『81年有馬記念。逃げの馬が転倒したことによる、奇跡の勝利。奇跡ではない、この馬も強い。カツトップエース。有馬記念が来る』
「ふむ。次」
「いやー、難しいわ」
「だな」
外山が大きく伸びをして、のけぞりながら言う。
「過去の名馬でCMを作るのはいいけど、もうほとんどの馬は言ったからなぁ……」
「そうだよなぁ……ミホノブルボン、ナリタブライアン、トウカイテイオー、メジロマックイーン、サイレンススズカ、タイキシャトル、エルコンドルパサー、スペシャルウィーク、オグリキャップ、キングヘイロー、グラスワンダー、エアグルーヴ、ライスシャワー、アグネスタキオン、ウイニングチケット、ミスターシービー、サクラバクシンオー、タマモクロスが前のシリーズだからな。つか、カツトップエースのあのシナリオ作った奴、条件聞いてなかっただろ。今決まってるのは何があったっけ?」
「ウオッカ、ビワハヤヒデ、シンボリルドルフが決まってたな」
「うわ、有名どころばかり。たしか、斎藤がダイワスカーレットのを作っていて、スーパークリークは審査員が見本として作ってたし……角はオペラオーだろ?あと残ってて宣伝になりそうな馬いるかな……」
「もういないんじゃね?」
「いや、まだいるはずだ……調べるぞ」
終業のチャイムが鳴る中、まだ俺と外山は資料の山に埋もれていた。
「かー、こんだけの資料を散らかしても、ないか……」
「称号から探そうぜー」
「重賞勝利馬でいいんじゃね?」
「ここから探すの無理だろそれ」
はー。無茶振りもようやるわ……。
「ネットで探すか」
「その前に片付けて帰るぞ。あ、一緒にファミレスでも行こうぜ」
会社を出て外を見ると、雪が降っていた。
「もう冬か」
「さっさと行こう。サ○ゼ?ロイ○?それとも○スト?」
「近い奴で」
「あいよ。探すわ」
その間、名馬がないかと俺はスマホ片手に検索をしていた。
「あー、ここのハンバーグうめ〜」
「ドリアは外せん」
互いに夕食を取る。
「それで、いいのあったか?」
「ん?あったあった。これを見てみな」
スマホの画面を見せる。
「ライネルナラティブ?聞いたことないな」
「そりゃ、他の強い馬と被ってたからな」
「他の?どいつだ?」
「皇帝シンボリルドルフだ」
「は?まじ?」
「あぁ。ライネルナラティブ、栗毛の牝馬。クイーンカップ、桜花賞、オークスに勝っている。エリザベス女王杯は鼻差で2着だが、強いのは変わらない」
「すげぇな」
「それで、有馬記念はシンボリルドルフとの初対戦。結果は……まぁ、わかると思うが2着だな。天皇賞は春秋ともに2着。かなり強い馬だな」
「……そうだが……霞むな」
「どこが?」
外山がとあるリンクを指さす。
「この馬……ライネルタキオンが82年天皇賞春秋1着。ジャパンカップも1着。かなり強い馬だな」
「そうか……なら、ライネルタキオンにするか」
「だな」
「なら、早速ネタになりそうなのを探すか」
『1981年クイーンカップ。ある一頭の牝馬が、東京のターフを駆け抜けた。その馬は、牡馬を蹴散らし、牝馬を先導する。その馬の名は、ライネルタキオン。クイーンカップが来る』
『1983年オークス。姉に負けぬ走りを見せたライネルナラティブが、初めて姉を超えた。最強に挑む物語はここからだ。オークス』
書いてみたナレーションを読んで、検討する。
周りには同じ作業を繰り返し行っていた仲間達がいる。
そのメンバーで話し合う。
「なぁ、このライネルタキオンはこのレースにいい話があるぞ」
『81年クイーンカップ。女王ライネルタキオン。女王は教えてくれた。競馬は馬だけで走っていない。応援する者と共に、走っている。クイーンカップ』
『86年有馬記念。ライネルナラティブ。姉、ライネルタキオンとの最後の勝負。勝てるか、勝てないか、いや、勝つ。有馬記念』
こんな感じで作っとるんかなぁ……どんな感じやろね?まぁ、私の思う作り方はこうや、と。ん?ダイナカールという女王がいる?知らん知らん。出てこーへんから知らんわ。それに、ライネルの方が先やし、オークス出てへんし。
競走馬シーンの続きを
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早く読み終えたい
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もう少しゆっくりと進んでほしい