インフィニットストラトス‐四神の力を受け継ぐ者‐ 作:フジパンホンジコミ
俺はレオナを医務室に寝かせてきたあと控え室へと戻り、簪とシャルルの試合をモニターで見ていた。
試合の結果は当然簪とシャルルの勝ち、それも相手から攻撃を一切喰らわずにだ。
これは代表候補生である簪とシャルルの技量が高かったのと相手である織斑と篠ノ之が弱すぎたのが理由だけどな。
さて試合も終わったことだし、俺も準備をしますかね。
俺は腰掛けていた椅子から立ち上がり、控え室を出てピッドへと足を運んだ。
ピッドについた俺は、試合開始のアナウンスがあるまで前の試合同様に座禅を組んで待つことにした。
座禅を組んでから五分後―――
《皆様、お待たせしましたーーーっ!!!これより学年別トーナメント決勝戦を行いたいと思います!!》
俺の耳に薫先輩のアナウンスが聞こえてきた。
アナウンスが聞こえるということは簪たちの方も準備が整ったみたいだな。
俺は座禅をやめて立ち上がり、虎龍王を展開しアリーナへと飛び出していった。
Bピッドからも簪とシャルルが出て来るのが見えた。
するとものすごい歓声がアリーナに響き渡る。
その中で一番沸き立って見えるのはアリーナのAピッド側の最前列を陣とった一年一組の生徒たちとBピッド側の最前列を陣とった一年四組の生徒たちだった。
「一夏、私が強くなったってこと見せてあげる。」
「訓練じゃ負けっぱなしだったからね。今度は勝たせてもらうよ。」
簪は夢現を、シャルルはアサルトライフル二丁を構える。
虎龍王を纏った一夏は二人のその姿を見て二ヤッと笑う。
「ああ、来いよ簪、シャルル。」
神速槍―ソニック・ジャベリンを召喚し構える。
一夏SIDE OUT
《それでは学年別トーナメント 1年の部 決勝戦・・・・試合開始!!!》
試合開始の合図とともに簪は瞬時加速を使用し一夏へと接近。
虎龍王は振り下ろされる夢現の斬撃をソニック・ジャベリンで受け止めたあと力の限り簪を押し返しす。
押し返され体勢が崩れた簪に虎龍王は高速の連続突きを繰り出す。
しかし、簪は瞬時に氷の壁を作り出し連続突きを防いだ。
「(アイスウォールか。たしか通常の物理攻撃にめっぽう強い防御用の氷だったな。それならこの攻撃ならどうだ!)」
一夏は能力で炎を生み出しソニック・ジャベリンに纏わせる。
そして炎を纏わせたソニック・ジャベリンの横一閃で氷壁を切り裂く。
切り裂いたアイスウォールの裏には既に簪はいなかった。だが一夏の視線の先にはアサルトライフルを構えたシャルルがいた。
「もらったよ、一夏!!!」
「(なるほどさっきのアイスウォールはこれのための布石だったのか。さすが簪とシャルルといったところか。でもこの程度の作戦で俺を出し抜けられると思うなよ。)」
一夏は右側へと瞬時に移動しこれを回避。
しかし、正面から打鉄弐式改の山嵐によるミサイル攻撃が迫っていた。
「(二段構えかっ!)」
次々と迫るミサイル群を最大速度でミサイルを紙一重で回避をしながら、簪へと距離を詰める。
そしてミサイル群を抜けて簪へと飛びかかる。
「・・・・掛かった。」
簪のボソッと言った声が聞こえ他瞬間、周囲に寒気を感じセンサーで確認を取ると周囲に氷の槍が多数出現していた。
「(むっ誘い込まれたか!?)」
「アイスランサー!!!」
簪が離れると同時に氷の槍が虎龍王へと襲い掛かる。
それにシャルルも便乗するようにショットガン二丁で攻撃。
さすがの一夏も氷の槍と銃弾を喰らえばやばいと思い、風を放ち全てを吹き飛ばす『旋風陣』を使用。
旋風陣によって発生した風は氷の槍と銃弾を全て弾き返した。
勢いをつけて戻ってきた氷の槍と銃弾に簪とシャルルはあたってしまいシールドエネルギーを減らす。
虎龍王はもう一度旋風陣を使用し簪とシャルルを吹き飛ばす。
「うわーーーーーっ!!!」
「くっ!!!」
さらに虎龍王は吹き飛んでいった二人に追撃を行う。
「刺し穿て『岩烈槍』!!!」
地面に手をつきながらそう叫ぶと、簪とシャルルの真下から鋭利な石の槍が複数出現。
突然の攻撃に旋風陣によって体勢を崩していた二人は回避することができず直撃、絶対防御が発動する。
しかも岩烈槍によって今度は上空へと跳ね上げられる二人。そこへ虎龍王はさらに追撃を行う。
「これで終わりだ『霧風』!!!」
巨大な竜巻が虎龍王から放たれ二人へと迫っていく。
「そうはさせない!!!」
簪は竜巻の方へと腕を向けアイスブラストを放つ。
霧風はアイスブラスに相殺されてしまう。
次の攻撃に移ろうとする虎龍王に簪が先に仕掛けた。
「今度はこっちの番だよ一夏、アイスピラー!!」
簪がそう叫ぶと、虎龍王の足元から武王機ほどの大きさの氷柱が地面から飛び出してきた。虎龍王は避けることができずに直撃をくらってしまう。
「(まさか俺と同じような手を使って来るとはっ!?)」
さらに何か寒気を感じ上空へと視線を向けると瞬時加速を使用してこちらへと突っ込んでくるシャルルの姿が映った。
しかも左腕には盾はなく代わりに杭とリボルバーが融合した装備―六九口径パイルバンカー《グレー・スケイル》を装備していた。
「(あれは『盾殺し』!!あれを喰らうのだけはまずい!!!)」
逃げようと虎龍王はしたが下半身が氷に包まれていることに気づいた。
「(さっきの簪の攻撃をくらった影響か!?)」
急いで氷を砕こうとしたがすでに遅くシャルルが目と鼻先に来ていた。
「おおおおおっ!」
シャルルは思いっきり左腕を叩き込むように突き出す。
ズガンッという音とともに虎龍王の腹部にパイルバンカーの一撃が叩き込まれる。
キツイ一撃をもらった虎龍王は地面へと落下して地表に叩きつけられる。
さらに砲撃戦仕様のタイプCへと換装した簪が全武装を展開し地表に倒れている虎龍王に向けて攻撃を始める。
約80発にも及ぶミサイルとビームが虎龍王に直撃し激しい爆発が起こる。
ミサイルの爆発で煙が発生し虎龍王が見えない状態になるが、簪は虎龍王が倒れているであろう場所に向けて攻撃を続ける。
「シャルル!」
「了解!」
シャルルもマシンガン二丁を展開し射撃を始める。
容赦のない攻撃が虎龍王へと続けられるのをみて、勝敗が決まるのは時間の問題だと観客たちは思った。
すると煙の中から二発の火球が凄まじい速度で飛び出してきた。
その火球を見た簪は急いでシャルルに回避するように指示を出す。
二人は火球を紙一重で躱し、空の彼方へ飛んでいった火球に視線を向ける。
「さっきのあれって一体なんだったの?」
「(さっきのはプラズマ火球・・・一夏のISでそれが撃てるのはあの姿だけ―――)」
簪の脳裏にあるISの姿が思い浮かぶ。
どうかそうであって欲しくないことを祈りながら簪は薄れてゆく爆煙を睨む。
しかし簪の悪い予感は当たってしまった。爆煙が完全に晴れてそこには佇んでいたのは虎龍王ではなく武雀王だった。
武雀王が視界に入った途端、簪は再度全武装で攻撃を始めた。
突然の簪の行動にシャルルは困惑する。
「か、簪?」
「シャルルも攻撃してっ!?」
「えっわ、わかった!?」
簪の鬼気迫る表情と声を聞いてシャルルは武装を展開し攻撃を開始した。
多数のミサイルや銃弾、ビームが直撃しているにも関らず平然としている武雀王。
「なんて頑丈なISなんだ!?普通これだけのミサイルやビームそれに銃弾を喰らってたらシールドエネルギーも底をついてるはずだし、なにより破損しててもおかしくないのにそれが見られないなんて!?」
愚痴をこぼすシャルルに攻撃を喰らいながら一夏が説明を始めた。
「武雀王にはダメージを半減する神獣盾って呼ばれる特殊能力があんだよ。」
「そんな反則なまでの能力ってありっ!?」
「アリに決まってんだろ。」
武雀王は狙い定めるように背中の黒蛇砲を二人に向ける。
黒蛇砲の砲口が赤く発光し始める。そして「ファイヤー!!」の掛け声とともに黒蛇砲から先ほどよりも速度のあるプラズマ火球が二人に向けて発射された。
「(さっきのよりも速い!?でも躱せないわけじゃない!?)」
簪とシャルルはこのプラズマ火球も先ほどと同じように回避した。
回避に成功したシャルルは安心する。しかし、プラズマ火球はなんと途中で旋回し背後からシャルルへと襲い掛かかる。
プラズマ火球が背後から迫っていることに気づくことができなかったシャルルはくらってしまう。
「うわっ!?」
プラズマ火球の直撃で怯んだシャルルに武雀王は止めと言わんばかりに《武王多連火槍》を放つ。
だが簪がシャルルの前へと守るように立ちふさがり、山嵐から武王多連火槍と同じ数のミサイルを発射した。ミサイルは寸分たがわずに武王多連火槍に当たり爆発を起こす。
ところが武雀王は技が防がれたのに笑っていた。それに気づいた簪はあれが囮だったことに気づく。
急いでシャルルに危ないことを伝えようとしたが遅かった。
シャルルはすでに地面から飛び出してきた岩の蛇の体当たりを受けていた。
体当たりをくらったシャルルは絶対防御が発動しシールドエネルギーがなくなてしまう。
《シャルル・デュノア シールドエネルギーエンプティ》
シャルルの脱落を知らせるアナウンスが流れた。
「ごめん簪、役にたてなくて。」
「そんなことないよ、ここまで頑張ってくれてありがとう。」
「ありがと、それじゃあ僕は離れておくからあとは頼んだよ。」
「任せて。」
シャルルは安心した表情をしながらアリーナの橋の方へと移動していった。
シャルルを見送った簪は視線を武雀王に向ける。
「決着をつけよう一夏。」
「ああ、手加減しないぞ簪。」
武雀王の霊力が徐々に高まっていくのを簪は感じた。
「(霊力の高まり具合から見て広範囲の大技―――生半可な技じゃ相殺できない。ならこっちも広範囲の大技で止めてみせる。)」
絶対に防いで見せると意気込みながら簪は霊力を高めていく。
そして霊力を最大にまで高め終わった武雀王と簪はほぼ同時に技を放つ。
「メガブレイズ!!!」
「ヘルブリザード!!!」
巨大な炎の波と氷の吹雪が両者の間で激突、そのまま押し合いになった。
相手の技を打ち破らんと双方は霊力をさらに注ぎ込む。
「おおおおぉぉぉぉ!!!!」
「はあああぁぁぁぁ!!!!」
技の勢いが増したせいでアリーナに影響が出始めるが二人は気づかずに技を放ち続ける。
だが相反する力同士がぶつかり合い続けたせいか両者の間で爆発が起こった。
その爆発の威力は凄まじく、アリーナ全体を揺らすほどであった。
しかも眩しいほどの閃光が爆発と同時に発生していた為、観客たちは目を開けていられなかった。
閃光がおさまり観客たちはアリーナ内に目を向けるとそこには直径10メートルにも及ぶクレーターとその中に装甲の一部にヒビが入った武雀王と装甲の大半が欠損した打鉄弐式改を纏う簪の姿があった。
両者は結果がどうなったのか確認をとる。
大きな電光掲示板には『亀山 一夏 シールドエネルギー残量5 ― 更識 簪 シールドエネルギー残量0』と表示されていた。
《更識簪 シールドエネルギーエンプティー 勝者 亀山 一夏!!!》
勝者が決まった瞬間、観客たちは一斉に騒ぎ始める。
「また負けちゃった・・・」
「そう落ち込むなって簪。」
ISを解除した一夏が簪に近づいてきて話しかけてきた。
「一夏。」
「本気で相手したのにここまで追い込こまれるとは思ってもみなかった。強くなったよ簪は。」
嬉しそうに簪へと声をかける武雀王を纏った一夏。
「ありがとう。でも次はホントに負けないんだからね。」
「望むところだ。さっシャルルの待ってるピッドに行こう。」
一夏と簪は手をつなぎながらピッドへと戻っていった。
ようやく学年別トーナメントが終わりました!
次回からはオリジナルの話をいくつか書いていこうと思っています。
臨海学校編はそのあとということで。
それではみなさままたお会いしましょう。