『アグネスタキオン!!三冠達成!!』
テレビから聞こえてくるレースの実況。
それをトレーナー室から虚しく見る私。
隣には、誰もいない。いるべきはずの私の担当ウマ娘はいない。
「ライネル……」
その名を呟く。
それは、ホープフルステークスで起きたことだった。
2着のライネルタキオンが、ゴール直後に転倒。実際は、ゴール直前からだが。
すぐに救急搬送された。
外傷等は無く、骨折等も無かった。
でも、意識不明が続いた。
診断としては、[覚醒失敗による脳への過負荷]が原因だそうだ。
覚醒。それは、各ウマ娘が保持している、レースの最中に発動するもので、発動すると、ウマ娘にもよるが体力回復など色々な効果をもたらす物だ。
勝負服によって、その覚醒の内容も変わるため、詳しい原理が分かってはいないが、条件さえ満たせば発動する。
しかし、ごく稀に覚醒を失敗してしまう場合がある。
その時、ウマ娘にはかなりの負荷がかかる。
今回は、それだったのだ。
確かに、前回も予兆はあったが、気が付けなかった。
トレーニングで練習させとけばよかったとも思うが、もう戻らないものは戻らない。
意識が戻ったら、そのトレーニングをしようと考えていた。
だが、現実は残酷だ。
ライネルが目を覚ましたと聞いて、急いで向かった病院。
そこで言われたのが“記憶喪失”。
過去のことを忘れてしまっている。名前ですら。
その日は泣き崩れた。
数日後に、マンハッタンカフェやアグネスタキオンなどが見舞いに行ったそうだが、何も起こらなかったのだろう。
「…………」
静かなトレーナー室で、唯一音を出していたテレビを消す。
『やぁ、トレーナーさん』
『そのトレーニングはちょっと……』
彼女と話していたことが、脳内を自然に流れる。
「トレーナーさん!!」
勢いよく開く扉とともに、明るい声が聞こえる。
「いつまでもしょげてないで、トレーニングしようよ!!」
ライネルナラティブ。
「お姉ちゃんよりも、活躍したいんだ!!だから、てきせつなトレーニングをしたい!!」
ナラティブは、あの時でも、変わらなかった。
前を向いて、進んでいる。
私も、前を向かないとね……。
「わかった……でもまずはトレセン学園に入学できるように、勉強をしようね」
「じゃあ、教えて!!」
「はいはい」
「ったく……せっかくあと少しで勝てそうだったのに……なんであんなことするの!?」
「あなたがミスしたからよ。全く……」
目の前で起きている状況に理解が追いつかない。
「あ、あの……」
「あぁ、すみませんね。この駄々っ子をどうにかするので……」
「は、はぁ……」
どこなんだろうか。
「もー!!ツインタキオン見たかった!!」
そう言って、幼女がどこかへと消えていく。
ツインタキオン?
「はぁ……遅れてすみません。私、時の女神をしております」
「は、はぁ……」
女神?
「此度は本当に申し訳ありませんでした……」
「えっと……あの……よくわからないのですが」
「あぁ、すみませんね。突然ここに連れてこられましたからね」
さっきまで、中山レース場で走っていたはずなんだけど……。
「実は、あなたを転生させる時、こちら側の不手際で、容姿がアグネスタキオンと似てしまうということがおきまして……」
「あー……別に気にしなくても……」
「いえ!!こちら側の都合が悪いので」
身勝手かよ。
「それで、私はどうなったのですか?」
「今は……魂ごとすっぽりと抜け落ちて、ここにいます」
「なるほど、わからぬ」
「えーっと……要するに……うーん……」
あら、女神様もよくわかっておらっしゃらぬようで。
「あー、状況はなんとなく察せそうなので大丈夫です……多分……」
「あ、ありがとうございます……それでですね」
「はい」
「あなた様の願いの『ウマ娘の世界に転生したい』を叶えるために、馬に転生して欲しいのですが……よろしいでしょうか?よろしいですね?よろしいということにしておきます。流石に時間がもうないので、転生させますね」
えっ……ちょっ……。
「まっ……」
「おー!!生まれたぞ!!」
『こんなことあっていいわけないだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
「おー、よく鳴いてらぁ……元気ある馬だ」
次回 Second number No.1
アグネスじゃないタキオンの第1シーズン、無事終了です!!なお、すぐに続き作りますね!!
ここからは、ライネルタキオンの競走馬時代を作るところになります!!ということはゆくゆくは……アグネスとの掛け合いは第3シーズンまで先延ばしになります。
まず、ホープフルステークスでのスキル発動の件について
あれは、スキル欄が空白の状態で無理矢理スキルを発動させた結果、虚無という新スキルが発動。ライネルタキオンは虚無に飲まれた。なぜ、スキルがなかったのかは、それはライネルタキオンという馬が存在していなかったから。ないからない。ただそれだけである。
そして、記憶喪失の理由
まず、記憶喪失は正しくありません。アグネスタキオンと同じ姿をしたライネルタキオンは、魂を抜かれて、抜け殻みたいになっています。
ホープフルステークスでの判定の理由
ライネルタキオンの競走馬時代の設定というものは、再転生してから決まる、と言う予定だったため、どこかでライネルタキオンは一度転生しなければいけなかった。もし、あの場で勝っていたら、かなり先まで伸びてしまい、都合上良くないとの判断で、ホープフルステークスで倒れる、ということにしました。
今後の予定
アグネスじゃないタキオンは、第2、3シーズンまで続ける予定です。
第2シーズンでは、競走馬の設定をみんなで作っていこうと考えています。何かリクエスト等などがございましたら、感想や、TwitterのDMまでお待ちしております。
p.s.第3シーズンは確定でウマ娘になります。後、活動報告にて、ライネルタキオンの年代が決定いたしました。
ライネルタキオンを生徒会メンバーに
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