次はヤンデレ成分マシマシの心理描写です