インフィニットストラトス‐四神の力を受け継ぐ者‐ 作:フジパンホンジコミ
――――モニタールーム
「何なんだあの生物は!?」
「わ、わかりません!」
「くっ!緊急警報を鳴らせ!?それから、先生方にアリーナの生徒たちを全員避難するように指示を!?」
「りょ、了解です!?」
千冬と真耶の二人は慌てて今の状況をどうにかしようと動いていた。
一方、箒、セシリア、鈴の3人は、ギャオスの悍ましい姿を見て固まっていた。
「山田くん、更識妹と織斑に通信を繋げてくれ。」
「了解です。」
真耶はパネルを操作して、簪に通信を入れる。
「更識さん、織斑くん聞こえますか?」
『山田先生?』
「お二人共そこは危険ですので、早く避難をしてください!」
『それは無理です。』
「ど、どうしてですか!!!」
『生徒の避難が終わっていません。』
そう、突如出現したギャオスを見てアリーナにいる生徒たちが恐怖でパニックを起こし、避難が遅れているのである。
しかも、遮断シールドはギャオスが無理やり通過してきた為、シールド発生装置の一部が故障し機能が停止していた。
つまり、避難しきれていない生徒たちを守るものは一切ない。
現状としては最悪の事態に陥っていた。
だから簪は、自身が囮となって生徒の避難が終わるまでの時間を稼ぐことを千冬と真耶に伝える。
簪の言ったことに絶句する真耶と千冬。
「な、何を言っているんですか!?生徒にそんな危険なことさせられません!」
「そうだ、あの化物はそっちに向かわせた先生方が対応するから、お前は早く避難をしろ。」
真耶と千冬は簪を説得するが、簪は首を横に振った。
『先生たちが来るのを待っていたら、其れこそ取り返しのつかない事態になってしまいます。」
「ですが!?」
『時間が惜しいので、通信を終わります。』
簪は通信を切った。
「更識さん!? 更識さん!?――」
真耶は簪に連絡を取ろうと、必死に呼び続け声がモニター室ルームに木霊する。
――――アリーナ
通信を切った簪は、ギャオスに視線を向ける。
「(初めて遭遇した個体より大きい・・・)」
簪は、ギャオスを見て昔のことを思い出していた。
「(あの時は逃げることしかできなかった・・・でも今は違う。)」
手に持っていた夢現を、ギュッと握る。
「(よし、行くぞ!!!)」
簪は覚悟を決め、ギャオスに向かって飛んでいく。
「まずは、威嚇射撃でこっちに意識をむけさせないと。」
簪は春雷を起動、そしてギャオスに向けて威力を絞った荷電粒子砲を放つ。
数発をギャオスの体に当て、こちらの存在を気づかせた。
ギャオスは、攻撃をしてきた簪を威嚇する。
「ギギャアアア!!!」
「(よし、なんとか意識を私に向けさせることは成功した。あとは生徒の避難が終わるまで逃げ回れば・・・)」
そう思っていたら―――
白式を展開していた千秋が、ギャオスに向かって飛んでいくのが見えた。
簪は、無謀すぎると思い、千秋に通信を繋げる。
「織斑くん、無茶だからやめて!?」
「そこで見ているといいよ、僕が華麗にこの化物を仕留めるさまを!!!」
簪の忠告を無視し、そのままギャオスに斬りかかっていった。
「でえええやあああ!!!」
千秋は、ギャオスの胸を零落白夜を発動した雪片二型で袈裟斬りに切り裂く。
しかし、切り裂けたのはほんの薄皮一枚だけ。
自身の渾身の一撃さえも、ほとんど意味がなかったことに絶句していた。
「そ、そんな・・・零落白夜を使っての攻撃なのに・・・この程度のダメージだなんて・・・」
ギャオスは自身に攻撃してきた千秋を翼で叩き、アリーナ席まで吹き飛んだ。
ギャオスの攻撃とアリーナ席に激突した時の衝撃で、白式は絶対防御を発動。
それによりシールドエネルギーがなくなり、白式は強制解除された。
追い打ちを掛けるように口を開き、ギャオスは超音波を溜め始める。
簪はいけないと感じ、夢現を装備しギャオスに斬りかかる。
だが、行動するのが遅かったらしくギャオスは超音波メスを発射。
意識を失っている千秋は避けることができない。
簪は間に合わないと思ったその時―――
「ハイドロブラスト!」
「エアロブラスト!」
声が聞こえたあとに何かが衝突するような衝撃が起こった。
簪は目をそこに向けると―――
ミステリアスレイディを纏った刀奈と龍虎王を纏った一夏が、千秋とギャオスの間に立ちふさがっていたのが見えた。
簪は急いで二人のもとへと向かう。
「一夏、お姉ちゃん。」
「大丈夫か、簪。」「大丈夫、簪ちゃん?」
「うん、生徒の避難の方は?」
「既に完了している。」
「そう、良かった。」
簪は、生徒が無事だったことに安泰した。
「所で、織斑はどこだ?」
「あそこ。」
簪は後ろのアリーナの観客席で気絶している千秋を指差す。
「・・・」
一夏は、呆れるような目で気絶している千秋を見る。
「二人共、今は目の前のやつに集中しましょう。」
蒼流旋を装備する刀奈。
一夏と簪も、破山剣と夢現を装備し、ギャオスを睨みつける。
「行くぞっ!?」
「うん!」「ええ!」
3人はギャオスに戦いを挑んだ。
――――――――――
――――――
―――
「これでも喰らいなさい!」
刀奈は蒼流旋に内蔵されているガトリングで攻撃を仕掛ける。
しかし、弾丸はギャオスの表皮を少しだけ傷つける程度だった。
「あんまダメージは与えられないか。」
「この大きさになれば、近代兵器程度じゃ大きなダメージは与えられないか・・・なら能力を使用しての攻撃はどうだ!」
龍虎王は右手に風、左手に炎を纏わせ正面に掌を向ける。
「フレイムストーム!!!」
ギャオスに向かって、極大の炎を放つ。
直撃したギャオスは、悲鳴を上げながら、後退する。
炎が消え、ギャオスの体には多少の火傷の跡が出来ていた。
「なるほど・・・ああいう攻撃だったら行けるってことね。一夏くん、簪ちゃん、ちょっと大きいのだすから、援護お願いね。」
そう言うと、刀奈は蒼流旋を空に向けて構える。
すると空気中の水分が槍先に集まり始めた。
ギャオスは、動きの止まった刀奈に超音波メスを放とうとする。
だがそれはこの二人が許さない。
「させない!!!」
簪は凍結効果のある弾幕を放つ。
弾幕は次々とギャオスに命中、そしてギャオスの体は彼方此方が凍りつき始めた。
この攻撃から逃げようと超音波を溜めるのを中断し、ギャオスは翼を広げ空へ逃げようとした。
だが、それはできなかった。
ギャオスは両足に違和感を感じ、足元を見てみる。
なんと膝あたりまでが土に覆われていたのだ。
自身の足元に誰かがいることに気づいたギャオスは視線をそちらに向ける。
そこには、地面に手をついて、アリーナの地面を能力で操作している龍虎王の姿が見えた。
ギャオスはこの土を剥がそうと必死にもがく。
「暴れるんじゃねぇ!?」
ギャオスの両足を覆う土の量をどんどん増やしていく。
そして完全に下半身が土によって見えなくなった。
「簪!」
「うん!―CAS(チェンジング・アーマー・システム)起動、タイプNからタイプCに換装!」
打鉄弐式・タイプNが光に包まれ、基本形態のタイプNから砲撃戦形態のタイプCに姿を変えた。
「全武装、通常モードから冷凍モードに移行。」
『了解、冷凍モードに移行。霊力供給開始―――冷凍エネルギーに変換・・・・・ツイン・ビームカノン、春雷、冷凍エネルギーチャージ完了』
「オールウェポン一斉掃射!!!」
春雷、山嵐、脚部4連装ミサイルポッド、ツインビームカノンを一斉に発射。
ギャオスが白い煙に包まれるまで撃ち続けた。
白い煙が晴れるとそこには、完全に凍りついたギャオスの姿があった。
「刀奈さん!」「お姉ちゃん!」
「こっちもオッケーよ!」
身の丈以上の水球が刀奈の頭上にあった。
「おじ様直伝、ポセイドン・フォース!!!」
巨大な水球がギャオスめがけて放たれ、氷漬けのギャオスに直撃。
刀奈の放ったポセイドン・フォースは凍りついたままのギャオスをアリーナの端まで吹き飛ばした。
アリーナの壁に激突したギャオスは、衝突した時にできた瓦礫の下敷きになる。
「今のは効いたかしら?」
「効いていると思うが、正直わからんな。」
「でも、早く倒さないと仲間呼んじゃうよ?」
「それは言えているな・・ん?」
一夏は何かが動くのを感じた。
「どうやらまだのようだな。」
ギャオスは瓦礫を吹き飛ばして起き上がり、攻撃を仕掛けた3人を睨みつける。
ギャオスは口を開き、超音波を再び溜め始める。
「簪ちゃん。」
「うん。」
刀奈と簪は互いの右手と左手を握り合い、力を溜め始めた。
しかしとあるアクシデントが起こった。
『千秋ーーーーー!!!』
突然、アリーナのスピーカーから箒の大声が聞こえ始めた。
全員(ギャオスも)が中継室に顔を向けると、マイクを持った箒がいた。
「えっちょっとあの子何してるの!?」
「なんであんなところに!?」
「何考えてんだ篠ノ之の奴!?」
『男なら……男なら、そのくらいの敵に勝てなくてなんとする!』
館内放送を使用して、箒は千秋に激励を送る。
しかし、激励を送られた千秋は気絶しているため、意味がなかった。
箒の声に反応してギャオスは、中継室のほうに顔を向け口を開ける。
「まずい!?中継室にはほかにも人がいたぞ!?」
「嘘でしょ!?」
そう、彼女の足元には審判をしていた先生とアナウンスをしていた生徒が倒れているのを一夏は見た。
「簪!?」
「ダメ、まだ溜め終わってないよ!?」
「ええい、間に合えっ!?」
一夏は最高スピードでギャオスに向かうが間に合いそうにない。
そしてギャオスが超音波メスを放とうとしたその時――
「そうはさせませんわ!!!」
セシリアがギャオスの口内目掛けて、ミサイルビットを放つ。
口内で爆発し、ギャオスの口から真っ赤な鮮血が舞う。
「でええええりゃああああーーーー!!!」
そして別方向から、双天牙月を装備した鈴がギャオスに接近。
ギャオスのの左目に双天牙月を突き刺さた。
「ギィィィアアアアア!!!!」
左目と口から血を撒き散らしながら、暴れまくるギャオス。
引き剥がされないように鈴は必死にしがみついていた。
一夏はギャオスを攻撃したセシリアと鈴に驚きが隠せなかった。
「セシリア、鈴、お前らなんでここに「早く攻撃を!」「早く攻撃しなさいよ!」っ!?そうだった、刀奈さん、簪!そっち準備は!?」
「ええ、完了よ。」
「こっちもいいよ。」
「よし、鈴!!!」
「わかってるわよ!」
鈴はギャオスの左目から双天牙月を引き抜きその場から急いで離れる。
鈴が離れていくのを確認した刀奈と簪は、力を解き放った。
「アイスブラスト!」「ハイドロブラスト!」
氷の粒手を纏いながら水流が螺旋を描き、ギャオスへと向かっていく。
ギャオスはその攻撃に気づくが避けることができずに直撃。
攻撃をくらいギャオスはほぼ虫の息に近かった。
「今が好機!――全霊力、解放!!!」
一夏から金色のオーラが立ち上る。
「龍虎王が超奥義っ!!」
龍虎王から青い雷が迸る。
「五行器輪転!六天降魔、剣現!」
破山剣が召喚されると同時に、青い雷が龍虎王の周囲に降り注ぐ。
「雷火の顎よ、敵を討て!!」
青い雷がギャオスに降り注がれる。
ギャオスは青い雷に拘束され動けなくなる。
龍虎王は、ギャオスに向かって突っ込む。
そして龍虎王はギャオスに、破山剣を突き刺す。
すると破山剣が龍の頭部を模した形に変化、ギャオスの背中から飛び出してきた。
龍虎王は、一気にギャオスの体から剣を引き抜き、高速でギャオスの周囲を移動しながら斬りつけていく。
そしてギャオスの真正面に来たとき、剣を構え一気に斬り上げた。
「龍王破山剣! 天魔!降伏斬ーーーーーっ!!」
ギャオスの体を腹から頭にかけて一気に切り裂く。
ギャオスは絶命し、アリーナに倒れ伏す。
こうして、恐怖が舞い降りたクラス対抗戦は、犠牲者が出ることなく終わりを迎えた。
CAS(チェンジング・アーマー・システム)・・・打鉄弐式に搭載された瞬時にアーマーを換装するシステム 参考はゾイド新世紀/ゼロのライガーゼロ
冷凍モード・・・打鉄弐式の特殊戦闘モード 火気による攻撃は一切なくすべてが冷凍攻撃
参考はスーパーXⅢ