インフィニットストラトス‐四神の力を受け継ぐ者‐ 作:フジパンホンジコミ
どうも更識 簪です。
先程まで行われていた二人の模擬戦が終わり、私とお姉ちゃんは一夏が帰ってくるのを待っていると扉が開き織斑くんを抱えた一夏が管制室に入ってきた。
それと同時にこの世界の篠ノ之さんたちが一斉に一夏へと駆け寄っていく。
耳を傾けると大丈夫なのかや怪我はしていないかという織斑くんを心配する声が聞こえる。
それにたいして一夏は大丈夫と答えるとこの世界の私とお姉ちゃんはそれで安心した表情をするが他の五名は納得していない表情をしていた。
すると一織斑先生が一夏に声をかけ数回ほど話をしたあと一夏は織斑くんを抱えたまま管制室から退室する。
おそらくは織斑くんを保健室に連れていくように織斑先生に頼まれたのかな。
そうなると一夏が戻ってくるまで暇になっちゃった、どうしよう。うーんちょっとお姉ちゃんにどうするか相談しなきゃ。
私はお姉ちゃんに相談しようとしたら突然この世界のお姉ちゃんに声をかけられた。
「ちょっといい?」
「何?」
「実はお願いがあるんだけどいいかしら。」
お願い?一体何だろう。
そう思った私はこの世界のお姉ちゃんに聞き返した。
「そのお願いっていうのは何?」
「私たちのお願いは一つ、私たちと模擬戦をして欲しいのよ。」
「模擬戦を?」
「ええ。でも模擬戦をやるかやらないかはそちらで決めて。」
こればかりは私の判断で決められなかった為、私は念話を使用してお姉ちゃんと話し合うことにした。
「(どうする?)」
「(そうね、一夏くんもまだ帰ってこないし、それにこのあと何もやることがないから退屈なのは確実。うん私はいいと思うわよ模擬戦をしても。それで簪ちゃんはどうなの?)」
「(私も構わない。それにこっちの私の実力がどの程度なのか知りたかったからむしろ好都合。)」
私とお姉ちゃんは返答を返した。
「あなたたちの申し出受ける。」
私はそう答える。
隣を見ればお姉ちゃんも『受けて立つ』と達筆で書かれた扇子を広げているのが視界にうつる。
するとこれまでの話を聞いていたのだろうか織斑先生が話に加わってきた。
「模擬戦をするのはわかった。対戦の内容はどうする、個人戦か?それともタッグで戦うのか?」
「いいえそちらは全員でかかって来ても構いません。」
私がそう言うと織斑先生はこの世界のお姉ちゃんは驚いた表情をしていた。
「いいのか?この七人を相手にしなければいかんのだぞ。」
「確かに人数的に言えば不利としか言い様がありませんが私とお姉ちゃんにとってはちょうどいいハンデです。」
私がそうい言うと織斑先生はニヤッと笑いながら私たちに話しかけてきた。
「そこまで言うということは相当自信があるみたいだな。」
「これでも私とお姉ちゃんは二年とは言え実戦を経験しています。」
「なるほどな実戦経験者というわけか。くくっどうやら厄介な相手みたいだぞ。」
後ろを振り向いてこの世界の私たちにわざわざ伝える織斑先生。
そして伝えられたこの世界の私たちはというと―――
「そうみたいですね。」
この世界の私達が真剣な表情をしていた。
それを見た私とお姉ちゃんはほんの一瞬だが笑みを浮かべる。
これなら楽しい試合ができそう。
私とお姉ちゃんは織斑先生に準備してきますといい管制室から退出し更衣室へと向かっていった。
ISスーツへと着替え終わった私たちはピッドでISのシステムのチェックを行っている。
「次元移動での機体の故障箇所なし、武装なんかも大丈夫っと。お姉ちゃんのほうはどう?」
「こっちの方も異常は見られないわ。システムをアップグレードしてもらってってよかったわ。」
そういえば統夜くんのところに次元移動してしまった際、システムが誤作動を起こしてたって言ってたっけ。
でもおじ様にシステムの改良を頼んでたみたい。でも一体いつ頼んでたんだろう?
私は不思議に思いつつシステムのチェックを進めていく。
システムのチェックが終わり私とお姉ちゃんはISを纏い、動作に不具合がないか調べる。
「スラスター正常、駆動系にも問題なし。うんこれなら大丈夫。」
動作に不具合がないことを確認し私たちはフィールドへと飛び出す。
フィールドに入ると向こう側の私たちもフィールドに入ってくるのが見えた。
「あなたのIS・・・・かっこいいね。」
この世界の私が少しばかり目をキラキラさせて話しかけてきた。
あの目は最初にこの機体のカタログを見た私と同じ目をしている。無理もないかな、なんせこの機体の見た目がアニメに出てくるロボットみたいだから。
「うん、私のは倉持技研の機体じゃなくてアトランディア社――一夏のお父さんが立ち上げた会社の機体で名前も打鉄弐式改って言うの。」
「・・・・なんか羨ましい。」
なんとも羨ましいそうに私を見てくるこの世界の私。
「はいはい、おしゃべりはそこまでよ。」
お姉ちゃんにそう言われ私は呼吸を一回し気持ちを切り替える。そして夢現を展開、真正面に構えた。
隣を見ればお姉ちゃんも蒼流旋を構えていた。
この世界の私たちもそれぞれの武装を展開sたのを確認。
あとは合図が鳴るのを待つだけ。
《それでは、試合開始っ!!!》
山田先生の開始の合図と共に向こう側からレーザーと銃弾の弾幕が私とお姉ちゃんに放たれた。
凄まじいほどの弾幕が押し寄せてくるが、この程度の弾幕は幻想郷の弾幕ごっこと訓練で慣れているから簡単によけ相手に向かって前進する。
当たりそうな銃弾などは夢現で弾きながら進む。
まさかまっすぐ突き進んでくるとは思ってもみなかったのか対戦相手であるこの世界の私たちは驚いていた。
私は驚いている隙をついて瞬時加速を使用して、まずはシャルロットの懐に飛び込み薙刀で切り上げる。
「うぐっ!?」
「「「「「「シャルロット(さん)(ちゃん)!?」」」」」」
私とシャルロットに視線が集まった瞬間私は念話を使いお姉ちゃんに合図を送る。
『お姉ちゃん今だよ。』
『了解よ簪ちゃん!!!』
私の合図を受けたお姉ちゃんは蒼流旋に内蔵された四連装ガトリングでセシリアとこの世界の私にダメージを与えた。
「きゃっ!?」
「あうっ!?」
その二人に攻撃が当たったのを確認し私は後退しながらNタイプからCタイプに変更し、お返しと言わんばかりにツイン・ビームカノン、3連マシンキャノン、ツイン・マグナライフル、春雷、山嵐、スプリットミサイル、ファンナウト・ミサイルを一斉発射。
「な、なんですのこの異常な弾幕の数はっ!?」
「たった一機で出せる弾幕の量ではないぞっ!?」
相手側は私の弾幕によって攻撃を行うタイミングが取れずに避けることしかできないようだ。
だがそんな中一人だけ行動を起こした人がいた。その人というのは『紅椿』という専用機を纏った篠ノ之さんだ。
篠ノ之さんは機体のスピードを駆使して弾幕を避け時には両手に持つ刀でミサイルを切ったりしていた。
彼女の行動を見て私は山嵐の弾頭を変更しミサイルを十発ほど篠ノ之さんに向けて放つ。
すると篠ノ之さんは自分へと迫るミサイル郡にむかって右手に持った刀を振るう。
そしたら刀身からビームが発射された。
へぇーあれってそういう機能があるんだ、でも残念だけどあれは攻撃用じゃないんだよね。
篠ノ之さんの攻撃を食らったミサイル郡は爆発し中からキラキラと光るものがあたり一面へと広がる。
すると篠ノ之さんたちの機体に影響が出始めた。
「な、なんだこれはっ!?」
「どうなってますのっ!?」
「(機体は正常に動くけどモニターに異常・・・)これってまさかチャフ!?」
残念だけどチャフじゃないんだよね。
さっきのミサイルの弾頭に入っていたのは私お手製の触れた機体のシステムを狂わせるナノマシン。
ナノマシンに触れられたら一時間くらいはハイパーセンサーやロックオンシステムなんかの機能は使用不可能。
そのため相手側は射撃系統の武器の使用が制限される状態だ。
ちなみに私とお姉ちゃんの機体にはワクチンプログラムが施してあるからナノマシンの影響を受けない。
だからこれで遠距離からの攻撃はないから安心だとそう思っていた。
ところが雄叫びを上げながら私へと突っ込んでくる篠ノ之さんの姿を捉える。
この世界においても彼女は突っ込むこと以外頭にないのだろうか?
私は疑問に思いながらも夢現を構えてお姉ちゃんに念話でやってほしいことを伝える。
『お姉ちゃんちょっといい?』
『どうしたの簪ちゃん?』
『先に篠ノ之さんを落とすからちょっと私の方に邪魔が来ないようにして欲しいの。』
『そういことならお安い御用よ(簪ちゃんからの頼みごと、お姉ちゃん嬉しいわ!)』
すると私と篠ノ之さんをほかの人たちから分断するように水で覆われた。うんこれなら邪魔が来ないありがとうお姉ちゃん。
「な、なんだこれはっ!?」
「知る必要はない、だってあなたはここで倒すから。」
私はCタイプからNタイプへと切り替えながらそう答える。
「その言葉そっくりそのまま返してくれる!!!!」
よっぽど私の言ったことに腹を立てたのか両刀を構えて突っ込んでくる篠ノ之さん。
両手に持つ刀を振り回す篠ノ之さんの攻撃を危なげなく躱していく。
攻撃が当たらないことにイラついているのか次第に武道の経験者とは思えない無茶苦茶な太刀筋へと変わる。
お粗末ね篠ノ之さん。
大降りになった両刀を私は後退することで躱し、その隙をついて篠ノ之さんの懐に飛び込んで春雷を起動させゼロ距離で発射。
「ぐあっ!?」
攻撃を受けた篠ノ之さんは後方へと吹っ飛んでいく。
「逃がさない。」
私はそれを追いかけて夢現で袈裟斬りを行うが篠ノ之さんは両刀を使い私の攻撃を防いだ。
篠ノ之さんは防いだぞという表情をしていたが―――甘い、私の攻撃はまだ終わっていない。
私は展開していた夢現を解除し彼女の持つ両刀を蹴り上げる。両刀を失った篠ノ之さんは驚いた表情で私を見ていた。
その隙をついて私は篠ノ之さんの懐に飛び込み右のプラズマ・バックラーを鳩尾に叩き込んだ。
くの字に折れた篠ノ之さんに私はすかさず左の掌底を胸に叩きつけ、次に右フックを右わき腹に叩きつけ、さらに左後ろ回し蹴りを繰り出す。
そして最後に一夏に教えてもらった金剛掌を鳩尾に叩き込んだ。
篠ノ之さんは水のヴェールを突き破りフィールドの地面に叩きつけられるのが見えた。
そしてシールドエネルギーが0となり篠ノ之さんが戦闘不能になったアナウンスが流れる。
《篠ノ之 箒さん シールドエネルギーエンプティー》
次は誰の相手をしようかな。
簪SIDE OUT
刀奈SIDE
「簪ちゃんとこっちの箒ちゃんの隔離は完了っと。あとは――」
人の気配を感じ蒼流旋をそちらの方に向けて構える。
目線の先にはこの世界の私、鈴ちゃん、ラウラちゃんの三人が攻撃を仕掛け来ようと近づいてきていた。
「三人がかりで申し訳ないけど倒させてもらうわ!!!」
「卑怯だなんて言わないでよ!!!」
「覚悟っ!!!」
私は三方向から繰り出される猛攻を水のヴェールでしのぎながら彼女たちの動向を探っていた。
するとこの世界の私の後方にある水のドームに目を向ける。そこには水のドームを破壊しようと攻撃を行っている残りの三人がいた。
なるほど攻撃を仕掛けている三人が私を抑えている間にほかの子達で水のドームをどうにかしようって魂胆ね。
でも残念なことにあの程度の攻撃じゃああの水のドームは突破できないわ。なんせあれを突破するにはアリーナのシールドを突き破れる威力が必要だもの。
こう言っては悪いけどあの子達は無視してても平気ってわけ。だから安心して目の前の三人に集中できる。
私は視線を水のドームから正面にいる三人に向ける。さて私も動くとしますか。
水のヴェールで受け止めていた三人の攻撃を弾き返した直後にラスティー・ネイルを展開し斬りつける。
しかし相手もラスティー・ネイルを展開し私の攻撃を防ぐ。そして左右から鈴ちゃんとラウラちゃんが攻撃を仕掛けてくる。
私はもう一人の私を蹴り飛ばしてラスティー・ネイルと蒼流旋で二人の攻撃を受け止めた、そして水のヴェールをハリセンボンのように展開し二人をはじき飛ばす。
鈴ちゃんとラウラちゃんはすぐさま体勢を整えてもう一人の私と合流をしこちらの様子を伺いながら何やら会話を行っていた。
プライベートチャンネルを使用して作戦でも立てているのかしら?
でもそうはさせないわよ。
作戦を考える暇は与えないために、私はラスティー・ネイルを構えて三人に肉薄する。
しかし私の体は何かに剥い止めらるかのごとく動かなくなった。
「よし捕らえたぞ!」
やったぞと嬉しそうに笑顔を浮かべるラウラちゃん。
AICで拘束して後ろの二人が一斉攻撃をして私を倒そうって魂胆ね、でも残念ねこの程度で私を捕らえたと思ったら大間違いよ。
私は三人に気づかれないように後方で水を生成し水の槍をそれぞれ四つずつ彼女たちに打ち放つ。
「きゃっ!!!な、何今のはっ!?」
「ちょっなんで後ろから攻撃が!?」
真後ろから攻撃されるとは思っていなかったらしく驚いているみたいね。
意識が後ろに向いている今がチャンス。さーて新型武装を試させてもらうわよ。
私は腰元に取り付けられた先端に小型のアクア・クリスタルが取り付けられている棒を手に取る。
小型のアクア・クリスタルから水を放出され水の鞭を形成。水の鞭を相手に向かって伸ばして三人を拘束する。
水の鞭に拘束された三人は抜けだそうともがく。
「ちょっどうなってんのよこの水、体に張り付いて取れないんだけど!!!」
「なんなのだこの水は!!!」
「ふふ残念だけどこの武装に取り付けられているアクア・クリスタルで生成される水はある生物の拘束用として製作された代物、ちょっとやそっとの力では抜け出せないわ。(一夏くんや簪ちゃんにはほんの数秒しか持たないけどね。)」
三人は私を思いっきり睨めつけてくるが私はお構いなしに次の行動を行う為の準備をする。そのついでに―――
「あとクリアパッションを行おうとしても無駄よ。この空間にある水は全て私の制御下にあるしチャフの影響でナノマシンは使えないわよ。」
自分の行動を読まれていたことに驚くもうひとりの私。
「まさかここまですごいとは思わなかったわ。」
「このくらい出来ないようじゃ実戦じゃ生き残れないからね。」
そう言いながら蒼流旋を頭上に掲げて水を纏わせる。
「さあ喰らいなさい、『ミストルテインの槍』!!!」
ミストルテインの槍を彼女たちに向けて解き放った。
動くことのできない三人はまともにミストルテインの槍を喰らってシールドエネルギーが0となり三人の戦闘不能のアナウンスが流れた。
《更識 楯無さん、鳳 鈴音さん、ラウラ・ボーデヴィッヒさん シールドエネルギーエンプティー》
さて三人片付いたわ。簪ちゃんの方はどうなったのかしら。
水のドームに目を向けると何かが勢いよく水のドームを突き破りフィールドの地面に衝突するのが見えた。
フィールドの地面に視線を向けるとそこには目を回して気絶している箒ちゃんの姿があった。
うんあれは簪ちゃんの仕業ね。それにしてもまた随分と派手に決めたわねって私も人のこと言えないわね。
攻撃をくらって気絶したこの世界の私、鈴ちゃん、ラウラちゃんを見ながらそう思った。
さーて残りは三人。
刀奈SIDE OUT
一夏SIDE
織斑を保健室に預けた俺は管制室へと戻ってきた。
「織斑先生、織斑を保健室に運び終わりました。」
「すまんな。」
「ところで今どういった状況なんです?」
俺がモニターに視線を向けると専用機を纏って戦っている二人の姿がモニターに映る。
「なんで楯無さんと簪がそっちの専用機持ち達と模擬戦をしているんですか?」
俺はそのことが気になり教師二人に訪ねた。
「お前が織斑を保健室に運んでいる最中になウチの専用機持ち達が模擬戦を申し込んだんだ。でそっちの二人も待っているのも退屈だからと承諾したというわけだ。」
「なるほど。」
「それにしてもウチの専用機持ちたちが全く言っていいほどに相手になっていないな。」
まあ生半可な特訓はてないからな。
おっ刀奈さんが水のドームを作って簪と篠ノ之を他の人たちから分断したか。そんでもって刀奈さんは楯無さんと鈴とラウラの三人と戦闘を始めた。
簪と篠ノ之の一騎打ちは直ぐに決着がつくだろうけど刀奈さんは少しばかり時間がかかるかもな。そう思っていたが刀奈さんは三人を拘束して同時に撃破してみせた。
前よりも水の生成速度が上がっている。それにミストルテインの槍の威力も。
こりゃ相当腕を上げたみたいだ、さすが刀奈さん。
すると別のモニターから何かが衝突する音が聞こえてきた。
音のしたモニター方へ視線を向けると気絶した篠ノ之が映し出されている。
あーこれは簪だな。にしても派手にやりすぎだよ全く。
俺がそう思っているとも知らずにモニターに映る二人は残りの三人と戦闘を始めた。
だが三人はほとんど抵抗することができずにシールドエネルギーが減らされてゆき脱落していく。
まああんなの魅せられたんだ戦意喪失しててもおかしくないな。でもこの程度で戦意喪失していたらこの先やっていけないがな。
《セシリア・オルコットさん、シャルロット・デュノアさん、更識 簪さん シールドエネルギーエンプティー 勝者 楯無 簪ペア》
さて試合も終わったことだしこのあと何しようかな。