アグネスじゃないタキオン   作:天津神

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着々とウマ娘シーンの作成中……


No.8 女王

 

『さぁ、冬の終わりが見え始めたこの東京競馬場、クイーンカップが開催されます』

 

 怪我もなく迎えた2月14日。バレンタインだZ☆E!確証はないんだZ☆E!前々世では何ももらえなかったからなんD☆A!

 

「どうどう。落ち着いてくれ」

 

 さぁ、それはわからないんだZ☆E!

 

「落ち着けって」

 

 はいはい、テンション高めで落ち着くZ☆E!ムフー。

 

「興奮してますね」

「なんでなんだ」

「さぁ?」

 

 まぁ、寒いんだ。テンション高めて身体動かさないと動かないんだ。

 

「にしても、1600mばかりですね」

「困るよなぁ」

「こいつ、スタミナ有り余ってますからね」

 

 私、ライネル!!元気な3歳!!

 あれ?なんか闇に触れたような……3歳!!

 ここか……アタシ、4歳!!

 あ、闇ないわ。

 

「首を振るなぁ!!」

 

 あー、めんごめんご。つか、まだ?

 

「はは……代わりますよ」

 

 

『2枠2番、ライネルタキオン。調子は少し良さそうだが、興奮してますね』

 

 にしても、足裏つめてー。蹄鉄から寒さが沁みるわー。

 

「寒いのか?」

 

 うん。寒い。寒さが五臓六腑でダンスしてる。

 

「今度からは、馬着も持ってくるか」

「ですね。ライネル、今日は我慢してくれ」

 

 はいはい。わかってるよ。

 

 

 

 ゲートの中は広い。こんなにも大きな馬が入るのだから。

 そして、何よりも高い。

 ここから落ちたら、なんて考えるのも恐ろしい。

 でも、この馬の上では別。この馬には、しがみつかなければならない。乗っている余裕がない。そんな馬なのだ。

 

『全頭、ゲートイン完了。姿勢、整いまして……綺麗にスタートです!!』

 

 急加速。身体が後ろへと置いていかれる。

 その感覚を和らげるために、力任せに前傾姿勢に戻る。

 

「いけ、ライネル!!」

 

 鞭を取り出す暇はない。

 片手で耐えられるわけがない。

 なら、どうやって伝えればいいのか。

 

[この馬は賢い]

 

 デビュー戦の前に聞いた、その言葉を信じて、「行け」と言った。

 その言葉を言っただけだ。それだけで、この馬は仕掛けてくれる。

 

「逃げろ!!先頭は、お前だ!!」

 

 揺れが激しくなる。顔に当たっていた舞い上がった土が、無くなる。

 周りの音が、少しずつ遠くなって、ライネルの足音と息だけが聞こえてくる。

 

「………ッ!!」

 

 声が出ない。舌を噛みかける。

 もう、この馬には、騎手はいらない。勝手に走っている。自由に走る。

 俺の役目はおわりだ。

 目を閉じて、耐えながら時間が過ぎるのを待つ。俺は、お前が勝つことを信じている。

 

『やめろぉぉ!!』

 

 力が弱くなる。揺れが少なくなる。

 なぜだ。

 目を開けると、すぐ近くにはスタンドがあった。

 

『やめろぉぉ!!』

 

 スタンドで、馬券を握りしめた男が、沢山叫ぶ。

 そして、そのたびにライネルの速度が落ちる。

 耳が、前に向いている。そうか。やっぱり、お前は賢いな。賢さ故に……。

 

「何してる、ライネル」

 

 耳が後ろを向く。俺の声を聞こうとしている。

 

「何が怖いんだ」

 

 話しかける。

 

「何も恐れる必要はないだろ。あれは……」

 

 お前には、騎手じゃなくて、信頼してくれる相手が必要なんだな。

 

「あれはお前に期待しなかったバカだ。気にするな。走り続けろ、ライネル!!」

 

 叫ぶ。こいつに言い聞かせる。

 スタンドの声援?ここにもお前を応援する奴がいることを忘れるな。

 叫んでから数秒。

 速度は変わらない。

 

「お前は、タキオンなんだろ!!」

 

 さらに言う。

 そして、空気が暴力となって、顔に襲いかかる。

 ブレインボールブとは違う速度。併せ馬でいつも見せてた速度よりも速い。

 

『やめろぉぉぉ!!』

 

 スタンドからの声も大きくなる。でも止まらない。速度は落ちない。

 どうだ、これが、お前達が3番人気にした馬の走りだ。

 お前達が、あまり期待しなかった馬だ。

 

『行け!!』

 

 そんな声も聞こえた。

 ほらな、ライネル。期待してる奴だって、いるんだ。

 だからよ、いつも全力で、前向いてような。

 

『ライネルタキオン!!後方を大きく離してゴール!!女王ライネルタキオンのウイニングランは優雅に続いています!!ゴールしても、まだ終わらない!!』

 

 ゴールしても走り続けるライネル。

 お前、女王だってな。このお転婆がだなんて、笑うよな。

 

 

 

 悲しかった。みんなに笑って欲しかった。でも、声が聞こえた。

 

『やめろぉぉ!!』

 

 辛かった。悲しかった。走りたくなくなった。

 だって、誰かを笑顔にするために走ってるんだから。誰かを悲しませるために走っても意味はない。存在する必要がない。

 でも、違った。加藤くん、それと、応援してくれる見知らぬ誰か。その声だけで、私は嬉しかった。

 

「おわっ!?泣いてる!?どこか痛いのか?」

 

 痛かった。辛かった。でも、もう大丈夫。

 私は、二度と挫けない。

 私は、タキオン。ライネルタキオン。

 あのアグネスタキオンやマンハッタンカフェと友人だった、ライネルタキオンだ。

 私が挫ける時は、最後まで無い。




悲しくなんかは、ない。辛くも無い。ただ、それだけでいい。
誰かが応援してくれるだけで、ライネルタキオンは走る。走り続ける。ゴールよりも先へと。

と言うわけで、女王ライネルタキオンの登場となりました!!次は桜花賞で勝たないとね!!春の女王を目指そうね!!

感想等、お待ちしております。

ウマ娘シーン、流石にチョロチョロと投稿しても

  • いい!!
  • ダメ、時間系列を守って読みたい!!
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