【急募】ヤンデレな彼女と別れる方法【助けて】   作:しろとらだんちょー

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なんか日間2位だか5位だかになってたらしいっすよ
お気に入りも1000突破してるし…やっぱ好きなんすねぇ!


メスガキ系後輩 番外 

「ねぇ、セナはなんであの先輩のことが好きなの?」

 

「へ?」

 

いつかの昼休み、ワタシはアゲハちゃんに突然聞かれた。呆気に取られ食べていた一口が机に上に落ち、慌ててティッシュに包んでからワタシはアゲハちゃんに聞き直す。

 

「な、何で好きかって?」

 

「うん。てか動揺しすぎでしょ」

 

「い、いやぁ~別に動揺なんて…」

 

してない。と言葉を続けたかったけど、実際動揺してるから言い切れなかった。何で好きなのか。そんなのこの昼休みの時間だけじゃ語りきれる訳がない。でも一言で返さないと更に恥ずかしくなるし、ワタシは悩みに悩んだ挙句、常日頃から思ってることを言った。

 

「カッコいいところ…とか」

 

「えぇ…どこが?」

 

「ぜんっぶ!!いつもついてる寝ぐせとか、ちょっと捻くれた言葉選びとか、少し冷たいところとか、でもL〇NEは必ず返してくれるところとか、一緒に歩く時も自然に車道側を歩いてくれるところとか、変な目で見ずに後輩として見てくれるところとか! あ、でも女として見てくれないところが少し残念なんだけどね? まぁワタシの普段の言動のせいでもあるから、いずれちゃんと話して襲って貰って…あとは」

 

「あー!あー!もういい!分かったよ!」

 

「でも…まだあるよ?」

 

「だいっっっっじょうぶ、充分に伝わったよ。カッコいいんだね、ホント」

 

「うん!!」

 

元気よく返事をしてから、"しまった"と思う。もう少しまとめて話したら良かったのに、長々と話してしまって若干引かれてしまった。でも仕方ない。そもそも先輩の好きなところなんて話し出したらキリがないんだし、逆にこれだけの情報量で伝えられたことが凄いんだ。

 

そしてだからこそ、これだけ想ってるにも関わらず一歩踏み出せない自分が嫌いで溜まらない。

 

「はぁ…」

 

「何でそれだけ好きで直接伝えられないワケ?」

 

「う~ん…なんか怖いんだよぉ~…」

 

「何が?」

 

「…断られるの、とか」

 

昔はもっと素直だった。大好きって普通に言えて、カッコいいって伝えられて。でも今は好きすぎるせいで、会うだけで心臓が張り裂けそうで上手く言葉が出てこない。何とか場を保つためにその場しのぎの言葉を吐くけど、先輩との関係はますます悪くなるばかりだ。

 

今は先輩が"必ず反応してくれる"ウザい後輩で現状維持をしてるけど、自己嫌悪も相まってそろそろ限界だ。でも踏み出せない。だからこうしてアゲハちゃんにカウンセリングしてもらってる。

 

「そもそも…好きになったきっかけって子供のころに一回助けられたってだけでしょ?なんかそういう効果か知らないけど、ちょっと想いすぎじゃない?」

 

「一回だけ…じゃないもん。たくさん、いろんなことで助けて貰ったもん…」

 

「えー…いじめのやつ以外に何かあったっけ?」

 

「うん、たくさん」

 

死にたかったときも、生きたかったときも、先輩は側にいてくれた。最低なワタシの親に怒ってくれて、最低なクラスメイト達から庇ってくれた。今のワタシは先輩がいたから存在できている。だから先輩が大好きなんだ。

 

この気持ちを、この感情をどうやって伝えればいいんだろう。

 

「…どうやって伝えたらいいんだろ」

 

「そりゃあ告白しかないでしょ」

 

「でもぉ~…!」

 

「もー!いつまでひよってんの! 言わなきゃ伝わんないって!」

 

「うぅ~…」

 

アゲハちゃんは発破をかけるようにワタシの頭に軽くチョップを入れると、その場でさらさらとメモ帳に何かを書き上げて無理やり渡してきた。それは『告白のしかた!』と乱雑な文字で書かれた、告白の手順を書いたものだった。

 

「え、これって…」

 

「あたしが告白したときのと同じの書いたから! これで絶対成功するって!」

 

「う…ホント?」

 

「ホントホント!」

 

やっぱり持つべきものは友達だ。少し強制的な感じは否めないが、それでもワタシのことをこれだけ真剣に考えてくれるのだからとても良い友達を持った。これも全部高校にいくまで応援してくれた先輩のおかげだ。だから想いを伝えないと。

 

「うん、ありがと! 頑張ってみる!」

 

「ん、じゃあ明日の朝に早速決行だね!」

 

「あう…それは…」

 

「もう!」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「ど、どどどどうにか誘えたよ!!」

 

「お、やっとか。てか興奮しすぎでしょ」

 

「さ、誘えたっていうか、正確には昼休みに伝えるために予約したっていうか…」

 

「あー…ひよったねぇ」

 

ひよったという言葉に反論したかったけど、実際問題先延ばしをしてしまっているから何とも言えない。でも時間の予約ができただけでも大きな進歩だ。いつもならいきなり押しかけてウザがれて、本題に入れなくなってしまう。

 

でも今日は必ず誘える状態だ。ワタシの心臓は既に最高潮で、いろんなところが震えている。

 

「ま、あとは余計なことを言わずにストレートに言えるかどうかだね」

 

「うぅ…」

 

ワタシはいつも肝心なところではぐらかして逃げてしまう。いつもの会話の軽さならまだしも、こんな生きるか死ぬかぐらい重い時に逃げてしまっては一生の恥だ。だから今日の朝三時ぐらいから瞑想をしてきたけど、それでも不安しかない。

 

キーンコーンカーンコーン…

 

「あ、ホームルーム始まる」

 

「あぁ~行かないでぇ~…」

 

「しょうがないじゃん、別のクラスなんだし。今日は実習とかで忙しいから応援できないけど、昼休み気合い入れて頑張ってよ!」

 

「うぁ~…」

 

自分の教室に戻っていくアゲハちゃんに涙の別れを告げて、先生に怒られる前に立ち上がって姿勢を正した。

 

 

 

そして、来たる昼休み。

 

 

 

授業は緊張でまともに受けられなかった。ご飯は胃が受け付けなかったから食べなかった。

先輩を待たせることはしたくないから、予冷が鳴り終わるより早く屋上に着いた。屋上の扉が開くたび先輩の姿を期待してしまう。けど見えるのは興味もない奴らだけ。

 

「あ…!」

 

先輩が、見えた。

 

「せんぱ~い! こっちですこっち!」

 

先輩は気のせいか普段よりも明るい表情と雰囲気を纏っていた。その様子にワタシの表情も自然と緩んでいく。

 

「えへ、やっぱり来てくれましたね」

 

「そ、それで、話ってなんだ?」

 

やっと言える。言わなきゃ。言わなきゃ。

 

「あぁ~、それはですねぇ~…」

 

言わなきゃ、言わなきゃいけないのに、言葉が詰まる。

変な汗が体中に滲んで気持ちが悪い。

心臓が忙しなく暴れ、ワタシの呼吸が乱れていく。

 

不自然に空いた空白を埋めようと自然な言葉を探すが、見つかったのは逃げる言葉だけだった。ワタシは反射でその言葉を先輩に話してしまう。

 

「アゲハちゃんとお買い物とか行きたいんで、ついてきてくれませんかね?」

 

気持ち悪い。

 

「ま、要は荷物持ちって事ですよ! 両手に花なんて考えないでくださいねぇ~?」

 

気持ち悪い。

 

「あれ? もしかして他の何かを期待してた感じですかぁ~? それってもしかして…告白、とか? あ、図星でしょ! アハハッ! ワタシがせんぱいに告白とかありえないですって! 逆ならまだしも!」

 

気持ち悪い!!!

 

 

のに。

 

 

ワタシは最後まで先輩に本当のことを伝えることができなかった。

 

酷く不細工なデートの誘いも先輩は受け取ってくれたが、明らかに落胆と嫌悪の表情を見せていた。足早に去っていった理由も、L〇NEの文面から感じられる微かな怒りも、全部ワタシのせいだ。

 

すぐに弁解したかった。大好きだから誘ったって言いたかった。けどワタシの弱い心が鎖になって動き出せず、いつものように遅く返ってくるL〇NEを見ることしかできなかった。

 

「―――で、どうだったの? ちゃんと誘えた? デート」

 

「…デートには誘えたよ…」

 

「じゃあ何でそんな暗いのさ」

 

「…あんな誘い方じゃ、想いを伝えるなんてできないよぉ~…!」

 

放課後。一人また一人と数が減っていく教室の隅で、ワタシはアゲハちゃんに自分の過失を嘆いていた。アゲハちゃんは何があったのか察して、深くは責めずに丸まったワタシの背中をそっとさすってくれた。

 

「ん~…でもデートには誘えたんでしょ? だったらそこで挽回すればいいじゃん」

 

「…できるかなぁ」

 

「とりあえずはデートを楽しんで、その場の雰囲気でスッと言えばいいのよ! あ、もしかしたら先輩の方から言ってくるとかってのもあるかもよ?」

 

ワタシはアゲハちゃんの言葉に影響されて、都合のいい妄想を頭の中で展開する。けど、そんなことはありえないとすぐさま脳内で否定される。先輩がワタシのことを好いているわけない。あんな甘えた態度、先輩が好きなはずがないんだ。

 

ワタシは丸めた背を伸ばしながら立ち上がって、机の上に置いてあった荷物を背負う。今日は金曜日、明日が先輩とのデートだ。瞑想して覚悟を決める時間が必要だから、ここでいつまでもアゲハちゃんに慰めてもらうわけにもいかない。

 

なのでワタシはアゲハちゃんに別れを告げた。今日も先輩と一緒に帰りたかったが、これ以上状況を悪化させてしまうのは目に見えているので我慢する。

 

「我慢、する…!」

 

もはや本能にも刻まれている、先輩成分の渇望を抑えるのは至難の業だ。無意識に先輩の方へと向かう足を叩いて矯正しながら、ぎこちない動きでワタシは一人寂しく帰路をたどった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「…遅いなぁ」

 

デート当日。時計の針はとっくに13時を示しているが、一向に先輩が来る気配はない。一時間前には駅に着いていたから、いくつかきた気色の悪いナンパも合わせれば尚更遅く感じる。

 

「電話、していいのかな…」

 

開かれっぱなしのトーク画面を幾度となく見直すが、いつまでも朝に送った挨拶に既読が付かず不安になる。先輩は優しい。遅れることはあれど、約束をすっぽかしたことなんて一度もない。

 

だから大丈夫。…大丈夫と考えるけど、今日と言う日がどれだけ重要か感じるほどワタシの心は少しずつ黒くなっていく。息がしずらい。電話をかけたとしても、こんな状態でちゃんと話せるのかな。

 

"テレレレレン…テレレレレン…"

 

「ふぁい…」

 

「…ぁ、っ! 『ふぁい…』じゃないですよ! 今何時だと思ってるんですか!」

 

まさか3コール以内に出ると思っていなかったため、かなり面食らってしまった。いつもなら30コール経ったくらいで出てくるから尚更だ。少し言い淀んでしまったけど、ワタシは当たり障りのない返しをした。

 

「えぇ…?」

 

「もしかして忘れたんですか!? 今日はデー…お出かけの予定でしょ!」

 

「…あぁー、そういえばそうだったな。まぁ、すぐに行くから待ってろ」

 

先輩はそう言って電話を切った。淡白な反応と言葉だったけど、それを指摘できるほど良い後輩じゃないし、そもそもあの反応でも凄く嬉しい。

 

「~よしっ!」

 

先輩の声が聞けてやる気が出てきた。告白する決心はまだ出来てないに等しいけど、それでも不安は消えた。だって先輩は、行くって言ってくれたんだから。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「おっっっっそいですよ! 何時だと思ってるんですか!」

 

「えーと…14時20分だな」

 

「もう! こんなカワイイ後輩を1時間も待たせるなんてありえないですよ!」

 

「…すまん」

 

自分の失言に嫌気が差して早々にやる気がゼロになった。先輩のためなら1時間どころか1ヶ月だって待てるのに、条件反射として身についてしまっているのか思ってもいないことを言ってしまう。

 

先輩は幸い何とも思ってなさそうな顔をしてるけど、ワタシの心は萎れてしまった。失礼な言葉を言った方が傷付くなんておかしな話だ。こんなのでホントに告白できるんだろうか。

 

(…いや! 誘ったのにワタシが萎れてちゃ意味ないでしょ!!)

 

ワタシはワタシに発破をかけて立て直し、バッグの中にしまってあったメモ帳を取り出す。そこには夜なべして書いたデートの予定がびっしりと記されていた。ワタシは1番目に書かれていた文言に目を通し、意気込んで先輩をリードした。

 

まず恋愛映画を見に行った。

 

「…これ、俺と見てなんか意味あるのか?」

 

「せんぱいにも女の扱い方ってやつを勉強してもらうためですよ! あ、なんかカップルだと半額らしいですね。カップルってことにしときます?」

 

「……」

 

「もぉ~そんなイヤそうな顔しないでくださいよぉ~! ホントは嬉しいくせにぃ~! ……ほら、手、繋ぎましょ?」

 

次に服を買いに行った。

 

「これ! 結構似合うと思いませんか!」

 

「…まぁ、いいんじゃないか」

 

「むぅ~素直じゃないですねぇ~…え、あ、今回はワタシが自分で払いますよ?ちょ、ちょっと? せんぱい?」

 

「…今日ぐらいはな。こういう事もしておかないと…」

 

「ん! もしかしてあの映画に影響されました? ふふ、良い心がけですね!…でも、今日は買って欲しいものとかあったら言ってくださいね! 特別に買ってあげますから!」

 

アクセサリの店にも行った。

 

「ん~…せんぱいにはやっぱり銀のネックレスですね! かっこいい!」

 

「…毎回同じようなもの貰ってるからいらないぞ」

 

「同じじゃないですよ! この前のはオニキスで出来たバラ型のペンダントで、その前はアイビーのブローチでしたよね。ほら、全部違う!」

 

「…どれも用途が分からないから、似たようなもんだ」

 

 

最後は行きつけのカフェに行った。

 

「いやぁ~楽しかったですねぇ~! 久しぶりに遊んだって感じがします!」

 

「…よかったな」

 

一息ついてから告白をするために訪れた、よく行くカフェテリア。結局ネックレスは買わせてもらえなくて、唯一奢れたのは先輩の手に握られているジャモカコーヒーだけだ。

先輩は疲れたからか時折空を見上げて溜め息を吐いている。

 

静かな空気、気だるげな先輩、コーヒーの匂い、高鳴った心臓。

 

今しかない。今言わなきゃ一生言えない。

 

ワタシは意を決して、大事な一言目を話そうとした。

 

「なぁ、セナ」

 

が、出鼻を挫かれる。先輩に話しかけられるのはこの上なく嬉しいことだけど、タイミングが如何せん悪すぎる。ワタシは告白に躓いたことを悟られないように、いつものように先輩に反応する。

 

「ん?何ですかせんぱい」

 

先輩の顔を見る。いつになく真面目な顔だ。やっぱり先輩はカッコいい…

 

「ちょっと真剣な話があるんだが」

 

……え?

 

「…えっ、えっ、えぇっ!?」

 

(どどどどどどういうこと!? くぁwせdrftgyふじこlp!!?)

 

ワタシの脳と決心は一瞬の内に崩壊し、動揺のあまり持っていた飲み物を零してしまう。昨日の放課後、アゲハちゃんと話していたこと。もしかしたら、先輩の方から言ってくるかもしれない。その話が、ワタシの脳内を異常な速度で染め上げた。

 

"今までのワタシもこれからのワタシも全部大好きだって言ってくれて"

"手を繋いでハグをしてキスをしてS〇Xをして、それで先輩と結婚して"

"ワタシの気持ちもちゃんと正直に言えて"

 

 

刹那の間に見た、走馬灯に近い妄想と未来。

 

「ここに五十万ある…これが俺の全財産だ。これを全部やるから、もう俺に関わらないでくれ。それ以上は、もう貢いでやれないんだ」

 

「………は?」

 

―――そして、そのとめどない妄想も紡ぎたかった未来も、一瞬にして消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠くに見える先輩の後ろ姿。先輩に会えなかった、言えなかった一週間は地獄だった。ぜんぶぜんぶ灰色で、ぜんぶぜんぶゴミ溜め以下だった。でももう終わる。終わらせられる。先輩に、ちゃんと言えるから。

 

言いたい。言わなきゃ。言わなきゃ。

 

大好きだって言わなきゃ。愛してるって言わなきゃ。

 

「せぇ~んぱいっ♡」

 

「あっ…!?は、離れろ。金なら本当にあれで最後――」

 

「――大好きですっ♡」

 

抱きつきながらやっと伝えられた感情は、鋭い電流と共に先輩の体の全てに行き渡った。




ま、ハッピーエンドでしょ

【先輩くん】
迫真のスタンガンで眠らされたあと、セナちゃんの家に拉致監禁。今まで自分が買ってあげた全ての物が日付つきでショーケースに飾ってあるのを見て戦慄する。拘束されて抵抗できないままずっとセナちゃんに愛を囁かれましたとさ。

【セナちゃん】
多少強引ではあったものの、遂に自分の気持ちを伝える事が出来た。そのあとは先輩とアレやソレをして無事結ばれたそうな。買ってくれた物以上の奉仕をする事を心に誓ってしまっているので、先輩くんは将来が約束されたヒモになったとかならなかったとか…
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