インフィニットストラトス‐四神の力を受け継ぐ者‐ 作:フジパンホンジコミ
ラウラと織斑の一騒動でシーンと静まり返る教室。
それを見かねた織斑先生が、行動を促す。
「あー・・・・ゴホンゴホン!ではHRを終わる。各人はすぐに着替えて第二グラウンドに集合。それと今日は二組と合同でIS模擬戦闘を行う。それでは解散!」
俺はすぐさまアリーナの更衣室に移動しようと立ち上がり教室を出ようとしたが、織斑先生に呼び止められた。
「織斑、亀山。お前たちはデュノアの面倒を見てやれ。同じ男子だろう。」
やっぱりね。こうなると思っていたよ。
「えっと織斑くんと亀山くんだったかな?初めまして。僕は―――」
「名前はさっき聞いたからいいよ。とにかく移動する方が先だ、じゃないと女子たちが着替え始めちまうからな。」
俺はそう言って、ISスーツの入ったバックを手に教室を出た。
織斑とデュノアも俺につられるように慌てて教室から飛び出した。
俺は移動しながらデュノアに説明していた。
「俺たちは着替える場所が空いているアリーナの更衣室を使わなきゃならん。だから実習があるときはこういった移動をしなきゃならんから慣れてくれ。」
「う、うんわかった・・・・」
一階に降りた俺たちは速度を維持したまま、廊下を走り向けようとしたが―――
「ああーっ!転校生発見っ!」
「しかも亀山くんと織斑くんもいるわ!」
チッ、見つかっちまったか。
ここで捕まったら、質問攻めだ。そうなったら最後遅刻は免れないあげく織斑 千冬の体罰が待っている。
それだけは受けたくはねえ!
「いたっ!みんなこっちよ!」
「者共ーーーーっ!出会え出会えーーーーっ!」
増援を呼んだか。それにしてもここはいつから武家屋敷になったんだ。
俺がそう思っているうちにどんどん女子の数が増えてきた。
ここまで呼ぶか普通。
ジリジリと目をギラつかせた女子たちが一歩、また一歩と俺たちに近づいてくる。
「ハァ、ハァ・・・織斑くんの黒髪と亀山くんの黒と薄紫の髪もいいけど、金髪っていうのもいいわね。」
「しかも瞳は亀山くんの翡翠色とは違ってエメラルド(ジュルリ)」
危険極まりないのが二名混じってんぞ!
「な、なに?何みんなで騒いでいるの?」
困惑した表情を浮かべるシャルル。
「そりゃ俺たちしか男子がいないからだよ。」
「・・・・・?」
「君、この状況理解していないのかい?」
コイツホントに隠す気あるのか?
織斑も疑いの目を向けてるぞ。
仕方ねえな、少しフォローしといてやるか。
「珍しいに決まってるだろ。なんせお前で三人目のISを使える男と言うイレギュラーなんだからな。このぐらい起きて当然だろう?」
「あっ!―――ああ、うん。そ、そうだね。」
とりあえずコイツのことに関しては後回しにして、まずはこの状況を打破することが先だ。
というわけで―――
「ふっ」
俺は女子の群れへと突っ込んでいった。
そして女子の手前でジャンプする。
女子たちは唖然としながら、俺を見上げている。
そりゃそうだろ、天井ギリギリまでジャンプしてんだもん。
女子を飛び越えた俺は、綺麗に着地しそのままアリーナの更衣室に直行した。
―――――――――
――――――
―――
ISスーツに着替え終わり、グラウンドに向かおうとしていた時に織斑とデュノアがハァハァと息を切らした状態で更衣室に入ってきた。
「遅かったな。」
「お前が置いていったせいじゃないか!」
「おかげでひどい目にあいかけたよ・・・」
「そんなことより、時間見ろよ。」
「「え・・・」」
二人は恐る恐る時計に目を向けると、授業開始まで10分前だった。
俺は慌てて着替え始める二人に目もくれずに、スタスタとアリーナのグラウンドへと足を進めた。
あれから8分過ぎ、アリーナのグラウンドで授業が始まるのを待っていると織斑とデュノアがやってきた。
「遅い!」
腕を組んで待っていた織斑先生が、怒鳴り声を張り上げる。
「ごめん、姉さ―――織斑先生。」
「すみません、織斑先生。」
「・・・まあ大方女子の妨害があったみたいだから今回は多めに目てやる。だが次は無いと思え。」
「「はい。」」
織斑先生に注意された、織斑とデュノアは一組の列の一番端に加わった。
「では、本日から格闘及び射撃を含み実践訓練を開始する。」
『はい!』
「今日は初日ということで実際に戦闘を実演してもらおう。――オルコット!それから鳳!」
呼ばれたセシリアと鈴は、織斑先生の前まで移動する。
「それで織斑先生、わたくしたちは何したらいいですか。」
「もしかしてセシリアと模擬戦をすればいいんですか?」
「いや、対戦相手ならもうそろそろ来るはずだ。」
キィィィィィン・・・・・・・。
空気を切り裂く音が上空から聞こえてきた。
あれは山田先生だよな――ってこっちに向かってきてる!
「あああああーっ!どいてください~っ!」
まずいっ!
俺は1組の列の前まで移動し、瞬時に虎龍王を展開。
その時間わずか0.2秒。
そして、こちらに突っ込んできた山田先生を受け止める。
ズドンっという音が鳴り響く。
かなりの衝撃だったはずなのに、虎龍王はその場から微動だに動かなかった。
『大丈夫ですか、山田先生。』
「・・・・・・。」
返事がない。どうやら先ほどのぶつかった衝撃で目を回してしまったようだな。
俺はISを解除し、山田先生を地面に降ろしたあと織斑先生に顔を向ける。
織斑先生は視線で元の位置に戻れと語っていたので俺は、一組の列へと戻った。
織斑先生は俺が戻ったのを確認し、山田先生に声をかける。
「山田先生、大丈夫か。」
「は、はい、なんとか。」
少々ふらつきながらも立ち上がる山田先生。
「山田先生も来たことだし、オルコット、鳳準備はいいか。」
「え、あの、二対一でやるのですか・・・?」
「織斑先生、流石にそれは・・・」
「安心しろ。山田先生は元代表候補生だ。これくらいのことどうということはない。」
「織斑先生がそうおっしゃるのなら致し方ありませんわ。」
セシリアと鈴はISを展開し、上空へと上がった。
それを追うように山田先生も上空に飛んでいった。
ある一定の高さで止まると、3人はそれぞれの武装を展開し構える。
それを見た織斑先生が合図を出した。
「では、はじめ!」
合図とともに鈴とセシリアが山田先生に攻撃を仕掛ける。
「さて、今の間に・・・・・そうだな。デュノア、山田先生が使用しているISの解説をしてみせろ。」
「あっ、はい。山田先生が使用されているISはデュノア社製『ラファール・リバイヴ』です。第二世代開発最後機の機体ですが――――」
上空の戦いを見ながら、スラスラと説明をしていくデュノア。
さすがデュノアの令嬢のことはあるな。
自社のISのことをここまで知り尽くしているのは関心に値するな。
「――――――といった全タイプに切り替えが可能で、参加サードパーティが多いいことでも知られています。」
「いったんそこまででいい。デュノア解説ご苦労。」
織斑先生は上空を見上げながらデュノアにそう答える。
俺も上空に目を向けると、二対一でありながらもセシリアと鈴の二人と互角に渡り合っている山田先生の姿が映る。
さすが織斑 千冬がいなければ代表になっていたかもしれないと言われてただけのことはあるな。
まあ、セシリアと鈴もその山田先生に食らいついているんだからまずまずといっていいだろう。
これならもう少し訓練内容を濃くしても大丈夫だろうな。
あれ?二人の動きが止まったぞ、どうしたんだ?
その隙に山田先生が、二人に向けてグレネードを投擲。
爆発が起こり、煙の中から二つの影が地面に向かって落下した。
―――――――――――
――――――
―――
「さて、これで諸君にもIS学園教員の実力は理解できただろう。以降は敬意を持って接するように。それでは実習を開始する。専用機持ちは織斑、亀山、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、蝶野、それに鳳だったな。では八人グループになって実習を行う。各グループリーダーは専用機持ちがやること。いいな?では分かれろ。」
織斑先生が言い終わるや否や、残りの女子生徒たちは移動した―――俺と織斑とデュノアに群がるように。
それを見た織斑先生は―――
「この馬鹿者どもが・・・・・。出席番号順に一人ずつ各グループに入れ!次にもたつくようならば今日はISを背負ってグラウンドを百周させるからな!」
織斑先生の怒号を聞き、アリのように群がっていた女子たちは、蜘蛛の子を散らすがごとく移動した。
「最初からそうしろ、馬鹿者どもが。」
『それでは各グループリーダーは、今から使用するISをこちらまで取りに来てください。』
俺たちグループリーダーは、山田先生の指示に従い行動を開始した。
ちなみに俺は打鉄を選んだ。理由は防御に特化したISであることと重心がしっかりしていてこけることが少ないからだ。
俺は打鉄を専用のカートに乗せて運び、自分のグループへと向かう。
『各グループISは行き渡りましたね。それでは実習を開始してください。各グループのリーダーは訓練機の装着を手伝ってあげてください。あと全員やってもらう予定なので、フィッティングとパソナライズは切ってあります。とりあえず午前中は動かすところまでやってください。』
山田先生の連絡を聞き、早速はじめることにした。
「それじゃあ出席番号順にISの装着と起動、それから歩行までやろう思っている。えっと一番目は――――」
「はいはいはーーーーーいっ!」
すごく元気のいい返事が返ってきた。えっと片手上げながらそんなにピョンピョンと跳ねなくてもいいんだが・・・・。
「出席番号一番!相川清香!ハンドボール部!趣味はスポーツ観戦とジョギングだよ!」
なぜに自己紹介を・・・・。
「よろしくお願いしますっ!」
腰を折って深く礼をしながら、右手を差し出してきた。―――まじかよ。
「ああっ、ずるい清香!」
「なら私も!」
「第一印象から決めてました!」
次々とお辞儀をして頭を下げながら右手を差し出してくる女子が増えていく。
しかも俺のところだけじゃなく、織斑とデュノアのところも同じ状況だった。
あの人物がここにいる状況でこんなことするとは恐れ入った。
まあ、一応知らせておくか。
「真面目にしような、でないと―――」
するとスパーンという豪快な音がデュノアのグループから鳴り響く。
「ああなるぞ。」
俺は頭を押さえてうずくまるデュノアグループの女子たちを指差しながら、俺のグループの女子に教える。
するとあのようにはなりたくないと感じ、列を解散し出席番号順にきちんと並んだ。
なんとかスムーズに実習を進めることができたが、ここに来て問題が発生した。
「・・・・・・」
コイツが俺のグループにいたのかよ。
「そんじゃ、篠ノ之さん装着から順に「貴様に教えてもらう必要などない!」っておい!」
俺の説明を無視して篠ノ之は、勝手に打鉄を装着、そのまま機動させ歩行を始める。
歩行まで終わらせると、こともあろうに篠ノ之は立たせたままの状態でISを降りてしまった。
「おい、立たせたままISを降りるな次の人に迷惑だろうが・・・」
「ふん。」
俺の注意を無視して篠ノ之は後ろの列へと歩いて行った。
「亀山くん、どうするのこれ?」
篠ノ之の次の女子が立った状態のISを見ながら、俺に尋ねてくる。
「あーちょっと待っててくれ。」
俺は、思いっきりジャンプし打鉄に飛び乗った。そして、装着して次の人が乗れるようにしゃがませた。
「これで良しと。じゃあどうぞ。」
「あ、ありがとう・・・・」
多少人間離れしたものを見て、少し引きつらせながらお礼を言う女子。