『さぁ、冬の終わりが見え始めたこの東京競馬場、クイーンカップが開催されます』
怪我もなく迎えた2月14日。バレンタインだZ☆E!確証はないんだZ☆E!前々世では何ももらえなかったからなんD☆A!
「どうどう。落ち着いてくれ」
さぁ、それはわからないんだZ☆E!
「落ち着けって」
はいはい、テンション高めで落ち着くZ☆E!ムフー。
「興奮してますね」
「なんでなんだ」
「さぁ?」
まぁ、寒いんだ。テンション高めて身体動かさないと動かないんだ。
「にしても、1600mばかりですね」
「困るよなぁ」
「こいつ、スタミナ有り余ってますからね」
私、ライネル!!元気な3歳!!
あれ?なんか闇に触れたような……3歳!!
ここか……アタシ、4歳!!
あ、闇ないわ。
「首を振るなぁ!!」
あー、めんごめんご。つか、まだ?
「はは……代わりますよ」
『2枠2番、ライネルタキオン。調子は少し良さそうだが、興奮してますね』
にしても、足裏つめてー。蹄鉄から寒さが沁みるわー。
「寒いのか?」
うん。寒い。寒さが五臓六腑でダンスしてる。
「今度からは、馬着も持ってくるか」
「ですね。ライネル、今日は我慢してくれ」
はいはい。わかってるよ。
ゲートの中は広い。こんなにも大きな馬が入るのだから。
そして、何よりも高い。
ここから落ちたら、なんて考えるのも恐ろしい。
でも、この馬の上では別。この馬には、しがみつかなければならない。乗っている余裕がない。そんな馬なのだ。
『全頭、ゲートイン完了。姿勢、整いまして……綺麗にスタートです!!』
急加速。身体が後ろへと置いていかれる。
その感覚を和らげるために、力任せに前傾姿勢に戻る。
「いけ、ライネル!!」
鞭を取り出す暇はない。
片手で耐えられるわけがない。
なら、どうやって伝えればいいのか。
[この馬は賢い]
デビュー戦の前に聞いた、その言葉を信じて、「行け」と言った。
その言葉を言っただけだ。それだけで、この馬は仕掛けてくれる。
「逃げろ!!先頭は、お前だ!!」
揺れが激しくなる。顔に当たっていた舞い上がった土が、無くなる。
周りの音が、少しずつ遠くなって、ライネルの足音と息だけが聞こえてくる。
「………ッ!!」
声が出ない。舌を噛みかける。
もう、この馬には、騎手はいらない。勝手に走っている。自由に走る。
俺の役目はおわりだ。
目を閉じて、耐えながら時間が過ぎるのを待つ。俺は、お前が勝つことを信じている。
『やめろぉぉ!!』
力が弱くなる。揺れが少なくなる。
なぜだ。
目を開けると、すぐ近くにはスタンドがあった。
『やめろぉぉ!!』
スタンドで、馬券を握りしめた男が、沢山叫ぶ。
そして、そのたびにライネルの速度が落ちる。
耳が、前に向いている。そうか。やっぱり、お前は賢いな。賢さ故に……。
「何してる、ライネル」
耳が後ろを向く。俺の声を聞こうとしている。
「何が怖いんだ」
話しかける。
「何も恐れる必要はないだろ。あれは……」
お前には、騎手じゃなくて、信頼してくれる相手が必要なんだな。
「あれはお前に期待しなかったバカだ。気にするな。走り続けろ、ライネル!!」
叫ぶ。こいつに言い聞かせる。
スタンドの声援?ここにもお前を応援する奴がいることを忘れるな。
叫んでから数秒。
速度は変わらない。
「お前は、タキオンなんだろ!!」
さらに言う。
そして、空気が暴力となって、顔に襲いかかる。
ブレインボールブとは違う速度。併せ馬でいつも見せてた速度よりも速い。
『やめろぉぉぉ!!』
スタンドからの声も大きくなる。でも止まらない。速度は落ちない。
どうだ、これが、お前達が3番人気にした馬の走りだ。
お前達が、あまり期待しなかった馬だ。
『行け!!』
そんな声も聞こえた。
ほらな、ライネル。期待してる奴だって、いるんだ。
だからよ、いつも全力で、前向いてような。
『ライネルタキオン!!後方を大きく離してゴール!!女王ライネルタキオンのウイニングランは優雅に続いています!!ゴールしても、まだ終わらない!!』
ゴールしても走り続けるライネル。
お前、女王だってな。このお転婆がだなんて、笑うよな。
悲しかった。みんなに笑って欲しかった。でも、声が聞こえた。
『やめろぉぉ!!』
辛かった。悲しかった。走りたくなくなった。
だって、誰かを笑顔にするために走ってるんだから。誰かを悲しませるために走っても意味はない。存在する必要がない。
でも、違った。加藤くん、それと、応援してくれる見知らぬ誰か。その声だけで、私は嬉しかった。
「おわっ!?泣いてる!?どこか痛いのか?」
痛かった。辛かった。でも、もう大丈夫。
私は、二度と挫けない。
私は、タキオン。ライネルタキオン。
あのアグネスタキオンやマンハッタンカフェと友人だった、ライネルタキオンだ。
私が挫ける時は、最後まで無い。
悲しくなんかは、ない。辛くも無い。ただ、それだけでいい。
誰かが応援してくれるだけで、ライネルタキオンは走る。走り続ける。ゴールよりも先へと。
と言うわけで、女王ライネルタキオンの登場となりました!!次は桜花賞で勝たないとね!!春の女王を目指そうね!!
感想等、お待ちしております。
ウマ娘シーン、流石にチョロチョロと投稿しても
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いい!!
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ダメ、時間系列を守って読みたい!!