「いよいよ明日がレースか」
春が終わりを告げ出す6月。京都の芝に、狂いなし。また、新潟の芝も狂いなし。
「期待の新人が、新潟で走るんだろ!!中継で見るつもりだ、俺は」
駅前は、そのような声であふれていた。
周囲の誰もが、新潟のレースに注目する。
「周囲は完全に、あの娘の話ばかりなのー」
「ほんと、すごい期待がかかってるからね。確か、三冠ウマ娘になることができる素質を持ってるとか」
「はーなの。まだ走ってないのにやれ三冠だのいうのはおかしいと思うの」
メジロライアンとアイネスフウジンの2人が、駅前を通り過ぎて、とある場所へと向かっていった。
「失礼します」
生徒会室の扉がノックされ、1人のウマ娘が中に入る。
「ご用件とは、なんでしょうか。シンボリルドルフ生徒会長」
「そこまで固くならないでくれ。ラフに行こう」
そのウマ娘をソファに座らせ、シンボリルドルフもその対面へと移動する。
「デビュー前にもかかわらず、かなり話題になっているな」
「はい。三冠ウマ娘有力候補として、なぜか知られています」
苦笑しながら、ルドルフは問いかける。
「私の頃は、そんなことはなかったのだがな……」
「………」
「まぁ、それはいいとしよう。不調とかは、無いか?」
「いえ。ありません。この期待を背に、走り出したいと思います」
「そうか。なら、私からは何も言うことはない。すまなかったな、タケミカヅチ」
「いえ、トレーニング開始時刻ではないので」
タケミカヅチと呼ばれたウマ娘が生徒会室から出ると、窓から見える景色へと目を向ける。
そこには、これからデビュー戦があるであろう、幾多のウマ娘達がトレーニングをしている風景が見える。
「デビュー直前だからと言って、あまり無茶はして欲しくないのだけれどな……」
湿度が高い時期といえど夏のゲートが開かれたばかり。
節電と書かれた紙が、扇風機の風で揺れる中、ルドルフの額から流れる汗が、1つの書類にシミを作る。
「ちょいと失礼するでー」
特徴的な口調と共にタマモクロスが入ってきた。いや、タマモクロスと書類の山がやってきた。
「かなりの量だな……」
「ほんまやで。これ、どこに置いとくんや?」
「そこの机に置いといてくれ……はぁ……また1人でやらなければいけないのか……」
机の上に置かれた書類の山。一応、生徒会にはメンバーはいるのだが……今はほとんどが出払っている。
「なんや、ライネルタキオンに任せたらええんとちゃうん?」
「そうはしたいのだが……彼女はまだシニア級。私のように自由は効かないさ」
「まぁ、そやな。シニア級っつったら、今からやったら宝塚記念、天皇賞秋にジャパンカップ。有馬記念もあるやろな」
「あぁ。だから、邪魔をできる限りしたくない」
「いや、それでアンタが体調崩したら元も子もないやろがい。見かけたら言っとくわ」
またなー、と部屋から出て行き、また1人となったルドルフ。
「さてと……あ、もしもし、トレーナー君?」
トレーナーの手を借りることにした。
「え?寮?」
「あぁ。ここ最近私の方に苦情がきている」
久方ぶりに、姉と共に食堂に向かう途中、寮のことについて話す。
「苦情……?」
「やれ、『いつになったら帰ってくるんだ』『掃除ぐらいはして欲しい』『相談したいことがあっても話せない』……まぁ、これがマシな部類だな」
「出した奴の顔が思い浮かぶ……」
全てシンボリだな。たまにエアグルーヴからのもあるが。
「あと、これだな」
「これは……あー……生徒会か?」
「そうだ」
会議の記録に記録。記録に記録、記録、記録。記録ばかりだな。
「一体、いつ私が書記長になったと言うんだ……」
「知らん。私も被害者だ」
誰だ、勝手に副書記長欄に名前を書いた奴は。
「まぁ……やることはこれ以外変わらないだろうが……」
「それと……ファンレターだな。以前の宣伝放送に出演した分のレター。中身はほぼ、ネタだ」
「…………ウソでしょ……」
目が遠くを見ているが関係ない。はよやれ。
新ウマ娘、登場!!
タケミカヅチ……はて、どこかで聞いたことがあるような……気のせいですね!!えぇ!!気のせいですね!!
もしかしたら、懐かしい名前を出す可能性が……知ってる人少ないか。
感想等お待ちしてます。
アグネスじゃないタキオンの裏話(設定とかそうゆう系の考え等)を別の場所で
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