インフィニットストラトス‐四神の力を受け継ぐ者‐ 作:フジパンホンジコミ
クラス対抗戦から数日、俺はいつもどうりにアリーナで訓練を行おうと簪、鈴と共に廊下を歩いていたら、校内放送が流れてきた。
『1年1組 織斑 千秋くん、亀山 一夏くん、セシリア・オルコットさん、1年2組 鳳 鈴音さん、1年4組 更識 簪さん、至急会議室に来てください。繰り返しお知らせします―――』
この放送を聞き俺は嫌な顔をする。
「なんだってんだ、これから訓練しようって時に。」
「それに、いま名前が上がったのって専用機持ちだよね。」
「なんか嫌な予感がする。」
俺たちは、アリーナに向かう廊下から引き返し会議室へと向った。
俺たちが会議室につくと、既に全学年の代表候補生が集まっていた。
もちろんロシアの国家代表である刀奈さんも来ていた。
刀奈さんは、俺達を見つけ小さく手を振ってきた。
丁度、刀奈さんの隣の席が空いていたため、俺たちはそこに移動し座った。
するとだれかの視線を感じ、そちらに目線だけ向けるとこちらを睨んでいる織斑の姿が映った。
はあ、篠ノ之が謹慎になってからずっとこの状態なんだよな。
「一夏くん、またなの。」
「そうなんですよ。」
「勘違いも甚だしいわね。」
「あれは篠ノ之さんの自業自得なのにね。」
俺たちは、織斑に睨まれながら先生が来るまでおしゃべりをして待つことにした。
俺たちが会議室に来て数分が経ち、織斑先生と山田先生が会議室に入ってきた。
「全員集まっているな。」
織斑先生が会議室を見回し、全員いるか確認を取る。
「お前たち専用機持ちに集まってもらったのは他でもない。この間のクラス対抗戦に出現した生物についてだ。」
ギャオスのことを知っている俺たち以外が騒がしくなる。
「詳しいことは内容が記された紙が配布されるからそれを確認するように。」
山田先生から紙を渡され、俺はその内容を確認しようと紙に目を向ける。
そこには『怪鳥捕獲計画』という文字が書かれていた。
「・・・織斑先生、これはどういうことでしょうか。」
刀奈さんが、織斑 千冬に質問をする。
「実はあの生物についてIS委員会に報告したところ、IS委員会からある指令が言い渡された。その指令とは『あの生物を見つけ次第、捕獲して欲しい』とのことだ。」
「ほ、捕獲ってあの生物をですか、織斑先生。」
「そうだ。」
先ほどとは一変して会議室が静かになった。
はあ、嫌な予感が的中した。それも最悪なものが。
『『『『主。』』』』
突然、頭に龍王機たちの声が聞こえてきた。
『おまえらか(――なんか久しぶりに声を聞いたきがするな。)』
『それはそうでしょう、なにせ代表候補決定戦以降話しかけてもらえなかったのですから。』
『あーそれは済まない。というか心を読むなよ、で何か用か?』
『引き受けるのか?』
『何をだ。』
『ギャオスの捕獲のことだ主。なぜ反対しないのだ。』
虎王機が疑問を投げかけてきた。
『俺だって、学生にこんなことを頼む委員会の命令なんか引き受けたくはないさ。』
『だったら。』
『下手なこと言って、委員会に勘ぐられたくないからだ。』
『なるほどのう。』
どうやら武王機はわかっているようだな。
『どういうことですか武王機。』
『良いか、もし主がギャオスの危険性をここで喋ってしまえば、委員会の者たちが主のことをほおって置くわけなかろう。』
『確かに・・・』
『連中は何としてでも聞き出そうとしてくるはずじゃ。それこそ卑劣な手段を使ってでもな。』
『ありえるな、今の風潮に染まりきった連中ならば。』
武王機の言ったことに納得する龍王機。
『そういうことだ。わかってくれたか?』
『はい。』
『それで主よ、この後はどのように?』
『とりあえずこのことを父さんに報告を入れといてくれ。』
『『『『御意に。』』』』
それから数分経ち、会議が終わり俺を含めた全員が会議室から退室していく。
会議が終わってからすぐに、自室に帰り刀奈さんと簪と俺で先ほどの件に関して話し合いを始めた。
「厄介なことになったわね。」
「どうするの一夏?」
「今は父さんの連絡待ちだ。もうそろそろ返事が返ってくるはずだから。」
するとピリリ、ピリリと携帯が鳴った。
俺は携帯をポケットから取り出し、確認すると父さんからメールが届いていた。
「おじ様はなんて?」
「えっと”IS委員会にギャオスを渡さぬように、見つけ次第お前たちで処理をして欲しい。こちらも全力でバックアップする。追伸:二人ほど増援を送る。”だそうだ。」
「見つけ次第こっちで処理して欲しいか、やっぱおじ様達は動くことはできないのね。」
「仕方ないさ。父さんは篠ノ之 束の監視もあるから。」
「でも増援を二人も送ってくれるのは嬉しいことだよ。」
「そうね・・・でもいったい誰が来るのかしら?一夏くんはわかる?」
「いや、メールには誰を送ってくるまでは書かれていないから俺にもわからない。」
「まあ、近いうちに生徒会の方に情報が入ってくると思うからそれまで待ちましょう。」
―――――――――
―――――
―――
ギャオス捕獲の指令が言い渡された日からはや幾日が過ぎ、季節は6月。
教室でのんびりしているとクラスの女子たちが手に何かを持ってわいわいと賑やかに談笑していた。
「やっぱハヅキ社製のがいいなぁ。」
「え?そう?ハヅキのってデザインだけって感じしない?」
「そのデザインがいいんじゃない!」
「私としては性能的から見てミューレイのがいいかなぁ。その中でも特にスムーズモデルがいいわね。」
「えー、あれはモノはいいけど、高いじゃん。」
女子たちが見ているのはISスーツのカタログか?
「そういえば織斑くんと亀山くんのISスーツってどこのやつなの?見たこと無い型だけど。」
「僕のはイングリット社のストレートアームモデルを男性用に改良したやつさ。」
「へぇー、亀山くんのは?」
「俺のはアトランディア社の試作モデルなんだ。」
そう、俺のは製品化に向けて作られた試作のスーツだ。
試作品にもかかわらず、かなり高性能な代物で防弾、防刃、耐熱、耐寒性に優れていて、さらに生命維持装置までついているから、安全性が非常に高い。
まあ、男のISスーツなんて無いにも等しいから聞かれても参考にならないと思うんだけどな。
というよりISスーツってホントに必要あるのかねぇ。
そう思っていたら。
「ISスーツは肌表面の微弱な電位差を検知することによって、操縦者の動きをダイレクトに各部位へと伝達、ISはそこで必要な動きをします。またこのスーツは耐久性優れ、一般的な小口径拳銃の縦断程度なら完全に受け止めることができます。でも衝撃は消えませんのであしからず。」
すらすらとスーツの説明をしながら山田先生が現れた。
さすが元代表候補生にして現IS学園の教師だ。
「山ちゃん詳しい!」
「ふふ、これでも先生ですから。・・・・・って、や、山ちゃん?」
「山ぴー見直した!」
「今日が皆さんのスーツ申し込み開始日ですからね。ちゃんと予習してきてあるんですよ。えへん。・・・・・ん、山ぴー?」
これで8つくらいかな。入学してから二ヶ月の間で山田先生に付けられた愛称は。
まあ、慕われている証拠ではあるな。これも人徳のなせる業と言っていいだろう。
「あ、あのー、教師をあだ名で呼ぶのはちょっと・・・・・」
それは言えるな。
「えー、いいじゃんいいじゃん。」
「まーやんは真面目っ子だなぁ。」
「ま、まーやんって・・・・・」
「あれ?マヤマヤの方が良かった?マヤマヤ。」
「それもちょっと・・・・・」
「もー、じゃあ前のヤマヤに戻す?」
「あ、あれだけはやめてください!」
おっ珍しく山田先生が拒絶の意思を示したな。もしかしてそのあだ名になんかトラウマでもあんのかねぇ。
「と、とにかくですねちゃんと先生と付けてくださいわかりましたか?わかりましたね?」
『はーい♪』
ぶっちゃけ言っているだけの返事だなこりゃあ。山田先生のあだ名はあといくつ増えていくんだろうな。
「諸君、おはよう」
「お、おはようございます!」
先程まで賑やかだったのが一変して静まり返る教室。
「今日から本格的な実戦訓練を開始する。訓練機ではあるがISを使用しての授業になるので各人気を引き締めるように。忘れたものは代わりに学校指定の水着で訓練を受けてもらう。それもないものは、まあ下着で構わんだろう。」
いやいやいや、あんたなんてこと言ってんだ。
男が二人いるっていうのに、そんな格好させるなよ。女子がかわいそうだろうが。
っていうかむしろ、取りに帰させろよ。
「では山田先生、ホームルームを。」
「は、はいっ。」
連絡事項を言い終えた織斑千冬が山田先生にバトンタッチする。
「ええとですね。今日はなんと転校生を紹介します。しかも3名です!」
『えええええっ!?』
いきなりの転校生紹介にクラス中が一気に騒がしくなる。
でも普通は分散させて生徒数を均等にしなきゃいけないのに、なんで集中させる必要があるんだ?と考えている内に教室のドアが開いた。
「「失礼します。」」「失礼する。」
「・・・・・・・・」
クラスに入ってきた三人の転校生を見て、ざわめきがピタリと止まる。そりゃそうだ。だって、そのうちの一人が男子なのだからな。
まあ、実際は違うんだけど。
しかしこの二人が来たか。
「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。日本では不慣れな事も多いかと思いますが、皆さんよろしくお願いします。」
転校生の一人、シャルルはにこやかな顔でそう告げて一礼した。
「お、男・・・・・・?」
「はい。こちらに僕と同じ境遇の方がいると聞いて本国より転入を――」
人なつっこそうな顔。礼儀の正しい立ち振舞いと中性的に整った顔立ち。髪は濃い金髪で首の後ろに丁寧に束ねている。印象は、誇張じゃなく『貴公子』といった感じで、特に嫌みのない笑顔が眩しい。
「きゃ・・・・・」
「まずい。」
俺は急いで、ポケットから耳栓を取り出し、耳に付ける。
『きゃああああ――――っ!』
教室中にギャオス並みの叫び(歓喜)が響く。み、耳栓していても痛てぇーーーっ!
このクラスの女子の声は、兵器か何かか!
ちなみに織斑と篠ノ之のやつはどうやら防ぐことができずに、先ほどの女子の音波兵器?で気絶中だ。
「男子!三人目の男子よ!」
「しかもうちのクラスにきたー!」
「織斑くんと亀山くんに匹敵するほどの美形!それも守ってあげたくなる系の!」
「地球に生まれて良かった~~~~~!」
「お母さん、女に産んでくれてありがとうーーー!」
あーまだ耳が痛てぇ。
でも思った通り、こっちのほうで入学してきたか。
シャルル・デュノアを視界に入れながら、昨日の夜のことを俺は思い返していた。
――――――――――
夕飯を食べ終わったあと俺は部屋で、ネットを見ていたら一通のメールが届いた。
誰から送られてきたのだろうと思いながら、メールを開く。
「父さんからじゃないか。なになに”転校生の素性について調べておいた資料を送っておくから確認しておけ”か――これがその資料だな。」
俺は、メールの中にあったフォルダー開き資料を確認していく。
そこへ、お風呂から上がった簪がタオルで頭を吹きながら近づいてきた。
「一夏、どうしたの?」
「簪か、これ見てみろよ。」
「えっと、転校生 シャルル・デュノア――嘘、男!?」
そう、性別の欄に男という文字が書かれていた。
「一夏、これ本当なの?」
「嘘に決まってるだろ。三人目の男なのに世間に公表されていないし。」
「だよね。一夏と織斑くんはすぐに公表されてたのに、この子はされていない。」
「そうことだ、しかもこの資料を見ていたら面白いものを見つけた。」
「面白いもの?」
「これだよ。」
俺はもう一つの方を簪に見せた。
そこにはシャルル・デュノアに似た女の子の写真が写っていた。
「似てるというよりもこれ本人だよね。」
これは同一人物だと簪一発では見抜いた。
「正解だ簪。本名はシャルロット・デュノア、フランスの大手企業デュノア社社長の娘だ。(まあ愛人のだが。)」
「やっぱり。苗字からしてそうだと思った。」
「彼女が転校して来る理由は、俺と織斑が目的だ。」
「だろうね。確かデュノア社ってイグニッションプランから外されてたし、企業業績も下がりつつあるってニュースで言ってた。」
「そう、そのために俺か織斑のISのデータを流用して、第三世代型を完成させることが目的のはずだ。」
「とりあえず、警戒するに越したことはないってことだね。一応このことはお姉ちゃんにも伝えておくね。」
「頼む。」
―――――――
そして現在に至る。
「騒ぐな。静かにしろ。」
「そうですよ。まだ自己紹介は終わっていません。」
山田先生の言葉でようやく、静まり返った。
「では自己紹介の続きだ。ラウラ、挨拶をしろ。」
「はい、教官。」
「ここでは、そう呼んでくれるな。私はもう教官ではない。ここの生徒になる以上は私のことは織斑先生と呼べ。」
「了解しました。」
織斑先生に敬礼をしたあと、自己紹介を始めた。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ。ドイツ軍IS配備特殊部隊シュヴァルツェ・ハーゼの隊長を務めている。世間のことに関して少々疎いところがあるがよろしく頼む。」
あの堅物だったやつが一年でここまで変わるとはな。
織斑先生もかつての自分の教え子があんなふうに答えてくるとは思って見なかったらしく、驚いている様子だった。
「織斑先生、終わりましたが。」
「あ、ああ、次の紹介を頼む。」
「はい。えっと、蝶野レオナです。アトランディア社のテストパイロットとしてきました。よろしくお願いします。」
まさかレオナが来るとはな、よくあかりさんとイクトさんが許可したな。
そのことに関しては後で聞いてみるか。
でも頼もしいのが二人来てくれたな。
うん?ラウラの視線が気絶から目を覚ました織斑に向いている。
まさかあいつ。
俺が思っていたとおり、ラウラは織斑の前まで移動し、思い切り手を振りかぶった。
そして、パーンという音が教室に響いた。
クラス中が織斑とラウラに注目。
織斑はいきなりビンタされたことに唖然としたが、直ぐに怒りの形相に変わった。
「いきなり何するんだ!?」
「貴様が兄様にしでかしたことを、私は絶対にゆるさん!」
「僕は君のお兄さんなんかに何もしていないぞ!」
「黙れ!」
まずい、ラウラは刀奈さん、簪同様に俺の事情を知っているからな、織斑に怒りを向けるのは無理もない。
だが殴るのは流石にやりすぎだ。
俺はラウラの元に行こうと立ち上がろうとしたが、レオナが既に行動を起こしラウラを止めた。
「ラウラ、それ以上はやっちゃダメだよ。」
「だがレオナ、コイツは兄様に――」
「それでもだよ。」
「・・・わかった。」
ラウラとレオナは空いている席に向かおうとしたが、織斑が呼び止める。
「待てっ!?僕に謝りもしないのか!?」
「フン・・・貴様に謝るつもりなどない。」
そう言ってラウラは、空いている席に座る。
「ラウラったら・・・」
レオナはため息を吐きながら空いている席に座った。
はあ、またひと騒動起こりそうだな。
ラウラは原作と違い一年ほど前に一夏と出会っている設定になっています。
次回は設定2