『春の女王を決める桜花賞、ここ、阪神競馬場にて開催されます。天候はあいにくの雨。馬場も不良となっています』
桜花賞だぜいやぇあ!!
『それでは、注目の馬を紹介していきましょう』
周りは牝馬だらけ。牝馬さん、牝馬さん、一つ飛ばさず連続に数えて牝馬さん。
マジで牝馬ばかりだわ。
『1枠1番バンブトンフランセ、5番人気です』
へー。名前長いねぇ。ギリギリじゃん。
『1枠2番ミスナオコ、7番人気です』
ライネル、とうとう来たな。
『そして、最も注目されている馬、8枠22番、ライネルタキオン、1番人気です』
桜花賞。牝馬の頂点を争うレース。そこに、僕はライネルの上で走ることになる。
『全22頭での出走です』
不安はある。雨だ。でも、それだけだ。
『さぁ、全頭、ゲート入り完了』
「ライネル、お前が頂点だ。お前だけが女王だ。全員を置いてけぼりにするぞ」
ライネルに語りかける。それに、何も返事はない。
ゲートがもうすぐ開く。
『全頭、姿勢整いました……今スタートです!!』
『先頭はやはりこの馬、ライネルタキオン!!大外にもかかわらずスタートから好調に駆けていく。その後ろには5番ブロケード、6番テンモンが続く』
『いい滑り出しですね。しかし、今日は小雨、馬場に不安が残ります。このペースでは持つのでしょうか』
『先頭ライネルタキオン、ブロケードとの差を3馬身4馬身と広げていく。この馬に馬場は関係ないのか』
『レースはまだ始まったばかり。まだ結果がどうなるかはわかりません』
『後方では、16番アグネステスコと21番マヤノエンジェル、3番ニシノチェニル、10番ニシノシャンテーが団子になっている。その後ろに20番トウカイマーチ、15番ヒメユタカ』
『今回は縦に長いですね。先頭が大逃げを得意としていることと、出走している数が多いことが要因でしょう』
『それでは、視点は先頭に戻りまして、22番ライネルタキオン、後方とは10馬身差だ!!速い!!速すぎる!!レースは半分を切ってはいるが、あまりにも速すぎる!!』
『かなりのスピードです。かかっているのでしょうかね。冷静になれるといいのですが……あっ!』
『ライネルタキオン、一瞬沈み込みましたが、大丈夫か!?』
「どうした、ライネル!?」
はー、危ねぇ……。何も問題ねぇよ、加藤くん!!
「スピードには問題無し、か」
足にも問題ない。少し滑っただけだ。
『やはり、この小雨が1番の敵だ!!しかし、ライネルタキオン、先頭を行く。雨の怖さなどを捨てて、先頭を行く!!』
怖さなんて捨ててない。怖いさ。でも、楽しいからいいだけ。実況、覚えてろよ。
「このままゴールだ。気合い入れるぞ!!」
初めて鞭で打たれた。そこまでなんだな、加藤くん!!
『ここで加藤騎手、鞭を入れる!!後方とは10馬身差だが、まだ伸びる、伸びる!!こんな牝馬があっていいのでしょうか!?』
あっていいじゃん。いるんだし。
『残り200m、完全に逃げ切った!!12馬身差!!さすが女王!!牡馬を蹴散らしたその足で、牝馬から逃げ切った!!』
まだゴールじゃないのに。気が早いですよ。
『今、ゴール!!タイムは……1分38秒9!!』
『もしこれが良馬場なら、レコードを狙えましたね。すごい馬ですよ、ライネルタキオンは』
『さぁ、3秒遅れでブロケードがゴールイン。少し遅れてテンモンも続く』
『ライネルタキオンか……すげぇ速さだな』
『マジでやばいよな。まさかの18馬身差だからな。これで滑ってたなんて思えねぇよ』
スタンドからの声が聞こえる。どれも、意外だの、すごいだの。
「へっ、やっぱり、ウチの馬だかんね。なまら速いに決まってる」
「微妙になまってるよ、お父さん」
娘の1人、麻希がツッコミを入れるが、んなこと気にしない。
「さ、ライネルのところに行くぞ。祝勝会だ」
感想等お待ちしてます
ウマ娘シーン、流石にチョロチョロと投稿しても
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いい!!
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ダメ、時間系列を守って読みたい!!