インフィニットストラトス‐四神の力を受け継ぐ者‐ 作:フジパンホンジコミ
一夏達の試合が終わったあとのモニタールームでは千冬と真耶は先ほどの試合のデータを集計していた。
そこには一切の会話はなく黙々とコンソールのパネルを打ち続ける千冬と真耶。
しかしこの重苦しい沈黙がなんとなく嫌に感じ真耶は思い切って千冬に話しかけた。
「す、すごかったですね、亀山君たちの試合。」
「・・・ああ。」
「さすが企業代表と代表候補生なだけありますね。」
「・・・・そうだな。」
感情のこもらない返事しか返ってこないことに真耶は次は何を語りかければいいのか迷ってきてしまう。
しかしここは副担任としてどうにかしなくてはと思い至り、再度千冬に話しかけた。
「・・・・あ、あのどうしたんですか織斑先生?」
「いやなにオルコットと凰のISがな・・・・どうも気になってしまってな。」
「そういえばそうですよね以前模擬戦した時にはあんな鏡を出現させたり、電気を放出する機能なんてなかったですよね。あっもしかしたらワンオフアビリティーを発現できたのかもしれませんね織斑君という例外もありますし。」
「確かにそう言えるかもしれんが・・・・・(私にはどうにもあれがワンオフとは思えない。)」
千冬は二人が使用したものがワンオフアビリティーとはかけ離れたものではないかと思っていた。
突然黙ってしまった千冬に恐る恐る話しかける真耶。
「あ、あの織斑先生?」
「(束ならばあれがなんなのか理解できたかもしれないが、私の頭ではわからん。)」
「織斑先生!?」
「っ!?なんだ山田先生。」
「なんだじゃありませんよ。さっきからぼおっとしすぎですよ。気をつけてくださいね。」
「済まない山田先生。それで私に何か用か?」
「はい、アリーナの整備が終わったとのことで次の試合の準備をお願いしますと運営側からのお達しが来ています。」
「そ、そうか、なら了解したと運営側に伝えてくれ。」
「はい、わかりました。」
真耶に伝言を頼んだあと千冬はモニターに目を移した。
そのあとに行われた試合は順調に進みラウラ・レオナペア、簪・シャルルペアは順調に勝ち進んだ。
二組とも圧倒的な連携プレーを披露し観客を大いに盛り上がらせた。
そして現在専用機持ちたちはというと食堂へと足を運んで昼食をとっている。
「セシリアよ、兄様との真剣勝負はどうだった。」
一夏と試合を行ったセシリアと鈴に質問を投げかけるラウラ。
その質問に答えるように二人が話し始めた。
「そうですわね、まだまだ特訓が必要だと思わされましたわね。」
セシリアは己の実力不足を実感し、鈴は顔を真っ青に吸いながら口を開いた。
「・・・あたしはあの突進でぺしゃんこにされるんじゃないかって恐怖したわよ。」
その時の光景を思い浮かべて顔を真っ青にする。
鈴の表情を見て簪たちは”ご愁傷様”と心の中でつぶやく。
「あんたら人事みたいに思っているけどね、あんたらも覚悟しておいた方がいいわよ。」
「えっどういうこと?」
「おそらくだけどこのトーナメント中にあの突進技さらに凶悪なものになってくると思うから。」
「・・・・それホントなの鈴。」
「試合中に一夏が『こいつはもうちっと技の改良が必要だな』って呟いてたから間違いないわよ。」
「・・・・・」
鈴の口から出た言葉はシャルルにとって聞きたくない言葉であった。
もしかしたら決勝戦で使用してくるのではないかと考えたシャルルは背筋がゾッとする。
「心配はいらんぞ鈴。既に対策は練ってあるからな。」
「ラウラに同意。」
「私も。」
しかしラウラ、レオナ、簪の3人は一夏が技の改良を行ってくることを理解し、さらにはその対策すらすでに練っていた。
シャルルは”なんでそんなに準備がいいの!?”と心の中で驚愕する。
「やっぱ一夏と付き合いが長い連中は違うわね。」
「俺がなんだって?」
今日のおすすめ定食をお盆に載せた一夏が話しに加わってきた。
「一夏遅かったね?」
「ああ、龍王機たちの補給と整備をしに整備室によってたんだよ。」
「そうだったんだ。」
「補給で思い出したのですが、補給を行っている時の一夏さんのISはホントに不思議でしたわ。」
「うん僕もそう思ったよ、普通ISが寝るなんて信じられないよ。」
今整備室で眠っているであろう龍王機たちを思い浮かべながらセシリアとシャルルがつぶやく。
それをおすすめ定食を食べている一夏が答えた。
「あいつらは特殊なISだから。」
「それにしたって機械っていうカテゴリーを超えてると僕は思うんだけど。」
「まあ細かいことは気にするな。」
”そう言われると余計に気になるんだけど”と心の中でそう思うシャルルであった。
「それにしても試合中俺はびっくりしたぞセシリア。いつから能力が使えるようになってたんだ?」
「一週間ほど前ですわ。」
「どのような理由があって能力が覚醒したのだ?」
ラウラはどういった経緯で能力が覚醒したのか知りたくてセシリアに尋ねてたら、セシリアは笑みを浮かべながら話し始めた。
「実は、一夏さんたちに追いつきたいと思いながら一心不乱に特訓をしていたらいつの間にか使えるようになっていましたわ。」
「えっそんなことがあるの?」
「ありえるな。能力の覚醒に関しては人それぞれだからな。」
「へぇそうだったんだ。」
「でも能力が使えるようになっても一夏さんには遠く及びませんでしたわ。」
「セシリアは能力が使えるようになってから日が浅い、それに命懸けの実戦を経験してる一夏に勝てないのは当然だと思う。」
「だがそれにも関わらず兄様にダメージを与えたのは賞賛に値するぞ。」
「そうだぞセシリア、お前は確実に強くなってきているだから自信を持てって。」
セシリアを励ます一夏。
一夏の言葉を聴きセシリアは顔を上げ笑みを浮かべながら答えた。
「ありがとうございます一夏さん。なんだかやる気が出てきましたわ。」
「その粋だセシリア。」
「一夏、あたしには何か言うことないわけ?」
「んーそうだな。以前よりも能力のコントロールが上手くなってたし、なにより自分のオリジナル技まで考えてたことにはさすがと言える。でもエネルギーを溜める時間が長いのが欠点だな。」
「あーやっぱそこか。あたしももうちょっと溜め時間を短くしたいところなのよね。何とかできない?」
訴えかける瞳を一夏に浴びせる鈴。
何かを考えたあと一夏は鈴に返答した。
「雷系能力者に心当たりがあるからその人にノウハウを教えてもらえるように頼んでおこうか?」
「マジ!?助かるわ。」
「でも時間的に夏頃になるがそれでもいいか?」
「ええ構わないわよ。ご教示を受けられるだけでも有難いんだから文句は言わないわ。」
「そんじゃ伝えておくから。」
「お願いね。」
鈴とのやり取りが終わり、一夏は食べかけの定食に手をつける。
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一夏SIDE
昼食を食べ終わったあと俺は準決勝の準備をしにアリーナのピッドで調整を行っていた。
「お前らどこか不具合はないか?」
『今のところはありません。』
「何か不具合があれば言えよ次の試合に備えなきゃならんのだからな。」
『今の所は問題ないのう、むしろ良好なほどじゃよ。』
「そうか・・・・これで良しと。スマンが全員自己診断システムを起動してくれ。」
『『『『了解、《『自己診断システム》起動・・・・駆動系:正常・・・火器管制システム:正常・・・動力炉:正常稼働中・・・エネルギバイパスライン:正常・・・弾薬:満タン、オールクリア。』』』』
「そうか、これで準備は整った。あとは合図があるのを待つだけだ。」
俺はアナウンスがあるまでピッドの端にむかい、精神統一も兼ねた座禅をしながら待つことにした。
座禅を始めてから20分ほどした時、アナウンスが聞こえた。
《これより午後の部、準決勝を行います!選手のみなさんは準備をお願いします!》
おっようやくか。
俺は座禅をやめ、カタパルトへと足を進めた。
「行くぞお前ら!」
『『『『御意に。』』』』
龍虎王を纏い、アリーナのグラウンドへと飛び出す。
俺が飛び出してくると同時にラウラとレオナも反対側のピッドから飛び出してくるのが見えた。
アリーナの中央までくる進むとそこで停止し、ラウラたちを見据える。
「お手合わせ願います、兄様。」
「今日こそは黒星をつけてあげるよ一兄。」
二人共最初から全開で来るらしいな、体から霊力が溢れてるじゃないの。
面白くなってきやがったぜ全くよぉ。
俺も武神流の構えをとり霊力を開放、そして目の前の二人に殺気を放つ。
一瞬二人は驚くが直ぐにギラギラした目つきをし始めた。
少しは怖気づく殺気を放ったのに逆にやる気になりやがったぜこの二人。
くっくっくっいい試合が――戦いができそうだ。
次回 学年別トーナメント 準決勝 一夏vsラウラ・レオナです。
乞うご期待。