アグネスじゃないタキオン   作:天津神

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ちょっとした小噺ですが、暗くなる可能性がありです。苦手な方は、NarraNumberの方へどうぞ。NarraNumberは、こちらの話を読まなくても分かるようになっています。


No.11 夢越えて

 

 

 1月。『最後の1年』とまで言われるシニア級の始まり。

 なぜ、『最後の1年』と呼ばれているのかは、このシニア級を機に引退するウマ娘の数が多い、又は、トレーナーとの3年間の契約が終わる年だからだ。その後は個人差があるため、なんとも言えないが。

 そんな真冬。

 

「無茶だと思ってたが……頼んでみるものだな……」

 

 キャリーバッグを引きながら、そんなことを呟く。

 東京駅ではなく、新大阪駅を目指す。

 なぜ、大阪なのだ。遠いではないか。

 

「まぁ、仕方ないか」

 

 大きめのキャスケット帽を整え、慣れないハイウエストスカート且つ、どうしても動いてしまう尻尾を押さえつける。

 

「2018年か……懐かしいな。確か、この地域に住んでいたはずなんだが……また来たらそこに行くとするか」

 

 いざゆかん。

 

 

 

 

 

 

 

 

『新函館北斗。新函館北斗、終点です』

 

 騒がしい……。人の数が多いから仕方ないが。

 

「ねぇ、あのおねーちゃんのぼうしぶかぶかー」

「こら、指ささないの。すみませんねぇ……」

「いえ。気にしてないので」

 

 大阪でもこんなことあったな。

 

「はぁ……」

「お?世界の中心でため息をついてんじゃねーよ!!このゴールドシップ様に着いてきな!!」

 

 は?

 

 

 

 

 急いで手を引っ張り、個室トイレへと駆け込む。

 

「なんだよー。迷ってんじゃねぇのかよ」

 

 ゴールドシップがいた。なぜ!?

 

「あぁ。それより……これを被れ。あと、これを履け」

 

 予備のキャスケット帽とハイウエストスカートをゴルシに渡す。

 

「は?なんで耳と尻尾隠さにゃいけねーんだよ」

「ここには無いものだからだ。見つかったらどうなるかわからん。最低、研究所送りだな」

「あー、マジ?全然見ないと思ってたんだがー……ここ、ウマ娘いないのか?」

「いない」

 

 ウマ娘がいない世界。そこに、私は来ていた。そして、なぜかゴールドシップがいた。

 

「んほー!!てことはゴルシちゃん。別世界に渡れたってわけか!!」

「はぁ………ほっんとに気楽だな」

 

 目を輝かせるゴルシに絶望しかない。絶対やらかすコイツ。

 

「うっし。ここでも凱旋門ぶっ壊してやる。いや、そもそもここに凱旋門はあるのか……?」

 

 コイツのお守りしないといけないのか……。

 

「いいか、ゴールドシップ。私の言うことは絶対に守れよ。守れなかった場合、どうなるかわからんぞ?」

「いや、流石にこのゴルシちゃんでもそこは弁えるって」

「さっきの言動を聞いて信用できるか」

 

 ?みたいに首傾げんな!!

 

「んで、どこ向かうんだ?」

「滝川だ」

「何処だよそこ。ゴルシちゃんでもあまり知らねーぞ」

「そりゃそうだ。私の故郷なのだからな」

 

 ったく、せっかくの里帰りが台無しだ。

 ………てか、こんな雪景色の中、制服姿で大丈夫なのか、ゴルシ。




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