闇が見える。
何もない、闇。
広がっては、小さくなる緑色のようで青色で、赤色で、黄色で黒色で白色の輪郭。
右に行ったかと思えば左から戻ってきて、上に広がって、上から広がってくる。
不意に、地面の感触。両足で強く踏み締めているような感覚。
屈んで、地面に手を伸ばす。真っ暗ながらも、芝の感触。
そして、聞こえてくる動物の足音。その足音が近づいて来て……。
「カフェー。カフェー。助けてくれー」
「もう、またタキオンさん何か……ライネルさんでしたか」
研究室前で大声で叫んでカフェに助けを求めたら、アグネスと間違われそうになった。懐かしい。
今似てるのは声だけだからね!!
「それ、どうしたんですか……?」
「わからない。離れないし、重いしで……」
私のトレーナーさんが、私の腰に抱きついてる。
朝に出会ったら、すぐこれだった。
一体何が……。
「とりあえず、部屋の中に運びますね」
「先に引き剥がしてくれ」
「面倒なので足持ちますね」
カフェが足を持って、不思議な格好で部屋に入ることに。
「おや、マンハッタンカフェさん。どうし……ブハッ」
研究室の中にいたアグネスデジタルが、なぜか鼻血だしてぶっ倒れた。マジか。
「とりあえず、ここに足、置いときますね」
「助かった、ありがとう、カフェ」
さてと、倒れたデジタルは放置するとしてだ。トレーナーさんをどうにかしないと、おちおち座ることもできない。
「トレーナーさん、離れて欲しいなー。ソファに座りたいから」
「やだ……」
先ほどからこの調子である。なぜに。
「じゃあ向きぐらい変えさせて」
「ん……」
抱きつく力が弱くなったので、後ろからしがみついてたトレーナーさんの腕の間に手を入れる。尻尾を掴んだら、上にサッと避けておく。ずーっと、引っかかってたんだよね。
「……でもとりあえず離れて欲しいんだけど」
「…………わかった……」
ようやくトレーナーさんが離れてくれた。
トレーナーさんの目は赤く充血していた。
「それで、どうしたんだい?」
「………笑わないなら」
「わかったよ。笑わない」
「……夢を見た……」
「夢?どんな夢だったんだい?」
トレーナーさんが、顔を顰めつつも、はっきりと口にしてくれる。
「ライネルの、慰霊碑の前まで謎の動物に乗せられて移動する夢……」
慰霊碑……。
「そうか……あの後、慰霊碑が建てられたのか……」
「ライネル……?」
「いや、なんでもないさ。それで、その謎の動物というのは?」
「四足歩行で……頭が縦に長くて、耳がウマ娘みたいな耳で……牛の足を長くして、身体を細くしたみたいな感じで……尻尾もウマ娘の尻尾と似たもので……」
なるほどな。やっぱり。ウマじゃん。
「それで、何がトレーナーさんを悲しくさせたんだい?」
「慰霊碑……」
「そうか……」
「ライネルが、いつかいなくなっちゃうなんて、考えられない……」
「そうかそうか。でも、私だって、単なる生物でしかない。いつかはいなくなってしまう。そこはわかっててくれないか?」
「わかりたくない……」
「そうかい……」
まぁ、誰にでもあることなのだろうね。
「つらい……」
「つらいな。ま、私はここにいるから、安心して」
「ん……」
はぁ……まさか夢であの世界に繋がるとはな。
「そういえば、その夢は何度も見ているのかい?」
「3回連続……」
「よし、病院に行こう」
「え……」
「これはトレーナーをやっている方によく見られる症状ですので、精神に問題等はありませんよ」
という結果だった。
「まぁ、その夢の中でやってはいけないことは……担当ウマ娘と同じ名前を持つ謎の存在。それに跨ってはいけません。過去にそれで緊急搬送されている方がいますので。本当に気をつけてください」
こわ。ウマ怖っ!
つか、その夢怖っ!!
「治療方法は確立されていません。ただ、精神を強く持つ必要もありません。普通に過ごしていくと、いつのまにか見なくなるものです」
「ライネル……」
「なんだい?」
「ライネルは、変な夢、見ないの?」
変な夢ねぇ……。
「見る、さ。色々とね……」
死。死の恐怖。周りが死んで、わたしが1人。残された私も、孤独に寂しく泣きながら死ぬ。周る人形が不気味で、楽しくて、泣く。そんな不思議かつ、不可解、不愉快な夢。
それを忘れることなんて、到底無理だろうな。
「でも、夢は夢だ。現実とは違う。例え正夢だろうと、正確に合致することはない。だから気にする必要もない」
そして、何よりも忘れることのない夢がある。
「でも、それだと正夢じゃないような……」
「デジャヴったら正夢。そういうものだろう?」
トレーナーさんの顔を覗き込んで、虹彩の奥を見つめる。
その向こう側に、青色の炎が一瞬見えた。
ふむ。後でカフェに頼むか。
トレーナーさんは、どうやら引き寄せやすいタイプみたいだな。
何もないといいが……。
トレーナーにひっそり憑いてたアレは一体何なのか……。自分でも訳の分からない伏線を貼ってると、自由に使えることを学んだ!!
感想待ってまーす。欲しいでーす。
あ、外伝作品を別タイトルて投稿してます。詳しくは、「ライネルタキオン」で小説を検索検索ぅ!!
アグネスじゃないタキオンの裏話(設定とかそうゆう系の考え等)を別の場所で
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読みたい(リンクは貼ります)
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読みたくない
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ハーメルンの活動報告でしてほしい